『君が衛生兵で歩兵が俺で』出版記念 篠山半太先生直撃インタビュー

アモン:何も悪いことしたわけじゃないんだから、素直に話せばいいじゃない。執筆の動機は?

篠山:ムシャクシャして書きました。今は反省しています。

アモン:それ、特に理由はないって意味の供述書用語でしょ。

篠山:ムシャクシャして書きました。今は反省しています。

アモン:弁護士に、それだけ言ってればいいって言われたのかよ(笑)! そうやって三面記事に、お約束みたいに量産されるんだよね。……で、本当のところは?

篠山:いや、「戦う少年少女」って永遠のテーマじゃないですか。でもそれが軍事モノになると、リアリティがない描写が多すぎて……徹底的にリアリティのあるやつ、書いてみたかったんです。

アモン:たとえば?

篠山:自分の好きな『踊る大捜査線』で言いますと、帽子をかぶってないときに手を挙げて敬礼してますよね? でも、自衛隊も警察も消防も、帽子をかぶっていないときは会釈に近い敬礼です。「神は細部に宿る」んですよ。日常描写からラストまで、徹底的にリアリティ重視です。

アモン:君、黒澤明とか好きでしょ?

篠山:ご名答。

アモン:でも君のリアリズムとやらのせいで、上がってきた原稿見て僕は何度もキレそうになったけどね。最初の原稿は、一般人にわからない描写が多すぎた。

篠山:あのときは書き直しで相当神経使いましたね……。リアリティに加えて、ラノベである以上、伝わりやすさも維持しなきゃならないんで。

アモン:でも防衛大臣が高校の校長を兼務している設定の、どこにリアリティがあるのさ?

篠山:政治的任用ポストというものがございまして……たとえば防大の校長は、部外(自衛隊の外)の学者から引っこ抜くことが多いです。作中では旧少年工科学校が、繭川女史の議員立法で「陸上自衛隊武山高等学校」になったという設定で、そのときに法律が変わりました。彼女は、自分でそのポストに就いたんです。元自衛官ですし。

アモン:ふーん。ところで作中にも「シビリアン・コントロール(文民統制)」って言葉が出てくるけど、文民って何?

篠山:文官というのはシビリアンではなく、武器を持って戦わない自衛隊員です。防衛事務官が代表的な文官ですね。それに対して、自衛隊員ではない者を「文民」と言いまして、文民が防衛大臣・副大臣・大臣政務官の「政務三役」に任命されます。だから、防衛事務次官は文官ですが文民ではありません。

アモン:なるほど、じゃあ繭川大臣は自衛官ヤメちゃってるから文官じゃなくて「文民」ってわけだ。……っていうか、この小説、サブカルネタも満載だよね。全部わかる人、たぶんいないと思う。僕も含めて。

篠山:筋金入りですから、自分(笑)。

アモン:で、この物語に政治的な意図は?

篠山:全くありません。

アモン:三島由紀夫も、確か映画『憂国』の記者会見のときにそう言ったんだよね。……さて、ネットの反応だけど、『君が主で執事が俺で』のパクリだとか、みなとそふとだとか言われてるけど?

篠山:年上と姉は、漢の浪漫です! 自分にはリアル妹がいるんで! 『姉組』作ってください!!

アモン:それは、スマッシュ文庫『妹組』に対する宣戦布告と受け止めていいかな?

篠山:撤回いたします。イモウト、イイデスヨネ(ロボットのような声で)。

アモン:でも、どうしてうちから出版しようと思ったの?

篠山:平和と繁栄と幸福が、自分の友達ですから。

(※注……PHP研究所の理念は、繁栄による平和と幸福の実現です)

アモン:アンパンマンより多いね。

篠山:カレーパンマンや食パンマンは、アンパンマンの友達じゃないってことですね。わかります。

アモン:ところで作中描写だけど……校舎の屋上にヘリポートは無理があるでしょ。

篠山:本物の武山駐屯地のヘリポートは、詳しくは言えませんが別の場所にあります。それと旧少年工科学校(現:高等工科学校)の校舎は小さすぎて、大型ヘリが着陸できません。これは駐屯地の外からでも確認できます。あそこは、演出重視のフィクションです。他にも実際の規則とか運用とかチョコチョコ変えてますが、あくまでもフィクションなんで。

アモン:フィクション、か。いい言葉だ。物書きの免罪符だね。それに携わっている僕が言うのもなんだけど。

篠山:ところで……そろそろ帰ってもよろしいですか? これ、任意ですよね?

アモン:次回作……。

篠山:ひっ……! 残留します!

アモン:じゃ、最後に宣伝して。実施!

篠山:実施します! 『君が衛生兵(ナース)で歩兵が俺で』、2012年6月17日、PHP研究所、スマッシュ文庫より発売! お値段は、本体686円足すことの税込みで720円! 大変お求めやすくなっております! 最寄りの書店に並んでいなかった場合は書店員さんに注文してください!

アモン:ご苦労様。じゃ、外出証渡します。実状況終了。営門……訂正、出口で見せてね。

篠山:言葉遣いその他もろもろ、完全に自衛隊に染まってますね……。

アモン:ぜんぶ君のせいだよ(笑)!

話題沸騰中の『君が衛生兵で歩兵が俺で』は6月16日発売!

現役自衛隊員が書いた異色ラノベを見逃すな!

(C)篠山半太/西出ケンゴロー PHP研究所

[関連サイト]スマッシュ文庫