【2020始動特別企画】宇野朴人×二丸修一×三河ごーすと鼎談「なぜ我々は10万部超えの新作を生み出せたのか?」

【2020始動特別企画】

出版不況と言われる中でも、スタートした新作を売り伸ばすことはできる! 2020年という新たな1年を迎えるにあたって「なぜ我々は10万部超えの作品を生み出せたのか」をテーマに、宇野朴人先生、二丸修一先生、三河ごーすと先生の御三方をお招きしました。業界における2019年の顔と言っても過言ではない3人に、各々の新作について様々な視点で語っていただきました。作家としてどんなことを考えるようにしているのか、過去の経験を今にどう活かしているのか、ちょっとした雑談から金言に繋がる真面目なお話まで、ゆる~く語っていただいています。2020年もライトノベルを盛り上げる、話題の3人の鼎談をお楽しみください。

なお、本鼎談は「答え」や「正解」を結論づけるものではなく、3人の経験や考え方、仮説からライトノベルに秘められた「可能性」を模索する内容となっています。

【参加者紹介】


・宇野朴人

第16回電撃小説大賞にて拾い上げから作家デビュー。代表作には『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』などがあり、同作は2016年にTVアニメ化も行われた。2018年9月に新シリーズ『七つの魔剣が支配する』がスタート。「ラノベ好き書店員大賞2019」文庫部門にて1位となり、「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社刊)においても文庫部門【総合】【新作】のダブル1位に輝いた。『七つの魔剣が支配する』は2019年5月時点でシリーズ累計10万部を突破したほか、2019年11月時点ではシリーズ累計25万部を突破している。


・二丸修一

第17回電撃小説大賞にて拾い上げから作家デビュー。2019年6月に新シリーズ『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』がスタート。約4年ぶりの書籍刊行となった本作は「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社刊)において文庫部門【新作】2位に選出された。『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は2019年11月時点でシリーズ累計10万部を突破したほか、2019年12月時点ではシリーズ累計15万部を突破している。


・三河ごーすと

第18回電撃小説大賞にて「銀賞」を受賞して作家デビュー。代表作には『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?』などがあり、作家鼎談には2回目の登場となる。2019年4月に新シリーズ『友達の妹が俺にだけウザい』がスタート。「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社刊)において文庫部門【新作】7位に選出された。『友達の妹が俺にだけウザい』は2019年11月時点でシリーズ累計10万部を突破したほか、2020年1月時点ではシリーズ累計20万部を突破している。


――本日は宇野朴人先生、二丸修一先生、三河ごーすと先生にお集まりいただきました。お忙しい中、かつ今年一番の寒さ(12月の収録日時点)の中、ありがとうございます。

二丸:二丸修一です。よろしくお願いします。

宇野:二丸さんに呼ばれてきました。宇野朴人です。

三河:二丸さんに呼ばれてきました。三河ごーすとです。

二丸:僕が今回はお二人に声をかけさせてもらいました(笑)。

――御三方には各々でもインタビューをさせていただいていて、作品のお話はもちろん、創作論も大変面白くお話を聞かせていただいておりました。今回は「なぜ我々は10万部超えの作品を生み出せたのか」をひとつテーマとしながら、ゆる~くお話をうかがえればと思います。

【「このライトノベルがすごい!2020」の結果を振り返る】

――まずはみなさんが文庫部門【新作】でトップ10入りを果たした「このライトノベルがすごい!2020」の感想をお聞きできればと思います。

宇野:正直な話、1位をいただけてホッとした反面、2位以下のラブコメ率の高さには恐怖を覚えますよ。ラブコメ作品内での票分散もあって勝てたのかなという感じがしないでもないです。

三河:確かに今年(2019年)はラブコメで当たった新作が多かったですよね。『友達の妹が俺にだけウザい』や二丸さんの『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』、『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』が売上面でも大ヒット。このラノでもラブコメの存在感は大きかったように思います。どのラブコメ作品も大好きっていう読者が何を1位にするのか悩んだ結果、分散した可能性もゼロではなさそう。『七つの魔剣が支配する』のような重厚なファンタジーで、かつ書き下ろしの新作で伸びた作品は少なかったので、ファンタジーが好きな人は「『ななつま』に投票しよう」って一極集中したのかもしれない。まあ、どんな理屈を並べたところで『ななつま』が1位という事実は変わりませんからね(笑)。

二丸三河:よっ!日本一の作家!

宇野:煽り文句に使わないでくれる!?

一同:――(笑)。

二丸:あとは電撃が2年連続で文庫部門ダブル1位を獲ったのも凄いなって。

宇野:去年の『錆喰いビスコ』に続いてそうでしたね。

三河:これって電撃発のファンタジーが強いってことなんですかね。じゃあ次は電撃でファンタジーを書こうかな(笑)。

二丸:そんなこと言って、ここ使われちゃいますよ(笑)。

三河:「(笑)付き」でお願いします!

二丸:僕は【新作】2位をいただいて、ただただ驚きでしたね。デビュー作の『ギフテッド』を当時、勝手に「このラノ」向きだと信じ込んでいたんですけど、結果かすりもしなかった。その経験から「このラノ」にはあまり縁がないんだろうなって思い込んでました(笑)。せいぜい20位以内に入っていればラッキーだなって。評価をいただけた要因については、僕自身まだ分析しきれていないですけど、とにかく驚いたという印象が強かったです。

三河:私も「このラノ」とはあんまり縁がないと勝手に思い込んでいた人間の一人で、【新作】7位に選ばれ、驚きました。個人的に分析してた「このラノ」に選ばれやすい作品の特徴みたいなものもあったんですけど、今年はその分析に当てはまらないものも多数上位に入ってきていましたので、ホントよくわかんらない(笑)。

二丸:『おさまけ』は1巻で物語をまとめきれたのが良かったのかもしれません。1巻打ち切りの可能性も当然頭の中にはあったので、物語をきちんと締めたんですよ。そこが評価しやすかったのかもしれない。

三河:確かに電撃文庫が去年から続いて今年も強いわけで、1冊で十二分に話が完結している読み応えある作品が多いからこそ電撃文庫が強いというのもあるのかも。もちろん他のレーベルにも読み応えのある作品はたくさんあるんですけど、そちらはもう少しだけシリーズを前提としている感じの作品が多いというか。あ、でも『ななつま』は最初から長期シリーズ想定か(笑)。

宇野:――(笑)。

三河:結局のところ、どうやったら「このラノ」上位って獲れるかわからん、ってところに戻りますね。

宇野:自分は「このラノ」のランキングには載れている方だと思うけど、『ななつま』を推している層と『おさまけ』や『いもウザ』を推している層が被っているかどうかもわからないですよ(笑)。

二丸:それは違うんじゃないかなあ。

三河:そこはたぶん全然違う層だよねえ。

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