今回の「ラノベの素」は、第2回このラノ大賞優秀賞を受賞した藍上ゆう先生です。
藍上先生はこの7月に、このラノ文庫より『創世の大工衆(デミウルゴス)』、一迅社文庫から『最近の妹ブームはどうやら俺のおかげらしいですよ』、「Key」などで知られるゲームブランドを展開するビジュアルアーツのVA文庫から『君と歩んで恋色ミッション』の3作品を同時刊行されています。同月3作品刊行の裏話などいろいろお聞きしました!
藍上ゆう プロフィール
第2回『このライトノベルがすごい!』大賞で優秀賞を受賞してデビュー。
音楽好きな埼玉県人。執筆中には歌が欠かせない存在となっている。夢中になりすぎて、原稿に集中できないのが難点。筆よりもマイクを握る方が好きなのは秘密。願いが叶うなら、透き通るような歌声がほしい。あと、正確な音感も。ないものねだりをしても仕方ないので、速弾きとツーバスをカンフル剤に今日も筆を走らせます。
――本日はよろしくお願いします。まずは藍上先生の自己紹介をお願いします。
よろしくお願いいたします。藍上ゆうと申します。
第二回『このライトノベルがすごい!』大賞優秀賞を受賞してデビューに至りました。
最近のマイブームはバッティングセンターとヒトカラに通うことです。完全にぼっちですね。ぼっちマスターと呼んで下さい。べ、別に泣いてなんかないんだからねっ!?
――(笑)。まずは『創世の大工衆(デミウルゴス)』『最近の妹ブームはどうやら俺のおかげらしいですよ』『君と歩んで恋色ミッション』の3冊同月発売おめでとうございます。すごいですね!
ありがとうございます。ただ、ぼくは書いただけですので大したことはしていません。それよりもこの企画を通してくれた編集部や刊行まで何度もやり取りをして下さった担当さんたちの方がすごいと思います。
――この調子で毎月3冊ずつ刊行していくと年に36冊も!(笑)
ぜひとも挑戦したいです! そのためには毎月3冊出すことを望まれる作家にならなくてはなりませんね。
――3冊同月発売ということで執筆はかなり大変だったと思いますがいかがでしたか? 執筆も同時だったのですか?
めちゃくちゃ大変でした(笑) 同時に、自分の限界値を知ることができたので、いい経験になったと思います。今回の経験を次に活かしていき、作品を出すごとに成長していければと考えています。執筆の進行としましては、年明けから基本的に平行して進めていたと思います。毎週締め切りがあるような状況が何ヶ月も続きましたね。
――では発売日順にお聞きします。まずは7月10日にこのラノ文庫より発売された『創世の大工衆(デミウルゴス)』ですが、どんな物語か教えていただけますか。
ざっくり言えば、ファンタジー世界の大工にスポットを当てた作品になっています。ファンタジーと言っても剣と魔法の、ドラゴンや魔王が出てくるような世界観ではなく、オリジナリティの強いものになっているので、そのあたりも楽しんでいただけたらと思っております。
このライトノベルがすごい!文庫
創世の大工衆(デミウルゴス)
定価680円(税込)発売中
著者:藍上ゆう
イラストレーター:ぴょん吉
あらすじ
デミウルゴス―かつて武力ではなく圧倒的な建築技術で戦乱から民を救った伝説の大工。時は流れ、伝説に憧れながら亜人の国で奴隷工として暮らす少年・カナトの前に、一人の少女・シアが現れる。高度な建築技術を持ちながら、性格に超難アリの彼女こそデミウルゴスを継ぐ者だった。そんな二人の元に、この国の女王・シャロンからある建築の依頼が舞い込むのだが…。シアとカナト、二人が出会う時、新たな伝説の幕が開く。第2回『このラノ』大賞優秀賞作家が贈る新感覚・建築ファンタジー。
――著者プロフィールにもありますが、よくこの企画が通りましたね。もちろんとても面白かったですけど!
ありがとうございます。もともと編集部の反応はよかったんですよ。ファンタジー世界の大工の話っていうのが、なかなか想像つかないので読みたいと思わせる要因になったのだと思います。自分もコンセプトは面白いと考えていたのですが、頭の中でイメージを膨らませていくうちに壮大なお話になってしまい、このラノ文庫でやるには厳しいなと感じていました。どちらかと言うと、ぼくの方が初めは気乗りしてなかったかもしれません(笑)
――(笑)気乗りしてなかったんですか。ところでこの作品のアイデアはどんなところから得られたんですか?
まず、コメディは書けないなってところから始まりました(笑)。萌えとかエロとか無理して書かないようにしようと。そこから何を書きたいのかなって考えた時に、もともと好きだったファンタジーがいいのではと思い、ファンタジーとのギャップが大きい題材をチョイスしようとしました。その方が企画を通しやすいだろうと思った結果、大工というのを思いつきましたね。なぜ大工なのかと訊かれれば……なんとなく(笑)
――なんとなくですか(笑)。藍上先生の一番のお気に入りキャラは誰ですか?
難しい質問ですね。うーん……。
悩んだ挙句、ヴィトール・ウィウスを挙げたいと思います。このキャラは作品に出てくる伝説の棟梁でして、主人公の憧れの存在でヒロインの祖父でもあります。本編中には出てこないのですが、頭の中で考えているうちに愛着がわきました。正直、本編よりも伝説の大工たちが存在した百年前の物語の方が面白かったりします(笑)
――それはスピンオフが楽しみですね。執筆で一番苦労したのはどんなところですか?
たくさんあるのですが、一番は資料が見つからなかったことでしょうか。専門知識を扱うような作品なので、どうしても資料は必須なのですが「これだ!」と思うようなものが見つかりませんでしたね。建物や構造に関する資料は多いのに、肝心のつくり方はないんですよ。あとは、時間。こんな面倒な作品を過密スケジュールの中でやらなきゃよかったって何度も後悔しました(笑)
インタビューはまだまだ続きます!