【ラノベの車窓から】第17回 『魔女の絶対道徳』

とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第17回です。気づけばもう冬、師走です。忙しい時期でも読みたいラノベ! そんな今回はファミ通文庫より、私が個人的にイチオシな作家である森田季節先生の作品を紹介いたしますよ~。

さて、第17回のオススメとして取り上げるライトノベルは「魔女の絶対道徳」です。本作は最近様々なジャンルで活躍されている森田先生のファミ通文庫での新作になります。咒師(のろんじ)という名の和製魔法使い。そんな少年のある街を舞台にした、少し変わった日常を描いた作品なのです。

魔女の絶対道徳
著:森田季節 イラスト:NOCO
出版社:エンターブレイン

ふと、その物語独特の単語、それも結構難しい字だったりすると、何度も読み方を思い出すために、振り仮名を探すことがよくあります。本作における「咒師」なんかもそうで、途中で読み方を忘れて何度も前のページから振り仮名を探してましたね。一見、読者にやさしくない難しい字(読み)の使用ですが、そんな反面、その単語を覚えた読者には忘れられない単語として、刷り込みを行うことが可能だとも考ています。きっと覚えのある人も多いはず。

和製の魔法使い「咒師」。久多良市で起きている連続殺人事件の犯人を追っている中、犯人と思しき連中に捕まってしまった主人公水主頼斗は、そこで一人の少女愛宕輪月と出会います。一風変わったその少女に翻弄されながらも窮地を脱する頼斗は、輪月と共に行動することとなります。

ちょっと、いやかなり不純な「天狗」の輪月と共に、久多良市の事件解決にやはり翻弄されっぱなしのまま挑む頼斗。異形との境界にあるこの街で起こる事件を解決しなければ、命を落とすことになる咒師としての運命を抱えたまま、古くからこの街を異形として支配している千賀矢の家へと辿り着きます。ウブすぎる「吸血鬼」の血を引く知理、そして輪月は互いをそれぞれ今回の連続殺人事件の犯人であると指摘しながら、頼斗と共に本当の犯人を探すことになるのですが、果たして……。

本作は、束縛を嫌う主人公が二人の少女を中心に、雁字搦めに束縛されてしまうという、M気質にはたまらない(?)設定となっていたりと、とにかく不純な輪月を中心とした物語と言っても差し支えはないでしょう(笑) 常に横やりを入れたくて仕方のない少女との会話もまた、非常に楽しめる要素となっており、ちょっと変わった青春と怪奇の入り混じった作品に仕上げられています。

かなり緊迫した状況描写の中に、似合わぬ発言を繰り返す少女たち。そんな物語の雰囲気と登場するキャラクターたちとのギャップが非常に面白く、読んでいて飽きない作品だと感じます。そして、書くべきところはきちんと書かれている、森田先生らしい作品だとも言えるのではないでしょうか。ギャグがしたいのか、それともシリアスでありたいのか、それぞれの雰囲気を個々に生かした素晴らしい作品なので、ぜひ読んでみてはいかがでしょう。

【記事:らお】

URL:「とある僕等の小説目録(ライトノベル)」

(C) エンターブレイン 森田季節/NOCO

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