【レポート】話題は電子書籍からWEB発小説まで。ラノベ読みのイベント『第3回ラノベ読み超会議』

電子書籍やWEB発小説をはじめとして、ライトノベルを取り巻く環境はここ数年で変わりつつある。市場や製作サイドもさることながら、その影響がエンドユーザーであるライトノベル読者に対しても及んでいることは語るまでもない。そんなライトノベル読者達が集まったイベント『第3回ラノベ読み超会議』が2015年10月17日(土)に東京・晴海で開催された。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
主催者イチオシのラノベ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

ラノオン編集部も取材半分、趣味半分を公言してイベントに参加をしてきた。参加会場にはラノベ好きはもちろん、ライトノベルのブロガーや現役書店員、現役ライトノベル作家など多様な顔ぶれで、20名以上の参加者が集まり、大きな賑わいをみせていた。

ライトノベルを様々な視点から見続けている参加者たちの間で『第3回ラノベ読み超会議』開催前に行われた事前アンケートをもとに、様々な意見が飛び交ったのでアンケート結果とあわせて一部を紹介する。

アンケート「あなたのラノベ歴は何年ですか」

【10年以上】が7割近い回答を占め、【3年未満】の回答が0という結果に対して、会場からは「高齢化が本当にひどい」という声があがった。アンケート自体が高校生などの若い世代に届いていないという声もあって、若い世代の声を拾っていくための術が必要、という話題で大いに盛り上がった。今回のイベント参加者も20代~30代が大半を占め、10代は1名だけであったこともある意味如実に物語っていたのかもしれない。

アンケート「月平均何冊買うか」

【2~10冊】が約4割の回答となり、【10~20冊】の回答と合わせると7割近い数字となった。また【50冊以上】も2名の回答者がいた一方、文庫サイズのライトノベルだけでも年間1,400冊にも上る数が刊行されており、「50冊×12ヶ月=600冊」でも半分に到達しない驚きの結果に。また、ちょうど本イベント前に話題となっていた「趣味に使う金額は25,000円」なども引き合いに、それでもライトノベルは趣味として安い部類に入るだろうといった声が多かった。

アンケート「月平均何冊読みますか」

【2~10冊】が5割を超える回答であった。前項で10~20冊を購入すると回答した方々も、半数近くが購入数に対して読破数が追いついていない状況も見え隠れする結果に。月々5冊ずつ読み切れない本が積まれていくと年間60冊が積まれることとなり、2年も経過してしまった日には、そのまま埋もれてしまうことがほとんどのとのこと。会場内には「仮に読めなかったとしても買うことで貢献はできている」と非常に前向きな意見もありつつ、「本なのでちゃんと読みましょう」という結論に行き着き会場を湧かせた。また年齢を積み重ねると読書量も体力的に減少する傾向が強いという意見もあり、やはり若いうちにライトノベルにどんどん触れて行ってほしいという想いが強く伝わってきた。

アンケート「小説家になろうなどの小説系SNSで追いかけている作品の数はどれくらいか」

【ネット小説を読んでいない】という回答が約7割を占めるなど、会場からはその意外な結果にどよめきがあがる。ライトノベル読みとしては、購入したライトノベルをまず読むことへの優先順位が高いことも影響していることが考えられた。一方で【追いかけているシリーズが1本】という回答はなく、WEB小説を読んでいる人は2シリーズ以上を抱える傾向が強いという状況も見える結果となった。また、WEB小説の更新頻度についても話題にあがり、毎日更新している投稿者もかなりいるということだった。その反面、毎日~3日程度の更新頻度は、読者側からすると早すぎるという意見も多かった。週刊連載の漫画を読むような感覚で1週間程度での更新がちょうど良いのではないかという意見に落ち着いたものの、WEB小説を取り巻く「ランキング制度」がその状況を許さないことも明白ではあった。

続いて、WEB小説が書籍化した場合には読むのかという話題では、「ソードアート・オンライン」や「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」なども引き合いに、知らずに読んでいる場合も多いだろうという見方が大半であった。書籍化に対してはWEB小説を読まない層にとって触れるいい機会であるという意見も。今後はWEB発小説のアニメ化がより顕著に行われるようになれば、状況も少しずつ変わってくるのではないかという見方が多かった。

また、WEB発小説を買う層は30~40代が多く、過去に「スレイヤーズ」などのファンタジー作品を読んでいた人たちが戻ってきている可能性も示された。ここ10年くらいのライトノベルジャンルでは「学園もの」が隆盛し、それをきっかけに離れてしまった人たちも少なくはないと考えられ、WEB発に多い異世界ファンタジーをきっかけに回帰してきているという見方だ。そういった世代を狙っているのであれば、文庫本よりも単価の高い単行本戦略は有効であるという意見も多かった。だが、やはり中高生の単行本の購入についてはハードルが高すぎるという意見も大半を占める形となった。

アンケート「電子書籍と通常の紙書籍で読む小説の割合はどれくらいですか」

【紙媒体のみ】が約3割で、7割近いユーザーが多かれ少なかれ電子書籍に触れたことがあるという結果だった。電子書籍のメリットとしては、片手で読める、寝転がって読める、電車の中でも読みやすい、軽い、旅行時に本をたくさん持って行かなくていい、といった点があげられた。一方でミステリーや戦記ものなど伏線がたくさんある場合や、作中に地図が記載されている場合など、気軽に前のページに戻れないことが大きなストレス要因としてあげられた。また、非常に分厚い作品は電子書籍が適しているのではないか、という意見もある中で、やはりネックになるのは前のページへの気軽な「戻り」の問題にぶつかることに。付箋機能や検索機能の更なる拡充など、細かく優しい機能がもっと追加されることへの期待は高いようだ。電子書籍における新たな利便性の開拓が望まれる中、実際に書籍をめくるスピード感や戻ることへのお手軽さの克服という電子書籍に対する大きな課題も見え隠れする形となった。中にはVR環境に蔵書庫を構築できたら面白いのではないかという意見もあった。

また、長くシリーズが続いている作品や、昔持っていた作品を電子書籍として持っておくことはアリという意見も多かった。随所で行われているセールの力はやはり大きいようで、ついついまとめて買ってしまうということも。また、電子書籍を他者へプレゼントする機能があれば、お気に入りの作品を気軽に勧めることや布教することもできると、ほぼ満場一致の意見も飛び出した。ぜひ電子書籍を取り扱っている企業には頑張ってもらいたい。

アンケート「レーベルの新人賞作品をどれだけ買っていますか」

【気になったものを買う】が約8割の回答となった。やはり普通の新作よりは購入のハードルは低く、受賞作品の購入に対しては試金石や宝探しの感覚で購入するパターンは多いようだ。2015年の受賞作は電撃文庫を筆頭に豊作だったという意見も多かった。また、銀賞や特別賞を受賞した作品が意外に面白い場合が多いなど、新しい物語と出会うための理由としてはまだまだ機能しているようだ。一方で、受賞作品の第2巻購入については厳しい意見が並んだ。やはり多かったのは、第2巻では新人賞の看板は下ろされ、現在持っている他シリーズのラインナップがその時点で競合対象となり得るからだ。その結果、第2巻の購入にまで踏み切られないことも多いとか。受賞作品を購入する考え方と、シリーズとなった2巻を購入する考え方には、存外に大きな隔たりがあるようだった。

などなど、ライトノベルに対する様々な想いが超会議全体を通して語られた。若い人達をはじめとする新たな読者層の拡充、それはWEB発小説からなのか、電子書籍からなのか、紙の書籍からなのか、それとも別の何かなのか。ライトノベルがもっと盛り上げていくためには、まだまだ考えなければならないことは多そうだ。