本日は、スーパーダッシュ文庫から10月25日に第3巻が発売になった「とわいすあっぷっ!」の著者・阿羅本景先生にお話を伺います。
ラノオン編集長のツイートに阿羅本先生が反応してくださり「ではインタビューお願いします」と依頼したところ、快く引き受けて頂きました。
作品のことから、プライベートなことまで、充実のロングインタビューをお送りいたします。
【あらすじ】
嫁は勇者で愛人は魔王!?
主人公・悟に秘められた力を巡って、相容れぬ二人が恋と刃の火花を散らすラブバトル!
一族の無用息子と蔑まれていた明石悟に突如、結婚の話が持ち込まれた。相手は悪名高い凶暴女のサワノリョーコ。だが、目の前に現れたのは類人猿のメスではなく、可憐でクールな少女であった!
さらに悟の前に金髪ツインテールの少女・アリスが現れる。しかし彼女はとんでもない秘密を抱えており、悟の身体だけが目的だと笑顔でのたまうのであった――。
悟に秘められた力を巡って、相容れぬ二人が恋と刃の火花を散らすラブバトル開始!
こちらは小冊子「とわいすあっぷっ!」テイスティンググラスエディション。
書店で見れなかった人は是非読んでみよう。「とわいすあっぷっ!」のおもしろさがよく分かるぞ!
――ツイッターで生まれた縁ということで、迂闊な絡みをどうもありがとうございました。
いえいえ、私の方も『とわいすあっぷっ!』3巻が出た後でちょっとヒマしていたところでしたので、お役に立てるのであれば有り難く思います。
こっちもツイートに横から口出ししたのに、構って頂いて感謝です。
――ラノベニュースオンラインはご存知でしたか?
サイトオープンのニュースは存じ上げており、拝見しておりました。
ライトノベル関係の方のツイートのリンクから記事エントリを拝見したり、『ジャケットで買え』のコーナーを見たりとかしておりました。
で、自分の作品は載ってないなぁ、とか……まぁ……精進がまだ足りませんので今後はばばーんと載りたいですね。
作品や作家にとっては読者の方に届く情報発信は色々限界がありまして、自分でもちょこちょこはやっているのですが、なかなか皆さん見てもらえているのかどうか自信がない物で、専門のサイトさんで情報の発信を頂けるのはありがたいことでございます。
リンク: 『とわいすあっぷっ!』information moongazer別館
――編集長が「じゃあインタビューを是非」と言い出した時はどう思われましたか?
望むところだ! かかってこい! 的な、腕まくりするような心地でしたね。
人とお話しするのは嫌いではありませんし、聞くこと聞かれること問うことと答えることに常に学びがありますので、そんな貴重な機会で嬉しい限りであります。
――自己紹介をお願いします。
阿羅本景と申します。現在は作家・シナリオライターをやっております。
大学卒業してしばらくは会社員をやっていたのですが、同時にTYPE-MOON系のSSサイトを運営して自らも執筆活動をしておりまして、そのまま止むに止まれぬ文筆業への憧れとデビューの貴重な機会を頂いたので、仕事を辞めてライターとしてペンで食って行く道を(無謀にも)選びました。
ゲームのシナリオ関係の仕事がメインだったのですが、2011年2月に集英社スーパーダッシュ文庫より『とわいすあっぷっ!』でライトノベルにデビューさせて頂くことになりました。
趣味は自転車(ロードバイク)・カメラ・サバイバルゲーム。好きな食べ物は羊肉とベルギービールとモルトウイスキー。
人生ヨメはいらないから養女とメイドさんが欲しいよね、を標語にして生きております。
サバゲーとロードバイクが趣味だという阿羅本さん。
第3巻発売祈願のために250km走って鹿島神宮まで行ったそうです。
――毎日の習慣や癖など一風変わった自分のアピールポイントを教えてください。
もともと会社員時代には始業前の喫茶店に籠もって物を書いていた習慣から、執筆は未だには朝方メインなところでしょうか?
12時までに書けなければ、その日はもう終了的なタイムスケジュールで……夜型が多い作家さんの中では結構珍しがられたりもします。
もっともそれは、昼間に時間を空けてロードバイクに乗りたいから、という生活習慣ゆえであったりもします。
オフィスに詰めなくて良いということを最大限に生かそうと……こんな暢気な事をやってると絶対どこかで首が締まるんですけどね、でも身体を動かさないとさくっと心も身体も病んでしまうタイプなので仕方ない、というか。
――小さい頃はどんな子供でしたか。
あー……こまっしゃくれた可愛くない子供だったと思います。図鑑読むことが趣味な物知り小僧という感じで。あと、インドア派でしたねぇ……その頃は運動神経が無い子でしたので。
親の仕事の都合で転校を3回ほどやったために、変に環境に対する順応性は育ったのかなぁ……という記憶がかすかに。
小1・2の頃はいじめられっ子だったんですが、転校を経るに連れ奇妙な図太さが出てきてクラスルームカーストから半分外にいる感じで過ごしていました。あとその時の同級生に比べれば、本の虫だったとも思います。
――中高生の頃はどんな青春を過ごして、どんな将来の夢をもっていたか教えてください。
灰色でした! 灰色の青春でしたよ!
その頃リア充とかいう言葉は無かったのですが、あったらリア充爆発しろとか念じる感じの文芸部員でした。あと、その頃は中途半端に頭の良い子扱いされていたりもしたので……なんか、ぱっとしない学生生活でした。
でもそれよりもPCを弄ったり本を読んだり小説とも言えないような文章を原稿用紙に書きためたり、ワープロで打っていったりするのが楽しかったので……つまり、ナチュラルに損をする人生のルートを選んだ感じです。今にして思えば後悔ではありますが。
――影響を受けた作家、書籍があれば教えてください。
『指輪物語(J・R・R・トールキン)』は中学時代に読んできっちり影響を受けたものです。ああいうエピックファンタジーに対する憧れはやはり物書きの姿勢の根本に据えられたものかと思います。
ライトノベル、というかジュブナイルノベルとかなり境界が曖昧だった頃に読んでいたりしたので、その中でもこれは!というと『聖刻1092』シリーズ(朝日ソノラマ、千葉暁)の第一期のロマンに満ちた作品世界に対する憧れがあります。
もちろんラノベでファンタジーというと『ロードス島戦記』も通ったクチでございますのことです。そこから何故か塩野七生とかにも読書方針がにょろにょろ伸びたりもしたのです、その流れが佐藤賢一愛好に繋がっていったりとか。あと、読者-作中キャラクター-作者の距離感というのは氷室冴子や新井素子の作品などに学ぶところが多かったです。
絶対的に、この人の影響を受けなかったと言わせないのはTYPE―MOONの奈須きのこ先生です。
『月姫』から入れ込んだお陰で人生まで方向転換してしまいましたが、今時点でのその人生に後悔はしようはずもありません。
今は抜けてるみたいですが文体や語彙の影響はかなりありました。
――次ページでは、作家デビューのきっかけや、デビュー後のエピソードなどについてお聞きします。