独占インタビュー「ラノベの素」 漂月先生『人狼への転生、魔王の副官』 ※プレゼント企画あり

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は11月15日にアース・スターノベルより『人狼への転生、魔王の副官』第5巻が発売となる漂月先生です。本作は異色とも言えるコミカライズの2本同時進行で大きな注目を集めているほか、オーディオドラマも製作・公開されています。続々とメディアミックスが展開される本作の魅力と、最新第5巻のストーリー展開についてお聞きしました。

人狼への転生、魔王の副官5

魔王軍、北の帝国(ロルムンド)へ進出!!

【あらすじ】

俺(ヴァイト)たちは、ミラルディア北部を手中に治めたエレオラを敗り、ついに南北を合併させた。今後ミラルディアは『ミラルディア十七都市連邦』として再出発する。つまり、元老院だけが消えて元の鞘というわけだ。だが、それだけではない。俺たちの手の中には北の帝国(ロルムンド)の正当な帝位継承権を持った皇女エレオラがいる。……これを使わない手はないだろう? 物語の舞台は帝国ロルムンドへ! 魔王軍が狙うは、エレオラによる帝位簒奪……!?

――本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

――それでは早速ですが、自己紹介と好きなものや苦手なものなど教えてください。

関西出身で作家の漂月と申します。日本史や世界史をはじめ詳しいわけではないのですが、歴史が大好きでして、歴史関連の文章を読み始めると止まらなくなります。ただ、虐殺や処刑のような血なまぐさいお話が出てくると竦んでしまうタイプでして、そういったものが苦手です。あとは読者の方にがっかりされることも苦手というか、感想を見て傷つくこともしばしばあります(笑)。

――歴史がお好きとのことですが、どういった点に魅力を感じられているんですか。

歴史を振り返ると、それぞれの時代でいろんな人達が、常に最善だという想いのもと、考えたり動いたりしているはずなのに、悲劇を招いてしまったりするじゃないですか。そういった積み重ねを繰り返して、人類が発展していく姿を見ると、凄いなぁと感じますね。

――歴史以外では、何かハマっているものなどはありますか。

WEB連載をしているのですが、定期的な更新をすることが前提なので最近はひたすら執筆ばかりです(笑)。ただ、小説投稿サイトで書き始める前は趣味でも創作をしていまして、SCPという怪奇創作をしていました。非営利の創作集団なのですが、レポートの形式でホラーを綴るんです。小説形式ではありませんが、架空のホラー要素から都市伝説など様々なものをテーマにしたりして、科学的に分析した体で報告書を書くんですよ。ひとつの組織があって、管理をしているという設定なんです。このレポートを通して、組織のシステムの考え方であったり、演出の仕方であったり、小説を書く上でとても参考になった部分は今にして思うと多かったですね。

――ありがとうございます。それでは『人狼への転生、魔王の副官』について触れていきたいと思います。まず本作はどのような作品なのでしょうか。

主人公の人狼・ヴァイトは転生した人物なのですが、中身は特別な知識があるわけではない普通のお兄さんです。そんな彼は転生によって人狼としての力を手にするのですが、前世から引き継いでいる現代人が持つ当たり前の常識や価値観をもって、転生した世界を少しずつ変えていきます。作品そのものは結構陰惨というか、過酷な設定になっているんですけど、我々現代人が持っている価値観で世界が変わっていく様が、この作品の見どころだと思ってます。

――主人公のヴァイトは転生者ですが、本作は前世の部分にはほとんど踏み込んだ描写はないですよね。

これには理由がありまして、ヴァイトをなるべく読者のみなさんの最大公約数的な存在にしたいという想いがあります。実のところ、ヴァイト本人の前世における明確な設定は存在しています。ただ、敢えて出さないようにしているんです。普通のどこにでもいるようなお兄さんでいてほしいので。背景を明確にすればするほど、読者からは遠い存在になってしまうと考えていますので。読者がそれぞれ自分にもっとも近い形のヴァイトを想像して読んでもらうことを意識しています。

――本作はWEBでの連載作品ですが、書き始めたきっかけについて教えてください。

小説投稿サイト「小説家になろう」にて本作は執筆しているのですが、面白い作品が多く書籍も好評であるというお話を耳にしまして、そんなに面白い作品が多いのかなと思い興味を持ったのが発端でした。サイトの名前自体は知っていたんですけど、面白い作品がたくさんあることを知らなくて。実際にいくつか作品を読んでみると面白い作品がとても多くて驚きました。そうして私自身、練習のつもりで面白い作品の手法を自分なりに勉強をして、投稿をはじめたのがきっかけですね。

――面白い作品が多いと知って、どれくらい作品を読んだのでしょうか。

累計ランキングの上位の作品は全部というわけではないですが、読みました。描写の仕方やテンポを勉強する意味もあったので、最終的に全話を読んだ作品はそう多くはないかもしれません。それでも作品を読んで、勉強して『人狼への転生、魔王の副官』は何が面白いのかをしっかり考えて、様々な要素を溶かし込んでいます。あんまり理解してもらえないのですが、自分の中で『人狼への転生、魔王の副官』は、悪役令嬢モノの作品なんですよ(笑)。

――WEB小説には人外転生モノの作品も多いですが、人狼を主人公にしようと決めたきっかけはあったのでしょうか。

仰るとおり、WEB小説をいくつか読んでいくと人外に転生している作品も多くて。人外には憧れというか、自分も好きだったんで書いてみようと思いました。ただ、ずっと人外のままのキャラクターだと話が動かしづらいとも考え、人間と人外を行き来できる、または人間に近いキャラクターがいいと思っていました。なので、初期の主人公候補としては吸血鬼、または人狼が候補になっていて、決め手になったのは自分自身が人狼ゲームにだいぶハマりこんだことだったりします(笑)。昼間は人間に紛れて大人しいんですけど、変身すると暴力の化身になる。変身ヒーローのような爽快感もあっていいなと。ギャップも魅力的だったので、最終的には自分の好みも鑑みて人狼になりましたね。人外転生系の作品は読みたいのに読めていない作品も多いので、執筆の合間を縫いながら、どこかのタイミングで必ず読もうと思ってます。

ヴァイト

※人狼のヴァイト

――そんなヴァイトも含めて、漂月先生のお気に入りのキャラクターを教えてください。

そうですね、もちろん全員好きなんですけども、一番はやっぱり主人公のヴァイトでしょうか(笑)。ヴァイトは自身の理想の人物像として書いている節もあって、自分もこれくらい無欲で誠実でありたいです。他にはイラストレーターの西E田さんのイラストを見て、フィルニールがより好きになりました。自分だけでなく西E田さんもフィルニールが好きみたいです(笑)。

――なるほど。となると女性キャラクターではフィルニールが一番ということでしょうか。

うーん、書いていて可愛いなと思うのはフィルニールなんですけども……。ご存知の通りメインヒロインは1巻の表紙にもなっているアイリアなんですが、ヒロインの重圧と言いますか、ストーリーの根幹に関わるキャラクターでもあるので、あんまり勝手に動かしてあげることができないという葛藤もあるんです。なので、メインではないサブの方が書きやすくて楽しくはあるんです。自由に動いてもらってもストーリーの根幹に問題が起こりにくいので。なので、一概にフィルニールが一番というわけでもなかったり。難しいですね(笑)。

フィルニールたち

※フィルニール(左)/アイリア(中央)/シャティナ(右)

――著者ならではの葛藤ですね。ちなみに本作を読んで感じたのですが、人間も魔族も隔てなく、性格に難や癖の強いキャラクターが多くないですか?(笑)

性格に難ですか(笑)。まず前提なのですが、ヴァイトに近いキャラクターほど、一緒にいて安心できる存在にしようと心がけています。主人公に近いということは、読者にも近いキャラクターたちですしね。一緒にいて疲れるようなキャラクターにはしないようにしようと。ただ、仰られるように、いずれのキャラクターも秀でている点があるからこその、欠点を必ず設けるようにしているんです。それがキャラクターの性格に根付く癖になっているのかもしれません。

――そういった性格構成も相まって、アイリアからはヒロインらしさがあまり見受けられない気もします。

先ほどお話した通り、アイリアはストーリーの根幹に近いキャラクターで自由に動かせないことがそう見える理由のひとつです。そしてもうひとつの理由は、元々『人狼への転生、魔王の副官』は恋愛をメインに据えるつもりがない作品でして、ヴァイトの生き様であったり出世であったり、世界が変わっていく様であったりがメインなんですよね。なので、ヴァイトが幸せになるための要素のひとつとして恋愛という要素はありますが、あくまでたくさんあるうちのひとつなんです。ヴァイト自身が恋愛に積極的なタイプではないですし、アイリアも自制心が強いので、関係が進まないというのもあります。ただ、ヴァイトの結婚相手の候補ではあります。

――なるほど、ありがとうございます。それでは続いてコミカライズについてお聞きします。まず1本目にあたる寺田イサザ先生の作品についてお聞かせください。

まず、コミカライズをする、というお話を聞いた時は、まさかコミカライズしてもらえるとは思っていなかったので、びっくりしましたがとても嬉しかったです。『人狼への転生、魔王の副官』の世界は、過酷な世界設定の中で、ヴァイトのマイペースさを表に出しながら「そんなに過酷じゃないよ」とアピールしながら執筆しているんですが、寺田イサザ先生の作品ではより過酷に、よりシリアスに描いていただいています。とても緻密に描きこまれる方で、非常に丁寧に描写をしていただいています。世界観も忠実に再現していただいたりと、すごいなと思っていつも見ております(笑)。

『人狼への転生、魔王の副官』※画像クリックで連載ページへ

人狼への転生_寺田イサザ

※原作:漂月 漫画:寺田イサザ デザイン原案:西E田

――コミカライズでは、漂月先生も監修を担当されているのでしょうか。

そうですね。小説でも公開していない情報などもあるので、細部の調整であったり、いただいた質問に対してお返事をしたりとお手伝いをさせていただいております。それと寺田イサザ先生には、連載しているWEBの最新話まで熱心に読んでいただいていることもあって、そのうえで様々な提案もしていただいています。なので、キャラクターが小説よりも際立っているんじゃないかな(笑)。

――続いて2作目となる瑚澄遊智先生のコミカライズのお話を聞いた時はいかがでしたか。

最初にお話を聞いた時、同時進行になるとまったく思っていなくて、1作目が終わってしまうんじゃないかと一人で非常に焦っていた記憶があります。いったい何がダメだったんだろう、と真剣に悩んでまして……。ただ、その後に同時進行ですというお話がきて、自分の焦りはなんだったんだろうかと(笑)。あとは同じストーリーラインになることに驚きました。

――私も2作目はてっきりスピンオフのような形になるのかと思っていました。

1作目の寺田イサザ先生のコミカライズは、『人狼への転生、魔王の副官』のハードな世界を描いていただいています。一方で、本作のもうひとつの魅力だと思っている、現代人の平和的な価値観が周囲を明るく幸せに変えていく姿が、2作目を担当していただいている瑚澄遊智先生によって表現していただいています。可愛らしさやユーモアさなど、作品の柔らかい部分にクローズアップしていただいていますね。

『人狼への転生、魔王の副官 はじまりの章』※画像クリックで連載ページへ

人狼への転生_瑚澄遊智

※原作:漂月・西E田 漫画:瑚澄遊智

――同じストーリーラインで、違う印象を与える試みも面白いですよね。

実のところ、小説を執筆している時に頭に浮かんでいるのは、瑚澄遊智先生のキャラクター造型に近い形をイメージしながら書いているんですよ(笑)。

――それは驚きです(笑)。小説のイラストもそうですし、私も読ませていただいた感想としては、寺田先生のコミカライズのイメージがとても強かったので。

読み手側の意見は真っ二つに割れそうですよね(笑)。書き手の考えていることと、読者の印象が違うことは何度も経験しているので。それでもやっぱり寺田先生のイメージで読まれている読者の方が多いんだろうなとは思います。その裏側で作者は可愛いキャラクター造型を思い浮かべながら書いてます(笑)。

――小説でも度々犬の魔族が出てくると思います。シリアスなシーンでも一気に緊張が弛緩する彼らの存在が、漂月先生の思い浮かべている像に近いのかもしれませんね(笑)。

そうですね(笑)。もともと世界観自体はシリアスであることは間違いない一方で、読んでいて息苦しくならないような描写も織り交ぜています。もともとヴァイトはのんびり構える性格ですし、お話にあがった犬の魔族を出してみたり、フィルニールのようなお気楽キャラクターを出してみたり(笑)。緩急のバランスを取りながら、気楽に読んでもらえるようにしています。

犬人

※各先生による個性が際立つ、人気キャラクターの犬人(いぬびと)。登場シーンは和むこと間違いなし!

――そんな本作ですが、コミカライズだけでなくPVとオーディオドラマも製作されました。収録に立ち会われたとお聞きしましたが、いかがでしたか。

収録に立ち会うのは初めてで、いろいろ新鮮でした。今回、小松未可子さんに担当をしていただいたのですが、音響監督の方と小松さんのやり取りがとにかく凄かったです。最初に録音されたものを聴いて、自分はすごいなと思うんですけど、音響監督の方から細かな指示が飛ぶんですね。そうすると、小松さんはその指示に応えながら演技を変えていくんです。そうして完成度がどんどん高くなっていく。目の当たりにして、達人の世界だなと感心して見ていました(笑)。

――オーディオドラマではヒロインのアイリアを小松未可子さんが担当されました。イメージはいかがでしたか。

もうバッチリでしたね。アイリアには優しさの中に凛とした強さがあります。小松さんの落ち着いた優しい声で、キリっとした演技をしていただいたりもして、本当キャラクターのイメージにぴったりでした。

『人狼への転生、魔王の副官』WEBオーディドラマ

『人狼への転生、魔王の副官』PV

――これはもうオーディオドラマだけじゃ物足りないんじゃないですか(笑)

ドラマCDとか作っていただけたら嬉しいですね(笑)。

――さて、そんな本作の最新刊となる第5巻がいよいよ発売です。見どころなどを教えてください。

もともと『人狼への転生、魔王の副官』は、主人公が悪役サイドで、悪をせず善を為す物語なのですが、第5巻では悪役度が増しています。帝位簒奪を狙う女王の黒幕として、そして魔王の副官として、人狼ヴァイトは北の大陸ロルムンド帝国へと乗り込みます。ただ、ヴァイトはロルムンドの人達のことも含めて、なるべく穏やかに収めようと奮闘します。そのギャップが見どころのひとつだと思っています。ロルムンドの貴族たちは、自分たちの行いが常に正しいと思って動いている人達ばかりです。そんな人達の中の誰よりも、ヴァイトが一番血の流れない形に収めようとするわけですね。そういった点が、読んでいて面白いと思ってもらえるんじゃないかなと。ヴァイトの持つ平和な価値観が、帝国の思想さえも塗り替えていくわけです。

――第5巻ではアイリアとヴァイトの手紙のシーンが印象的でした。普段はヒロインらしさがなかなか見えないアイリアのヴァイトに対する強烈なプレッシャーを感じました(笑)。

アイリアとヴァイトの手紙のシーンは書籍で加筆した箇所になります。アイリア自身もあんまり意識はしていないんじゃないでしょうか(笑)。アイリアは一途な性格ですし、一方でヴァイトは鈍くて、お互い無自覚のうちに、ヴァイトはアイリアの尻に敷かれつつあるのかもしれないですね。手紙のシーンのほかにも、WEBでは描いていなかった他のキャラクターたちの視点から見えている景色や心情なども収録しています。書籍ならではの加筆をはじめ、頑張って改稿しているので、ぜひ書籍版も読んでもらいたいです。

――これから『人狼への転生、魔王の副官』を読んでみようかなと思っている方へ一言お願いします。

『人狼への転生、魔王の副官』は、普通のお兄さんが人狼に転生し、過酷な世界の中でなるべく血が流れない方法を選択したり、時に悪戦苦闘したりしながら、立身出世していく物語です。表紙を見ると堅そうなイメージを受けるかもしれませんが、怖くないのでぜひ読んでいただければと思います。

――漂月先生のこれからの目標や野望などがあれば教えてください。

目標は本作の完結ですね。ひとつの作品として、きちんと一区切りつけたいです。投げっぱなしみたいにはしたくない。あと野望としては、もっともっと作品が広がっていて、コミカライズもどんどん続いていって……えーと……そのー……。

――遠慮なさらず! 核心部分をどうぞ!

アニメ化したら嬉しいと思います(笑)。

――ありがとうございます(笑)。完結を目標のひとつに挙げられましたが、ラストは決まっているのでしょうか。

はい、きっちり結末は決まっています。

――どんな結末になるのか楽しみですね。それでは最後にファンのみなさんに向けて一言お願いします。

作者として、コミカライズでは原作者として、みなさんの期待を裏切らないように、きちんと更新して、きちんと話を作って、きちんと物語を終わらせます。誠実に作品づくりに取り組んでまいりますので、『人狼への転生、魔王の副官』をよろしく思います。

漂月先生

――本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

<了>

物語の舞台を北の大陸へと移し、魔王の副官が更なる活躍をする第5巻が発売となる、漂月先生にお話を伺いました。2本のコミカライズ、そしてオーディオドラマとメディアミックスを大展開する本作に注目です。人狼ヴァイトが世界を変革する『人狼への転生、魔王の副官』は必読です!

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漂月先生のサイン入り原作ノベル第1巻を、抽選で3名の方にプレゼントいたします。

人狼への転生、魔王の副官

応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2016年11月12日(土)~11月15日(火)の期間中にTwitterで本インタビュー記事をツイート、またはリツイートするだけ。応募者の中から抽選で3名様に「ラノベニュースオンラインのツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにてご連絡させていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンラインのツイッターアカウントのフォローをお願いします。

※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。

※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。

※プレゼントの発送はアース・スターノベル編集部様より実施するため、頂戴した情報はアース・スターノベル編集部様へ共有させていただきます。

 

©漂月/アース・スターエンターテイメント イラスト:西E田

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[関連サイト]

『人狼への転生、魔王の副官』スペシャルページ

アース・スターノベル公式サイト

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