独占インタビュー「ラノベの素」 ルンパルンパ先生『町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2016年9月に宝島社より『町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~』が発売となったルンパルンパ先生です。本作は小説投稿サイト「小説家になろう」にて総合四半期ランキングで1位を獲得した作品となっており、あらためて書籍化も果たした本作の魅力についてお聞きしました。

町をつくる能力!? ~異世界につくろう日本都市~

【あらすじ】

しがない派遣社員である藤原信秀は、電車の脱線事故で電車に乗っていた人たちと共に白い空間へと誘われる。そこで彼らを待ち受けていたのは、神を名乗る老人だった。老人により強制的にレア度の異なる能力を一つずつ与えられ、別の世界に転移させられることになった彼らだったが、その中で信秀が手に入れたのは、レア度が最も高い“お金と引き換えに様々なものを手に入れることのできる”【町をつくる能力】で…。町の【時代設定】は江戸時代から! 1000億円の初期資産を元手に、人口を増やし、お金を集め、信秀は快適な“現代”の町を目指す。しかし、そんな町にやって来るのは、人間から迫害された狼族などの獣人たちばかり。果たして人間への恨みを抱える彼らから、信秀は信頼を得ることができるのか? 異世界町づくりファンタジーここに開幕!

――本日はよろしくお願いします。まずはプロフィールを教えていただけますか。

関西在住で、2015年から小説投稿サイト「小説家になろう」にて『町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~』の執筆を始めました。本作が作家としてのデビュー作になります。

――9月に発売して約3ヶ月が経過しましたが、反響などはいかがですか。

本を購入してくださった方々からの報告がとてもうれしかったです。「ああ、本当に書籍になって出版されたんだな」という実感と同時に、これからも頑張ろうという気にさせていただきました。

――書籍化が決定した時は、どのような感想を抱きましたか。

自分の書いた物が出版業界の方々に評価されたということでやはりうれしかったですね。本を出したことがなかった自分にとっては、それこそ夢が現実になったかのような話です。ただし小説を書いていることを、親族も含めて私の周囲は誰も知らないので、このうれしさを誰かに伝えるということはしていません。とりあえず居ても立っても居られずに、バク転をしたことを覚えています。

――バク転できるんですか……すごい運動神経ですね。さて、それではあらためて『町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~』の物語について教えてください。

端的に言えば、『人間から迫害されていた獣人たちを、能力でつくった町に住まわせる』という話です。始まりは電車の脱線事故に巻き込まれた主人公を含む大勢の人たちが、神様から能力を貰って異世界に飛ばされることになります。その中で主人公は『町をつくる能力』を得て僻地に町をつくり、困窮した獣人たちを住まわせるようになります。主人公も獣人たちも最初は互いに警戒しながら生活の基盤をつくり上げていくわけですが、獣人たちも徐々に心を開き、初めて触れる高度な文明にも驚きつつ、少しずつ馴染んでいくことになります。

――町をつくったけど住人がおらず困った主人公、そして困窮していた獣人たち。それぞれの利害が一致して町は少しずつ発展していくわけですね。

そうですね。主人公と獣人たちが出会ってしばらくは、平和な日常が続くことになります。ですが、主人公のつくった町のことは異世界の人間たちにも少しずつ知られることになります。獣人たちを追いやった人間と、獣人たちを住民とする町。町の存在を知った人間の国は、主人公の町へと攻め込むのですが、『町をつくる能力』でつくった異世界には存在しない武器、いわゆる元の世界の近代武器で主人公たちは応戦することになる、という流れが第1巻では描かれています。

――異世界の人間たちと今後、どのように渡り合っていくことになるのかも注目ですよね。そんな本作の主人公は『町をつくる能力』を手にしたわけですが、選択のカードは非常に幅広かったと記憶しています。

 

そうですね。異世界に飛ばされた人たちはカードの選択によって「何か」を得るわけですが、それを私は個性という位置づけにしています。武器にしろ、才能にしろ、能力にしろ、地位にしろ、それは得た人たちの強烈な個性となります。逆に、幅のない力を持った転生者ばかりでは十把一絡げにしかなりません。他のところで個性を出そうとしても、小説である以上、見た目の描写には限界があり、性格に大きな変化を加えれば、現実味が失われてしまいます。そのためキャラクターの差別化という意味を込めて、カードの選択肢は幅広くしました。もちろん、話の幅を広げるという意味もありましたが。今後、主人公と同様に異世界に転移してきた者たちが登場しますが、彼らが持つ個性は物語のおもしろさを引き立たせるスパイスになってくれると思います。

――そういえば主人公のつくった町の最初の住人はラクダでしたよね。異世界らしくないスタートだなと思ったのですが、ラクダを第一町人にした理由は何かあったのでしょうか。

最初に主人公が降り立った地が乾燥地帯でしたので。すぐ南には砂漠もあり、砂漠といえばラクダだと思って、登場させました。主人公からすれば、ラクダ――カトリーヌの存在はまさしく空谷の跫音だったことでしょう。あとラクダってかわいいですよね? あのちょっと間抜けそうな顔が、私は大好きです。あ、でも気性は荒いらしいので、触れ合うことがあればよくよく注意してください。

町をつくる能力_02

※第一町人はなんとラクダ!?

――そんなラクダもいて、獣人もいて、もちろん人間もいる。本作の世界はどのような世界観で描かれているのでしょうか。

世界観については、中世ヨーロッパに魔法を加えた世界です。ただ、魔法は戦いに使われるものではなく、生活に根差したものが多いという点が少し変わっているところでしょうか。火の魔法を使う人なら料理人に、水の魔法を使う人なら水売りに、光の魔法なら貴族たちの灯り役に。そんな感じで、魔法はほとんど戦いに使われることはありません。魔法はあれど戦いに使われないという話は、なかなか珍しいのではないでしょうか。

――確かに珍しいかもしれないですね。ですが、そんな温和なイメージから、他国からの侵攻など殺伐としたイメージも強くなっていくわけです。本作はどのようなテーマのもと続いていくことになるのでしょうか。

題名の通り『町をつくる』がテーマです。どちらかというと、『国をつくる』かもしれませんが。建物、人、軍事、外交、内政。町をどのように運営し、他国からの侵略にどう対応するのか。そういったものが、物語の当面のテーマとなっています。

――続いてはルンパルンパ先生が気に入っているキャラクターやシーンなどがあれば教えてください。

私が気に入っているのは佐野勉が登場する回ですかね。佐野は小悪党という代名詞がよく似合う男なのですが、どこにでもいるような人間味のあるキャラクターだと思います。もちろん一個人としては、佐野はあまり好きではなかったりします。でも、作者として見た場合、彼ほど動かしやすいキャラクターもいません。あとは、特別短編の主人公が昔を思い出すシーンが好きです。317ページのたった10行ほどの文ですが、主人公の過去の後悔が綴ってあり、大小あれ誰もが経験するような内容になっていると思います。

町をつくる能力

※左:佐野勉……主人公と同じく異世界へと転移。主人公とぶつかる日が来るのだろうか。

――そんな本作は2015年から投稿、そして書籍化も行われました。執筆のきっかけなどがあれば教えてください。

きっかけは……ちょっと思い出せません、すみません。とはいえ思い出せないというだけではあれなので、どのようにして『町をつくる能力』なんていう珍妙な能力が生まれるようになったのかを話したいと思います。最初にまず考えたのは、町や国をどんどんと発展させていく内政物の小説を書こうということです。しかし、文明の発展なんてものは一朝一夕でどうにかなるものではありません。たとえばどこかの国の王子なんかに転生します。そこから国内の改革をして文明を発展させようとしても、はたしてその改革が実を結ぶのはいったいいつ頃になるのか。極端な話、中世文明から現代文明のへの発展は、一生を費やしてもまず不可能でしょう。そう考えた時、手っ取り早く文明を発展させる手段として、思い付いたのが『町をつくる能力』です。お金を費やして、町を瞬時に生み出す。文明の発展に必要な工程をすっ飛ばすような能力を主人公に与えました。

――WEB版と書籍版とで何か違いはありますか。

とりあえず、文章はWEB版よりも読みやすくなっているかと思います。あと幾つか修正した内容もありますね。たとえば、日本人の肉食文化についてなどです。WEB版の感想欄でご指摘を受けまして修正させていただきました。お手元に本がある方は、109ページを見ていただけたらわかると思います。一番大きな違いは、本の最後にある22ページほどの特別短編です。ゴブリン族と信秀のほのぼのとしたコメディ調の短編ですが、あれがこの先の展開に大きなアクセントを生んでくれるでしょう。WEB版を読んだことがない人は、この先の展開におそらくギョッとすることと思います。

――この先の展開も楽しみですね。そんな本作をまだ読んでいない方も多くいらっしゃると思います。特にどんな方だと楽しんでもらえると思いますか。

WEB版ではマクロ的という感想を何度かいただいたことがあります。最初の方は個人的視野で話は進むのですが、段々と大きな視野でのお話になっていきます。ゆくゆくは国や大陸といったものが舞台になりますので、いわゆる内政系の小説やシミュレーションゲームなどが好きな方には楽しんでいただけるのではないかと思います。また現代の武器で敵を圧倒する場面もありますから、異世界×ミリタリー系が好きな方々にも満足していただけるのではないでしょうか。

――ルンパルンパ先生の作家としての目標、今後やりたい事などがあれば教えてください。

コミカライズ化をひとまずの目標にしたいです。コミカライズ化されるということは、それだけ人気が出たということでもありますので。私の書いた小説が漫画になって、是非ともキャラが動く姿が見てみたいです。

――それでは最後に、ファンの方へ向けて一言お願いいたします。

晴れて作家となった今、とにかく一歩ずつ一歩ずつ、前へ前へと進んでいきたいです。まずは次巻を出せたらいいなあ、という思いですね。一巻はかなり中途半端なところで終わっていますので。応援よろしくお願いします。

――ありがとうございました。

<了>

書籍化の感想や本作の物語に込められたテーマなど、ルンパルンパ先生にお話を伺いました。『町をつくる』というテーマの中に『国をつくる』というテーマも内包される本作。物語の前半と後半とでは読者に与える印象も変わってくるなど、『町をつくる能力』を手にした主人公の物語からは目が離せそうにありません。発売中の『町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~』は必読です!

©ルンパルンパ/宝島社 イラスト:碧風羽

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[関連サイト]

宝島社(このライトノベルがすごい!文庫)公式サイト

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