独占インタビュー「ラノベの素」特別編 松羅弁当先生『ときめきラノベ地獄』 ※プレゼント企画あり

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は「ラノベの素」特別編として、2017年3月30日にライトノベルをテーマにしたWEBコミック『ときめきラノベ地獄』(無料webコミックサイト「リイドカフェ」連載作品)の単行本が発売となる松羅弁当先生です。コミカライズではない、ライトノベルのコミックを描く同氏の作品の内容はもちろん、漫画家としてライトノベルをどのように見ているのかなど、お話をお聞きしました。

【あらすじ】

ラノベ研究会、それはラノベ好きJKたちがラノベをネタに盛り上がるためだけの部活。今日も少女たちのちょっぴり業(ごう)の深いラノベ話が始まる。積んで崩してまた積んで、いつまで経っても読み終わらぬ所詮この世は、ラノベ地獄……

――今回は「ラノベの素」特別編となります。どうぞよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

――早速ですが、自己紹介からお願いします。

漫画家の松羅弁当です。神奈川県の出身で、現在は東京に住んでいます。以前は別のPN(ペンネーム)で漫画を描いていたのですが、詳しくはお話できないものの親族上の都合でPNを代えることになりました(笑)。現在のPNの代表作は『ときめきラノベ地獄』をはじめ、『弱い俺と強い彼女たち』、それとソーシャルゲーム『精霊ファンタジア』のコミカライズを担当しました。好きなものはライトノベルとスニーカー、あとは散歩でしょうか。

――スニーカー……スニーカー文庫というわけではないですよね?(笑)

安心してください、ちゃんと履くスニーカーです(笑)。使っていないものも含めると、15足以上はあると思います。コレクション的な要素がゼロだとは言いませんが、いずれはきちんとすべて履きます。去年はお小遣いのほとんどをラノベとスニーカーに費やしていたので、今年は少し自重できればいいなぁと。

――自重できていない未来が見えなくもありませんが(笑)。それでは『ときめきラノベ地獄』はどんな作品なのか教えてください。

『ときめきラノベ地獄』は、ラノベの「あるある」であったり、個々の作品の設定に隠されていそうな「何か」を探求する女子高生たちのギャグコメディですね。ラノベに見え隠れするちょっとした疑問を、ラノベ研究会に所属する女の子たちが時には体当たりで、時には精神をすり減らしながら、その疑問を解明(?)していきます!

※ラノベ研究会に所属する女子高生たちがラノベに隠された謎を解き明かす!?

――ラノベを読んでいる人には本当に面白い作品だと思います。ラノベ読者というコアな層をターゲットにしている印象なのですが、執筆の経緯を教えてください。

実は、この作品の発端は編集部の発案なんです。担当編集の方とラノベのお話をしていた時に「ラノベを題材にした4コマの企画があるんだけどキャラクターを描いてみない?」と提案をいただいて。それで実際にキャラクターを描いて、それを気に入っていただけて連載することになったんです。

――連載をスタートさせるにあたって、苦労したことはありましたか。

もともと企画のスタートは「とりあえずチャレンジしてみよう」という主旨が強くて、連載元のWEBコミックサイト「リイドカフェ」編集部からも、マニアが読んで面白い作品を描いてほしい、というお話をいただいていました。特にラノベをこういった形で漫画のテーマにしている作品もなかったので、よしやってやろうと。そうしてネームを切って、関係各所に確認をしてもらいながら進めていたのですが、内容が濃すぎてわからない、というダメだしをいただきましたね(笑)。マニア向けに作品を書いたつもりが、濃すぎると言われて、当初は自分もどうすればいいのか考えさせられた記憶があります(笑)。

――関係者の一部では、みなさん読んで「ぽかーん」としていたというお話もうかがいました。

ラノベを知らない人が読めば当然そうなるのはわかっていたのに(笑)。そういったこともあって、細かな修正を繰り返しながら、現在の形に落ち着きました。とはいえマニア向けなのは変わらないですし、だからこそマニアの人たちは面白く読めるコミカライズではないライトノベルのコミックだぞ、と(笑)。

――作品を読むとわかるのですが、松羅先生も相当ラノベを読まれているなと感じたのですが、実際どのくらい読まれているのですか。

年間80冊以上は読んでいると思います。個人的には結構読んでいるつもりなんですけど、WEBを見ていると上には上がいるなっていつも思ってます。というより、ラノベがたくさん刊行されていて全然追いつけないんですよね。

――男性向けのライトノベルだけでも、年間1600冊以上刊行されていますからね。

あ、そんなに出ているんですか!? 確かに1、2巻で終わっちゃう作品もいっぱいありますもんね……。とはいえ漫画も似たような状況ですし、単行本にもならない漫画もたくさんありますからね。

――漫画の話題ですと、ラノベのコミカライズも増加傾向にありますね。

出版社を跨いでのコミカライズも増えて驚いています。漫画の雑誌を出版していない会社なら分かるんですけど、そうじゃないところも他社でコミカライズしてますよね。電撃文庫の『キノの旅』のコミカライズが、少年マガジンエッジでスタートするというニュースを見てびっくりしました。

――出版社間の垣根は少しずつなくなってきているのかもしれません。ラノベ事情にもお詳しい松羅先生オススメの作品はありますか。

たくさんありますよ! 王道なところだと『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。『クソゲー・オンライン(仮)』もアズラエルのポンコツっぷりが素晴らしい。あとは新木先生の文体が好みというのもあって、『英雄教室』も面白く読んでます。あとはそうですね、『転生したらスライムだった件』も面白いし、『できそこないの魔獣錬磨師』も面白いですよね。『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』にもやられました。無機物に転生するなんて、あの発想はなかった(笑)。

――出てきたタイトルだけ聞いても、かなり幅広く読まれていますね。

うーん、でもやっぱり好きな傾向はあって、仲間同士でワイワイほのぼのとするタイプの作品であったり、最初の方は打ちのめされるんだけど、特訓の結果、その壁を乗り越えていくような物語は特に好きです。『ソードアート・オンライン』も好きですけど、あまりに人気があるのでここで好きというのもちょっと恥ずかしい(笑)。

――作中では『アサシンズプライド』や『エロマンガ先生』も話題になることが多いですよね。

もちろん好きです。さっきの質問のおオススメの作品に加えておいてください(笑)。

――作中に登場する作品も含めて、新旧問わず読まれている印象なのですが、ラノベはいつ頃から読まれているのですか。

うーん、だいぶ昔から読んでますね。ライトノベルと呼ばれる以前だと思います。スニーカー文庫創設時には既に読んでいましたし、ライトノベルをライトノベルと意識して読み始めたのは、ここ10年くらいかもしれません。『スレイヤーズ!』なんかは、漫画の延長線上という認識で読んでましたよね。あの頃は文字で読む漫画というイメージでした。

――そうすると20年以上になるわけですから、長いことラノベに触れられているんですね。

あくまで小説というよりは漫画の延長線上という感じで、そのままズルズルと今に至るといいますか(笑)。

――松羅先生はライトノベルの面白さはどういうところにあると考えていますか。

面白さというか、自分の描いている漫画と比べて、「これズルいよな」と思うところでもあるんですけど、セリフが長くてもいいところが羨ましいですよね。一人のキャラクターが延々と喋っていることがある意味許される。漫画はそれができないというか、非常に難しいんですよね。なので、とても羨ましい(笑)。

――なるほど。作家さんからお話を聞くと、よく漫画の表現の幅が羨ましいというお話を聞くので、それぞれの立ち位置で見方は違うんですね。

お互いに隣の芝生は青い、なのかもしれませんね(笑)。たとえばお城が存在する場合だと漫画はお城を描写しなくちゃいけないんですけど、文字では「不気味な城がある」で済むこともあるじゃないですか。これはズルいなと思っていつも読んだりしますね。お城を描くのも凄く大変なんですよ!(笑)。

――表現の描写方法なども意識しながらラノベを読まれているんですね(笑)。

職業病というか、羨望というか。ただ、漫画にはない文字には文字のテンポがあると思ってます。そのテンポに対して、うまく踏み込んできた作品を読むと、この作品は漫画でやるより文字で表現した方がいいんだろうなって思う時も多々ありますね。

――続いて、毎話の様々なテーマに触れられているのですが、どのようにして考えているのしょうか。

基本的には本作のメインキャラクターでもある天王寺まいるの視点を意識しています。ラノベを読んで、この設定はなぜこういう設定になっているのだろうか、なぜこういったお約束があるのだろうかという、そういった疑問から考えることをはじめて、その疑問に対してこれこれこういう理由があるに違いないと、根掘り葉掘り考えていきます。ラノベの中にある共通点や引っ掛かりのある設定に対して、なぜなのか、と考えるところから話を膨らませています。

――テーマの中には「物語序盤の展開」に関するラノベの時事ネタを扱っていたお話もありました。

第4話でありましたね(笑)。あの時はWEB上でもかなり話題になっていて、タイミングが少し悪いかなと思いながらも、テーマとして絡ませたら面白いだろうしということで描かせてもらいました。話題になった作家さん同士が、あのタイミングで顔を合わせたら気まずいだろうなぁという想像を働かせて、あのようなお話になりましたね(笑)。

※女子高生たちが想像するラノベ作家同士の勝負とは?

――ちなみにラノベ原作のアニメは結構見られたりしているんですか。

実はあんまり見ないんですよ。個人的にではありますが、やっぱりラノベは文字で読んでなんぼだと思っているのと、あとは忙しさを理由に(笑)。なので、面白そうな作品があった時は担当編集さんに見せてもらってます。

――『ときめきラノベ地獄』を描くうえで、気を付けていたことや注意していたことがあれば教えてください。

技術的なものだと、会話劇なので画面が単調になりがちなところは、読者が退屈しないように気を付けていました。でも一番気を付けていたのは、ネタにするということで、ラノベにマイナスイメージを抱かれないよう注意をずっと払っていたことですね。ネタとしていじるということは、けなすという行為と紙一重なところがあると考えていて、その一線は絶対に踏み越えないようにしようと。それとあわせて、ネタにしたラノベに読者が興味を持ってくれるようにお話を作ってきたつもりです。ここは本当に神経を使ったところですね。

――ラノベ研究会所属の天王寺まいる・小柴みりん・安藤サラ。描いていて一番楽しいキャラクターは誰でしたか。

これはやっぱり、天王寺まいるですよね。話を引っ張っていくキャラクターですし、あのキャラクターが自分に一番近いということもあります。あそこまでの発想の飛躍はないですけど、自分が疑問に感じたことをまいるが解き明かしていく感じはあったんですよ。ここまで自分に近いキャラクターは描いたことがなかったので、そういう意味では楽しかったですし、逆に大変でもありました(笑)。

※ラノベ研究会部長の天王寺まいる

※ラノベ研究会副部長の小柴みりん

※ラノベ研究会に所属するラノベ初心者の安藤サラ

――第9話から突然登場した顧問の坂口ヒロミ先生はいかがですか。

あの人、なんで登場したんでしたっけ(笑)。

※初登場回の第一声

――誕生秘話が忘却の彼方(笑)。

確か新キャラクターを登場させようという話があって登場したはずなんですけど、なんであんなキャラクターになったのかは我ながらちょっと謎ですね。自分でも不思議です。

――それでも顧問としてライトノベルを含め、小説に関する知識は持ち合わせていますよね。下ネタ方面にメーターは振り切ってますが(笑)。

精神的には大人、だけどどうしようもない大人を描きたかったと思うんですが……勝手に生まれてきちゃった(笑)。ただ、ラノベ研究会の面々に合わせていくなら、こういうキャラクターも必要だろうなという考えはたぶんあったと思います。おっしゃられるように、坂口先生の登場で下ネタ系のふり幅は大きくなりましたし、この人は下ネタでラノベを語る、みたいな(笑)。

――本作では様々なテーマを取り扱っていますが、一番印象に残っているテーマはなんですか。

実は連載を開始する時点で、最後に描きたいと思っていたテーマがあって、それが17話の「イラストの変遷」なんですよ。自分も昔のラノベを読んでいて、ラノベに限らずアニメもそうなのですが、キャラクターの口と鼻の距離が刻々と変化していったんです。気付いた時にはもう口と鼻の距離が開いたイラストを多く目にするようになった。急にそういう変化が起きたのか、それともゆっくり起きていたのかはわからないのですが、素直に疑問を抱いていたんです。そこから、最後に描くに相応しい壮大なテーマのひとつだなと考えていたので、思い入れも強いです。ただ、このネタを扱う上で気を付けたこととして、鼻と口の距離が近いイラストを描かれていた方々をけなさないというか、貶めるような誤解を生むことがないよう、神経を使いました。本当にこのテーマは描いていて楽しかったですね。

※松羅先生が一番印象深いと語るテーマの真相は……?

――発売となる単行本では、ラノベ作家の富永浩史先生との対談も収録されているとのことですが、どういったお話をされたのでしょうか。

詳細は単行本に収録した対談を読んでいただけると嬉しいのですが、ライトノベルの転生ネタに関してや、ロリババアネタで盛り上がりました。特に富永先生がHJ文庫から『置き去り勇者と不死鳥の翼』を刊行したばかりで、転生と召喚とは何が違うのかについて熱く語られていましたね。私も関心しきりでした(笑)。

――松羅先生がこれからのライトノベルに期待する事を教えてください。

私の個人的な感覚なのですが、ライトノベルは読者が「今一番読みたいもの」を、もっともはやく形にしている媒体になり始めているんじゃないかと数年くらい前から思っています。ストーリーの傾向やジャンルの移り変わりは、漫画やアニメなどの他のエンタメメディアと比べても一番早いんじゃないですかね。だから、WEB小説をはじめとして、今まで読んできたものとは違う「何か」が、突然飛び出してきてくれることをすごく期待しています。

――期待しているジャンルなどもあればぜひ。

『スレイヤーズ!』も含めて、和製ファンタジーが割と好きなんです。今がとても盛り上がっているタイミングだと思っているので、長く続いて欲しいですね。特に読者が求めているものでありながら、でも何かが少し違う、そんな物語が登場してくれると嬉しいです。最近だと母親と一緒に冒険する『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』が刊行されたじゃないですか。読みましたが、思春期の男の子の心情がすごく良く出ていて、こういった視点の少し違う面白い作品がもっと出てほしいですよね。主人公が温泉になる作品ももうすぐ発売されますし、気になります。(インタビュー収録時は発売前でした)

――転生モノの作品では無機物を含めて人外への転生も珍しくなくなりましたからね。

自分もそう思います。状況的にはもう何でもアリになっている気はしますね(笑)。後は読者がどこまでついていけるのか。転生の話題に関しては、メロンブックスさんでの単行本購入特典として、転生をテーマにした4ページ漫画を描いているので、ぜひチェックしてもらえると嬉しいです。

――単行本には各キャラクターがオススメのライトノベルを紹介する漫画も描き下ろされているんですよね。

はい、ラノベ研究会の3人がオススメのライトノベルをピックアップしています。こちらもぜひご期待ください。

――では最後に『ときめきラノベ地獄』に興味を持っているみなさんへと一言をお願いします。

まず『ときめきラノベ地獄』を読んでくださっているみなさん、どうもありがとうございます。とにかく、この作品を読んで描かれているラノベに興味を持っていただけたら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。ラノベ好きの皆様にはかなり刺さる作品だと自分では思っておりますので、読んでいただけたら嬉しいです。コミックスは初動の1週間がとても大切だとWEB上で拝見しました。なので、私も便乗します(笑)。どうぞよろしくお願いします!

――本日はありがとうございました。

<了>

ありそうでなかったライトノベルをテーマにしたギャグコメディ漫画を描く松羅弁当先生にお答えいただきました。ラノベを読んでいる読者なら面白く読めることは間違いありません。ラノベ好きな女子高生がラノベに秘められた疑問を解き明かす(!?)『ときめきラノベ地獄』は必読です!

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松羅弁当先生の直筆サイン入り単行本を、抽選で3名の方にプレゼントいたします。

応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2017年3月29日(水)~4月1日(土)の期間中にTwitterで本インタビュー記事をツイート、またはリツイートするだけ。抽選で3名様に「ラノベニュースオンラインのツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにてご連絡させていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンラインのツイッターアカウントのフォローをお願いします。

※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。

※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。

※プレゼントの発送はリイド社編集部様より実施するため、頂戴した情報はリイド社編集部様へ共有させていただきます。

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