【特集】アース・スターノベル編集長が3周年を記念して語る 「今後のメディアミックスはいろんなことを考えている」
2014年12月の創刊からアース・スターノベルは今年で3周年を迎えた。小説投稿サイト「小説家になろう」発の作品を主に手掛け、これまで『私、能力は平均値でって言ったよね!』や『人狼への転生、魔王の副官』などの人気シリーズ輩出。2017年には怒涛のコミカライズプロジェクトが動き出すなど、2017年を大きく沸かせたレーベルのひとつと言える。そこで今回、3周年を迎えたこの機会に3年間の振り返り、来る4年目への展望などを、アース・スターノベル・稲垣編集長に語っていただいた。この3年で見えてきたもの、アース・スターノベルの今後のメディアミックス計画、レーベルとして目指していきたい方向性に迫る。さらに3周年を記念してラノベニュースオンライン限定の豪華プレゼント企画も実施する。ぜひ最後まで目を通してもらいたい。
――レーベル創刊3周年おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。
ありがとうございます。ほとんど一人でレーベルを立ち上げてから、あっという間の3年だったように思います。この3年間でアース・スターノベルは124冊を刊行しました(2017年12月刊含)。おかげさまで編集部の人数もだいぶ増えまして、今では年間50冊前後の作品を世に送りだせる環境が整ってきています。アース・スターノベルを創刊した当時から比べると、単行本のライトノベルが様々な出版社さん、書店さん、読者さんをはじめ、いろんな場所に広がったように思います。アース・スターノベルとしてもすごく良い読者さんに恵まれて、レーベルコンセプトでもある「大人が楽しめる本・自分の家の本棚にあったら嬉しい本」という想いが、ストレートに伝わるようになった3年だったと思います。
――ほぼ一人でスタートしたレーベルが、いまや年間50冊の刊行ですか。当時はここまで想像されていましたか。
当初の想定の2倍以上大きくなっているんじゃないですかね(笑)。最初は毎月2~3冊ずつ魅力的な作品を世の中に送り出していければいいと思っていたんですけど。ジャンルそのものに勢いがあることはもちろんですが、いろんな人が応援してくれた結果だと思います。おかげさまで多くの書店さんにも応援していただいて、3周年のフェアも全国のいろんな書店さんでやっていただけることになりました。
※気付けば年間50冊以上を刊行するレーベルへと成長
――3周年を記念して一部からは「やりすぎだ」とも言われる豪華冊子を用意しているんですよね(笑)
はい。この3年間を作家さんとファンの方々に支えていただいたお礼ということで、100ページの3周年記念本を製作しました。12月13日から協賛してくださっている書店さんでアース・スターノベルの作品を購入すると一緒に手に入ります。無料本なんですが、カバーイラストを『私、能力は平均値でって言ったよね!』の亜方逸樹先生に描き下ろしていただいているほか、『私、能力は平均値でって言ったよね!』のFUNA先生や『人狼への転生、魔王の副官』の漂月先生など8人の作家さんがこの冊子のためだけに書き下ろしてくれた作品が掲載されています。当初は数十ページというお話だったのですが、気付いたら100ページになっていました。ただ、非常に良いものができたと思っていますので、ぜひ手に入れていただけたら嬉しいです。
※「やりすぎだ!」の声も出た3周年記念無料冊子「8つの秘密」
――それではあらためて3年間を振り返って印象に残っている出来事があれば教えてください。
アース・スターノベルの創刊前からWEB小説を手掛けていた他の出版社さんが、商業としてのWEB小説の道筋といいますか、多くの読者に支持される作品を作ってこられたことがとても印象に残っています。大人でも面白ければ読んでくれる人達がたくさんいるんだと。そこから自分たちも良い作品、良い作家さん、良いイラストレーターさんとお仕事ができればそれは楽しいに違いないと感じさせられて、実際にそういったお仕事をさせてもらえたことも凄く嬉しかったですね。本当にたくさんの方に読んでいただけて、楽しんでいただけたことは嬉しかったです。
――作品作りや本作りとして、アース・スターノベルの特色はどんな点だと思っていますか。
大人でも面白い、というのは言ってしまったので(笑)。当たり前のことを当たり前に、きちんとやっていきたいというのがレーベルとしての考え方です。例えば、アース・スターノベルの奥付は小説家さんとイラストレーターさんお二方の作品である、という事で、お二方の©(著作権)表記が載っています。珍しい考え方かも知れませんが、いつかこれが当たり前になっていったら良いな、と思っています。がんばって魅力的な作品を作り上げたのは、この人たちですよ、というか。
――振り返るとこの3年は作家やイラストレーターと一緒に歩んだ3年でもあったと思います。アース・スターノベルに携わっている作家陣の印象も教えてください。
作家さんには本当にいろんな方がいらっしゃるんだなと(笑)。大学生や書店員さん、中には声優をされている方もいらっしゃいます。あらためて、いろんなところからいろんな作家さんが登場してくる時代になったんだなと感じています。あとはWEB小説の作家さんは兼業の方が非常に多いはずなのですが、アース・スターノベルで書かれている作家さんの3割くらいは専業でされている点も特徴なのかなと。もともとプロの作家というわけではなく、転職期間などを利用して執筆し、デビューされた方がそのまま転職活動を休止してしまった例もあったりします(笑)。会社を辞めないでねって言ったのに辞めちゃった方もいるので、私個人の心情としては嬉しくもあり複雑でもあります。どんどん幸せになっていって欲しいですね。
――様々な作家陣と歩んでこられて、2017年から10作品に迫るコミカライズプロジェクトも展開しています。ユーザーの反応はいかがでしたか。
コミックは単行本として発売されている作品が売れているという面でもそうですし、非常に多くの方に受け入れていただけているという印象です。コミックの連載は「コミック アース・スター」をはじめ、「ニコニコ静画」さんや「Pixivコミック」さんでも展開されており、多くの方に触れていただけているのだと思います。また、「小説家になろう」さんの影響もすごく大きいと思っています。いまや小説という観点からだけではなく、コミカライズの原作という観点からも、新しい作品に触れられる場所になっているんだろうなと感じています。
――コミカライズから原作へとユーザーが動いている感覚はありますか。
とてつもなく大きな数字、というわけではありませんが実際に数字としても出てきています。ただ、もっと長期的な調査は必要だとは思っています。あとはWEBコミックが更新されると、連載しているWEB小説側のアクセスが増えるという嬉しいお話も聞かせてもらいました。
――好調なコミカライズですが、今後も更なる計画が進行しているのでしょうか。
今も候補に挙がっている作品は複数ありますし、増やしていきたいとも考えています。ただ、いずれの作品にしても一番いい形にして送りだしたいと考えているので、慎重に考えながら進めているところです。
――なるほど。今後のコミカライズも楽しみではあるのですが、2016年に期間限定で公開されていた『人狼への転生、魔王の副官』で行ったWEBオーディオドラマのようなメディアミックス計画はあるのでしょうか。
黙秘したいところではありますが、当然ながらいろんなことを考えています。水面下で秘密会議をしていると言いますか、地下に潜っていると言いますか。今後にご期待をいただければと思います。今回はこれで勘弁してください(笑)。
――今後の発表の有無も含めて楽しみにさせていただきます。3年を振り返っていただきましたが、失敗談もあればお聞きしたいところです。
そうですね……。たとえば女性向けの凄く面白い作品ができたのに、女性に認知されずイマイチ売り切れなかったことは悔しさを感じます。何度もトライアルしてはいるんですが、どうにも買いづらいようで。アース・スターノベルにも女性の方が読んでも面白い作品はたくさんあるので、今後の課題だと思っています。
――それはレーベルとして男性向け、女性向けを一緒に展開していきたいということなのでしょうか。
直接的にそういう展開を目指すわけではないのですが、男性が読んでも女性が読んでも面白い作品を届けたいということです。女性に向いている作品を男性が読んでも面白い、男性に向いている作品を女性が読んでも面白い。もちろん、それぞれのメインの読者層にとってもしっかりと面白くて、そういった作品を世の中に出して行けたらと考えています。
※女性も男性も読んで面白いと思える作品に挑戦し続ける、という稲垣編集長
――それでは最後に、これから4年目を迎えるにあたっての展望をお聞かせください。
これから予定している新しい作品もまだまだありますし、水面下でいろんな動きもしています。想定以上にうまくいっている面もあるので、逆にこれからどうしようみたいな面がなくもないです(笑)。ただ、せっかくうまくいっているところも含めて、出版だけに縛られず、いろんな形で作品を広げていきたいと考えています。最初の方でも言いましたがアース・スターノベルのコンセプトは「大人が楽しめる本・自分の家の本棚にあったら嬉しい本」です。無理に子供向けにするのではなく、大人の世代、自分たちに近い世代が楽しめるエンターテイメントを一緒に作りましょうということを、作家さんやイラストレーターさんたちと引き続きやってまいりますので、4年目もご愛顧をよろしくお願いします。
――本日はありがとうございました。
<了>
3周年を迎えたアース・スターノベルの稲垣編集長にお話をうかがった。何やら水面下では様々な動きを仕込んでいるようだ。言葉の端々からにじむ今後の展開には大きな期待が寄せられるアース・スターノベル。3周年を記念したフェアはもちろん、2018年の動きからもどうやら目が離せそうにない。3周年の豪華記念本がもらえるこの機会に、気になるアース・スターノベル作品をぜひ手に取ってみてほしい。
アース・スターノベル3周年記念プレゼント企画!
アース・スターノベルの3周年を記念して、著者のサイン本+3周年記念本のセットを各1名(計4名)にプレゼントいたします。
・『私、能力は平均値でって言ったよね!』第1巻/FUNA先生
・『人狼への転生、魔王の副官』第1巻/漂月先生
・『その者。のちに…』第1巻/ナハァト先生
・『戦国小町苦労譚』第1巻/夾竹桃先生
応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2017年12月13日(水)~12月16日(土)の期間中に、Twitterで本特集記事をリツイート、またはつぶやくだけ。応募者の中から抽選で4名様に「ラノベニュースオンラインのツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにてご連絡させていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンラインのツイッターアカウントのフォローをお願いします。
※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。
※サイン本の種類は原則選べませんが、当選者の方には第1希望までおうかがいする予定です。
※プレゼントの発送はアース・スターノベル編集部様より実施するため、頂戴した情報はアース・スターノベル編集部様へ共有させていただきます。
※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。
※日本国外在住の場合は発送対応ができかねる場合がございます。あらかじめご容赦ください。
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