独占インタビュー「ラノベの素」 さがら総先生『変態王子と笑わない猫。&教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年3月24日にMF文庫Jより『変態王子と笑わない猫。』第12巻&『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』が同時発売となるさがら総先生です。物語としていよいよラストを迎えることになる『変態王子と笑わない猫。』、さらに最新シリーズとしてスタートする『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』の両作品について、物語の見どころや新シリーズの礎となったご自身の体験談などを語っていただきました。
【あらすじ】 「わたしと、ピクニックの仲間を集めに行きましょう」……一本杉の丘で再び出会ったぼくと月子ちゃんは、手を繋いで歩き出す。大切な人を、かけがえのない思い出を、きっと取り戻すために。横寺くんノート(著&脚色・筒隠月子)に基づき、ゲーセンで遊んだり勉強会をしたり、いちゃいちゃアニマルタイムを繰り広げたり、昔懐かしいイベントに奮闘するのだけれど――「月子ちゃんも早くすっぽんぽんノルマを果たさなきゃ!」「それもやぶさかではないですが」「なーんちゃって、……え?」――脱ぐ気いっぱい!? 大人気爽やか系変態青春ラブコメ第12弾! 何もかもが変わってしまった新世界で、それでも変わらない何かを探す最後の旅路が、今始まる――。 |
――それでは自己紹介からお願いします。
さがら総と申します。第6回MF文庫Jライトノベル新人賞で「最優秀賞」を受賞させていただき、2010年に『変態王子と笑わない猫。』でデビューしました。その後はシリーズとして刊行を続けながら、『駒ひびき』や『未来の僕らのためのソナタ』という漫画の原作をさせていただいたり、『プロジェクト・クオリディア』、『ガーリッシュ ナンバー』などにも携わりました。小学校時代は親の方針でゲームを買ってもらえず、本が娯楽のすべてだったんです。とにかく勉強をサボって本を読んでいました。『竜馬がゆく』とか『赤毛のアン』シリーズとか、何度通して読んだかわかりません。そういった経緯が現在の小説家という立ち位置に結びついているのかもです。ただ、中学時代にゲームを解禁されてから、一瞬で堕落しましたけど。やっぱり親の教育方針は正しかった!(笑)。
――勉強をサボって本を読んでいたというのも大概ですが、ゲームによって堕落レベルが急上昇したと(笑)。
小学校時代は帰省先の祖母の家にしかゲームがなかったんですよ。なので、自宅にゲームがある環境は衝撃的で、アホみたいに熱中しましたよね。学校に行ったふりをしてずっとゲームを遊び、それがバレて親にゲーム機を隠され、親のタンスからゲーム機を見つけ出してまたゲームをやるみたいな。
――本でもゲームでも結局勉強はサボっていたのですね(笑)。現在もゲームはされているんですか。
高校生になってからはしばらくゲームとは無縁の生活を送っていたんですけど、昨年プレイステーション4を購入して、再び触れるようになりました。中学時代の初代プレステから、プレステ4に一気に飛んで、文明開化の音を聞いてしまった原住民の気分です(笑)。他のゲーム機も購入したりと、第二次ゲームブームが巻き起こっている最中です。
――なるほど。ゲーム以外の好きなものや苦手なものなどもあれば教えてください。
苦手なものはいっぱいありすぎるんですが、締切を守ることですかね……(笑)。いや笑いごとじゃないな。ゲームも長くやっているわけではなく、ちゃんと仕事はしてるんです。してるんですが、間に合わない。文章について悩む時間が無駄に長すぎるのかもしれません。どうすればいいんだろう……(十数秒沈黙)。いかん。苦手なものトークって要らん闇の扉を開いてしまいませんか(笑)。好きなものは将棋です。タイトル戦の現地観戦や日々の対局の中継観戦はもう何年も続けてます。あとは日経平均やダウや円ドル相場を眺めて一喜一憂したりだとか。主に苦しむほうが多いですかね。あれ、じゃあやっぱり、こっちも苦手なカテゴリなのか……? ってこんなことばっかり言ってもしょうもないですよね。読者さんが求めている話にならない気がする!(笑)。
――金融関係のお話は闇も深そうなので、将棋のお話を(笑)。今回新シリーズに『りゅうおうのおしごと!』を手掛ける白鳥士郎先生が解説を寄稿されていますよね。交流も積極的にされているとか。
白鳥先生が関東に足を運ばれた際は、白鳥士郎先生と平坂読先生と自分の3人でご飯を食べさせていただくことがあります。白鳥先生とはかなりディープな将棋の会話ができてたまらなく嬉しいのですが、あんまりやりすぎると、平坂先生が微妙につまらなそうに飲み物をお代わりする、みたいな(笑)。
――白鳥先生をはじめ、作家さんと将棋で対局したりすることはあるんですか。
そうですね。白鳥先生とも1局指したことがあります。他の作家さんだと一時期、鈴木大輔先生とも授賞式やパーティの2次会でよく指してましたね。大昔には井上堅二先生たちと麻雀を打ちながら将棋を指すという二刀流をやったことがあります。むらさきゆきや先生には、原稿の進みが悪いときにお父さんみたいな優しい顔で、よく遊んでいただきました。自分が知っているなかだと、作家で最も強いのは八奈川景晶先生ですね。ハンパない棋力で、4、5年前だと思うんですけどボコボコにされました。その後、飲み会でお酒をたらふく飲ませて再戦して無理やり勝ちました(笑)。あとは作家じゃないですけど、スニーカー文庫の編集さんとか、映像事業部の方とか、将棋が指せる人を求めて角川をうろつくことが……(笑)。なんだか将棋の話ばかり楽しくて恐縮です。
――それではあらためて作品の話題に参りましょうか。まずは『変態王子と笑わない猫。』第12巻が刊行されますが、振り返ってみていかがですか。
本編の物語としてはこの第12巻で終わりです。この作品は続刊の刊行に期間が空くことも多かったのですが、これは別にサボっていたわけではなく、編集部に通い詰めながらパソコンとにらめっこをしていたんです。それでもなかなか筆が進まなくて。一昔前には「いつ書きあがるんだ」と当時の担当編集さんに首を絞められたり、泣くまで詰問されたり、つらい時期もありました。思い返したらクソブラック……いや、自業自得だな!(笑)。
――物語としては最終巻ということになりますが、書きあがった時は率直にどう感じましたか。
書きあがった時はこれで首を括らずに済むと(笑)。マイルドに言うと、収まるところに収まったかなという印象ですね。個人的にはエピローグというつもりで書いていました。が、正直読者さんが想像するエピローグとはいくらか違う印象になってしまったかもしれません。きっと読者さんはキャラクター達がとことんいちゃいちゃわちゃわちゃしている、そんな幸せな姿を見たかったんじゃないかなと思います。
――そうですね。第11巻のあとがきも踏まえた上で拝読させていただきましたが、想像以上にストーリー色が強かったなという印象を受けました。仰られる通り、幸せな姿をたくさん見られるものだと思っていました(笑)。
エヘヘ(笑)。最初それをやろうと思ったんですけど、第11巻までのストーリーを踏まえた上で、安易にラブコメシーンまですっ飛ばすことができなかったんですよ。キャラクターが血の通った人間として動くためには、どうしてもこのお話は必要だった。でもまあ、途中まで書いていて「こんなはずでは……」とも感じてました(笑)。第12巻は物語としての決着という意味がとても強いので、本当にみんながニコニコしながら読める真エピローグを別途書きたいですよね。エヘヘ(笑)。
――読者としては幸せなストーリーがやっぱり読みたいんですよ。作中では20014年に短編集というお話もあったかと思います。
よく覚えてますね(笑)。短編集は出すことになると思います。幸せな世界とお話を今度こそ、と(笑)。読者さんへのお礼であったり、サービスができたらと思っています。物語としては終わったのでホッとしている面もありますが、すべてが終わったわけではないので、まだ一区切りを迎えたという感覚はないです。幸せな未来、明るく楽しいイベントをたくさん書いて、そこでようやくエンドマークが付く。そこできっと「変猫。」が終わったと思えるんだと思います。
――『変態王子と笑わない猫。』を振り返って、印象に残っているシーンやキャラクターなどがあれば教えてください。
一番印象に残っているのは、横寺に月子が押し倒されるシーン。これは第1巻の口絵でも描かれているんですが、引き寄せた上で倒される、筒隠月子というキャラクターがよく象徴された一枚だなあと。ついでに言うと、新作でもほぼ同じ構図の口絵が登場していまして、自分も驚かされました。ももこさんが忖度してくださったみたいで、「変猫。」をリスペクトした素晴らしい一枚絵になったかと思います。そのイラストを見たことであらためて「変猫。」第1巻のイラストの印象がより強くなりました。ただ、小さな女の子を押し倒す構図になんらかの強いこだわりを持っている人のように見えるかもしれませんが、そこは違います!(笑)。
※新シリーズでも同様の構図で描かれ印象が深まったという口絵
あとは第12巻に収録されるラスト3枚の挿絵ですね。終わりにはこのイラストしかないだろうと。これまで描いてこなかった表情をきちんと描いてあげようと。ラスト3枚の構図についてはシーンをきちんと練る前から既に決まっていました。本当に伝えたかったものがぎゅっと詰まっているイラストになっていて、カントク先生凄いなって想いしかありませんよね。神様です。いやほんとに。
※シーンを練る前から既に構図が決まっていたというイラストの1枚
キャラクターについてはどのキャラクターも最初に登場した頃より成長と変化を遂げてきてくれたと思います。何年か前のインタビューでは鋼鉄さんが好きだというお話もしていましたが、みんな書きやすいぞと思うようになりました。一人選ぶとすれば、やっぱり横寺陽人になるのかな。なんだかんだで何を言っても許される、いいキャラクターだなと。横寺くんの視点だからこそ許される描写は数えきれない程あったと思いますし、本当にいいキャラクターなんですよ。
※物語で様々な役割を果たしてくれたという主人公・横寺陽人
横寺くんは物語技法における「信頼できない語り手」として立ち回ってくれました。彼が言っていることは本当のことではない。本来であれば共感要素よりも読者の猜疑心を生み出すタイプの主人公です。ただ、そこに「女の子可愛いね」とか「下着見たいね」みたいな言葉を乗せていくことで、重苦しい悲劇に対しても重苦しくないように書けるんです。泣いたり悲しんだりするべきなのに、彼はそう感じていても口にはしない。横寺くんはうまくその役割を果たし続けてくれたと思います。「変猫。」は割とシリアスに振りやすい作品でもありましたからね(笑)。
――「変猫。」の話題の最後に、かつて新人賞のインタビューで幻の第2巻に触れられていたかと思います。今、このタイミングであらためて言及できることはありますか。
幻の第2巻は今でも僕のパソコンの中で眠っています(笑)。内容については、だいぶキャラクターは変化することになりましたが、ほんわかさまの原型となったキャラクターが登場しています。また、ざっくりストーリーラインや要素から挙げるならば、第8巻がもっとも似ています。とはいえ第8巻は物語も終盤に差し掛かるストーリーなわけで、それと似たことを第2巻でやってしまったと言うんだから、今になって思えばそりゃ全ボツになるだろうよと(笑)。当時はすごく綺麗にお話もまとまったと思って書いていたんですけどね。機会があればプロトタイプとして出したいです。担当さんが許してくれたら同人誌とかどこかで日の目を見るのかなぁ……。
――幻の第2巻も読める機会を楽しみにしております(笑)。
【あらすじ】 中高受験指導塾に勤める27歳塾講師・天神。小中学生を指導するテクニックに長けてはいるが、子どもに対する思い入れは全くない。世間の荒波に揉まれたり同僚のJDを揉んだりしながら、どこか冷めた気持ちで今日も明日も働き続ける、はずだった。しかし――「せんせい、すき、すき、だいすき……」ある日、担当クラスの小学五年生女児にスリスリされている姿を中等部のクソ悪魔(14歳・JC)に見つかって……? 「わたしに、夜の個人レッスンをしてください――ね、一流のロリコン先生?」まさかの強制課外授業スタート!? 『変態王子と笑わない猫。』のさがら総が放つ通報必至の年の差ラブコメ! 誰も知らない小中学生の禁断の“リアル”がここにある――!? |
――では続いて、新シリーズ『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』に関するお話に参りましょう。まずは新シリーズのスタートということで率直な感想をお聞かせください。
新作は『クオリディア・コード』以来ってことになるんでしょうか。前後で漫画の原作などもやっていたので、新作が約2年半ぶりと言われてもなかなかピンと来ないんですよね。その期間も僕の中ではずっと「変猫。」を書いていたことになっていますし(笑)。ライトノベルは今、市場がめちゃくちゃ厳しいじゃないですか。なので、感慨を高々と語れる立場でもないですし、無根拠に自信を抱えられるほど若くもない。でもちゃんと愉快なものを書こうという気持ちは強くあって、「変猫。」とは視点人物の性格、立ち位置、目標から面白みのある違いを作ろうともしています。作品全体の奥行や、より多くの読者さんに楽しんでもらえる作品になればいいなと思っています。
――『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』はどんな物語なのでしょうか。
塾講師業界の闇を描いています……。なぜ塾講師はニュースで生徒に手を出して逮捕云々とよく報道されるのか。その真相を描いていきます。最終的にどうしてそういった事件に繋がってしまうのか、その理由を分かってもらいたい。罪を犯した塾講師は決して異常な人じゃない。みんなの隣にいるんだよ、次はあなたたちの番なんだよって。
――え、なにそれ怖い……(笑)。
つまるところ、最初からロリコンなんだろうとか、最初からそういう目で生徒を見ていたんだろうとかって思われるかもしれないけど、講師側にも言い分があるんだよって。ニュースを見た時に、背景を知って違う感情も抱いてもらえたらと!
――さがら先生の主張が著しく偏っているので、本作はもっと楽しい物語であるという点は私が代わって主張させていただきます(笑)。あらためて本作の着想についても教えてください。
若い世代の子たちが他人と接する主な場所はやっぱり学校だと思うんです。それが異性であったり、先輩や後輩、先生であったり。ただ、学校という舞台がみんな共感できるのだろうかという想いも少なからずあったことと、年齢層が上の人達にも読んでもらいたいという思いもあり、物語の舞台を塾にしました。学校の教師とは比べ物にならないぐらい同僚や環境のバリエーションも豊かで、実際に主人公は塾講師でありながらラノベ作家でもあるわけで。自由が利き、日常的に学生たちと触れ合える。それが塾講師であるだろうと。それとみなさんも小学生から「先生、先生」って言われるのが好きなんじゃないかなと(笑)。あとは学習塾に通っていた人たちが、作中の塾のシステムと比べたりして、昔のことをノスタルジックに思い出してもらえたらという狙いもあります。
――本作は禁断の“リアル”というキャッチコピーも目立ちますよね。
そうですね。作中に出てくる地名や固有名詞もほぼ現実を踏襲していたりもします。リアルかどうかはともかくとして、現実に寄せたリアリティを重視している点は間違いないです。
――それでは本作に登場するキャラクターについて教えていただけますか。
まずは中学生の星花。息をするように書けるとてもいいキャラクターです。ポンコツクソ悪魔が好きな方のために書いたキャラクターで、読者の方に可愛いと思ってもらえるかどうか大事な点だと思ってます。特典小説でもいろいろ書きましたが、だいぶ何を書いても許される感が出てきているので、今後も楽しみなキャラクターですね。
※星花(キャラクターデザインより)
天神はそこらにいる大人という感じでしょうか。共感ではないですけど、現実にいそうな感じのキャラクターだと思います。「変猫。」の横寺くんがぶっ飛んでいたぶん、違いは出ているかなと。社会に適応はしているけど、果たして今後どうなっていくのか。歪みを抱え込まないと社会には適応できないと思っているので、その歪みが今後出てくるかについてもご期待ください。
※天神(キャラクターデザインより)
塾講師で大学生でもあるシャークは僕の中では凄く可愛いキャラクター。なので、今後はもっと可愛さをアピールしていきたいです。
※シャーク(キャラクターデザインより)
稲荷凛、舞牧ひらり、紺屋涼介の小学生3人組は、それぞれモデルの小学生を見ながら「ふーん」と思って書きました(笑)。一文字たりともモデルから名前はいただかないよう細心の注意と配慮もしました。訴えられた時に何の関係もないんだよと。リスクヘッジも万全です。
※左:稲荷凛/中:舞牧ひらり/右:紺屋涼介
この作品の登場人物は星花を除いて、ほぼ完全なモデルが存在する作品でもありますね。実在人物をだいぶ混ぜ合わせて脚色したのは星花だけという(笑)。
……ん? あ、いや、今の話はだいたいアレしてください。全部双子の兄から取材した話なんですけどね、みたいな感じで。僕は塾講師をやっていないので関係ないです。全然関係ないです。
――さがら先生(双子の兄?)が講師をやられていて、一番苦しかったことはなんですか。
双子の兄の話なんですけども、パワハラクソ上司がいてな……。実はだいぶ前に遺稿があって、作中にも登場する室長のキャラクターが全然違ったんです。自分の……いや双子の兄の経験をもとに、その上司の姿をそのまま書いたんですけど、担当編集さんからあまりにも辛すぎるから書き直してって言われて……。それを書きたくて書いたんですってお話もしたんですけど、なかなか認めてはいただけませんでした(笑)。なので、作中の室長はだいぶマイルドになってます。実際その人が上にいた時は、毎回お腹を壊していて、死んだ魚の目で出勤していましたからね。校舎に出勤してお手洗いにこもり、授業に入り、授業と授業の間にお手洗いにこもり、また授業に入り、授業が終わってお手洗いにこもり、その後室長の説教を受けるという辛い日常を送ってましたね……。
――辛すぎる……。
だいたいその周りのエピソードは削ってしまったんですけど、褒め言葉からいつの間にか説教に転じているだとか、ニコニコしていればしているぶんだけ説教時間が長いとか。すべて思い出しながら、もとい、綿密に取材した上で書いたんですけど、ダメでした(笑)。
――読者に求められているものと実際に書きたかったものの境界線は難しいですよね。
とはいえ、自分の嫌な思いを集約したキャラクターを出そうとするのって、冷静になってあらためて考えるとないなって思いますよね(笑)。でも実際授業は楽しいです。授業は。
――そんな本作ですが、早くもコミカライズが決定しています。メディアミックスも続々と展開されるとのことですが。
RPGアツマールとのコラボ企画で、『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』のゲームが配信中です。コミカライズについては特設サイトで冒頭5ページが公開されてますね。こちらは近々連載スタートを予定しています。それ以降は乞うご期待ということで!
※今後のメディアミックスにも期待が寄せられる
――本作は「才能」の物語だと、解説で白鳥先生が熱弁されています。この点についてはいかがですか。
そうですね。白鳥先生の解説文を読んで、「なるほど、これは才能の物語なのか」と思って、第2巻以降も才能の物語であることを念頭にして執筆していきたいですね!(笑)。うまくいけば第2巻もどなたかに解説文をいただく予定なので楽しみにしたいです。本作は才能の物語でもあり、主人公が何かと向かい合う物語でもあります。彼が抱えている根本的な問題や、向かい合っていかなくてはならないことは、シリーズを通して描いていくお話になると思います。塾講師とラノベ作家という両輪を転がしてどう着地するのか、それが3巻になるのか4巻になるのか5巻になるのかわかりませんが、ちゃんと収まるところに収まればいいなと。
――これからの目標や野望があれば教えてください。
書き続けること。とにかく書き続けたい。書くことって、辛いことじゃないですか。書くことを楽しいと思っている人は、たぶん書き手の中でも2~3割くらいなんじゃないかなと思うんですけど、うまいこと書けると自分はこれを書くしかないのだなと強く思うので、その気持ちを持って頑張っていきたいですね。最近は特に執筆理由について考えることも多いんです。読者のためなのか、自分のためなのか、物語のためなのか、まだ見つけていない何かのためなのか。これは正解がなくて、それをずっと考えながら書いていくしかないのだろうなと思うようになりました。それ以上のことは……本の刊行ペースが空いてしまったこのタイミングでは何も言えねえ……。
――それではファンのみなさんに向けて一言お願いします。
『変態王子と笑わない猫。』に関しては、本当にお待たせしてごめんなさいということ。そして長い間リアルタイムで追いかけ続けてくれた方もいると思いますが、本当にありがたくて嬉しいです。刊行ペースという意味では決して優秀な作品ではなかったので。彼らの物語はまだ続きますが、キャラクターは忘れ去られた時に死んでしまうと思っています。心の中のどこか隅っこにキャラクターを残していってもらえたら、それに勝る嬉しさはありません。コミックス第8巻も完結巻として発売となります。原作小説第5巻までのエピソードとなっていて、小説とは少し違う終わり方もしています。ぜひ見比べてみてください。
『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』は、星花が受け入れられるかどうかがすべてな気がしています。僕はとても可愛いと思うので、可愛さを共有するみんなと長い旅をしたいですね。読者の方も塾講師になった気分で読んでもらって、最終的には塾講師に関するニュースを見たとき、「捕まったのは俺だ……」って思うようになってほしいですね(笑)。
――最後に募集事項があるそうですね。
『変態王子と笑わない猫。』で、もし自分の好きなキャラクターの出番が少ないとか、こんな展開を読んでみたいだとか、要望があればぜひMF文庫Jのアンケートからお送りください。短編集に反映されるかもしれません。幸せな世界を短編集では描きたいので、欲望をぶつけてほしいです。むしろ寄越せ! リビドーだだもれで! 新婚家庭の日常が読みたいとか、十年後の姿が見たいとか、ほんわかさまとマイマイの百合生活がみたいとか、なんでもいいぞ! 幸せな話をとにかく書きたいです……。
ついでに塾講師の方がいれば、別途ご連絡をいただいて、業界について語り合いたいです。もしくは中学生の方がいれば、ぜひご連絡を。怪しくはありません。取材です。リアリティを高めるための。決して怪しくありません。主に女子中学生を公募してます!
――危ない匂いがしなくもないですが、本日はありがとうございました(笑)。
<了>
物語として最後を迎えた『変態王子と笑わない猫。』と、塾講師を主人公とした新シリーズ『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』より、さがら総先生にお話をうかがいました。収録されるシーンとイラストの全てが見どころと言っても過言ではない『変態王子と笑わない猫。』第12巻、そして塾講師と生徒たちの禁断の“リアル”を描いた『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』はどちらも必読です!
『変態王子と笑わない猫。』第12巻&『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』同時発売記念プレゼント企画!
さがら総先生の直筆サイン入り『変態王子と笑わない猫。』第12巻&『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』のサイン本セットを抽選で3名の方にプレゼントいたします。
応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2018年3月23日(金)~3月26日(月)の期間中にTwitterで本インタビュー記事をツイート、またはリツイートするだけ。抽選で3名様に「ラノベニュースオンラインのツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにてご連絡させていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンラインのツイッターアカウントのフォローをお願いします。
※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。
※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。
※プレゼントの発送は国内在住の方とさせていただきます。
※プレゼントの発送は当選者の方にご確認いただいた上で、MF文庫J様がプレゼント発送作業を委託する第三者機関に発送先情報を共有させていただきます。
©さがら総/KADOKAWA メディアファクトリー刊 イラスト:カントク
©さがら総/KADOKAWA メディアファクトリー刊 イラスト:ももこ
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