独占インタビュー「ラノベの素」 広ノ祥人先生『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年6月25日にMF文庫Jより『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』第3巻が発売となった広ノ祥人先生です。口では毒舌、本音では主人公のことが大好きすぎるヒロインの氷室さん。本音の声が主人公にだだ漏れる中、毒舌が思わぬ展開を引き起こしている本シリーズについて、氷室さんの毒舌と本音の考え方や、気になる第3巻の展開についてお聞きしました。

【あらすじ】

本当は大好きなのに、どうしても素直になれない涼葉だったが、波瑠との一件があったことで、勇気を出して愛斗を『恋来祭り』に誘った。だが愛斗は『恋来祭り』が行われる縁光神社の神様・ナンナに「絶縁したくなければ、涼葉と祭りに来るな」と言われてしまう。神様のパワーを恐れた愛斗は、なんとか上手く断る方法を探そうとするが……もちろんすぐにはいい案など出ず、夏休みは過ぎていく。涼葉と買い物や雅と勉強会をしたり、生徒会のみんな+雅たちで旅行したり……今までに無いほど充実した日々。そんなとき、なんと2人の前に愛斗の母親が現れ……!? MF文庫Jが贈る、捻れ系青春ラブコメ第3弾!

――それではまず、自己紹介からお願いします。

広ノ祥人と申します。北陸の石川出身で、第13回MF文庫Jライトノベル新人賞にて「審査員特別賞」をいただき、去年の12月にデビューさせていただいております。そこから早半年、早三巻……ほんと、今年は時の流れが一瞬と言いますか、体感で例年の五倍くらいの早さはあるんじゃないかと思うくらい、あっという間でした(笑)。趣味は某遊戯な王様のカードゲームが子供の頃からずっと好きで、今でもやり続けてます。執筆に行き詰まった時は気分転換にデッキの作成や一人回し(対戦の練習みたいなものです)を始めます。それで気付けば2時間が経っていたりと、やりすぎな気分転換になることもしばしばですが……。

――ありがとうございます。それでは本作がどのような作品なのか教えてください。

一言で表すなら「両想いなのに上手くいかない、すれ違い拗らせラブコメ」といった感じでしょうか。性格と建前が邪魔をして上手く想いを伝えられない拗らせヒロイン・氷室涼葉の本音と建前のギャップ萌え。そして、好きな人からの本音がわかるからこその行き違いやトラブルを楽しんでもらえると嬉しいです。一番注目して欲しいのは、個性的すぎるヒロインが所々で見せてくれるギャップによる可愛さですね。この作品はそれを見せることに、ステータスを全振りしていますからね。可愛いは正義なんです(笑)。巻が進むにつれ、涼葉はもちろん、雅ともちょっとずつ進展していく関係にニヤニヤしてもらえれば、もうそれだけで作者冥利に尽きます。

※言葉と想いが裏腹なヒロインにニヤニヤが止まらない!?

――ヒロインのギャップという言葉を端々で口にされていますが、本作の着想はどういった点だったのでしょうか。

これは僕が元々クールなツンデレキャラが大好きだということも影響しています。例えばガンダムに登場する某ピンク髪の人とかが大好きなんです。この手のキャラクターはデレた時に見せてくれる一面が破壊力満点で、凄まじく可愛いんですよね。ただ、ツンデレというキャラクターの多くに言えることですが、総じてデレる姿を見られるのは遅いわけです。たしかに“ツン”があればこその“デレ”とはいえ、可愛い一面を早く見たい身からすれば、すっごく残念でもったいないですよね。なら、ツンデレキャラが最初から全力でデレてたらどうなるんだろう。でもクールで素っ気ない“ツン”な普段があってこそ、あのクリティカルに可愛い”デレ”が輝くのだから、そこはきちんと両立させたいな――って考えたのが、たぶん始まりだったと思います。

――なるほど。ツンデレ好きに生まれる葛藤への挑戦でもあるわけですね(笑)。確かに氷室涼葉も”ツン”と”デレ”がリアルタイムで並行しているわけですから、特殊なツンデレキャラですよね。

はい。それで、やるなら温度差があって”ツン”も”デレ”もぶっ飛んでいた方が絶対に面白いし、何より僕が一番見て見たい!と考えました。けれど実際にそんな展開になったら、それぞれの人物の視点から全然違う見解と思いが生まれてややこしいことになるだろうな……と色々と考え、今の形に構造が固まったって感じですかね。

――ぶっ飛んだ”ツン”と”デレ”という発想から生まれた、氷室さんの辛辣な毒舌と可愛すぎる本音は本作の大きな魅力だと思います。一方でバランスの取り方がとても難しいのではないかと感じるのですが、毒舌と本音を両立させる上で気を付けていることがあれば教えてください。

一番気を付けていることはやはり、毒舌が嫌味になりすぎないように、でしょうか。でも、そのさじ加減がこれまた凄い難しくて……。本当に邪険に思っていたらこんな振る舞いはしないだろう、みたいなちょっとした仕草や行動を、けれど本音がわかるからこそ感じ取れるレベル程度……という絶妙なバランスを意識して付け足してみたりしています。涼葉がちゃんと愛斗を想っているということを、砂糖のようなあの甘い本音以外でも伝わるようにして、できるだけ建前の激辛発言がマイルドに受け取ってもらえるように気を付けています。

――言葉だけでなく、氷室さんの行動の端々にも気を付けられているのですね。ちなみにご自身で本音とは違う建前を口にして起きてしまったトラブルなどはあったりしますか?(笑)

実はあります(笑)。僕自身冗談が好きな性格でして、仕事で緊急の残業を頼まれた際、やるつもりだったけどわざと「いや、今日ゲームの発売日で忙しいので残業してる暇なんてないですよ」と、ナンナみたいなことを答えたら、上司に凄い顔をされてややこしいことになりましたよね……。どうややこしいことになったのかはご想像にお任せしますが、安易に建前というか冗談には気を付けようと思いました。

――ではあらためて、本作に登場する氷室さんをはじめとした主要キャラクターについて教えてください。

氷室涼葉は見た目の印象通りのクールな性格で、二年生で生徒会長を務めるほどの優等生です。副会長の愛斗をいつも見下すように辛辣な態度をとって、毒舌をまき散らしてばかりなのですが、実は愛斗のことが大大大好き!な女の子です。副会長に愛斗を指名したのも、愛斗と一緒にいたいことが目的だったりするどころか、実は一緒にいたいがために生徒会長に立候補してたりします。そんな行動力抜群の涼葉ですが、生い立ちや性格のせいで、いざ愛斗を目の前にすると素直になれず、本音とは真逆の態度ばかりで取ってしまいます。

※建前と本音のギャップが魅力のヒロイン・氷室涼葉

そして主人公の田島愛斗は、一年生の頃から涼葉のことが好きで、なんと両想いなんです! もちろん、罵倒されると興奮するとかアレな性癖の持ち主ではありません(笑)。一年生のときに涼葉と同じクラスで、一緒にクラス委員をした経緯があり、気の強い涼葉にも意外な一面があることに気付いたりと、次第に惹かれていきます。けれど、当の涼葉があんな態度なので、愛斗はずっと脈なしだと半ば諦め、憧れているだけでした。そんなとき、愛斗はふとしたことから、涼葉の心の声が聞こえるようになり、まさかの両想いが発覚するわけなのですが……あまのじゃくすぎる涼葉の影響で、二人の仲はまったくと言っていいほど進展しません。ただ、どんな困難にぶち当たりながらもめげることなく涼葉を想い続ける、愛斗の一途さにはぜひ注目してほしいです。

※氷室涼葉に想いを寄せる田島愛斗

そしてもう一人のヒロインである砂城雅は、愛斗と同じクラスのギャル少女です。成績が学年トップの愛斗に勉強を教えてもらったことがきっかけで、仲良くなりました。雅はさばさばとしていて人当たりがよく、裏表がありません。涼葉とは真逆の性格をしているのですが、派手な見た目に反して恋愛には誠実と言いますか、意外とピュアで、涼葉と同じように奥手だったりします。そんな雅も次第に愛斗に惹かれていくのですが、愛斗からの好意を邪険に扱う涼葉に、彼女の本音を知らないキャラクターとして、正面からぶつかっていく存在でもあります。軽いノリのギャルだけどピュアで一途な雅の恋の行方もぜひ見守ってほしいです。

※性格に裏表のないギャルなヒロイン・砂城雅

――ちなみにお気に入りのキャラクターを1人選ぶとしたら、誰でしょう。

お気に入りですか……。全部自分が好きで生み出したキャラなので、変に「このキャラです!」って絞るのは中々悩ましいですね……(笑)。主役二人は特別なので……そう考えるとやっぱり雅でしょうか。ギャルで強気な性格なのに、肝心な部分では弱腰になちゃうところや、意外にもピュアな一面とか、こういうギャップの可愛さもアリですよね!

※巻を追うごとに少しずつ積極的になっていく砂城雅

――第1巻と第2巻を振り返って、ご自身で印象的なシーンがあれば教えてください。

2つあるのですが、1つ目は絶対に作品に盛り込みたくてしょうがなかった2巻の終生ゲームのシーンですね。ラブコメの定番である人生ゲームネタが大好きで、ずっとやってみたいと思ってました。ぶっちゃけ2巻を構想するにあたって一番最初に考えてうんうん悩んだのがこれだったりなんかします(笑)。結婚に出産そして離婚、数々のイベントに一喜一憂するヒロイン達がもうすっごく可愛くて面白くて、描いていて一番楽しかったシーンでもありますね。

もう1つも2巻のシーンになるのですが、ラストの雅の「くしゅん!」です。元々僕自身は、2巻終わりの執筆時に、咄嗟の思いつきの小ネタ感覚で入れてみたのですが、これがうなさか先生のめっちゃ可愛いイラストが入ることによって、単なる小ネタが当初の十倍は見応えのあるひとつの印象的なシーンへと生まれ変わりました。本当にうなさか先生の凄さを実感……どころかあらためて痛感しました。これからもどうかよろしくお願いします。

――本作は第1巻がラノベニュースオンラインアワードで「総合部門」「萌えた部門」「新作総合部門」の3部門で選出されました。第1巻、第2巻を経て注目度も上がり続けていると思います。周囲の反応はいかがですか。

まず、あのときは本当にありがとうございました! どの部門の選出も、僕の人生初の作品を選んでくださったということで、凄い嬉しかったのですが、やっぱり「萌えた部門」に選出してもらえたことが一番の光栄でした。可愛い女の子を描くことに全力を注ぎ込んだ作品なので、みなさんに涼葉の拗らせた可愛さがちゃんと伝えることが出来たんだと実感できて、本当に嬉しかったです。ありがとうございます。それから周囲の反応と言いますか、ファンレターをいただきました。これもめちゃくちゃありがたかったです。生まれて初めてファンレターをもらったのですが、どの手紙も読んでると心がじんと熱くなってきて、頑張るぞって気持ちになります! 特に2巻の制作時は北陸が何十年振りかの豪雪に見舞われて、色々とボロボロだったので、本当に励みになりました。ファンレターを送って下さった方々ありがとうございます。このインタビューを読んでくださっているかわからないのですが、とても感謝しています。これからもぜひいただけると嬉しいです(笑)。

――では発売となった第3巻についてもお聞きします。第2巻ではナンナに恋来祭りに氷室涼葉とは来ないよう釘を刺されて物語は終わりました。第3巻では主人公の母親の登場で、事態はさらに大きく動き出すことになりますよね。最新刊の見どころについて教えてください。

第3巻ではナンナから恋来祭りの裏側を聞かされた愛斗が、涼葉からのお誘いをどう傷つけずに断るかがメインの物語となっています。とはいえ、1巻や2巻を読んでいただいた方からすれば「そんなの絶対に無理だろう」と思われるかもしれませんが、どうなるかはぜひ読んでいただきたいです(笑)。何はともあれ、相変わらずな涼葉の拗らせ可愛さぶりにニヤニヤしてもらいつつ、雅に相沢波瑠、そして最新刊からビジュアルも登場した雅の友達の大鳥亜輝菜など、個性的なキャラクターたちが巻き起こすラブコメイベントを堪能してもらいたいです。水着シーンもありますよ!(笑)。

そしてストーリーとしての見所は、いよいよ対立が本格化してくる涼葉VS雅でしょうか。雅を一番のライバルだとハラハラしている涼葉と、涼葉の普段のあまのじゃくな態度から彼女にその気はないとすっかり誤解してしまっている、愛斗に絶賛片想い中の雅。この二人の対立は、後半から登場する愛斗ママによって思わぬ方向へと進んで行くので必見です。

※涼葉と雅の対立はどんな方向に進んでいくのだろうか(イラストは第1巻より)

――作家としてこれからの目標があれば教えてください。

目標としては『氷室さん』のメディアミックスですかね、やっぱり(笑)。コミカライズとかアニメ化とか……プロの作家としてデビューしたからには、ぜひ上がりたい舞台なんじゃないかなと、個人的には思っています。そして『氷室さん』をもっともっと多くの人に知ってもらいたい、読んでもらいたいと願っています。これは目標と言うよりも、永遠のテーマになりそうですね(笑)。

――それでは最後に第3巻の発売を楽しみにしていたファン、そしてこれから本作を読んでみようと思っている方に向けて一言お願いします。

みなさんの応援のおかげで、無事3巻まで出すことができました! 今巻も疲れた体にちょっとした癒やしや潤いを与えてくれるような、そんな特に難しく構えなくても楽しめる、文字通りライトなノベルに仕上がったと思っています。これからも二人の距離が進展するたびに、複雑な展開が増えてくるかもしれませんが、個性的なキャラたちの魅力たっぷりな可愛いを届けたい……この一点に全力を注ぎたいと思っていますので、このストレス社会に疲れて癒やしを求めている方、はたまた可愛いに飢えている方、そんな方々には是非お手に取ってもらえると嬉しいです! これからも『あまのじゃくな氷室さん』は、みなさんに可愛いと癒やしを届けたいをモットーに、皆さんへ最高のニヤニヤを与えられるように日々精進していきますので、どうか今後とも応援よろしくお願いします。

――本日はありがとうございました。

<了>

第3巻でも本音と建前のギャップが可愛い氷室さんを綴る広ノ祥人先生にお話をうかがいました。愛斗の母親の登場、そして氷室さんの本音と建前が更に思わぬ展開を巻き起こすことになる第3巻。ギャップ展開でますます可愛いがてんこ盛りな『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』は必読です!

©広ノ祥人/KADOKAWA MF文庫J刊 イラスト:うなさか

[関連サイト]

『あまのじゃくな氷室さん』特設ページ

MF文庫J公式サイト