【ラノベの車窓から】第7回 『期間限定いもうと。』

とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第7回です。今回は本日発売したばかりの新作をリアルタイムでお届けしますよ!

さて、第7回のオススメとして取り上げるライトノベルは「期間限定いもうと。」です。本作は第21回ファンタジア大賞で「金賞」を受賞した作品「中の下!」の著者、長岡マキ子先生の最新作です。前作にも負けず劣らず魅力的な女の子達が登場し、一人の少女を中心に物語は「家族」をテーマに紡がれていく作品となっています。

期間限定いもうと。

もはやジャンルとして確立しつつあるいわゆる「妹モノ」。それは本当の妹であったり、実は血の繋がっていない妹であったりとその関係は様々ですが、総じて共通するのは「守ってあげたくなる存在」や「身近にいる大切な存在」、そして「かけがえのない家族」といったところでしょうか。そして、なんと言っても妹たちは「可愛い」の一言に尽きるわけです。ここ、重要ですしテストに出ますよ。本作もそんな「妹モノ」の一作品にジャンル分けされますが、タイトルにもある『期間限定』こそが、他の作品と一線を画す非常に重要な要素となっているのです。

父親の工場を切り盛りする母と妹と3人で暮らす三堂想太は財閥の娘である少し変わった少女、北嶌沙綾と思わぬ形で出会うこととなります。そんな最中に発覚 する工場存続の危機。取引先は北嶌財閥。想太は少女との出会いから盛大な勘違いを抱えて財閥の家に押し掛けます。問答の中で想太は、沙綾の境遇が己の知る 「家族」の在り方と大きく違いうことに戸惑い、驚き、そんな沙綾の手を取って、この「期間限定」の物語が始まるのです。

工場との取引継続を引き換えに、想太に突きつけられた条件は「沙綾が中学を卒業するまで三堂家で預かること」そして「想太の妹として彼女を受け入れ『家族』を教えること」。想太は決意し、ここにもう一人の妹が誕生します。木登りが得意という一風変わった特技を持つ本作のヒロイン沙綾は、主食にあたるもの をほとんど口にできないアレルギーを持っていたり、感情を表に出すことを苦手としていたりと、多くの苦難が待ち受けています。そんな少女が少しずつ表情と 感情を豊かにし、家族として馴染んでいく姿は読んでいてとてもとても可愛いのです。実妹である綺理や、幼なじみの未実も非常に感情豊かで可愛く、夏姫といった一風変わったヒロイン(!?)たちもストーリーのあらゆる場面を沙綾と共に彩ってくれています。小説家を志す想太の活躍も、沙綾の成長と共に見所のひとつと言えるでしょう。本作は期間限定という、ある意味で終わりをあらかじめ示している物語です。期間を迎えたその時、想太と沙綾に待ち受ける結末がな んとも楽しみな作品といえるのではないでしょうか。

ライトノベルに登場する妹キャラクターは例外なく可愛いと信じ切っており、本作もまたそんな信仰を裏切らない作品です。妹モノジャンルは飽和している、と思われている方も 多いとは思いますが、まだまだそんなことはありません。キャラクターとして妹が必要な作品、ストーリーとして妹が必要な作品とでは、見方や見え方がまた異なってくると思います。本作はぜひとも後者の作品として、手にとってみてはいかがでしょうか。

【記事:らお】

URL:「とある僕等の小説目録(ライトノベル)」

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