独占インタビュー「ラノベの素」 岩井恭平先生『リオランド』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年11月1日にスニーカー文庫より『リオランド』第2巻が発売される岩井恭平先生です。インタビューには2回目の登場となります。自身初とも言えるファンタジー世界を物語のベースとしながら描かれる圧倒的スケールのバトル。激突するファンタジーと近代兵器の戦争はもちろん、本作の内容や誕生秘話、発売される第2巻の見どころについてお聞きしました。

【あらすじ】

“予言姫”リューリリリィが示した厄災――リオランド王国へのEI軍大攻勢が、始まった。圧倒的な物量と死を恐れない《科学》軍勢を打ち破るべく、儀法の騎士・ミカドが導き出した術(すべ)とは?

――ご無沙汰しております。岩井先生は「ラノベの素」に2回目の登場となります。前シリーズから2年ぶりに新シリーズが動き出しているわけですが、まずは率直な感想をお聞かせください。(1回目のインタビューはこちら

ご無沙汰しています。前作の『東京侵域:クローズドエデン』から少し期間は空いてしまいましたが、新シリーズとして走り出すことができました。しばらく別のお仕事に携わらせていただいていて、そちらがひと段落したことも大きかったですね。なので、企画や原稿の脱稿に時間がかかったというわけでもなく、むしろ勢い余って書きすぎてしまったこともあり、第2巻もかなり早いペースで刊行することができました(笑)。

――新シリーズ『リオランド』は、岩井先生の初とも言えるファンタジー作品なんですよね。

そうなんです。以前からファンタジーを舞台にした物語を書きたいと思っていたので、個人的にはやっと書けたなと感じています(笑)。学生の頃から水野良先生の『ロードス島戦記』という有名な作品に憧れていたので、そこから数えると約20年越しに夢が叶いましたね。とにかく書くのが楽しくて、勢い余って隔月刊行です。もちろん執筆を頑張ったからでもあるんですけど(笑)。この調子でやっていけたらと思っています。

――前作『東京侵域:クローズドエデン』もそうですが、岩井先生の作品は現代・近未来やSF要素を主題とした作品が多かったですよね。これまでファンタジーに挑戦する機会はなかったのでしょうか。

新しいシリーズを始めるときはネタをたくさん出すんですけど、そこには必ずファンタジーはひとつふたつ入ってきます。ただ、それよりも面白そうだなと思ったものが優先されてきた感じです。ファンタジーはずっとやりたかったけれど、現実・近代世界やSFも大好きなので、結果として機会がなかっただけと言いますか。特に止められていたとかそういうのではないです(笑)。

――近未来・SF要素は、ファンタジーが舞台とはいえ今作でも切り離せない重要なファクターになっています。先ほどファンタジーは『ロードス島戦記』の影響を受けたというお話でしたが、SF作品で影響を受けた作品はあったのですか。

影響を受けたのは大友克洋先生の漫画『AKIRA』ですね。王道でベタだと言われるかもしれませんが大好きです(笑)。個人的にも大学では電気工学を専攻していて、科学や電気製品も好きでした。知識としてどこまで活かせているかはわかりませんけど、理系に進んだことや電気工学を専攻したことも『AKIRA』から始まっているような気もします(笑)。作中に登場するバイクとか格好良くて大好きでした。

――ありがとうございます。それではあらためて、『リオランド』はどんな物語なのか教えてください。

本作の根幹的テーマは魔法VS科学です。それをまず、第1巻では読者の方に見てもらいたかったし、見せることができたんじゃないかなと思っています。そのうえで、このシリーズではいわゆる魔法と呼ばれるものを儀法と呼び、儀法を使う世界に科学世界、地球の軌道エレベーターが落下してくるところから始まります。物語は軌道エレベーターが落下したファンタジー世界「ハローズ」に生きる主人公の視点で描かれることになります。ファンタジーの世界に落ちてきた科学文明が見どころであるのはもちろん、リオランド王国内で描かれるドロドロした人間関係や主人公を巡る女性関係や人間模様もテーマになっています。また、これまでのシリーズでは挑戦したことのなかったちょっとエロスな描写にもチャレンジしていたりもしますね。

※ファンタジー世界で激突する近未来科学と儀法

――本作は異世界モノの作品として読むこともできますよね。現代の知識や文明の利器を手にする側の視点で描かれることの多いジャンルである中、ファンタジー側の視点で描かれるのはちょっとした新鮮さも感じました。

仰る通りで、そういう見方もできる作品だと思っています。異世界に現代の科学技術や知識が渡ったりする漫画や小説はたくさんありますし、僕自身も読んでいます。一方でそういった組み合わせで描くのであれば、ファンタジー側の主人公視点で挑戦してみようという狙いはありました。狙いといっても半分くらいで、先にも言ったようにファンタジーを舞台にした小説がやりたかったわけですし、主人公がファンタジー側になるのは必然だったとのかなと(笑)。そうなると、地球側は敵に回るわけで、その対決を描こうと思ったのが本作です。地球側についても現代兵器では物足りなかったので、敢えて近未来にしました。近未来兵器への憧れはありましたし、こんなことができたらといった兵器も登場させています。

――第1巻では近未来兵器による軍事行動が圧巻でした。ファンタジー側が無力だったというわけではないんですが……。

本作では地球側は侵略者であり、敵です。侵略者は脅威でなくてはなりません。それこそ、映画『インデペンデンス・デイ』のように。いきなり現れた侵略者は強すぎるくらいじゃなきゃだめなんです(笑)。

――それは前作にも通ずる部分がありますね(笑)。本作はファンタジー側と地球側の生存競争でもあるわけですね。

バトルをやりたい、戦わせたいという僕自身の願望でもあります(笑)。これまでも能力バトルモノを扱ってきて、演出としてバトルを書くのが大好きなんです。この作品において、それぞれの勢力の出会い方や考え方にはもっと温厚な選択肢はあったと思います。ただ、魔法と科学を正面からぶつけたい。もっと大枠でとらえるなら、この物語はハローズという惑星と地球という惑星の対決でもあるんです。それぞれに主義や主張があり、どちらも間違ったことは言っていません。生存競争である以上、生き残りを賭けた熾烈な戦いになることは避けられませんし、双方は相手を倒して生き残るという考え方にシフトしていくわけです。

――ファンタジーの世界を描くにあたって、苦労や発見はありましたか。

苦労と発見の双方にあたりますが、物語の中で使える文章や単語の選び方には気を使いました。今作の世界は動植物含めて完全に独立した世界です。安易な慣用句も使えないし、使わないようにしています。たとえば、爵獣から降りるときに「下馬」という言葉が使えなかったり。馬が存在しない世界なので、言葉そのものが存在しないわけですから。なので、単純に文章作りに苦労しました。あと、これといった理由があるわけではないんですが、ファンタジーといえばエロスというイメージがあったので、盛り込んでやろうと(笑)。僕はどうしても構成的に物事を考えてしまうので、ラッキースケベとか書けないんですよ。そういう意味でも構成的にチャレンジできる世界観だなと感じました。

――様々なチャレンジも詰まり、壮絶かつ混乱極まるファンタジー世界の中で、王国への忠誠を掲げ地球側と戦う主人公であったり、地球側でただ一人和平を唱えるヒロインであったり、魅力的なキャラクターが登場します。あらためて主要なキャラクターについて教えてください。

本作の主人公であるミカド・キャバレッティは、若くしてリオランド王国の騎士団長となった少年です。才能はあるんですけど、若いこともあって敵も少なくありません。突如落下してきた“天穹の雫”と地球側の勢力に対抗するべく積極的に動いているのは主人公と配下の騎士団だけで、国内の勢力闘争に巻き込まれながらも愛国心で突き進んでいきます。周囲を引っ張っていく姿、周囲から頼られる存在として、読者の方にも楽しんでいただけているんじゃないかなと思います。

※本作の主人公であるミカド・キャバレッティ

そしてヒロインの一人、エチカ・ユーソラは軌道エレベーターと一緒に落ちてきた地球人です。少しひねくれているように見えるかもしれませんが、性格は明るく好感を持ってもらえるキャラクターになっているのではないかと思います。王国の捕虜となったり、ミカドとほとんど一心同体のようになってしまうなど、かなりの巻き込まれ体質と言っていいかもしれません。彼女の存在はこれからの魔法VS科学の戦いのキーになります。ですが、それ以上にミカドの人間関係や女性関係に巻き込まれて苦労しそうなキャラクターでもありますね(笑)。

※物語の大きな鍵を握るエチカ・ユーソラ

――主人公であるミカドの愛国心は狂気的な側面も持っていて、読者としてはハラハラする部分も多いです(笑)。

序盤は不安定な存在に見えていたかもしれません(笑)。彼の愛国心は、愛国心と言いつつかつて自分を助けてくれた王女への忠誠心でもあるんです。既に王女がいない今、行き場のなくなった忠誠心を愛国心と口にしているだけで、本人もそのことには気付いていません。なので、本人は愛国心があると思っていますし、言動もそちら側に突き抜けがちになっています。

―― 一方のエチカは本作でただ一人、和平の鍵を握る存在として描かれていますよね。

和平の道がゼロであってはいけない、そんな想いからも彼女はとても重要な存在です。読者の方にも和平という道筋への想像の余地を彼女から感じ取ってもらえたら嬉しいですね。ファンタジー側も地球側も戦う人ばかりが登場する中、小国のお姫様であり、レーサーとしても活躍していた彼女だからこそ「戦わない」「武器をもたない」存在として二つの惑星の間に立っています。エチカは独立した平和主義者という位置づけでもあるので、彼女の一挙手一投足に注目してもらいたいですね。

――そして王国側にも一人のお姫様がいます。予言の力を持つなど、不思議で掴みどころのないキャラクターとして描かれている点が印象に残っています。

次代の国母たるリューリリリィ。れい亜先生のイラストも相まって、読者の方にも注目していただきたい存在です。彼女を一言で表すなら「不思議な存在」という言葉に尽きます。彼女の在り方は、第2巻を経るとさらに大きな謎を呼ぶことになります。本当の意味でのイレギュラーは彼女であって、僕自身がこれまで描いてきた数々のイレギュラーの集大成とも言えるのがリューリリリィかもしれません。これからも面白く描かれていく存在だと思うので、注目していただければと思います。

※神秘的な雰囲気を纏うイレギュラー的存在だというリューリリリィ

――そして岩井先生ご自身も侵略者であると表現した地球人についてはいかがでしょうか。

主人公をファンタジー側に寄せたからには、地球人側には地球人側の事情こそありますけど、純粋な敵として読者には見ていただきたいと思っています。そして彼らはファンタジーの要素では描けない役割も担ってくれています。僕自身の好きなSFや近未来の装備、ひとつひとつを一人一人に具現化させている点にも注目していただきたいです。地球側の装備には強化骨格であったり、特殊な移動手段やサイキック、アンドロイドをはじめ、とにかく夢が詰まっています。ファンタジー側にとっては絶望とも呼べる脅威の存在として、侵略者として激突していくことになるわけです。作中では争うしかありませんが、エチカという存在をひとつの救いと思って見届けてもらいたいです。実際に救いがあるかどうかはわかりませんが(笑)。

――ちなみに少しいじわるな質問なのですが、物語とは切り離していただいて、岩井先生はファンタジーと科学が本気でぶつかり合ったら、どちらに勝機があるとお考えですか。

難しいですけど、やっぱり科学なんじゃないでしょうか。魔法はスタートの段階で様々な力や種類がありそうですけど、科学の種類も進化の度合いもイメージの中では魔法以上に進歩のスピードが早いイメージがあります。科学が魔法に通じなくなっても、すぐさま追い越すんじゃないかと。これは現代世界の地球に住んでいる自分だからそう思ってしまうのかもしれませんが、科学技術で四六時中起こっているいたちごっこはとんでもないと思っているので、その競争の結果、科学に軍配が上がるんじゃないかなと思いますね。

――ありがとうございました(笑)。ではあらためて、お気に入りのシーンやキャラクターがあれば教えてください。

お気に入りのキャラクターは、執筆時はミカドやエチカでしたが、れい亜先生のイラストで開花したリューリリリィでしょうか。女性キャラクター全般が見どころでもあって、れい亜先生のイラストは必見です。可愛いし綺麗だし、服のセンスも抜群だしで、いっそ課金するのでバージョン違いがほしいくらいです。

※魅力的な登場人物たちの動向にも大きな注目が集まる

シーンについては冒頭の軌道エレベーターが落下してくるシーン。そしてバトルシーンでしょうか。第1巻のバトルシーンはもちろん、第2巻では戦闘の規模がさらに大きくなり、戦争とも呼べる激突シーンがあります。魔法VS科学の大規模戦闘シーンはぜひ読んでいただきたいですね。

――発売となる第2巻の見どころや注目してもらいたい点を教えてください。

第2巻はリオランド王国と地球の科学文明の全面戦争が勃発します。鍵を握るのは主人公とエチカですが、それを取り巻く辺境第三騎士団や何万何千の王国兵、そこに激突する無人兵器。とにかく熱く激しく描いているので読んでいただきたいです。また、ミカドには大きな試練が与えられることになりますが、諦めない姿も見てもらいたい。そして、科学文明の脅威に晒され窮地に立たされながらも、一枚岩ではないリオランド王国。渦巻く陰謀や隠された恐怖についても触れているので、注目していただけたらと思います。

※第2巻で明らかとなる謎にも注目だ

――今後の目標や野望があれば教えてください。

第一の目標は一人でも多くの読者にこの作品を読んでいただきたいことでしょうか。その上で自分の好きなものや願望にもチャレンジしていきたいです。登場人物の多さに苦労はしていますけど、全員が魅力的なキャラクターになるよう描いていきたい。もっと魅力的にしていきたいというのが、目標であり課題でもあります。この先、物語としては敵も味方も苦しくなっていくと思います。その上で日常や人間関係、楽しみにあたるシーンも描いていきたい。盛りだくさんなやりたいことを、ひとつずつ形にしていけたらと思います。

――では最後に読者のみなさんへ一言お願いします。

まず、第1巻を読んでいただいた皆様には心から感謝申し上げます。このインタビュー記事や書店で目に留めていただいて読んでくださる方も、第1巻のページ数は少し多いですが楽しんでもらえたらと思います。魔法と科学の対決はもちろん、主人公の人間関係やファンタジーと近未来のそれぞれの良いところを凝縮しています。第1巻を読まれた方は第2巻も楽しんでいただけると思いますし、この機会に第1巻を手に取っていただいた方にも楽しんでもらえると思います。ぜひこれからもご期待ください。

――本日はありがとうございました。

<了>

自身初となるファンタジー作品を手掛ける岩井恭平先生にお話をうかがいました。第2巻では圧巻の戦争シーンをはじめ、魔法とも科学とも違う恐怖と脅威も描かれることになります。激化する二つの惑星の生存競争の裏側で巻き起こる謎からも目が離せない『リオランド』第2巻も必読です!

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応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2018年10月30日(火)~11月2日(金)の期間中にTwitterで本インタビュー記事をツイート、またはリツイートするだけ。抽選で3名様に「ラノベニュースオンラインの公式ツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにてご連絡させていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンラインのツイッターアカウントのフォローをお願いします

※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。

※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。

※プレゼントの発送は国内在住の方とさせていただきます。

※プレゼントの発送はスニーカー文庫編集部様より実施するため、頂戴した情報はスニーカー文庫編集部様へ共有させていただきます。

©岩井恭平/KADOKAWA スニーカー文庫刊 イラスト:れい亜

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