【このライトノベルが売れて欲しい!】第4回『覇道鋼鉄テッカイオー』

「おまえは何でも知ってるな」

「何でもは知らないわよ、ライトノベルのことだけ」

「局地的すぎない!?

ということで始まりました。続きが読みたい!メディアミックス展開して欲しい!単純に沢山の人に手に取ってもらいたい!という願望を織りまぜてオススメラノベを紹介する『このライトノベルが売れて欲しい!』第4回でございます。

今回もモンスター&ストーリーにライトノベルを紹介していきますよ!

第4回は、第10回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞!

『覇道鋼鉄テッカイオー』をご紹介!

覇道鋼鉄テッカイオー

著:八針 来夏 イラスト: Bou

あらすじ

心身を極限まで鍛え、兵器をも超えた力を持つ存在・武侠。

童貞のみが使える強力な武術『童子神功』を使うカザンは、ある時、相棒の美少女・ルゥランと共に海賊から一人の姫君を助ける。

しかし、同時に海賊の背後に控える恐るべき敵の存在を知ることとなる。カザンたち『銀河武侠』の最大の敵対者『暗黒武侠』が姫君・アルフェミナを狙っていたのだ!

しかもその男・グントラムは、カザンとルゥランの人生を狂わせた原因ともいえる、宿縁の相手だった…!銀河を揺るがす武侠たちの戦いが、いま始まる!

武侠+スペースオペラ+スーパーロボット=すごい面白い!!

この『覇道鋼鉄テッカイオー』はここ最近のライトノベルではあまり見られない、珍しい要素を盛り込んだ意欲作だ。

シナリオの根幹にあるのは『武侠小説』と言われる中国の大衆小説の流れ。武侠(ぶきょう)とは武術に長け、『義』を重んじる者のことで、彼らが活躍する様を描くのが武侠小説だ! 武侠小説はエンターテイメント性の高い、ライトノベルに近い小説ジャンルと言えるだろう。

このテッカイオーでは各キャラクター達が武術の流派を持ち、義を重んじ、自らの力を振るっているわけだが……、

そこに加わるのが『スペースオペラ』成分!!

そう、このテッカイオーの舞台は大宇宙なのだ! 銀河をバシバシと行き来する未来が舞台であり、さらにそこにオーガニックアーマーと呼ばれる『スーパーロボット』が登場してしまう。『銀河武侠』『暗黒武侠』と呼ばれる者達が巨大ロボで宇宙空間を自由自在に戦う……これで燃えなきゃ男じゃない!!

主人公のカザン(右)、ヒロインのルゥラン(左) どちらも武術に長けた武侠だ!

イラスト担当のBou氏の描くオーガニックアーマーも格好いい!

これだけ多様な要素を組み込んだテッカイオーだが、さらにもう一つ大きな要素がある!

それは主人公であるカザンが振るう『童子神功(どうじしんこう)』と呼ばれる武術の特徴――

そう、それは『童貞』しか使うことができないことだった!!

「おいおい、さすがに要素詰め込みすぎだろ……童貞とかギャグか?」

いやいや、そう思うだろうけど、だがそうじゃない! 本作は癖のある要素が巧みに組み合わさり、非常に面白い熱血ロボット銀河武侠小説に仕上がっているのだ!!

確かに童貞しか使えない武術が笑いになっているところはある! 実際に何度も笑わされた、良い意味で。

しかし、決してそれだけではない。童貞という十字架を背負う男の信念が、想いが、愛が、非常に熱い展開に繋がる。馬鹿な設定だと言いたくなるが、主人公が凄い格好良く見えるのだ。

童貞であることへの理由付け、キャラの心情の描き方も巧みだった。

信念を持った魅力的なキャラクターに燃えろ!!

覇道鋼鉄テッカイオーの魅力は突飛な設定だけではない。

義を重んじ、信念を持つという背景がキャラクター達に作用し、ブレの少ない魅力的なキャラクターに仕上がっているのだ。

主人公のカザンはルゥランを守るために童貞を貫き、それによって得た力を彼女を守るために使う。ルゥランはカザンに寄り添い、共に戦う!

完全に相思相愛である二人の信頼関係も本作の魅力の一つだろう。

お互いを「カザン君」「ルゥランちゃん」と呼び合う二人のイチャラブも素晴らしい!!

また、ヒロインのルゥランがエロ可愛くてグッド!!

さらに、本作の影の主人公とも言える暗黒武侠『グントラム』という敵が、また非常に味のあるキャラクターになっている! 本作を読んだ読者たちはその多くが「グントラム格好いいな……」と言ってしまうだろう。それ程に敵として、また一人の男として信念を貫く様は格好良さに溢れている。

こういう悪役を僕らは待っていた!!

自らの意思に付き従うグントラム。彼の生き様もまた本作の大きな魅力の1つだ。

お互いの信念をかけたバトルは熱い! 熱すぎる!!

本作のキャラクターはどれもが素晴らしく、とても魅力的な存在となっている。

新人賞にありがちな(というと大変失礼かもしれないが)キャラクターが物語の展開に流されるようなことがない。

キャラクターの精神性が一貫し、行動に対する矛盾がまったくない。

これを実現するのは非常に難しいと思う。物語を上手く進行させようとすると、キャラクターの心情を歪めてしまう場合もあるからだ。

しかし、この本作にはそういう歪みが全く感じ取れない。キャラクターと物語がきちんと寄り添っている。

いや、むしろキャラクターがグイグイと引っ張っているくらいだ!

素晴らしい小説の条件はキャラクターに一貫性があり、ブレないことだと考えている私にとって、テッカイオーはとても魅力的なライトノベルだった!

それは『武侠小説』というある種の『信念を貫く』物語性を組み込んでいるからかもしれない。また、作者のキャラクターへの愛故なのかもしれない。

このテッカイオーの難点(と言うと語弊があるかもしれないが)をあげるならば、固有名詞が多いこと、文章が固く(個人的にはそこがまたいいのだが)、視点移動に若干の違和感があるところだろうか。

非常にボリュームのある物語になっているため、世界観を掴めていない序盤は読みづらく感じてしまうかもしれない。

だが、そこで簡単に投げ出さないで欲しい!

物語の全容を掴んでからの面白さはフルスロットル!! 

ワクワクドキドキのエンターテイメントがそこにはある!!

是非、多くの人が手に取り、メディアミックスも見てみたいと思うデキだった。スーパーダッシュ文庫は素晴らしい新人を獲得したと思う。

ドラマCD化はされたので、次はどのような展開があるのか期待したい! 5月以降には第2巻の予定もあるようで、それも非常に楽しみだ!

ということで、第4回【このライトノベルが売れて欲しい!】は以上になります。いかがだったでしょうか?

宇宙モノ大好きなので、もっと沢山増えて欲しいなぁ……という気持ちは強いです。

宇宙学園モノとか、宇宙飛行士養成学校とか、宇宙人との未知との遭遇とか……いいね!!

ということで、また私情入り交じるカオスな記事でお会いしましょう!!

【記事:ゆきとも】

(C)集英社 八針 来夏/ Bou

[関連サイト]集英社スーパーダッシュ文庫