【ラノベの車窓から】第10回 『クロス×レガリア』

とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第10回です。記念すべき第10回は、第1回で紹介したあの作品の著者の新シリーズですよ!

さて、第10回のオススメとして取り上げるライトノベルは「クロス×レガリア」です。本作は「レンタルマギカ」の著者で知られる三田誠先生の新シリーズですね。3月の発売当初、多くの書店で在庫切れが多発したとされる本作。その面白さとは果たして――――。「レンタルマギカ」を知っていればこそ、ニヤリとする用語も登場する最強の吸血姫と高校生ボディガードとのボーイ・ミーツ・ヴァンパイアは必見なのです。

クロス×レガリア

著:三田誠 イラスト:ゆーげん

出版社:角川書店

ライトノベルに限らず、設定として用いられることの多い「吸血鬼」。第3回の「ラノベの車窓から」でも取り上げた「勇者」や「魔王」といった単語と同じくらい、ライトノベルでも目にすることが多い単語かもしれませんね。そんな「吸血鬼」を主軸として展開される本作。また吸血鬼モノと手に取っていないそこのアナタ。まずは読むことをオススメします。すべてはそこから始まります。馳郎とナタ、この2人を中心とした物語は読者を魅了するに足る魅力があります。

自称仙人の少女が千円でボディガードを請け負う高校生、戌見馳郎に差し伸べられた手を取ることで始まる本作。この2人の出会いこそが「レガリア(王の証)」という本作のタイトルに結びついて行きます。特定の場所に留まることを良しとしなかったナタが初めて、少しの間でいいからと留まることを選んだ馳郎との生活。それは追跡者との遭遇により、馳郎を戦いの場へと引き寄せることになるのです。

戦闘シーンで描かれるのは圧倒的な吸血鬼(鬼仙)の力であり、その力に翻弄される馳郎の姿。しかし馳郎の纏う<カエアン>というジャケットこそ、吸血鬼と綱渡りでありながらも渡り合うことを可能とする、『特別』として描かれています。本作における吸血鬼と比肩するアクセントこそが、馳郎の着用するコンピュータ<カエアン>の存在とも言えるのではないでしょうか。追跡者である朱蓮花、そして少影との戦いの中で知ることとなる鬼仙、そしてナタの真実。その真実を知ってなお、馳郎はナタへと手を差し伸べ続けることを選択します。ナタは本作において最強の位置づけとして存在することになるのですが、その心は至って純粋に描かれています。助けてほしい。護って欲しい。ただ無垢に、ただ純粋に。だからこそ差し伸べられた馳郎の手を忘れることができない。そして、その想いにただ応えようとする馳郎の姿が、読者である私達の心に響き、物語をより一層面白く感じさせてくれるのです。本作は5月に早くも第2巻が予定されています。どんなに面白い作品でも、巻数が増えてしまうと手を出しづらくなる苦しみは私自身よく存じています……! 本作はまだ1巻! 読まれていない方はぜひ、この機会に読みはじめてはいかがでしょう。

「レンタルマギカ」を読んでいても時折感じるのですが、三田先生の作品は物語上のどこかで、ギアを1速から一気に4速くらいまで上げるタイミングがあると思っています。その展開まではスローペースで進む物語も、ギアにブーストがかかった瞬間、物語へと一気に引きずり込まれる感覚が、読者として非常に気持ちがいいんですよね(笑) レンタルマギカが好きな方は、まず嫌いにはならないであろう本作。第2巻の発売が楽しみで仕方がありません。

【記事:らお】

URL:「とある僕等の小説目録(ライトノベル)」

(C) 角川書店 三田誠/ゆーげん

[関連サイト] ザ・スニーカーWEB

[商品データ]