【特集】第1回ファミ通文庫大賞開催記念特別企画 ファミ通文庫編集長×カクヨム編集長インタビュー

2019年2月1日よりWeb小説サイト「カクヨム」にて応募を開始した第1回ファミ通文庫大賞。ファミ通文庫はこれまで「えんため大賞」の一部門において新人賞を開催していたのだが、装いを新たに「カクヨム」とタッグを組んで新人賞をスタートさせている。新人賞のリニューアルにかけるファミ通文庫編集部の思いは強く、このたびファミ通文庫編集長・和田氏と、ファミ通文庫とタッグを組んで新人賞に臨むカクヨム編集長・河野氏にお話を聞いた。応募を検討している方は応募のメリットや狙いどころを、ライトノベル読者には新設されたファミ通文庫の新人賞から登場する作品への期待感をもって読んでもらいたい。ファミ通文庫が今、大きく生まれ変わろうとしている!?

■第1回ファミ通文庫大賞の応募がスタート!

――2月1日より第1回ファミ通文庫大賞の応募が開始されました。これまでファミ通文庫の新人賞は「えんため大賞」の一部門として実施されてきましたが、どんな違いを感じていますか。

和田:これまで、ファミ通文庫の新人賞はえんため大賞の部門のひとつとして実施していました。その一方実情として、ファミ通文庫の新人賞はどこからどう応募したらいいかわからないという声もあったんです。今回「カクヨム」を間口としたことで、「カクヨム」のユーザーの目に留まるという点だけでも、認知度は格段に上がっていると感じています。

河野:第1回ファミ通文庫大賞は「カクヨム」で開催されているコンテストの中でも賞金額が非常に大きなコンテストになっています。また、読者選考を行わず、編集部が直接応募作品をチェックするという点も特徴ですね。編集部には大きな負担になるかもしれませんが、応募者がモチベーション高く挑める新人賞になっていると思います。

和田:募集作品もノンジャンルをベースとしていますが、このたびの新人賞から「ゲームノベル特別賞」が新設されています。ゲーム小説に特化した賞はあまりないと思っていて、ゲームに特化して尖った作品をこの賞で拾い上げることができればと思っています。ファミ通という冠のついたレーベルでもあるので、意欲的に探していきたいと思っています。こういった賞の新設によって、ファミ通文庫としてのレーベルカラーをこれまで以上にアピールしていけたらと思っています。

■新設された「ゲームノベル特別賞」の狙い

――「ゲームノベル特別賞」では具体的にどんな作品が受賞対象となるのでしょうか。

和田:たとえばeスポーツが題材であったり、ゲームを製作する部活動が題材であったり、幅広く「ゲーム」というジャンルを捉えていこうと思っています。オールジャンル・ゲームとして目を向けていきながら、面白い作品の登場に期待しています。ファミ通文庫編集部の編集者の中には実際にゲームディレクターをやっている者がいたり、他の編集部と比較してもゲーム作りそのもののノウハウがあるので、取材もしやすい環境にあります。そういう意味でもゲームに関する小説を出す場合、ファミ通文庫ではより完成度を高められるという自負があります。

――「ゲームノベル特別賞」は「大賞」などの他賞と同時受賞することもあるのでしょうか。

和田:「ゲームノベル特別賞」はゲームをモチーフにした作品に対して、特に優れた作品であったり、受賞には至らずとも見どころのある作品へ与える賞でもあります。そのため「大賞」に相応しい完成度と面白さを有して、かつゲームを題材に尖った作品であれば、「大賞」とのW受賞も当然あります。その場合はもちろん賞金総額は215万円となり、書籍化とコミカライズ検討が行われることになります。とはいえ、ゲームに関する作品だけを募集しているわけではないので、様々なカラーの作品を応募いただけたらと思います。

■ファミ通文庫×カクヨムで狙う化学変化

――ファミ通文庫とカクヨムがタッグを組むことで、新人賞にはどんな化学変化を期待されていますか。

和田:読者のみなさんがファミ通文庫に抱くイメージとしては、ゲームノベライズやゲーム系に強いレーベル、『バカとテストと召喚獣』のようなコメディ作品、ほかにも青春ジャンルで注目をいただくことが多いのではないでしょうか。「カクヨム」ではラブコメをはじめとした青春小説で目立つ作品もあるので、「カクヨム」上で宣伝できる状態で世に出せるのであれば、もっと広がりをもたせられるのかなと思います。新人賞からヒット作を出していきたいという思いは強いですね。

河野:WEB小説では異世界ジャンルが強いと言われていて、「カクヨム」にももちろん多いです。ただ、恋愛ジャンルと言うかラブコメに傾倒する作品がここ1~2年で書き手と読み手の双方で増えており、支持が高まっているように感じています。そういった作品群と接点が生まれることで、新たな潮流の誕生に期待したいですね。

和田:潮流そのものをファミ通文庫の新人賞から創り出すという気持ちは強いですね。

※ヒット作の誕生に期待を寄せる両編集部

――刷新した新人賞の応募者に期待したいこと、期待してもらいたいことを教えてください。

和田:ファミ通文庫が応募者に期待することは、面白い作品であることに尽きます。第1回開催でもあるので、受賞作品は売れるようにバックアップをしっかりとしていきたいと思っていますし、「ゲームノベル特別賞」の受賞関係なしに編集部としては受賞作のメディアミックスを積極的に考えていきたいと思っています。また、期待してもらいたいこととしては、ゲームへの知見は他のレーベルよりも高いという自負があります。今回はファミ通文庫からだけではなく、単行本からの書籍化もあり得ます。作品にあわせた媒体のチョイスを適切にしていくことはもちろん、受賞された作家さんの適性を踏まえながら、小説だけでなくゲームシナリオやゲームの原案を一緒にやりましょうということも十分あります。受賞後の活動の幅広さはファミ通文庫としての強みでもあると思います。これまでもえんため大賞受賞者で、ゲームシナリオノベライズ、そしてオリジナル作品はもちろん、幅広く活躍されている方も多くいらっしゃいます。ライトノベルの編集部ではありますが、ゲームへの関わりという点では非常に多くの接点がありますので、そこも期待していただけたらと思います。

■応募方法の大幅な変更に伴うアドバイス

――これまでファミ通文庫の新人賞に対して原稿を郵送で送っていた方もいらっしゃると思います。「カクヨム」からの応募と変更になったわけですが、あらためて応募方法についてアドバイスをお願いします。

河野:はい。WEB小説にはWEB小説の作法のようなものが多少なりともあるのは間違いありません。これは文章の書き方自体が変わるというわけではなく、掲載の方法によるところが大きいです。たとえば10万文字の原稿を用意したからといって、10万文字をいっぺんにひとつのページに掲載しない方がいい、といったことですね。WEB小説に慣れている人はある程度理解されているかもしれませんが、そうではない方はぜひ参考にしていただければと思います。一方で、ルビも振ることができますし、変わらないところもたくさんあるので安心して応募してください。

――10万文字の原稿を投稿する際の注意点というお話がありましたが、具体的に投稿する上での作法や投稿例があれば教えてください。

河野:あくまで一例となりますが、基本的に毎日更新をすることと、読者の可読性を意識することでしょうか。10万文字を書きあげた場合でも、毎日少しずつ投稿する方が望ましいです。その際の文字数には諸説あるのですが、カクヨムとしては3,000字から5,000字に収めて1話を投稿した方がいいということ。そして文章を横読みしている読者の方もかなりいらっしゃるので、台詞と台詞の間に行間を入れるなど、WEBで読ませる上での工夫をおすすめしています。これだけでも読者の離脱を防ぐひとつの手段にはなると思います。

和田:応募中でも読者をしっかりと獲得して、ポイントがつけば目立つことは間違いありません。書いて応募する人だけではなく、読む人も巻き込んで挑戦することができるのも本賞の楽しみのひとつかなと思います。

――WEB小説での応募に慣れている方に対するアドバイスはありますか。

河野:直接的なアドバイスというわけではないのですが、あります(笑)。今回のコンテストだけのお話ではなくなってしまうのですが、WEB小説のコンテストの応募はスタートダッシュをされる方がとても多いです。一方で、コンテストには応募規定として文字数が指定されている場合がほとんどで、第1回ファミ通文庫大賞でも本文10万文字以上という規定があります。これまでのコンテスト実績から、応募者の3割前後が締切日を迎えても応募規定に到達できていないというデータもあり、ぜひ応募されている方は途中で脱落しないよう頑張っていただけたらと思います。

――最後にファミ通文庫を応援しているみなさん、そしてカクヨムを利用しているみなさんへメッセージをお願いします。

和田:これまでえんため大賞の新人賞受賞作を読んでくれたり応募してくれていたみなさん。時代にあわせて賞の名前や応募方法は変わるかもしれませんが、芯になる部分、ファミ通文庫のここが好きだと思っていただいた部分が変わるわけではありません。引き続き力作の応募をお待ちしております。また、受賞作を多くの方に応援していただけたら嬉しいです。

河野:「カクヨム」を利用されているみなさんは、ぜひこのチャンスを活かしていただきたいです。また、これまでえんため大賞に紙で応募されていて、WEB小説で応募したことがないという方は、ぜひ恐れずカクヨムに登録して応募をいただけたらと思います。WEB小説は、これまで執筆という一人の作業だったものが、執筆の段階から一人の作業ではなくなります。リアルタイムの感想が届いたり、多くの方が読んでくれたり、またご自身が応募された賞と同じ賞に応募したライバルの作品も読むことができます。読者の方にも「大賞」を受賞しそうな作品を見つけて応援していただきたいですし、読み手としての目利き力でファミ通文庫編集部に挑戦してみてください(笑)。「カクヨム」を通してより良い創作活動をしていただき、それが作家としてのデビューに繋がれば、それ以上に喜ばしいことはありません。

<了>

装いを新たにスタートした第1回ファミ通文庫大賞。「カクヨム」開催のコンテストでも屈指の賞金額を誇り、本新人賞から人気シリーズ輩出への期待も高い。「カクヨム」も利用者に対して新たなデビューのチャンスと、より良い創作活動の場の提供を果たそうとしている。ファミ通文庫編集部、そしてカクヨム編集部が寄せる期待を現実のものとするのは、応募してみようかどうか悩んでいるそこの貴方かもしれない。第1回ファミ通文庫大賞の応募締切は2019年5月10日(金)まで。この機会にぜひ応募してみよう!

[関連サイト]

第1回ファミ通文庫大賞特設サイト

ファミ通文庫公式サイト

Web小説サイト「カクヨム」

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