【このライトノベルが売れて欲しい!】第6回『アプローチ、アプローチ。』

面白いライトノベル? そんなラノベがあったら。読むだろ? 誰だって。

ということで始まりました。続きが読みたい!メディアミックス展開して欲しい!単純に沢山の人に手に取ってもらいたい!という願望を織りまぜてオススメラノベを紹介する『このライトノベルが売れて欲しい!』第6回でございます。

今回もアクマ&ミカタにライトノベルを紹介していきますよ!

今回は『アプローチ、アプローチ。』をご紹介

アプローチ、アプローチ。

著:葉巡明治

イラスト:小川ハリ

あらすじ

全ての人間は異能を持っている。

『声で人を殺してしまう少女』、もみ子に出会った瀬人日は、そんな世界の真実を告げられてしまった。

「わたしと、友だちになってください」

「……」

「わたし、こんなんだから、人を助けられたら、もぉ死んでもいいから」

もみ子の声を聞いても死なない唯一の人間らしい瀬人日は、もみ子に付きまとわれる日々を送ることになってしまう。

そして、瀬人日が世界の真相を知った途端、振りかかってくる事件の数々……。学校では『宮色梶派』と『郡島派』という二つの組織が抗争を繰り広げているらしく、瀬人日が巻き込まれることで争いは三つ巴に展開していき――?

ショッキングな出会いから始まる物語

主人公が『声で人を殺してしまう少女』――樅山鈴原(通称:もみ子)と出会うことから本作の物語は始まる。主人公はそこから、様々な異能力を持った人間による抗争に巻き込まれていくことになる。

 帰り道の途中、血しぶきを浴びる主人公

ショッキングな出会いから物語は始まる

異能力は多種多様存在し、正直上限というものが見えない。『角があるもので物を叩けば、異常な威力を発揮する能力』や『生き物以外の時間を巻き戻す(概念すら)』など、他の異能力作品に移動すれば、超一線級で戦える能力も多々ある。

そんな異能力者達にも派閥というものが存在している。それは能力を任意で使用できる者たち、そして能力を定常的に使用してしまえる『鈴』と呼称される者たちだ。

『鈴』は多くの人間の日常を脅かす存在になり得るため、他の能力者によって殺されていっているのだ。本作ではこの2つの派閥が、お互いを敵視して抗争を続けている。

 

敵対し合う能力者たち、異能力バトルが繰り広げられていく。

主人公はもみ子を起点として彼らと繋がりを持っていくのだが、主人公のもみ子に対しての印象は最低値から始まる。もみ子に対して猜疑心や強い怒りを覚え、何度も彼女を見捨てようと考える。

しかし、主人公にはそれができない。ズルズルと引きずられるように争いに巻き込まれていく。また、『声を聞かせてしまうだけで周囲の人が死んでしまう』という非情な世界で、もみ子の願いの悲しさは相当なレベルだろう。

それぞれに歪みや禍根を持ったキャラクター達がお互いの意思をぶつけ合っていく。

そして、登場人物達が迎える結末とは……?

 『宮色梶』という男――

本作でとりわけ好きになったキャラクターがいる!!

それは主人公の友人兼、『鈴』狩り組織のトップである『宮色梶』という男だ。

最凶クラスの能力を持つ生徒会長。異様なオーラを感じる……

作中で最凶にして最強の能力を持つが、非常に理知的なキャラクターだ。彼の中にある強い信念、ブレないキャラクター性、冷酷性、穏やかさ――どれもがやたらと格好いい!!

主人公や各ヒロインなんてぶち抜いて、このキャラに惹かれてしまった。個人的感想では、彼こそが主人公なのではないかと思ってしまった、というと失礼だろうか。

彼がやろうとしていること、それを叶えるためにどれほどの苦悩を持って生きていたのかを考えると、より物語を楽しめるのではないだろうか?

アナザーストーリーで彼を主人公にした物語を読んでみたいなり……

 荒削りながらも確かに光る才能と物語への想い!!

本作『アプローチ、アプローチ』の著者、葉巡明治先生は第10回スーパーダッシュ小説新人賞特別賞受賞作『嘘つき天使は死にました!』でデビューした新進気鋭のライトノベル作家だ。『アプローチ、アプローチ。』は裏デビュー作ということで、受賞前に書いていた作品を商業作品として出版したとのこと(あらすじより)。

 

……正直に言えば、本作はまだまだ荒削りだと言わざるを得ない。

作中の舞台設定(異能を管理する公的組織の有無)、人の生死の扱い、他にも違和感を覚える部分は多くあった。

だが、それ以上に光るモノを感じるのも事実!!

家族愛、いい意味で青臭いキャラクターの言動、勢いのある文章、死生観を組み込んだ物語――非常に強い想いを作中から感じることができる!! 物語への執筆欲求のような物を感じるのだ。

年齢も受賞当時18歳ということで、将来性を強く感じる作家だ。これから先、どれほどの書き手になっていくのかを見続けていきたい、と思わされた!! スーパーダッシュ編集部の熱の入れようからも、葉巡明治先生を育てていこうという匂いを感じる。

読者的にも

『葉巡明治はワシが育てた……』と言えるチャンスですよ!!

ということで、第5回【このライトノベルが売れて欲しい!】は以上になります。

今回は普段とは違い、作家性にも触れた内容となっていますがどうだったでしょうか?

ではまた、私情入り混じるカオスな記事でお会いしましょう!!

【記事:ゆきとも】

 (C)集英社 葉巡明治/小川ハリ

[関連サイト]集英社スーパーダッシュ文庫

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