【ラノベの車窓から】第12回 『うちの魔女しりませんか?』

とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第12回です。ラノオン編集長とのちょっとした画策兼、諸般の事情で先週はお休みをいただきましたが、今週より再始動なのですよ!

さて、第12回のオススメとして取り上げるライトノベルは「うちの魔女しりませんか?」です。1巻ではとある魔女と少年の物語を描き、2巻では別の少年と魔女との出会いが描かれました。そして、4月に発売された3巻では、1巻で登場した主人公の物語が再び前へと歩み出していきます。人間と魔女との絆を描いた感動作となっているので、ぜひとも読んでいただきたい作品ですね。

うちの魔女しりませんか?

著:山川進 イラスト:CUTEG

出版社:小学館

感動して涙を流せるライトノベル、と言うと実はそんなに多くはないんじゃないかな、と私は思っています。「面白さ=感動すること」ではないので、あしからず。昨今で主流となっているコメディタッチだったり萌えだったり、とは「感動させるための展開」における方向性が異なるため、なかなかクロスさせることも難しいのでしょう。そんな中、本作はちょっと切なく、それでいて感動できる作品と言っていいでしょう。人間と魔女。この2つの生物が、互いに分かりあうことで深まっていく絆をぜひ読んで確認してみてください。

魔女が絶滅危惧種として保護される世界。2人の少年が、それぞれ地上最後の魔女「ミラ」と「ヒメ」と出会い、別れてから約1ヶ月。第3巻では、ミラと生活を共にした少年「文哉」が、魔女の楽園を探しに行くと家を出た父親を捜すための旅に出るところから始まります。

ヒマラヤを目指し旅立つ文哉でしたが、足掛けとなる町で父親の足跡と、「魔女は不幸をもたらす存在である」という悪意を目の当たりにすることになります。魔女であるミラと生活を共にした文哉は、魔女がいかに可愛く、そして優しい存在であるかを周囲に説こうとしても、耳を貸してくれる余地がないほど、排他的な思想にとりつかれた町だったのです。そんな中、文哉は一人の少女「マーヤ」と出会います。彼女はかつて、文哉の父親が行方不明になる直前まで山岳ガイドを務めており、行方不明になった場所を知る、唯一の存在だったのです。もちろん文哉もまた、マーヤに山岳ガイドを依頼するのですが、極度の人間嫌い、そして魔女嫌いであるマーヤに拒まれてしまいます。ですがサリタの協力もあり、文哉はマーヤと2人でヒマラヤを目指すことになります。そして、行く先々で出会う人々の想い、マーヤに隠された秘密。少しずつ、ゆっくりと文哉とマーヤとの間に結ばれていく絆は、真実に辿り着いた時、さらに強く結ばれていきます。そして、魔女の楽園の入り口に辿り着いた時、文哉とマーヤは……。今巻では、本タイトルにおいてある意味はじめて「続き」を覗かせた巻と言っていいでしょう。旅は終わりを告げ、そして新たな旅が始まる。人間と魔女の物語が続き、いつしかそれぞれの少年が「ミラ」や「ヒメ」と再会できることを、切に願わずにはいられませんね!

本作は1巻が刊行されてからしばらく続刊がなかったこともあり、単巻作品だと思っていました。ですが2巻では別視点における新たな主人公が物語を彩り、3巻では再び1巻の主人公に視点が戻ったりと、面白い軌跡を描きながら、刊行されている作品だと思います。まだ読まれたことがない人には、ぜひ手にとってほしい作品なのですよ!

【記事:らお】

URL:「とある僕等の小説目録(ライトノベル)」

(C) 小学館 山川進/CUTEG

[関連サイト] 小学館ガガガ文庫

[商品データ]