【ラノベの車窓から】第13回 『オレと彼女の絶対領域』

とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第13回です。ようやく暖かくなってきたと思ったら既に汗にじむ暑さ、そして雨……。春好きの私としてはアッと言う間に散ってしまった桜を返してほしい! くそう!

さて、第13回のオススメとして取り上げるライトノベルは「オレと彼女の絶対領域」です。本作は第5回ノベルスジャパン大賞の「大賞」を受賞した作品ですね。各ヒロインとの距離感や、抱えている問題を解決するためにひた走る主人公の姿は、読んでいて非常に面白いです。続刊もコンスタントに発売されており、そのブレない面白さは素晴らしいの一言に尽きると思います。

オレと彼女の絶対領域

著:鷹山誠一 イラスト:伍長

出版社:ホビージャパン

ヒロインが多く出てくるライトノベルというと、ここ近年で非常に多くの作品が排出されています。ヒロインとくっつきそうでくっつかない、そして気付けば新たなヒロインが急接近、といった展開は見飽きたよ! と思われる読者の方も多いかもしれませんが、多くのヒロインたちと関係性を維持するためには相当な労力が必要だと考えています。主人公に想いを寄せる女の子達を次から次へと出せば成立する、という生易しいものではないと思うのです。主人公と各ヒロインにおける絶妙な距離とバランス、本作においては今巻で6角関係!? という怒涛のスピード展開ですが、主人公とヒロイン達の秀逸な距離感は必見なのです。

過去のトラウマが原因となり、特異な力として発現する「オーバーライン」。本作ではそんな力を持ったがゆえに、周囲から疎まれて生きることを余儀なくされた女の子、観田明日香に一目惚れした主人公が、彼女のために懸命にひた走るのです。

オーバーラインにより苦しんできた女の子を救ってきたカー坊ですが、今巻もご多分に漏れず、助けたいという想いを前面に押し出しながらバイトの先輩である海原希優と真正面から向き合います。しかし、登場する面々は今回、あまりにも予想外な力を目の当たりにすることになります。それは、カー坊そして明日香先輩とってあまりにも辛すぎる衝撃の出来事へと発展するのです。その一方で罪の意識に捕らわれ続ける希優もまた、悩み苦しむことから、カー坊は2人を助けるためにやはり走り続けます。

オーバーラインに関して暗躍と言うにとどまらない動きを見せ始めた小鳥遊京水。そして、クラスメートだったあの女の子の真実。量子力学を主軸にオーバーラインの謎を解き明かす本作も、かなり物語の深部へと差し掛かってきたのではないでしょうか。

今巻のヒロインは、完全なお姉さんタイプということで、これまで登場しているヒロインとのすみ分けもきちんと出来ていると感じました。登場する女の子の抱える悩みや苦悩を、泥臭く走り回りながらも、最後はきちんと笑顔にしてしまえる主人公だからこそ、安心して読める作品だと思うわけです。

それにしても、今回登場したヒロインの海原希優。超個人的な意見ですが、非常に魅力的なヒロインなので、あの終わり方はもったいないと思うのです。ぜひとも戦線に復帰して欲しいと願わずにはいられません(笑)。

ヒロインとは読者の記憶に刻まれ、憧れであり続けるからこそ魅力が増すと思うのです。そんな素晴らしいヒロインを私はいつでも募集してますよ!

【記事:らお】

URL:「とある僕等の小説目録(ライトノベル)」

(C) ホビージャパン 鷹山誠一/伍長

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