【編集部のオススメ】SAOオルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅠ 「見つけた……! そして彼女は銃と疾風の世界へ舞い降りる」

ラノオン編集部が読んでオススメしたいと思ったライトノベルを紹介する【編集部のオススメ】

今回は電撃文庫より発売されている時雨沢恵一先生が執筆する『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅠ』をご紹介します。

※多少のネタバレが含まれますのでご注意ください。

ガンゲイル・オンライン

これはもうひとつのソードアート・オンライン。

銃と疾風の世界に一人の少女が飛び込む!

ライトノベルの読者であれば、多くの方が知っているであろう「ソードアート・オンライン」。そんな人気作のスピンオフとして展開されている作品が、時雨沢先生が執筆する本作です。ソードアート・オンラインを読んでいないと楽しく読めないのではないか、と思う人もいるかもしれませんがそんなことはないのでご安心を。ただ、知っていることで「ニヤリ」とするような描写もあるので、より楽しく読むという意味では知っておいた方がお得かもしれませんね。リアルのコンプレックスに悩み、とあるきっかけで飛び込んだ仮想現実オンラインゲームの世界。いくつかのゲームの世界を転々と移りながら、辿り着いた場所こそが自らのコンプレックスを払しょくする外見のキャラクターを手に入れることができた「GGO(ガンゲイル・オンライン)」の世界だったのです。GGOの世界で知り合った女性プレイヤーに持ちかけられたチーム対抗バトルロイヤル「スクワッド・ジャム」への参戦を経て、少女が成長する物語となっています。

「ああ……。見つけた! 見つけた!」

そして彼女は、VRMMO「ガンゲイル・オンライン」の大地に立つ。

コンプレックスの影響で内向的な性格となってしまっていた香蓮。“別の自分”を表現することのできるVRMMOに興味を持ち、初めてVRMMOの世界に降り立ったのだが、仮想現実の中でも突き付けられるコンプレックスに絶望する。それでも彼女はあきらめず、かくしてコンプレックスを一蹴するキャラクター「レン」を「ガンゲイル・オンライン」で手に入れるのだった。

女性プレイヤー「ピトフーイ」との出会い。

チーム別対人戦闘大会スクワッド・ジャムへの参戦を決めるレン。

ゲームをはじめて3ヶ月以上、レンははじめて知り合いとも呼べる女性プレイヤー「ピトフーイ」と出会うことに。そんな彼女からスクワッド・ジャムの話を持ちかけられ、レンは悩みながらも参戦を決定する。だが、ピトにチームメイトとして紹介されたのは、巨漢の男性プレイヤー「エム」。強引なピトの計らいもあり、レンとエムはチーム「LM」として参戦を余儀なくされるのだった。

始まるチーム対抗戦……戦闘に垣間見える”プロ”の影。

リーダーを囮にするなんて酷い作戦だ!

スクワッド・ジャムの開戦。エムはピトに優勝を厳命される中、レンを囮とした作戦を中心に、銃弾の中を切り抜けていく。一方で、参戦チームの中に垣間見える”プロ”の影。時間の経過とともにチームはひとつ、またひとつとその数を減らすも、チーム「LM」は辛くも生き残り続けていた。

エムが怯えるSAOとは異なる「デスゲーム」とはいったい……?

チーム「LM」は死闘を戦い抜き、そして――。

突き付けられた銃口。エムの思わぬ行動に戸惑うレンであったが、エムの口からはピトに対する恐怖が語られるだけであり。レンは止む無くエムと離れ、一人でスクワッド・ジャムの舞台に立つ。強豪チームと死闘を繰り広げるも、目に見えて戦況は悪化の一途を辿り、かくして激闘の末、大会はその幕を下ろすのだった。

本作の見どころは、電撃文庫の作品を原作としたスピンオフへの試み、という一面も大きいものと感じました。文章の視点描写では、SAOの川原礫先生の文体に慣れている読者は、少し苦労するかもしれません。ただ、視点描写が異なるだけなので、慣れれば問題なく読めるようになるでしょう。さて、本作の時間軸は「死銃<デス・ガン>」が登場したSAOファントムバレットの後なので、ちょいちょいと小ネタが挟まっていたりもします。既に3巻まで刊行されており、この先で明かされていることもあるかもしれませんが、ピトフーイの存在が不気味であり、かつ今後の大きな鍵を握っているキャラクターなのだろうとも思うわけです。また、本作の中で描かれたエムの置かれているこれまでとは異なった「デスゲーム」の在り様。レンがこの先、その核心に迫っていくことになるかどうかも、気になるばかりです。なかなか読む機会のなかった本作。見た目の厚さ程に読む時間も掛からずサクサクと読めるので、オススメの1冊となっています。

もうひとつのSAO。銃と疾風の世界の物語を、ぜひ手に取って読んでみてください。

©時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊 イラスト:黒星紅白

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電撃文庫公式サイト

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