【編集部のオススメ】カチコミブライド! 「明るく・やらしく・たくましく! 天下無敵の嫁参上!」

ラノオン編集部が読んでオススメしたいと思ったライトノベルを紹介する【編集部のオススメ】

今回はMF文庫Jより発売されている境京亮先生が執筆する『カチコミブライド!』をご紹介します。

※多少のネタバレが含まれますのでご注意ください。

カチコミブライド!

頑丈な主人公だからこそなせるラブコメがここにある!

硬派な不良娘に軟派な男子が挑む!

ギャップ系ヒロインに注目が集まりつつあると考える今日この頃。不良娘とひとつ屋根の下で暮らすことになった主人公のラブコメを描く本作は、少年漫画を彷彿とさせる軽快なノリとキャラクターが魅力的な作品となっています。硬派な不良娘に、真面目で面倒見のいいツンデレ少女、企み好きな人見知りの小柄な女の子と、多様なヒロイン達。そして、軟派でありながらも「運命の赤い糸」を信じ続ける純情な主人公。真っ直ぐすぎる不良娘との同棲を余儀なくされた主人公は、かくして不良娘の花嫁修業に巻き込まれます。しかも花嫁修業がうまくいかなければ、その責任を取って即結納という事態。一方、同棲生活の中で不良娘の抱える大きな秘密を知ることとなる主人公は、少し異なった感情も抱くようになり。硬派と軟派がすれ違い続ける気持ちをちょっとずつ近づけていく物語となっています。

学び舎に集う黒鉄組――そこに現れる超弩級の美少女。

でもその手には、鉄パイプ。

「運命の赤い糸」を信じ続けるもスケベな行動がやめられない緋色は、自らの行動の代償に清掃活動を余儀なくされていた。だが、そんな学び舎に押し寄せる強面の男たち。そんな男たちを相手に大立ち回りを繰り広げる銀髪の不良娘。かくして、主人公は何も知らされないまま同棲生活のスタートを告げられる。

緋色、将来の掛かった同棲生活の幕開け!?

だが、不良娘ななのには、知られたくない秘密があって……。

花嫁修業の名目でスタートしたはずの同棲生活は、ある意味緋色の隷従生活のスタートでもあった。嘘が嫌いでとにかく真っ直ぐなななのに懲らしめられてしまう緋色。頭の中で囁く悪魔と天使な悪魔の「弱みを握ろう」という声に、緋色はななのの弱点とも言うべき秘密を知ることになるのだが……。

ななのの趣味に付き合いはじめるも、ブレない男、それが緋色。

混沌の料理勝負を経てもあまり生活は変わりませんでした。

ななのの秘密を知った緋色は、その趣味を知るところから始める。その一方で、家を訪れた遠山あおい、電話越しの目白明の二人を巻き込んだ料理対決が勃発する。対決の結果生まれたトラブルは、緋色のすけべな記憶容量をパンパンにしてしまう混沌の様相を呈したものの、やっぱり正座をさせられてしまう緋色であった。

「花嫁修業の……進捗状況?」

ピンチに次ぐピンチに二人の気持ちすれ違い、そして……。

花嫁修業の確認を告げられた緋色は、一切進捗がないことに絶望していた。そんなピンチをなんとかするべく駆け回る緋色ではあったが、ななのの真っ直ぐな「嘘を嫌う」性格から、二人の気持ちに決定的なズレが生まれてしまう。そのズレた気持ちを取り戻すために、緋色の取った行動とは……。

本作の見どころは、少年漫画然としたラブコメを成し得ている点でしょう。怪我という概念を少し遠いところに置いた設定では、頑丈なキャラクター達を作り出すことができます。少年漫画のラブコメ作品に多い印象を受ける、このテのタイプの主人公を採用したのが本作というわけですね。リアリティという部分から少し遠ざかりますが、ヒロイン達との距離感を縮める手段としては、活用しやすい設定でもあるわけです。また、主人公が極めてスケベで軟派であるにも関わらず、純情で真っ直ぐな気持ちを持っていることは、ラブコメにおいてとても重要です。そういった意味で、ラブコメとしての土台、その土台に合わせた設定の上に本物語があると思うのです。「ニセコイ」や「TOLOVEる」なんかを面白く読んでいる方は、本作も楽しんで読むことができると思います。今巻での構成上、2巻の匂いはあまりしなかったのですが、踏み出せる要素もちゃんとあるのでぜひ続刊を期待したいところですね。対照的な二人が少しずつでも気持ちを近づけていくことができるのか、オススメの1冊となっています。

硬派な不良娘と軟派なスケベ少年の物語をぜひ手に取って読んでみてください。

©境京亮/KADOKAWA メディアファクトリー刊 イラスト:稲山

kiji_line

[関連サイト]

MF文庫J公式サイト

kiji_line

ランキング

ラノベユーザーレビュー

お知らせ