独占インタビュー「ラノベの素」 氷高悠先生『せきゆちゃん(嫁)』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は5月20日にファンタジア文庫より『せきゆちゃん(嫁)』が発売となる氷高悠先生です。インタビューには新たなシリーズを携えて2回目の登場です(1回目はこちら)。『せきゆちゃん(嫁)』という強烈なパワーワードが織り成す物語についてお話をお聞きしました。そもそもせきゆちゃんってなんなのさ!

【あらすじ】

心も身体も引火しやすい少女、せきゆちゃんは油天国『ユデン』出身の油天使。廃油にされそうな彼女を救うために、せきゆちゃんと結婚した水並灯也は、彼女から出る無限の石油で石油王としての勝ち組人生を滑り出して――!? 突然高校に流入してみたり、お風呂を油田にして恥じらったり、石油バディにサンオイルをおねだりしたり、かわいい化石燃料との新婚生活は、幸せもイチャイチャもハイオク満タンです! 火気厳禁な嫁と掘り出す、オイルショックラブコメディ!

――2回目の登場となる氷高先生です。どうもご無沙汰しております。

こちらこそ、ご無沙汰しております。今回もよろしくお願いします。

――今回の新シリーズですが、以前に比べてかなり早く動き出したなという印象を受けましたがいかがですか。

そうですね。前作からあまり間を開けずに着手できたのは嬉しく思っています。企画もスムーズに進行したので、この勢いでやっていけたらと思います。

――それでは早速ですが、新シリーズ『せきゆちゃん(嫁)』について教えてください。

ざっくり説明すると、掘り出した石油が美少女で、それがひょんなことから自分の嫁になるボーイ・ミーツ・オイルですね。そして嫁が出す石油によって極貧高校生が石油王になっていくサクセスストーリーです。

――……???

どうかしましたか?

――すいません、ちょっと頭がおかしい感じに何を言っているのかわからなかったので、もう少し踏み込んで聞かせてください。

頭がおかしい、だと……。

――というよりですね、この作品はサクセスストーリーだったんですね! そこにびっくりです!

嫁ができて石油王になるんです。これ以上のサクセスストーリーなんてありません。

――言われてみれば確かに……。では、もう少し掘り下げて本作の着想について教えてください。

では石油にちなんで掘り下げましょう。まず初めに考えたのは、パワーワードが欲しいなということでした。読者を惹きつけるような強烈なキーワードの存在です。そこから着想を広げて行き、辿り着いたワードが「石油王」だったんです。とはいえ、高校生が石油を掘り当てて石油王になるだけじゃ面白くないと指摘もいただき、どうしようかと。そんな折に身近なアドバイザーから「石油を美少女にしたらいいんじゃない?」って言われて。「それだ!」と思って、石油の美少女が生まれることになりました。

――擬人化コンテンツは珍しくないとはいえ、石油を擬人化するとは……。

正確に言うとせきゆちゃんは人間ではなく天使ですね。登場シーンも、主人公が庭を掘った結果、せきゆちゃんが埋まっていたわけで。ちょうど界面から出てくるタイミングで主人公たちにうまいこと掘り出されるわけです。せきゆ、掘り当てる、みたいな。天上には『エデン』があり、地下には『ユデン』があるんですよ。

※引火系ヒロインせきゆちゃん!

――『エデン(楽園)』に『ユデン(油田)』をかけてってやかましいわ!(笑)

思いついた時は名案だと思ったんですよ(笑)。世界観はちゃんとしていて『ユデン』は石油の女神であるアブラディーテが創った地下世界なんです。ただ、天上の天使とは少し格差といいますか、カースト的に『ユデン』の油天使は下に見られているんです。天上と地下ですし。せきゆちゃんはそんな天上の天使に愛も振りまけないのかとバカにされて悔しかったんですね。自分だって油を振りまくだけじゃなく、愛だって振りまけるのだと。もとが石油なので、性格もちょっと熱い感じです。熱くなったり嫉妬したりすると発火しますけどね。石油なんで。

――ラブコメディというか、もうギャグコメディですよね。主人公と掘り当てられたせきゆちゃんとのボーイ・ミーツ・ガールで笑えってことですよね?(笑)

いえ、私は徹頭徹尾純愛ラブコメを書いているつもりです。ギャグやコメディに大きく振っているつもりもないですし、普通にラブコメを書いているんです。私としてはむしろラブの要素を強めに書いていると自負しています。ただ、そう見えないってことは私の頭の中に油が湧いているってことなんでしょうね(笑)。

――仰る通り、純愛の要素が強いのも事実なんですよね。さて、せきゆちゃん以外にも実に濃いキャラクターばかりです。登場するキャラクターについても教えてください。

※作品を彩る個性が豊かすぎるキャラクターたちは必見!

まずは主人公の妹の水並明莉です。一言で表すならゲスな妹でしょうか。中学二年生にしてお金にうるさく、働いたら負けという考え方の持ち主でもあります。兄妹仲は比較的良いのですが、お兄ちゃんを利用して私は生きていくというスタンス満々のキャラクターでもありますね。最初の設定ではもっとマシな妹だったんですけど、どんどんゲスい成分が浸透してしまい、業を背負った生き物になってしまったんですよね。石油みたいにどんどん黒くなってしまったキャラクターでもあります。

――キャラクターよりもちょいちょい挟み込まれる油ネタが気になって仕方がないんですけど!(笑)。それはそれとして、ゲスい妹とは対照的な友人キャラクターがいますよね。

アブラダ=ホルトデル君ですね。

※アラブ出身の高校生、アブラダ君

――名前にもツッコみたいですけど、そもそもおっさんじゃないですか!(笑)

いえ、高校生です。

――いやいや、だって髭も生えてますし、この貫禄……!

いえ、高校生です。見た目は石油王っぽいだけの普通のアラブ人高校生です。出身地域を除けば、この物語で一番石油から遠い存在と言っても過言じゃありません。見た目に多少のインパクトはありますが、凄く良い友人キャラクターですね。ついでに言うと、荻pote先生にせきゆちゃんに次いでイラストで細かなオーダーをさせていただいたキャラクターでもあります。おかげで、そこに立っているだけで存在感溢れるキャラクターになりました。荻pote先生ありがとうございます!

――いろいろツッコミたいけども……! そういえば、定番のお金持ちキャラクターも登場しますよね。

はい、財閥の令嬢でもある青龍院美萌ですね。すごくおどおどしていて、コミュニケーションを苦手としているキャラクターでもあります。気がとにかく小さくて、人を上から見られないタイプです。あまりにも人と接することが苦手ゆえに、「よろしくね」の挨拶の手段として、お金を添えて渡してきます。ツンツンもしていなければ、お嬢様然とすらしておらず、常に怯えているキャラクターですね。

――彼女の登場シーンは大体お金が撒かれているんですけど、クラスメイトだけでなく教師も群がっていて、ゲスいとしか言いようがない描写も散見してますよね。

そうですね(笑)。これは自分が書く作品で登場する学校のキャラクターに共通する点でもあって、大抵クズになってしまうんです。毎回担当さんにも、学校の登場人物がクズすぎるからなんとかしようってよく言われます。前作もそうでしたし、前々作でも言われてました……。

――ありがとうございます。せっかくなので作品にちなんだ話題を。最近ご自身の周りで水と油で例えられるような出来事があれば教えてください。

うーん、考えてもあんまり思い浮かばないんですよね……。

――作品にもインタビューにも油ネタを挟む気概があるんですから、きっと何を喋っても面白いはずです、どーぞ!

ハードル高っ! ……そうですね、基本的に私もオタクですし、石油が美少女みたいなわけのわからないものを書いてたりするわけです。なので一般社会では擬態をしていてそこが水と油的な……。

――急にコメントが普通に(笑)。

勘弁してください(笑)。水と油の話題といいますかちょっとした裏話ではありますが、この作品を出版するにあたって、担当編集さんがガソリンスタンドからコメントをいただこうと動いていたらしいのですが、ことごとく断られてしまったというお話があったり(笑)。やっぱり引火する女の子はガソリンスタンド的にもダメだったんですね。

――引火する女の子を推せないガソリンスタンド! まさに水と油な出来事じゃないですか(笑)。

あれ、本当だ。このお話ぜひ採用してください(笑)。

――ばっちり採用ですよ! さて、本作とこれまでの作品における違いやPRしたい点があれば教えてください。

そうですね、これまでの作品との違いは主人公のタイプでしょうか。作品としても全体的に明るいお話なので、後ろ向きな要素に負けないしめげない凄く前向きなキャラクターとして描いています。これまでの作品以上に明るく楽しくという点では、気軽に手に取ってもらえるんじゃないかなと思います。

――同日に発売する「ドラゴンマガジン7月号」に短編が、店舗特典でも様々なSSが貰えるとうかがっていますが、どんな内容なのでしょうか。

ドラゴンマガジン7月号には「密着!石油流出24時!!」という短編が掲載されます。せきゆちゃんの好きな食べ物であったり、休日の過ごし方だったり、せきゆちゃんの1日に密着するお話です。各店舗特典のSSには、せきゆちゃんの細かな謎や秘密が語られるショートストーリーを綴っています。せきゆちゃんの生態や特徴に迫る内容なので、全部手に入れることができれば、せきゆちゃん博士になれるかもしれないですね(笑)。あとは、とらのあなさんでは有償特典としてイラスト描き下ろしB2お風呂ポスターがついてくる限定版が出ます。またアニメイトさんの特典掛け替えカバーは、せきゆちゃんの抱えている灯油タンクが青くなっている西日本仕様です!(※灯油タンクは東日本では赤色、西日本では青色がスタンダード)

――それでは最後にファンのみなさんに向けて一言お願いします。

人間だれしも美少女と結婚して暮らしたいとか、石油王になって楽して暮らしたいとかあると思います。せきゆちゃんには、そのすべてが詰め込まれているので、せきゆちゃんが起こすトラブルに笑ったり、可愛い一面にキュンとしていただければと思います。一石二鳥どころか、一石油でお金と嫁がゲットできます!

――本日はありがとうございました。

<了>

美少女の石油と共に新婚生活をスタートさせるボーイ・ミーツ・ガール(オイル)を描いた氷高悠先生にお話をうかがいました。1ページに1つの石油ネタを盛り込む勢いで綴られ、個性豊かすぎるキャラクターが楽しく描かれている『せきゆちゃん(嫁)』は必読です!

©氷高悠/KADOKAWA 富士見書房刊 イラスト:荻pote

[関連サイト]

ファンタジア文庫公式サイト