『青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿』が発売 花嫌いな新入社員と風変りな植物園を舞台にしたやさしい物語

宝島社文庫刊『青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿』が、2020年8月6日に発売された。本作は高校卒業と同時に安定を求めて公務員の職に就いた花澤咲良が、まったく想像していなかったとある職場で働くことになって……という物語だ。彼女は仕事にやりがいを求めるわけではなく、ただ安定した人生を送るために高校3年間を公務員試験に費やした。そんな彼女の配属先は植物園。「花が大嫌い」な咲良にとっては、まったくもって好ましい職場ではないという最悪の展開から物語は動き出していく。

 

 

青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿

 

 

【あらすじ】

花澤咲良は、絶望していた。高校に入学してすぐ始めた公務員試験の勉強。周りに笑われながらも、一日も早く「安定した人生」が欲しい咲良はくじけなかった。努力は実り、高校卒業、晴れて夢の公務員になった咲良。しかし、喜びも束の間、なんと配属先は県の公園にある植物園だったのだ。「花が大嫌い」な咲良にとっては最悪の展開だ。重い足を引きずりながら植物園へ向かった咲良を出迎えたのは、満開の藤棚とお喋りな九官鳥、そして花をこよなく愛する男性・宇喜多で…。花嫌いな少女と風変わりな植物園が紡ぐ、しずかでやさしい物語。

 

 

咲良は花が大嫌いで、植物に関する知識もほとんどない。そんな自分がなぜ植物園に配属されたのか。その理由を知った咲良は上司に向かって思いの丈をぶちまけてしまう。咲良の上司であり、植物に目がない宇喜多との邂逅は、まさかの衝突から始まってしまうのだ。一方の宇喜多も、若い咲良が植物園を盛り上げてくれると期待を寄せていただけに、大きなショックを受けてしまう。正真正銘の植物馬鹿で、おどおどとした雰囲気をまとう宇喜多と、ちょっぴり強気だけども自身を顧みることのできる咲良のコンビ。凸凹な二人少しずつ歩み寄り、噛み合っていく姿にも注目しながら読んでもらいたい。

 

ほとんどお客さんがやってこない植物園の売店を中心に働き始める咲良は、宇喜多とだけではなく九官鳥のふーちゃんともいいコンビになっていく。ふーちゃんが喋ることわざの数々は、時に辛辣であり、時に場を和ませてくれたりと、本作の注目ポイントのひとつ。植物園を訪れる様々な人々と触れ合い、植物にまつわるちょっとした不思議と向き合いながら、咲良の花嫌いの真相も少しずつ明かされていくことになる。最悪の展開から始まる、しかし静かでやさしい物語はぜひ読んでもらいたい。

 

 

©有間カオル/宝島社

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青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿 (宝島社文庫)

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