【特集】画集『Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス』発売記念 イラストレーター・鵜飼沙樹先生インタビュー

MF文庫J刊『異世界拷問姫』やオーバーラップ文庫刊『異世界迷宮の最深部を目指そう』などの装画を手掛けるイラストレーター・鵜飼沙樹先生の初画集『Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス』が、2020年9月25日に発売された。画集には『異世界拷問姫』の全イラストのほか、『魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき』のイラストなど150点以上を収録しているほか、描き下ろしのピンナップも収録されている。そしてこのたび、画集の発売を記念してイラストレーター単独でのインタビューを敢行した。表紙を飾った『異世界拷問姫』についてはもちろん、ご自身のイラストとの向き合い方や仕事への取り組み方など、ファンが知りたいイラストレーターの裏側について様々に語っていただいた。

 

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

鵜飼沙樹です。出身は兵庫県で、伊丹市に生まれて現在は神戸に住んでいます。好きなものは食べ物のお話になっちゃうんですけど麺類全般で、苦手なものは生の海藻類です。最近ハマっているものはASMR動画です。ASMRというのは自律感覚絶頂反応という訳だったと思うんですけど、脳がゾワゾワする反応や感覚のことを指します。私は音楽を聴きながら絵を描くことが多いのですが、いろいろ聴き続けてきた結果、ASMRに辿り着きました。有名どころだと耳かきの動画ですけど、私はペンで字を書く音やハサミで紙を切る音、ディープなところだと食べ物の咀嚼音をよく聞きます。音に規則性がないので飽きないですし、すごく絵に集中できるんですよね。

 

 

――鵜飼沙樹先生のハンドルネーム(HN)は本名だそうですが、なぜ本名を使おうと思ったんですか。

 

イラストレーターになろうと決心したのが学生の延長線上のタイミングでして、いわゆる中二病も延長していた時期だったんです。なので、ここで考えて決めても後々後悔するだろうなという思いもあって、ちょうど本名がまぁまぁいかつい字面の名前でしたので、ちょうどいいかなと(笑)。同姓同名の方も少ないだろうと思ったのもありましたね。

 

 

――本名とはいえ画数も非常に多く、サインなども大変そうですね(笑)。

 

そうなんですよ。私のサインは後から見返しても名前が読める可読性の高いものにしたいと思って、漢字をすべて書いています。ひとつサインを書くのにもかなり時間がかかりますね(笑)。

 

 

――あらためて鵜飼沙樹先生がイラストレーターとして活動されるようになるまでの足跡をお聞きしてもよろしいでしょうか。

 

私が絵自体を描き始めたのは、幼稚園の頃でした。休み時間にほかの子は校庭に行ったり、ピアノを弾いたりしている中で、いつもノートに絵を描いていました。イラストレーターの道を具体的に意識したのが高校を卒業した頃で、イラストの道か声の道か、どちらかに進みたかったんです。イラスト自体はずっと描き続けていたので、学校に行ったりしなくても自分で勉強ができると思い、声優系の学校に進むことにしました。その結果、絵の方が向いているなと自覚するところもあり、卒業と同時にイラストレーターを本格的に目指そうと思いました。

 

 

――声優の道も一時期は目指されていたのですね。その後、イラストレーターとしてどのような活動を始められたのでしょうか。

 

イラストレーターを目指そうと思ったちょうどその頃に「Pixiv」が話題になり始めていたんです。私もまずは知名度というか、イラストレーターとしての認知度を高めたいと考えて、イラストの投稿を始めました。ありがたいことに様々な反響や反応をいただきまして、初投稿後3ヶ月くらいで同人のCDジャケットのご依頼をいただいて描かせていただきました。その後も同人のイラストをちょこちょこと担当させていただくようになりましたね。

 

 

――なるほど。商業のお仕事を手掛けられるようになられたのはいつ頃からだったのでしょうか。

 

同人でお仕事をご依頼いただくようになってから、1年後くらいだったと思います。角川スニーカー文庫の担当様にお声をかけていただき、『カレイドメイズ』という作品の装画を担当させていただきました。そこから様々なライトノベル作品のイラストを中心にお仕事を手掛けさせていただくようになり、今に至る感じです。

 

 

――商業にも活躍の幅を広げ、このたび初となる画集が発売となりました。あらためて心境をお聞かせください。

 

ファンの方には以前から「画集を出さないんですか」と聞かれることは多かったので、今回画集を発売することができて非常に嬉しいです。担当の編集さんからは画集を出したいとずっと言っていただいていて、今回実現に至ったのは本当にありがたいことです。

 

 

――ご自身が装画を担当しているライトノベルが発売されることとはやはり心境としても違いますか。

 

だいぶ違いますね。大変ありがたいことにライトノベルのお仕事もたくさん携わらせていただいていますが、ライトノベルのイラストは商品としての「主役」ではなく、小説をより楽しんでいただくためのものだという意識が強く、そういう意味でも画集は商品価値が「絵」に集約されるわけじゃないですか。画集については、絵それ自体を選んで買っていただくという意識や心持ちがあるので、感覚は大きく違いますね。

 

異世界拷問姫

※イラスト全点が収録されている『異世界拷問姫』シリーズ

 

 

――それでは発売された画集『Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス』の表紙のテーマをまずは教えてください。

 

今回の画集は『異世界拷問姫』のイラストが大半を占める画集でもあったので、『異世界拷問姫』の誰かを描こうと思っていました。最初は大人数で描こうと思っていたんですが、個人的に大人数のイラストはキャラクター同士の関係性に焦点があたるように感じているんですよね。今回はよりイラストそれ自体に意識がいくように『異世界拷問姫』のエリザベート一人を描くことにしたんです。作中のエリザベートは黒の衣装がベースでしたので、画集ならではのいつもとは違う姿を描きたくて、思い切って白の装いにしました。表紙のメイキングは画集にも収録されているのですが、『異世界拷問姫』の作中でも料理のシーンが私個人として印象的だったことや、「生物の死体を食べる為に加工する」場所という日常でありながら残酷なイメージがピッタリだと思い、背景や小物はキッチンをイメージしています。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス カバー

※白の装いで表紙を飾ることになったエリザベート

 

 

――また、画集の冒頭には『異世界拷問姫』のカバーイラストが一挙に掲載されていますが、ご自身の中で一番印象的なカバーイラストはどれでしょう。

 

どのカバーも印象深いんですが、第4巻の表紙は一番時間がかかったというのもありまして、渾身の一枚と言えるかもしれません。『異世界拷問姫』は、カバーの折り込みの部分までイラストを印刷していただいていたので、すべて大きなサイズで描いています。第4巻のカバーの背景にはたくさんのお墓をイメージしたイラストを描いているんですけど、お墓のデザインをたくさん考えたり、お墓ごとに異なる種類のお花を描いたり、地道な作業をひたすらやっていました。ずっと記憶にも残っていて、非常に印象深い一枚です。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス01

※渾身の一枚だという『異世界拷問姫』第4巻のカバーイラスト

 

 

――鵜飼沙樹先生はイラストの書き込みが非常に細かく丁寧という印象があるのですが、作品によって描き分けているわけではなく、画風と捉えてよいのでしょうか。

 

そうですね。絵の細かさは画風だと思います。デジタルだと何百パーセントに拡大して描くので、やっぱり気になるんですよね。引きで完成したイラストを見るにあたっては、イラストらしい雑さと言いますか、抜け感が残っている方が好みではあるんですけど、ついつい細かく描いてしまいます。私としてはイラストにリアリティを感じて欲しいと思っていて、リアリティを感じていただければ、イラストに臨場感も感じてもらえると思っているので。リアリティにこだわりながらも、イラストとしての良さも残しつつ……と頭を抱えながらバランスを取っています(笑)。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス02

※イラスト一枚一枚の描き込みをじっくり見て楽しむこともできる

 

 

――鵜飼沙樹先生の画風の細かさの由来として、参考にしていたイラストレーターはいらっしゃいましたか。

 

イラスト的なイラストを描き始めたのは小学校の頃で、種村有菜先生の『神風怪盗ジャンヌ』という漫画がありまして、その画風をずっと真似していました。それから中学時代にパソコンを買ってもらい、ネット環境でいろんな方のイラストが見られるようになりました。本当にいろんな絵の真似をしていたと思うんですけど、私のイラストの基礎や土台はこの頃にできあがったのだと思います。高校時代は韓国のキム・ヒョンテさんというイラストレーターの影響をすごく受けていました。影の彩度の落とし方だったり、当時は影響を受けていると一目で分かるような画風だったんじゃないかと。

 

鵜飼沙樹 デビュー前01

 

鵜飼沙樹 デビュー前02

※商業デビュー以前の2008~2009年頃に描かれたイラスト

 

 

――お話をうかがっていると、具体的に誰かの影響を受けたというよりは、様々な影響を集約した結果、現在の画風が確立されたように感じますね。

 

そうかもしれません。商業でデビューさせていただいてからも私の絵は結構変わっていますし、現在は日々世界中の方々のイラストを見ることができるので、そのすべてに影響を受けていると思います。特に最近はアジア圏のイラストレーターさんのイラストに魅力を感じることが増えてきていて、ある程度同じ方向性の嗜好の中にありながら、自分にはない感性を持っている方の絵をいいなと思うことが多いです。

 

 

――イラストを描くモチベーションはこれまでも様々に変化されてきたりしているのでしょうか。

 

絵を描くことに対するモチベーションは、それこそ幼稚園の頃からずっと変化はないですね。絵を描くことの楽しさが最大の原動力になっています。商業の作品を手掛けるようになってからは、私の絵を見てくださる方が一気に増え、感想などもいただけるようになりました。現在はそういったファンの方からの反応もモチベーションに加わっています。絵を描くことをやめようと思ったことも一度もありませんし、声優に挑戦しようと学校に通っていた間も絵はずっと描き続けていましたね。

 

 

――趣味のイラストと仕事のイラストとで意識を変えていることはあったりしますか。

 

自由になんでも好きなものを描ける趣味の絵とは違って、仕事の絵は難易度があがりますよね。描くシチュエーションが決まっていたり、キャラクターのデザインはある程度自由にできるとはいえ、独特の難しさがあります。電撃文庫の『ブラック・ブレット』に携わらせていただいた時に、ライトノベルはどうしても男性向けという印象があり、男性に受け入れやすい絵を描いた方がいいのかなと悩んだこともありました。今でこそ男性向けを極端に意識するようなことはなくなりましたが、私のことを今でも男性だと思われている方が結構いらっしゃるので、そういう意味では目論見として成功してたのかなって感じますね(笑)。

 

 

――ひとつ聞いてみたいこととして、イラストレーターとして活動する1日のスケジュールはどのようにされているのか教えていただけますか。

 

私の場合は眠たくなったら寝て、目覚めた時に起きてるんですけど、毎日1時間ずつズレて、自然と25時間周期になっていますね。なので、朝起きることもあれば、昼に起きることもあるし、夜に起きることもある……としか申し上げられないんですが(笑)。

 

 

――もう少し詳細に、ご自身の習慣や作業時間などについても教えてください。

 

起床と同時にパソコンを起動させるところから始まり、パソコンの立ち上がりを待っている間に朝食(1日の1食目)を済ませます。その後メールのチェックを行い、日課になっているソーシャルゲームのプレイですね。その後は昼食(2食目)の休憩なども挟みつつ、寝るまでずっと絵を描いています。休憩は本当に最低限で、描いている時はずっと集中しています。睡眠時間は8時間前後取っているので、仕事の時間は1日あたり10~12時間くらいになるのかな。寝る前に20~30分ほど文化史の本などを読んだりしますけど、仕事の日の一日のスケジュールは本当にこんな感じですね。

 

 

――お休みの日はどのように確保されたり、過ごされたりしているんですか。

 

私は1か0かのタイプなので、仕事をしている時の休憩は不要ですし、休む場合は1日しっかりと休むって感じです。とは言っても休日は休日で趣味の絵を描いている時間が多いかもしれません(笑)。完成まで描くことはほとんどないですけど、何かしら描いてはいますね。本当はもっとずっと描き続けていたいんですけど、アウトプットするためにはインプットや休息も必要だと思っているので、運動したり漫画を読んだり、ゲームで遊んだりもするんですけど、自身の欲としてはずっと絵を描いていたいです(笑)。

 

 

――その描き続けたい欲の先には何か見据えているものがあったりするのでしょうか。

 

プロのイラストレーターとしてやらせていただいている身でこういうのもあれなのですが、未だ練習中というか、いつまでたっても未熟というか、もっとうまくなりたいという欲が幼稚園の頃から変わらないんですよね。目標というものが明確にあるわけではないんですけど、うまくなりたい、もっと描きたい欲がずっと続いている感じです。好きなことを仕事にさせていただいているので、苦に感じることもないですし。

 

 

――ご自身のイラストの強みは何だと思いますか。

 

やっぱりダークさと、あとは自分以上に周囲に言われることでもあるのですが、ただ可愛い、格好いいだけの絵じゃなくて、何かしらのメッセージ性がある絵なのかなと。ダークさについては、そのダークな感じを受け入れやすく、より多くの方に受け止めてもらえるようなイラストにするのが、私自身得意なのではないかと思っています。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス03

※目を惹くダークさは鵜飼沙樹先生のイラストの大きな魅力になっている

 

 

――鵜飼沙樹先生はライトノベルのイラストを複数手掛けられていますが、取り組むにあたってライトノベルならではとして意識していることや気を付けていることがあれば教えてください。

 

ライトノベルは表紙だけではなく、口絵や挿絵もセットで作業をするという点は独特ですよね。私は最初、モノクロの絵をどうやって描けばいいのかわからなくて、厚塗りの技法で描いていた時期があったんです。それだと紙の媒体になった時に、表現としてちょっと適さないということもあり、線画を強調する技法にシフトしたりもしました。なので、カラーの絵は厚塗りで描き、挿絵は線画を強調して描くんです。ほかにも厚塗りの時はレイヤーを使わなかったり、線画の時はレイヤーを使ったり、絵の種類ごとに描き方が違っていたりもしますね。今でこそ線画は得意というか描きやすくなりましたけど、そういうところはライトノベルならではなのかなと思います。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス08

※最初は苦手だったという挿絵も今では魅力的に仕上げられている

 

 

――また、口絵のイラストにやや苦手意識を持たれているようだとお聞きしました。

 

そうなんですよ(笑)。私はイメージ的なイラストを描くのが得意なんですけど、口絵の場合は決まった時刻であったり、格好であったり、特定のシーンを指定に沿って描かなきゃいけないことが多くて、いつも苦手意識を感じています。具体的な苦手の原因は私自身まだわかってないんですけど……。挿絵は大丈夫なのにどうして口絵はダメなんでしょうね(笑)。

 

 

――口絵ならではの難しさがあるのかもしれませんね。

 

あくまで私個人の感想なんですけど、口絵って他のイラストとはちょっと違っているような気がするんです。絵を通して自分の伝えたいことや、込めたいことを描くというより、状況を説明したり、情報を伝えたりするようなものに感じられると言いますか。説明としてのイラストを描くという作業が、あまりしっくりきていないのかもしれません。もちろん、挿絵もある程度そうなんですが、口絵は基本的に横長というのも描きにくいと感じる要因だと思います。

 

 

――『異世界拷問姫』は後半になるにつれて、シチュエーションからイメージイラストに切り替えるよう指定を変化させていたと担当編集さんからうかがいました。

 

ということは苦手意識がバレてたんですね(笑)。後半になるにつれて描きやすいなって感じてたんですよ。なんか最近調子よく描けるなって。指定の時点から配慮していただいていたんですね、ありがとうございます(笑)。

 

 

――女性キャラクターや男性キャラクターなど、描きやすいキャラクターとそうでないキャラクターなどはありますか。

 

男性と女性のどちらが得意かというのはあんまりないですが、ライトノベルのお仕事だと女性キャラクターを描く機会が多いので、経験値的には女の子の方が高いかもしれません。あと男性キャラクターに関しては、服のパターンが女性キャラクターに比べて少ないので、デザイン面での難しさはあると思います。キャラクターイラストの場合、究極的にはいかにして格好良く、そして可愛く描くかという命題があるので、イケメンだとか美少女だとか描写されているキャラクターは逆に描きやすかったりします。なので、平凡な見た目であるとか、主人公には特にそういった描写の傾向があると思うんですが、ちょっと難しさを感じる時はありますね。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス06

※男性キャラは衣装の面で難しさを感じることも……

 

 

――獣人なども本画集には収録されていますが、描きやすさとしてはいかがでしたか。

 

私自身、これまでケモノに寄った獣人キャラはほとんど描いたことはなかったんですけど、特に描きにくさはありませんでした。非常に楽しかった反面、服を着せるのがとにかく大変でしたね。骨格はどうなっているのだろうとか、どこまでケモノに寄せていいのかだとか。肩幅や膝の関節も人間とは異なっていたので、考えることは多かったです。

 

 

――『異世界拷問姫』ではゴシック風の衣装が目立っていましたが、ご自身として得意な衣装デザインなどはあったりしますか。

 

私はドレッシーな衣装が好きなので、『異世界拷問姫』のようなゴシック調の衣装をはじめ、得意というか結構描く機会は多いです。衣装のデザイン自体も好きですし楽しいので、凝った衣装にしたくなります。そこからさらに唯一無二のものにしたいという欲が強くなってしまうので、どんどん衣装そのものが細かくなっていってしまうという悪癖があったりもしますが(笑)。

 

 

――あらためて画集に収録されているイラストの中で、みなさんに特に見てもらいたいイラストを選ぶとしたらどれでしょうか。

 

『異世界拷問姫』のカバーのお話でも触れさせていただいた第4巻の表紙はやはり見ていただきたいです。頑張って24種類のお花、47種類のお墓を考えたので、よかったらお気に入りのデザインを見つけてみて下さい(笑)。あとは『異世界拷問姫』を読まれていた方には「おっ」と思っていただけるんじゃないかなと思っている、描き下ろしのピンナップでしょうか。画集用に描き下ろさせていただいたのですが、本当に好きなように描かせていただきました。画集の表紙がエリザベートのピンでしたので、最初はオーソドックスな集合絵にしようと思ったんですけど、ストンと落ちない部分があり、もう一度考えた結果、どうせなら『異世界拷問姫』を読んでいる方に向けたイラストを描こうと思ったんです。作中では実現できなかったシーンとして描かせていただきました。

 

Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス04

※『異世界拷問姫』の作中では実現できなかったシーンを描き下ろしたという一枚

 

 

――そのピンナップは綾里けいし先生も「膨大な涙を流した」とTwitterでつぶやかれていましたね。

 

そのツイートは私も拝見させていただきました。ピンナップに込めたテーマは、正直語る必要はないとさえ思っています。『異世界拷問姫』の結末は9巻で書かれたものでしかありえないと思います。けれど誰もが多くのものを失いながらたどり着いたエンディングであることも事実だと思います。私はシリアスな物語は好きなんですけど、そのシリアスなものが終わった時に、舞台裏で登場人物たちが笑い合っている、そんな景色や設定も好きなんですよね。本編ではあり得ないシーンなんですけど、みんなが幸せなシーンを描きたいという想いがあって描かせていただきました。あとは見てわかってください!(笑)。

 

 

――また、画集の発売にあわせてクラウドファンディングも実施されていました。振り返ってみて反響はいかがでしたか。

 

当初の想定の10倍以上の方にご購入をいただいて、正直びっくりしました。価格としてもかなり高価な複製原画のセットは、最初にクラウドファンディングのお話をいただいた際に、「そのプラン需要あるでしょうか? いりますか?」って編集さんに伝えていたんですよ(笑)。本当におひとりかおふたり、購入してくださる方がいれば奇跡だと思っていたので、嬉しさと驚きでいっぱいでしたね。クラウドファンディングにご参加いただいたみなさまには言い表せないくらいの感謝の言葉でいっぱいです。先ほどお話にあがりましたが、こうして絵自体に価値を見出していただいたことに、ただただ感動しました。本当にありがとうございます。

 

 

――それでは今後に向けた抱負などがあれば教えてください。

 

最近とあるきっかけでお絵かき配信を行わせていただいたんです。本当は1回きりの予定だったんですけど、これからもやってほしいという多くの反響をいただきました。機会があれば配信も並行してやっていけたらとは思っています。絵についても、まだまだ精進する余地があると思っているので、成長していきたいなと思います。目標については、現在が叶っている状態(絵を描き続けるということ)でもあるので、この先もずっと叶え続けたいって感じですね。

 

 

――最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

 

いつもありがとうとございますという感謝の気持ちしかありません。本当に応援をしていただいてありがとうございます。私は絵を一人で描くんですけど、その絵を見てくださる方がいて、初めて絵は完成するのだという感覚でいつも取り組んでいます。ファンのみなさんや私の絵を見てくださるみなさんは、絵を完成させてくれる大切な存在ですので、今後も応援をしていただけたら嬉しいです。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

初の画集が発売されたイラストレーター・鵜飼沙樹先生にお話をうかがった。『異世界拷問姫』の全イラストを収録し、一枚一枚細かな箇所まで見どころの多いイラストが満載の1冊。画集『Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス』は好評発売中。

 

 

kiji

[関連サイト]

『終焉の花嫁』&『異世界拷問姫』公式Twitter

MF文庫J公式サイト

 

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Salty Colors 鵜飼沙樹アートワークス

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