『Only Sense Online』最新19巻が1年ぶりに発売! 今からでも読みたくなる魅力満載の「オンリーセンス・オンライン」の世界

ファンタジア文庫刊『Only Sense Online-オンリーセンス・オンライン-』の最新19巻が、2020年11月20日に発売された。最新刊の発売は約1年ぶり。シリーズ累計は100万部を突破する人気シリーズであり、昨年にはシリーズ5周年を記念した人気投票企画も開催され話題を呼んでいた。そしてこのたびの第19巻からはイラストレーターの交代も発表。ゆきさん先生からmmu先生に変更となるなど、作品としてもひとつの転機を迎えている。シリーズとして第20巻の大台も目前に迫っており、今後の展開も気になる本作。二桁巻となると、読んでみたいけどなかなか手が出しづらいという読者も少なくないはず。そんな方でも今から読みたくなる『Only Sense Online』の魅力をたっぷりとお届けしていきたい。

 

 

Only Sense Online 19

 

 

■『Only Sense Online』ってどんな物語?

 

『Only Sense Online』は、VRMMORPGを舞台にするネットゲームを題材にした物語だ。姉、妹、悪友とゲーマーに囲まれる主人公の峻が、『Only Sense Online』の正式サービスに合わせて家族や友人たちと一緒にゲームプレイを、いわゆる「エンジョイ勢」として楽しんでいく。デスゲームに巻き込まれるわけでもなければ、ゲーム世界へと転生するわけでもなく、日常と共にあるゲームプレイの様子が描かれていくわけだが、峻はゲームの世界に降り立つ直前のキャラクターエディットでちょっとしたトラブルに見舞われてしまう。『Only Sense Online』はプレイヤー本人の容姿を投影してキャラクターエディットが行われるわけなのだが、その結果システムが性別を誤認。峻は女性キャラクター・ユンとして登録されてしまい、ゲームの世界へと羽ばたくことになってしまうのである。

 

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本人にとってはただただ不幸な出来事でしかないのだが、物語にとってはこの性別反転がなくてはならない要素であり、そして最高のスパイスになっているのだから、ユンくんご愁傷様である。そんなユンを中心に描かれる本作は、私たちにゲームで遊ぶことの楽しさはもちろん、2020年現在もまだ本格的な実用段階に至っていないVRMMORPGの未来をワクワクと想像させてくれる作品でもある。「楽しくないはずがない」そんなゲームの魅力をめいいっぱい詰め込んでいるのが『Only Sense Online』という作品なのだ。

 

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■ユンの中性的な魅力が生む破壊力も注目のポイント

 

キャラクターエディットのシステムから分かるように、『Only Sense Online』の世界にはネカマ(※男性が女性に扮してゲームをプレイするスタイル)が基本的には存在しない。つまり、ゲームの中で出会うキャラクターは例外なく、ユンを女性であると間違ったままコミュニケーションを取ってくるわけである。家族であるミュウやセイ姉、悪友のタクなど、ユンが本当は男であることを認識している層はごく一部。物語においては「俺は男だ! 嬢ちゃんって呼ぶな!」というユンの叫びに、「そういうロールプレイなんですね」というお約束とも言えるやり取りは、自分が男であることを主張し続けるユンの努力と相まって本当に面白い。

 

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実際リアルのユンは中性的な見た目で、妹のミュウの家事スキルが絶望的であるため、料理をはじめとした家事能力は非常に高い。ゲーム中でも料理センスを駆使して食べ物を振る舞うシーンは何度もあり、知らず知らずのうちに自身のファンを増やしていることに恐らく本人は気付いていないのだろう。ホラーやお化けが苦手という弱点も、ユンをますます中性的な存在たらしめている。奇しくも発生してしまった性別の誤認は、ゲームシステムに本人も無自覚に内包する女性らしさを見透かされたという見方もできなくはないのだが、真実を知るのは著者であるアロハ座長先生のみであろう。ともかく、ユンが男の子であると分かっていながらも、ゲームの中で時折見せる瞬間的な「可愛さ」は恐ろしい魅力であるし、ハマってしまう方は間違いなく存在すると断言できる。そして何より、ユンがゲームを楽しみながら遊んでいることが、読み手へとダイレクトに伝わってくること。これこそが本作最大の魅力と言っても過言ではない。

 

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■第1巻を通して知る『Only Sense Online』の基礎システム

 

さて、ここからは実際の刊行巻とあわせて、物語の展開と本作の更なる魅力に触れていきたい。まず『Only Sense Online』はセンスと呼ばれる能力を組み合わせ、「唯一」の強さを目指すことができるVRMMORPG。10個のセンスの組み合わせは無限大で、あらゆるゲームプレイングを楽しむことができる。ゲームの初心者でもあるユンは、「ガチ勢」である姉や妹の足を引っ張らないよう、「エンジョイ勢」としてサポート職を目指すことになる。誰も選ばないセンスこそが、かゆいところに手が届く隙間産業となるに違いないと信じるのだが、その結果はなんとなく想像がついてしまうところだ。効率を重視するゲーマー的視点で言えば、選ばれないセンスには選ばれない理由があるからだ。結局、残念なセンスを中心に取得してしまったユンなのだが、その常識を覆すのが本作の面白いところでもある。つまるところ、ゲーム開発側の視点で言えば、まったく無意味なセンスを実装するはずがないということでもある。後々の第10巻においては「ユンの所持センスはバラバラでカオス状態なのに、キャラクターとしての性能は中途半端になっておらず、上手い具合にまとまっている」という周囲の気付きや評価も出てくる。物語という以上に、ゲームとしての面白さがきちんと設計されている、そんな印象を随所で受けるのも本作の大きな特徴だろう。

 

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初心者のユンは特殊なセンス構成でゲームをコツコツと楽しんでいく。金欠に悩まされながらもポーションを生産したり、アクセサリーを生成したり、失敗と成功を繰り返しながら、自分流の楽しみを見出していくのだ。そうして作ったアイテムをきっかけに、マギやクロード、リーリーといった生産職の仲間とも出会うことになる。前線で戦うのはミュウやセイ姉、タクの領分。ユンはサポートに徹するという当初の目的のままにゲーム生活を楽しく満喫していくのである。

 

 

■アトリエールと幼獣と生産ギルドと

 

第2巻から第5巻では、OSOのより深い機能に付随したエピソードが多く描かれていく。第1巻の最後にユンが手に入れた自分のお店「アトリエール」。NPCのキョウコさんを雇ったり、畑で素材を栽培したり、「料理」スキルを活かしてお菓子や食べ物を提供したりと、OSO内におけるユンの生活の基盤がここに集約されていく。「アトリエール」には生産職の仲間をはじめ、様々なプレイヤーが来訪してくる。生産職プレイヤーとしても地味に知られるようになったユンのもとには、喜ばしい出会いだけではなく、ちょっとしたトラブルめいた話を持ち込んでくる者も少なくはない……。

 

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そして「出会い」のエピソードはプレイヤーだけではない。ユンがソロプレイヤーとして活動を続けられるのも、リゥイやザクロといった使役MOBの存在あってこそだからだ。以降の物語において、ユンの傍にいるリゥイやザクロの存在は必要不可欠であるし、なぜユンが【保母さん】という二つ名で知れ渡っていくことになるのか、その重要な鍵を握っている存在でもあるからだ。【保母さん】に至るエピソードはぜひ本編を読んでもらいたいし、繰り返しお伝えするがユンは男の子である。

 

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また、ギルドというシステムにおいて、ユンは「生産ギルド」の起ち上げにも大きく関わっていくことになる。その前後ではPK(プレイヤーキラー)との衝突や、「蘇生薬」の生成に臨む生産職ならではの挑戦も描かれていく。本作ではOSOの世界における経済的な仕組みについて触れられることも多く、センスの組み合わせによるオンリーワンの効果はもちろん、合成や錬金レシピそのものへの価値にも言及されるシーンは多い。ユンの万年金欠も徐々に解消されていくことになり、巻を追うに連れて「こんな仲間に囲まれてVRMMORPGを遊ぶことができたのなら、どんなに楽しいだろうか」という想いが一層強くなっていくことは間違いない。

 

 

■新たな出会いと趣味センスとOSOの∞な遊び方

 

第6巻から第10巻までは、新要素やOSOの「遊び方」に繋がるエピソードが多くなる。妖精クエストによる「いたずら妖精」との出会いは、振り回されながらも少しずつかけがえのない存在となっていくユンと妖精のやり取りに心温まった読者も多かったに違いない。そして第4巻で登場したライナとアルという後輩プレイヤーとの掛け合いも増えていく。初心者プレイヤーとして教えることよりも教えられることの多かったユンが、ライナとアルにあらゆるシーンで手ほどきや手助けをする姿は、ゲーマーとしてのユンの成長も強く感じる。猪突猛進な姉のライナと、姉に逆らえない弟のアルのコンビは相変わらずで、「アトリエール」の常連としてユンの周囲を賑わせてくれる。

 

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センスに関するエピソードからは趣味センス「登山」が脚光を浴びた。OSOの世界で山登りを楽しむプレイヤーとの出会いは、本作における「趣味」と「遊び」にあらためて焦点があてられたエピソードだったように思う。センスの取得はゲームのバランスを考慮すると、どうしても効率を中心に考えられがちなのだが、「登山」センスの取得はユンとタクに新素材や新ダンジョン発見といった、これまでOSOでは見えていなかった新しい一面をもたらすことになった。センスの取得とゲームのバランスは、生産職がもたらす回復アイテムの需要と供給にも深く繋がっており、あらためてゲームシステムの秀逸さに驚かされるばかりだ。「遊び方」ではプレイヤー待望となる11個目のセンス拡張クエストの登場や、ユンの良き相棒であるリゥイの成獣化など、見どころも多い。このあたりになるとプレイヤーだけでなく、NPCからの女性扱いに対しても憤慨するユンの姿もちょくちょくみられるようになってくるので必見だ。

 

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■アップデートと拡張が続くOSOの世界

 

第11巻以降は新要素に関するエピソードが濃くなるほか、様々なキャラクターの成長した姿も見られるようになっていく。OSO世界の雰囲気も少しだけ変化し、ユンも生産職としての研鑽を一層積んで、季節は巡ってゆく。ミュウとセイ姉と一緒に繰り出した冒険では、正式にという意味ではほぼ初と言ってもいい、ユンが前衛として難敵に挑む姿も描かれた。これまでサポート職に徹していたユンが、普段通りには戦えないセイ姉から託された前衛戦闘のバトン。前に出て戦うユンの姿は本作にとっても大きな成長の証だったに違いない。そしてもちろん、OSOで成長しているのはユンだけではない。サービス開始以降、トッププレイヤーを含む数多くのプレイヤーにとって恐怖の対象だった徘徊型のボス・グリムリーパー。最大手ギルド【ヤオヨロズ】のメンバーにユンたちも加わり、総力戦でOSO内に立ちはだかる巨大な壁を突破する姿は強く感じ入るものがある。ほかにもリゥイに続いてザクロの成獣化、β版時代でお蔵入りとなっていたダンジョン・フィールド生成システム【スターゲート】のリニューアル実装、そして1周年アニバーサリーをはじめ、OSO内では様々な変化が起こり続けている。最新刊の発売ごとにアップデートされていく『Only Sense Online』の世界を、ぜひユンと一緒に追いかけてみよう。

 

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©アロハ座長ゆきさん

©アロハ座長・mmu・ゆきさん

kiji

[関連サイト]

『Only Sense Online』原作特設サイト

ファンタジア文庫公式サイト

 

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Only Sense Online 19 ‐オンリーセンス・オンライン‐ (ファンタジア文庫)
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Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫)

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