【このライトノベルが売れて欲しい!】第17回『ボンクラーズ、ドントクライ』

愛しい桐香という存在が憎かった。

おまえさえ、いなければ、こんなに苦しむことはなかったのだ。

ということで始まりました。続きが読みたい!メディアミックス展開して欲しい!単純に沢山の人に手に取ってもらいたい!という願望を織りまぜてオススメラノベを紹介する『このライトノベルが売れて欲しい!』第16回でございます。

今回ご紹介するのは

『ボンクラーズ、ドントクライ』!!

著:大樹連司

イラスト:白味噌

~あらすじ~

恋もツンデレも知らなかった、あの頃の僕ら

 あの頃の僕らは、恋がどんなものかも知らなかった――。

ネットもケータイもまだ馴染みがなかった1999年、とある片田舎の高校。

主人公の肇とカントクは、夢だけは大きく「日本の特撮映画を変えること」だが、映画の撮影準備と称して憧れの特撮ヒーローになりきる「ごっこ遊び」に興じてばかりのボンクラ映画研究部。

そんな「撮らない」映画研究部に、わけありの美少女が飛び込んできて――。男子ってやつは、バカで、むき出しで、まっすぐで、最低だけど最高だ!! 誰しもが通り過ぎる、恥ずかしく、苦く、痛々しい青春模様。

特撮ヒーローを愛する「撮らない」映画研究部のバカ2!!

本作『ボンクラーズ、ドントクライ』は1999年の田舎町を舞台に、映画研究部の男2人と1人の女子の映画製作にスポットが当たっていく。

物語冒頭では、映画研究部はたった2人しかいない部だ。ビデオカメラなどの機材もなく、映画製作なんて一度も行なっていない。むしろ、特撮好きが影響して、自前で作ったヒーロースーツを着込んで学校内でヒーローショーを行うのが主目的になりつつある。もはや周囲からは『ヒーロー部』などと言われている現状だ。

主人公である佐々木肇(左)、悪友である藤岡寛徳――通称カントク(右)

2人は映研でダラダラと活動をしていた。

落ち着いた常識人の肇と、破天荒で明るいカントク。2人はまごうことなき親友として、怠惰だが、なんだかんだ楽しく映研活動をしていた。

そのダラダラとした姿は、どことなく青春時代を思い出すようだ。

多くの人が経験した青春の1ページ。または、今現在経験している青春の1ページが描かれていく。

そんな男2人だけでダラダラと活動をしている映画研究会に、映画製作に詳しい美少女が加わることで、物語がゆるやかに動き出す!!

映研に参加することになった宮内桐香。勝気で生意気な後輩女子

映画製作に関する知識は折り紙つきだ

桐香は生意気な後輩だが、映画製作にかける意気込みは並大抵ではない。肇もカントクも、桐香に引っ張られるように映画製作へと邁進していくことになる。

男2人、女1人――

青春という物語は避けることはできず、起こるべくして起こる!!

それはもちろん、恋愛だ!!

青春の1ページに刻まれる、恋と友情の苦悩

1999年というノスタルジックな時代背景と、映画制作という題材、恋愛と友情――本作はまごうことなき青春小説として、私達読者を哀愁溢れる世界に引きこんでくれるだろう!!

肇とカントクが築いてきた友情の間に、たった1人の少女が入り込んでくることで、様々な激情と苦悩が生まれていく。

表紙の構図からも分かる通り、本作は映研の三人の間で三角関係が展開していく!!

主人公である肇は、友情と恋愛の間で苦悩する。

映画製作を通じて、桐香という勝気な後輩に心惹かれていくバカな男2人。

本作の魅力は、やはりこの三角関係という部分での苦味だろう!! 特に、肇が抱えるモヤモヤやままならない気持ちという部分は、本当に読んでいてツライ。

ツライが……そこがまた面白い!! 

様々な葛藤が描かれるが、その姿が胸を打つ!!

すでに学生生活を終えてしまった人は、「俺にもこんな時があったなぁ……」と思い出し、

学生生活を謳歌している人は「ああ……俺今こんな気持ちだよ……」と感じるような青春が描かれていく。

または「いやいや、こんな美少女と話したこと無いし……」と儚くも苦しい学生生活を思い出すかもしれないが、そこは仕方ない!! 仕方ないんだ……

本作は決して激しい物語ではない。三角関係といっても憎しみ合いが生まれるわけでもない。終始静かに物語が進んでいく。だが、その静かな物語の中でも、様々な想いが交錯していく。

大樹連司先生の著作『ほうかごのロケッティア』では清々しく空を貫く青春時代が描かれたが、本作はまた違った青春が描かれる。

ぜひ、『ボンクラーズ、ドントクライ』を読んで、青春時代を体感してみよう!!

ということで、第17回【このライトノベルが売れて欲しい!】は以上になります。

青春小説っていいですよね~、青春ってなにそれ食べ物? な私からしたら青春を題材にしたライトノベル読んで青春時代を保管しないといけません!!

あまり読み過ぎると躁鬱状態になってしまうので、摂取は控えめにしないといけませんがね!!

ボンクラーズ、ドントクライ読み終わった後など、「ウボァ~」となってしまいましたよ!!

それではまた、私情入り混じるカオスな記事でお会いしましょう!!

【記事:ゆきとも】

(C) 小学館 大樹連司/白味噌
[関連サイト]ガガガ文庫

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