ライト文芸レーベル「いずみノベルズ」2周年を記念して作家陣よりお祝いコメントが到着 編集長・山城氏が同レーベルの2年を振り返る
ライト文芸レーベル「いずみノベルズ」が、2023年5月21日に創刊から2周年を迎える。本レーベルは「NextPublishing」を利用したスピーディーな刊行と電子・印刷書籍の同時制作、プリントオンデマンドによる返品・絶版・断裁のないサスティナブルな出版モデルを特徴としたレーベルとなっており、創刊時に話題を呼んでいた。このたび2周年を記念して、同レーベルの作家陣よりお祝いコメントが到着したほか、レーベルを立ち上げ現在も一人で編集作業を実施している同レーベルの編集長・山城氏にもお話をうかがった。この2年の振り返りはもちろん、持ち込みも随時募集しているという、いずみノベルズの裏側にも注目してもらいたい。
――2021年の創刊から、晴れて2周年を迎えます。あらためてこの2年を振り返っていただけますでしょうか。
山城：新規参入、それも編集長の私は未経験の分野ということで最初は無我夢中でした。いずみノベルズが採用しているNextPublishingというメソッドでは、基本的に私一人が編集部の仕事すべてを担当します。とにかく「小説家になろう」の作品をひたすら読んで、読んで、いいと思った作品に書籍化の打診をしては断られ、を繰り返して、創刊までに発売にこぎ着けたのが5作品。いまでも半分以上の作品が続刊し、レーベルの核になっています。著者や読者の皆さんには感謝しかありません。
――あらためてになるのですが、いずみノベルズはどんなレーベルなのでしょうか。
山城：先ほども申し上げたのですが、いずみノベルズは「一人編集部」です。これ、というジャンルや傾向を決め打ちするのではなく、私が読んで「面白い！」と思った作品を書籍化しています。ごった煮ではあるのですが、私自身が乱読派なので、いろいろなジャンルの作品が揃っています。今のところ『クソゲー悪役令嬢』『魔術師の杖』などファンタジー、『ネメシス戦域の強襲巨兵』『女難戦記』といったSFが目立ちますが、決してそれだけにフォーカスしているわけではありません。「小説家になろう」のランキングなどの数字は全く考慮せず、「他の作品にはない面白さ」を重視して書籍化したいと考えています。いずみノベルズは電子書籍を主としており、印刷書籍はプリントオンデマンド（1冊ずつAmazonが製本する方式）で販売しています。書店委託を行わない点は弱点なのですが、逆に続刊のための「初版数千部」といった高いラインがないため、続篇刊行へのハードルを下げられる利点もあります。著者のみなさんと協力しながら、息長く作品の刊行が続けられれば最高ですね。
――同レーベルでの作品の刊行は山城さんが読んでお声がけをすることがベースにありつつ、持ち込みも歓迎されているんですよね。
山城：そうですね。今までは、編集長の私がとにかく「小説家になろう」を読んで、書籍化の打診をすることで刊行を続けてきましたが、現在ヒット中の『クソゲー悪役令嬢』は公式Web経由の持ち込みからの初の書籍化です。今後は持ち込み作品の書籍化を積極的に進めていきたいと考えています。ぜひ公式Webからのご連絡をお待ちしています！ 作品の内容について特にカテゴリなどの枠はないのですが、強いて言えば、
1．既に2巻分以上（いずみノベルズ換算で約26万字）程度で連載中のもの
2．小説家になろう掲載の作品（他のサイトとの同時掲載もOKです）
3．現代恋愛もの「以外」の作品（NGではありません！）
を歓迎しています。またこれは私の趣味なのですが、SF作品、ロボものも積極的に刊行しています。よろしくお願いします！
山城：そして他のレーベルより続刊へのハードルが低いのもいずみノベルズの特徴です。そのため、お声がけする際もすでに数巻分以上の文字数がある作品や、完結した作品も積極的に書籍化しています。連載初期の作品にお声がけして大きな加筆をお願いするよりも、できるだけ現状の作者の方々の筆致を活かして書籍化することを心がけています。
――2周年を迎えるいずみノベルズですが、今後の展望についてもお聞かせください。
山城：いずみノベルズは2年間で15作品を世に送り出し、累計刊行点数も50冊となりました。今月はさらに新しく2作品を刊行します。毎月2冊というスローペースですが、一つ一つの作品を大切に出版しています。これからもあまり急拡大を目標にするのではなく、じっくり腰を据えてシリーズを成長させていきたいですね。また、発行元であるインプレス内にはコミック編集部がないため、まだコミカライズの実績が解除できておりません……。ぜひ、各社コミック編集部の皆さんからのコミカライズのお声がけ、お待ちしております！ 3周年、5周年を目指して今後も新しい作品を刊行して参りますので、ラノベ好きの皆さん、ラノベ作者の皆さん、いずみノベルズをよろしくお願いします！
◆いずみノベルズ2周年記念のお祝いコメント◆
粉雪（『魔術師の杖』シリーズ）
いずみノベルズ様創刊２周年おめでとうございます！同時に『魔術師の杖』も発売２周年！安定して続刊が出せたのも「レーベルの核となるシリーズを育てたい」と創刊メンバーに抜擢してくださった出版社様、いつも応援してくださる読者様の励ましのおかげです。篤く御礼申し上げます。異世界転移ファンタジー『魔術師の杖』は、異世界に転移し「ネリア・ネリス」と名づけられた日本人の女の子が、生きるために錬金術を覚え、三年間暮らした荒野から王都へ出ていくところからスタートします。個性豊かなキャラクターたちとの出会いや関わり、空に海に自在に駆けるネリアたちの活躍をお楽しみに！「人を愛するということはどういうことか」をテーマに、ゆっくりと進行する一本芯の通った恋愛物でもあります。イラストレーターのよろづ様が描く、あっけらかんと明るいネリア、個性豊かなイケメンたちの生き生きとしたイラストも本書の魅力のひとつです。
タカば（『クソゲー悪役令嬢』シリーズ）
いずみノベルズ様、レーベル二周年おめでとうございます！ 私がいずみノベルズ様で本を出させていただくことになったきっかけは、『自分からの売り込み』でした。当時小説賞を最終審査落ちした「クソゲー悪役令嬢」を「いやいやこれ絶対おもしろいし絶対売れるから！」とウェブ持ち込みをしている出版社に片っ端から売り込んでいたところ、いずみノベルズ様から「書籍化しましょう！」とお返事をいただいたのです。そこからは怒涛の展開でした。メール等でやり取りして契約書を交わして、売り込んだ翌月には発売が決まっていました。編集部のフットワークの早さに驚きました。そのフットワークの軽さは今も健在で、新しい試み、新しい提案を次々と取り入れて、日々成長する姿に、いつも驚いています。私が今作家として作品を出し続けていられるのは、いずみノベルズ様のおかげです。これからの三年目もよろしくお願いします！
ベニサンゴ（『剣と魔法とナノマシン』シリーズ）
いずみノベルズ2周年、おめでとうございます！「もう2年も経ったのか！？」という驚きもありつつ、刊行作品の錚々たる並びを見て「なるほど2年経つわけだ」と頷いてしまいます。いずみノベルズはファンタジー×SFというジャンルが中心にありつつも、とても懐の深いレーベルです。『剣と魔法とナノマシン』のような少し癖のある作品から、ガチガチのメカモノ、王道ファンタジーや悪役令嬢モノと、幅広いジャンルの作品がずらりと並んだ様子は圧巻です。一言で表すなら、誰でも必ず好きな作品が見つかる、そんなレーベルでしょうか。私も一読者として毎月最終金曜日を非常に楽しみにしています。また、NextPublishingという新しい出版の形も、この2年間で多くの方々に親しまれるようになったと感じています。続く3年目も大きく躍進し、新たな物語を紡ぎ続けて下さい。改めまして、いずみノベルズ2周年、おめでとうございます！
呑兵衛和尚（『ネット通販から始まる、現代の魔術師』シリーズ）
いずみノベルズ創刊２周年、おめでとうございます。私がいずみノベルズから出版のお声を頂き、デビューしてもう３年目に突入するのですね。小説家としてデビューするきっかけを頂いたのがいずみノベルズでして、最初に打診があったとき、私以外の家族が『騙されるんじゃないの？』と笑っていたのも今ではいい思い出です。そんな中でも続刊が決まり、無事に第一部完結の五巻までたどり着きました。実力さえあれば続刊できるという声を編集長から頂き、積極的に執筆活動を続けていた同期デビューした作家さんや後輩作家さんたちも次々と続刊。今では他の作家さんに負けてなるものかと、精力的に執筆活動を行っています。公式サイトの応募フォームからのデビュー作品もあり、誰でも気軽にチャレンジできるのもいずみノベルズのいいところでしょう。これからもますますのご繁栄を、心よりお祈り申し上げます。
出版の方法や在り方が、通常の書籍とはやや異なるという点も見どころのひとつとなっている「いずみノベルズ」。今後も作品の刊行を続けていくことはもちろん、メディアミックスの展開も視野に入れているという。作品の持ち込みも積極募集ということなので、我こそはという方はぜひ応募してみてはいかがだろうか。3年目に突入していく「いずみノベルズ」の動向に注目していきたい。
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