MFブックス10周年記念小説コンテストの結果が発表 「大賞」に1作品など3作品が受賞
MFブックス10周年記念小説コンテストの結果発表が行われた。応募総数1,792作品の中から、「大賞」に1作品、「特別賞&審査員賞」に1作品、「特別賞」に1作品の計3作品が選出された。
<大賞>
『転生チートの空間魔法使いは正体隠して目立ちたい!~国でもトップレベルの美人・美少女パーティに探されてますが、それ俺ですとは言えません~』/著:岳鳥翁
■講評
アネコユサギ氏
文句なしにおもしろかったです。書籍にしても、また漫画にしても、映えそうです。このまま、作者さんの思い描くロマンを追求していってほしいと思います。きっといいものができるはずです。
Y.A氏
主人公の「正体を隠して謎の実力者として目立ち、その噂を酒場で聞きながら酒を飲みたい」という目的と、またそのための行動が一貫していて、とてもおもしろかったです。このまま正体を隠して活躍していってほしいと思いました。今後、空間魔法の意外な使い方や、主人公の正体を疑うキャラが出てくると、さらにおもしろくなりそうです。
甘岸久弥氏
キャラクターがとてもイメージしやすく、読みやすく、おもしろかったです。主人公の考え方と行動が、普通の正義感を持ったキャラから少し外れており、予測しづらいところも楽しく読めました。変えるべきところが見つかりません。強いて言うなら、続きが読みたいと思いました。
<特別賞&審査員賞>
『苔から始まる異世界生活』/著:ももぱぱ
■講評
アネコユサギ氏
進化の瞬間が、どうなるのか、と期待できる、とても楽しい瞬間でした。自分は『ポケモン』のようなモンスターを育成して強くしていくゲームで育ったので、レベルを上げて進化していくという展開がおもしろかったです。進化について、苔から虫へなど、少し間が飛んでいるように感じた部分もあったので、つなぎとなる何か(たとえば冬虫夏草のような)があってもいいかと思いました。
Y.A氏
最初は「苔?」と思いましたが、苔がスピーディーに進化していくところが、ものすごくおもしろかったです。その上で、大化けする可能性に賭けて進化先を選んでみたら、ものすごくやりづらかった、というような、進化の寄り道があってもおもしろいと思いました。
甘岸久弥氏
苔からの成長と進化という部分が個性的でとてもおもしろく、またカブトムシなど人ではないからこそできる独特なバトルが楽しかったです。進化については、もう少し弱いものから強いものを経て、違う種族になるような形で、進化を刻むとよかったかもしれません。物語はもちろん、進化の段階もぜひもっと読みたかったです。
<特別賞>
『異世界で貸倉庫屋はじめました』/著:@ootori-momo
■講評
アネコユサギ氏
旅をして、そして商売をしているところが楽しく、作品を読んで旅行をしているような世界観を感じました。キャラクターの感情の動きも自然で、とても良かったです。ストーリーの中で、盛り上がりのあるイベントを作れると、よりおもしろくなったと思います。
Y.A氏
スキルをもって、旅をしながら商売をしているところがおもしろかったです。また、主人公と、トランクルームのアシスタント・白金が、いい関係でした。スキルを活かし、たとえば戦争の中で、戦いではなく補給で活躍するなどの展開があると盛り上がったかもしれません。
甘岸久弥氏
スキルが「アイテムボックス」ではなく「トランクルーム」であり、はじめるのが「貸倉庫屋さん」であるところ、しかもだんだんとレベルアップしていくところや、その使い方も楽しかったです。スキルを使い、「人をトランクルームに入れて守る」など、人助けをするハラハラ感のある出来事が起こってもおもしろいかもしれないと思いました。
受賞作品ついては、今後書籍化作業を経ての出版予定となっているので、刊行を楽しみに待ちたい。残念ながら選考を通過しなかった方は、あらためて異なる賞などへの応募を検討しよう。
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