第37回ファンタジア大賞の受賞結果が発表 「大賞&アンバサダー特別賞」を含む4作品が受賞へ

第37回ファンタジア大賞の受賞作品の発表が行われた。[前期]と[後期]をあわせた応募総数1,046作品の中から4作品が受賞した。3年連続となる「大賞」と「アンバサダー特別賞」の同時受賞に1作品、「金賞&羊太郎特別賞」に1作品、「銀賞」に1作品、「橘公司特別賞」に1作品の計4作品が選出された。

 

 

夏目漱石ファンタジア2

第36回ファンタジア大賞「大賞」受賞作『夏目漱石ファンタジア』

 

 

<大賞&アンバサダー特別賞>

『召喚学園の生徒だけど守護獣が異形すぎて邪教徒だと疑われています』/著:夜迎樹

 

【あらすじ】

幼い頃に守護獣のハッピーを召喚した少年・ヘレシーは、田舎から王都の名門召喚師学園に入学する。ハッピーは妹同然の存在で、外見はユニークだが、可愛く温厚な守護獣なのだ──そう、ヘレシーにとっては。『螯ケ謇ア縺?&繧後※縺溪?ヲ窶ヲ??シ(妹扱いされてた!?)』「なん……なの、あれ……」無数の人体が埋め込まれた肉塊。悍ましい異形。それが周囲から見た“ハッピー”だった。ファンタジーな学園に、世界観が違う異形が紛れ込む――「ヘレシーを見て……私の全身が安心しているの」恐怖で少年に依存する貴族令嬢。「あの庶民さえいなければっ!」エリートから転落する御曹司。「私、醜く、ありませんか?」召喚される第二の異形。さらに邪教の陰謀が蠢き──『鬆大シオ繧翫∪縺呻(頑張ります!)』ファンタジア大賞史上、最も禍々しいヒロイン爆誕!

 

選考委員講評】※一部抜粋


橘公司氏講評

発想が非常に面白い。同時に、なかなか評価が難しい話でもありました。出だしからパンチがあるし、軽い語り口の一人称も読みやすい。見た目が冒涜的なだけで心根は優しいハッピーも実に魅力的です。


羊太郎氏講評

完全にギャグと狂気で一本貫いて、非常に存在感とインパクトある主人公に仕上がっていると思います。クトゥルフ的かつSAN値直葬な召喚獣と共にやらかす無茶苦茶ぶりが爆笑もので、読んでいて凄く楽しかったです。常に読者を飽きさせない一作でした。


 

本作は、ファンタジア文庫35周年記念でアンバサダーに迎えた声優の雨宮天さんが選ぶ「アンバサダー特別賞」も同時受賞しており、特別コメントや特別企画も用意される。

 

第37回ファンタジア文庫

 

 

<金賞&羊太郎特別賞>

『世界を滅ぼしかけて偉そうにするんじゃない』/著:ショーン田中

 

【あらすじ】

ヒロイン・雨ヶ崎ルイナは不幸信者だ。バッドエンドを生み出すため、空想の世界を作り、設定を整え、物語を始めた。キャラクターになり切り、ダイスという変数に一喜一憂しながら冒険する、オリジナルのゲームを作ったのだ。主人公・高瀬は幸福主義者だ。ハッピーエンドがわかっているから、物語は安心できる。「不幸なバッドエンドこそ一番私はぞくりとするんだ」「僕が美しいハッピーエンドに引きずり込んでやる」主義主張の違いから、高瀬はルイナのゲームを、魔法使い・高瀬クレイリ―として攻略することになる。思わず異世界を幻視するほどの熱中度で、今まで何度もルイナの物語を滅ぼしてきた難敵・夜天竜ヴリガストを一度欺いた高瀬は、世界を救うためさらなる策を張り巡らせる! 現実とゲームが交差する、新たなる知略バトル小説、誕生!

 

選考委員講評】※一部抜粋


羊太郎氏講評

ただの現代のTRPGリプレイものかと思わせてから、特上の王道ファンタジーをねじ込むその技量は圧巻。しかも、常にハラハラドキドキする展開ばかりで、夢中で読み進めてしまいました。


細音啓氏講評

世界観やキャラの設定に深い広がりを感じさせるお話でした。なんだこれは異世界ものかと思ったら現実世界のTRPGだったとは……という入りは、すごく面白かったです。ラスボスとヒロインを同時にこなすヒロイン、発想の勝利だと思います!


 

 

<銀賞>

『聖剣、オリーブ、祈りの青』/著:右弍沙節

 

【あらすじ】

人類の侵略を企む魔王軍と、異世界人・地球人連合軍の『魔王戦争』が終結してから五年。異世界帰りの元エリート勇者の高砂峰秀は、平和な地球での就活で“勇者”の肩書きが外れた自分を求められていないことに、もがき苦しむ日々を送っていた。ある日、封じられたはずの勇者の権能を用いる人物たちから襲われた峰秀は襲撃者を退けることに成功したが、戦時下で上官だった御子柴円覧からテロリスト化した勇者たち『無貌勇者』を壊滅させる任務に就くよう勧誘される。しかも、敵対していた魔族であるシャヌアリナと共闘しろ、と。反発し合いながら『無貌勇者』のアジトに乗り込む峰秀とシャヌアリナだったが、そこで待っていたのは、峰秀のかつての戦友・阿知波典華だった──。世界に真の平和が訪れるまで、勇者たちによる通過儀礼(ルビ:イニシエーション)は続いていく。

 

【選考委員講評】※一部抜粋


細音啓氏講評

勇者や異世界などあらすじに出てくるキーワードは、Web発小説や漫画でよく見られそうなものですが、それだけに留まらない硬派な面白さがありました。


羊太郎氏講評

血反吐を吐くような重苦しさ、泣きたくなるような葛藤の中に、確かに”熱血”が存在する。昨今の明るい話が好まれる風潮の中では、逆境な面もありますが、羊は推します!


 

 

<橘公司特別賞>

『クラウド・スレッド──ディストピア・オーバー・インフェルノ』/著:八火 照

 

【あらすじ】

人類を襲った未曽有の大災害──地獄化現象。灼熱の地と化した地表と獄鬼と呼ばれる怪物から逃れるため、人々は空から垂らされた謎の鎖“雲の糸”の末端に空中都市を建造した。都市下層に生きる少年カイナは、特殊な鎖・浄鎖を生み出す能力で獄鬼と戦い生計を立てている。下層の暮らしに自由はなく、命懸けで戦っても富は全て上層に吸い上げられ、逆らえば都市を繋ぐ鎖を切られ地表に落とされた。絶望の日々の中、追い打ちをかけるように父が自ら命を絶つ。社会の歪がもたらした死に復讐に燃えるカイナ。その脳裏に八年前に死んだ兄の言葉が蘇る。『俺の自由──それは、俺がぶっ殺したい奴をぶっ殺せる事だ』生殺与奪権を奪われた世界で自由を手にするため、少年は反逆の道を選ぶ。例え世界を壊すことになったとしても、この復讐劇は止まらない。

 

【選考委員講評】※一部抜粋


橘公司氏講評

雲の糸、カンダタ、浄鎖、獄鬼など、キーワードから独自の世界観を作ろうという気概が見え、挑戦心があったのも評価しました。苛酷な環境の描写も秀逸で、好みの分かれる作風ですが個人的には好きでした。


 

 

⇒ 第37回ファンタジア大賞の受賞結果はこちら

 

結果発表ページでは受賞者のコメント、選考委員の講評全文・総評などが掲載されているので、あわせて確認してもらいたい。また、現在第38回ファンタジア大賞[後期]についてはシステム障害により応募の一時停止措置が取られている。今後の対応については、ファンタジア文庫公式SNSやキミラノにて告知が行われるとのことなので、引き続き情報を待ちたい。

 

 

©零余子/KADOKAWA ファンタジア文庫刊 イラスト:森倉円

kiji

[関連サイト]

第37回ファンタジア大賞特設サイト

ファンタジア大賞WEBサイト

ファンタジア文庫公式サイト

 

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