独占インタビュー「ラノベの素」 花音小坂先生『平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2026年5月20日にファンタジア文庫より『平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる』第5巻が発売された花音小坂先生です。何度読み返しても笑いがこぼれ、スカッとするカタルシスが止まらない本作。無能な上官を次々に論理と物理で薙ぎ倒し、頭を下げさせていく主人公・ヘーゼン=ハイムについてはもちろん、物語誕生の秘話や書いていて楽しいという悪役についてなど、様々にお話をお聞きしました。

 

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる5

 

 

【あらすじ】

絶体絶命の弱小国に左遷されたヘーゼン。到着するや王を交代させた彼は、最強の魔杖をフル投入し難攻不落の敵城を奪取。大戦果の次は外交。秀才美少女・ラスベルを新弟子とした彼は、ヘーゼン流を叩き込んでクールビューティな彼女を一瞬でキャパオーバーに追い込みながら、周辺国に外交攻勢をかける。そこへ対立する皇太子が放った刺客。それは暗殺者でもハニートラップでもなく、妨害するための『無能トラップ』だった。地位だけの無能集団が責任者顔でヘーゼンの前に立ち塞がる。「私がトップなんだ!」「……なんにも知らないんですね」 牙を剥く無能VS有能将官、国家存亡を懸けた戦いが始まる!

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

花音小坂と申します。出身は愛知県で、兼業作家をしています。好きなものは映画、ドラマ、漫画全般で、小説に関してはそこそこといった感じでしょうか。『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』、『容疑者Xの献身』などが特に好きです。苦手なものは仕事ですかね(笑)。割とおっちょこちょいな性格でして、そのおっちょこちょいさに人生を引っ張られてきている感があるというか、小説の執筆だと誤字脱字が多くなりがちなので、結構大変です。

 

 

――花音小坂先生は、もともと「はな」というPNで小説家デビューされていたんですよね。

 

そうですね。第1回のカクヨムコンで初めてライトノベルを刊行させていただいたんですけど、デビュー作『医療魔術師は、もう限界です』も2作目の『初めて妻を殴った』もめちゃくちゃ売れなくて(笑)。そこから数年が経ち、ありがたいことに『帝国将官』で再び書籍を刊行させていただけることになり、心機一転現在のPNへ変えることにしました。

 

 

――なるほど。カクヨムコンへの応募など、花音先生はもともと小説家を目指していらっしゃったんですか。

 

いえ、そういうわけではなかったです。小説を書き始めたのも社会人になってからですし、どちらかというと子供の頃は漫画家になりたいと思っていました。『うしおととら』や『今日から俺は!!』、『北斗の拳』など、漫画を読むのが本当に好きだったんです。ただ、絵が絶望的に下手すぎて漫画家の道は諦めていたんですけど、ふと小説なら書けるんじゃないかと思い、執筆を始めました。とはいえ最初は10万文字を書くのに1年近くかかりましたし、小説1冊分を書くことの大変さも学びました。でも面白いもので、初めて10万文字を書き終えた時、「これは売れたな」とか思っちゃうわけですよ。なので、評価シートをいただける新人賞にも応募してみたわけですが、それが信じられないくらい酷評の嵐(笑)。デビュー作の時も2作目の時もそうでしたが、書き終えると気持ちがハイになって、「これはいける!」っていう心境になり、でも壁に阻まれてという状況が続いてましたね。

 

 

――そんなご自身3作目となる『帝国将官』について、「つぎラノ」での上位ランクインや重版なども繰り返され、大きな反響を呼んでいるかと思います。手応えなどは感じていらっしゃいますか。

 

正直な感情を言うと、売れているのか売れていないのかよくわかりません(笑)。もちろん継続して続刊を出せるくらいには売れているとは思うのですが、大ヒットかと言われるとそうじゃないのかなって。これはカクヨムのランキングでもそうで、自分としては常に1番を目指して書いているんですけど、ランキングでは1番になれないんですね。現在は累計ランキング10位で、もちろん10番目というのも傍から見ればすごいとは思ってもらえる順位だとは自分でも思います。読者の方の応援あってのことなので嬉しいのも間違いありません。ただ、自分への期待値が大きすぎるせいなのか、やっぱりまだまだだと感じてしまう。自分が面白いと思って投稿した内容が、1番にまでは至らないというもどかしさとでも言えばいいんでしょうか(笑)。それが良い方向に働いているのかもしれないし、何かが足りないせいなのかはよくわからないですね。

 

 

――ありがとうございます。それではあらためて『平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる』について、第4巻までを振り返りながらどんな物語なのか教えていただけますでしょうか。

 

本作は平民出身の帝国将官であるヘーゼン=ハイムが主人公の物語になります。帝国という巨大な組織の官僚に配属されるのですが、平民という身分を理由に左遷され、その左遷先で巨大組織の無能な上官をバタバタと薙ぎ倒していくストーリーです。第1巻では辺境の地へ飛ばされ、無能な上官にいびられそうになるんですけど、そのたびに撃退していきます。第2巻でも異なる辺境の地へ飛ばされ、今度は文官として、無能な上官をなぎ倒しながら内政の地を治めていきます。第4巻では一度中央に戻るのですが、中央でも無能な上官相手に大暴れし、今度は小国へ出向することになります。小さい組織の中でどう手柄をあげていくのか。発売された第5巻の見どころになるかなと思います。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※平民出身の将官が上官の頭を(物理的に)下げさせていく痛快ファンタジー!?

 

 

――続いて本作の着想についてお願いします。

 

実は本作なんですが、カクヨムでもともと書いていた別の作品『どちらかと言うと悪い魔法使いです』のスピンオフだったんですよ(笑)。

 

 

――まさかのスピンオフ!?(笑)。

 

そうなんです。本作の主人公のヘーゼン=ハイムは、その別作品の主人公の師匠として登場してるんです。『どちらかと言うと悪い魔法使いです』を投稿してから、PVも結構伸びて、作品をもっと伸ばすためにスピンオフを書こうと思って執筆したのが本作です。もちろんスピンオフっぽさは消して執筆していたんですけど、いざこちらを書いてみたら、逆にすごい人気が出たという(笑)。ヘーゼンには転生したという設定がありますが、これはそういった設定があっての着想でもあるんです。前作が西大陸を舞台にしたお話で、今作が東大陸を舞台にしたお話。ヘーゼンとしては時が経って西大陸と戦っても勝てない現状を鑑み、東大陸で力を付けて、という目的もあるわけですね。

 

 

――なるほど。思わぬ着想のお話になりましたが、本作を執筆するにあたって、作品の大きな見どころになっている「クズで無能な上官を薙ぎ倒す物語」としての構想は最初から持たれていたんですか。

 

実は最初、ヘーゼンが学生になった物語を書いていたんですが、なかなか人気が出ずでして……。でもヘーゼンというキャラクター自体はとても良かったので、無能な上官を次々と倒してみたら面白いんじゃないかと考えました。私自身も務め人なので、面白そうだなと(笑)。

 

 

――本作の形に落ち着くまでもいくつかの試行錯誤があったわけですね。ではここからはキャラクターについてフォーカスしながらお話をうかがっていければと思います。まずはヘーゼン=ハイムについて、彼にはモデルがいたりするのでしょうか。

 

ヘーゼンのモデルはいません。ただ、クズな上官のモデルは結構いるかなぁ?(笑)。というよりも、程度の差こそあれ、ああいう人間はどこにでもいるんじゃないかなって思ってます。僕の勤めている職場は“ミナサンイイヒトタチバッカリ”なんですけど、会社で周りを見回してみるとどうでしょうか。行動という面でみると、上の人がその上の人の目を気にしていたり、他部署の間で揺れ動いていたり、おべっかを使ったり、効率よりも我を重視したり、色々といると思うんです。なのでヘーゼンの方が架空の要素が強く、周囲や環境の方が現実にかなり近いイメージなんですよ。そういった職場環境に、ヘーゼン=ハイムという劇薬を放り込んだらどうなるんだろう、というのが一番近いかもしれませんね。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※ヘーゼン=ハイムという存在を組織に解き放ったらどうなるかという社会実験のような側面も!?

 

 

――ヘーゼンについては作中でも「組織において良い意味でも悪い意味でも劇薬」といったような表現が行われていますよね。ヘーゼンが同じ職場にいると考えた時、周囲の人たちはどんな気持ちなんでしょう(笑)。

 

ひたすらにヤバいんで、最悪なんじゃないですか(笑)。しいて言うなら、同僚なのか、後輩なのか、上司なのかの立ち位置で違うかもしれません。同僚としては最悪ですよね。むちゃくちゃ仕事はできるけど、チームプレーを重んじずにどんどん突き進んでいく。嫉妬の対象になるかもわかりませんけど、やっぱり嫌だなとは思います(笑)。部下という立場でも大変な気がします。仕事がむちゃくちゃできれば重んじてくれると思うんですけど、僕はどちらかというとできないほうなので、彼の部下でいるのはちょっと……。上司は言わずもがな(笑)。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※上司となった場合は覚悟をしてヘーゼン=ハイムと向き合わねばならない

 

 

――むしろどういうポジションだと良い関係を築けそうですかね(笑)。

 

別会社で利益を享受する側でしょう(笑)。

 

 

――それは商人のナンダルのような立ち位置ですか?

 

そう……そう、かな?(笑)。あとは平民でしょうか。統治される側であれば、ヘーゼンがいることによって結果的に幸せになれるのかなって思います。第2巻では実際にそういったエピソードもありました。ただ近くにはいてほしくないですね(笑)。

 

 

――論理でも物理でも相手をボコれるヘーゼンですが、彼に弱点はあるのでしょうか。モズコール案件が可能性は高そうだとは思うのですが(笑)。

 

実際、弱点はあまりないかもしれないです。何か挙げるとしたら、自分が好きな人間には弱いって感じなのかなと。エマやレイ・ファ、ヤンもそうですけど、大事なものが弱点になりそうですね。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※身内のように抱え込んでいる存在がヘーゼンのウィークポイントになる日は来るのか……?

 

 

――ヘーゼン=ハイムを描く上で気を付けていることがあれば教えてください。

 

いい子ぶらないこと。あとは弱い者いじめはしないこと。いや、してるんですけど(笑)。基本的には攻撃してきた人や敵意を向けてきた人は容赦なく叩くし、そうじゃなければフラットなんじゃないですかね。

 

 

――ヘーゼンがいい子ぶることは、この先絶対にないんじゃないかって思ってしまうわけですけど、そんなシチュエーションはやってくるでしょうか(笑)。

 

どうなんですかね(笑)。ただ、執筆の上でバランスはかなり難しいところはあると思ってます。いい子ぶるとは少し違うんですけど、やりすぎるとダメなところがあるとは思っていて。まあ、実際やりすぎてはいるから何とも言えない(笑)。前提としてヘーゼンの相手を考える時、やられている側が絶対に可哀想にならないクズっていう条件があって、そのバランスを考えて書かないといじめのように見えてしまうわけです。そうならないように、という点はすごく重視していて、エンターテインメントとして見えるかどうか、その上で面白いかどうかは非常に重要だと考えてます。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※やりすぎな一面があっても「この上官なら仕方ない」と思える面白さにこだわっているという

 

 

――ありがとうございます。続いてはヘーゼンに拾われた超優秀な少女、ヤン=リンについてお聞かせください。

 

ヤンについては、ヘーゼンとの対比軸として登場させています。ヘーゼンはどす黒くて策略家な一方、ヤンは子供で善心なところを主軸として、ヘーゼンとは真逆の感受性豊かに書くことを意識しています。登場当初は、幼さというか未熟さというか、精神的に未成熟な部分から描いていたので、賛否の多かったキャラクターでもありました。そこから精神的な成長や成熟に関して、ヘーゼンに引っ張られているのかなとは感じてます。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※ヘーゼン=ハイムに才能を買われた少女・ヤン=リン

 

 

――対比というお話で言うと、感情をコントロールし尽くすヘーゼンと、感情に振り回されるヤンという構図はまさにその通りですね。

 

そうですね。ヤンについてはツッコミ役としても面白く書いています。ヘーゼンの異常な行動に対して、割とツッコミキャラになることが多く、バディとして機能している感じがすごくします。底抜けな明るさと、ヘーゼンの冷たさが対比になっていて、書いていて面白いんです。そもそもヤンのスペックが高くなければ、ヘーゼンのバディにもなり得ないわけで、孤児院の孤児から厳しい学習を経て、だいぶ人間離れしてきたなとは思います。ヤンは作中に置いてバランサー的なキャラクターですね。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※ヘーゼンとは異なり感情や表情がコロコロ変化する点も魅力のひとつ

 

 

――とはいえ対比と言いつつも、ヤンは巻が進むごとに少しずつヘーゼンに似てきている気もするのですが、結果としてヘーゼンに拾われて幸せだったのでしょうか(笑)。

 

うーん……幸せではないかもしれないですね(笑)。ヤンの能力であれば、ヘーゼンに拾われなくてもやれるんじゃないかなとは感じます。そもそもコミュ力が高いですし、誰からも可愛がられるような存在でもあります。自分の中では、そういう人は幸せな人生を歩んでいくイメージなんですよ。ヤンはどこでも幸せになれたと思うんですけど、その中でヘーゼンの隣という選択肢は、ないんじゃないかなと思いますね(笑)。

 

 

――ありがとうございます。ほかにご自身が執筆する上で、気に入っているキャラクターなどもいれば教えてください。

 

お気に入りはモズコールです。いつも突拍子のない動きを頭の中でしてくれるので、すごく助かってます。ほかだと、無能で小者な悪役を描くのが本当に好きなんですよ。どちらかというと善人よりも悪役を書く方が好きで、そんな彼らが右往左往する姿をこれからも描いていきたいです。本作にはもともとプロットがなく、WEB小説特有の一筆書きっていうんですかね。詳細なキャラクター像を決め打たず、ライブ感を重視して書いているので、リアルタイムで自分自身も楽しみながら執筆できています。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※花音先生が気に入っているというモズコール

 

 

――ちなみに第4巻までに登場した悪役で、特に気に入っているキャラクターは誰ですか。自分はモスピッツァ中尉が面白すぎたんですけど。

 

全員捨てがたいんですけど、エヴィルダース皇太子陣営の第3秘書官であるブュギョーナ=ゴスロですかね(笑)。仕事は割とできる方なんですけど、存在するだけで女性が凍り付くような、言い方が難しいんですけど、いい意味で気持ち悪い感じに仕上がってくれて本当に感謝しています(笑)。おっしゃられたモスピッツァの小者具合も好きですし、バライロのパワハラ感も好きですし、本当にどのキャラも好きですね。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※ヘーゼン=ハイムの前に立ちはだかるブュギョーナの実力は……。

 

 

――ありがとうございます。では少しお話の趣向を変えて、本作ではもちろん、現実社会でもハラスメントという言葉が広く浸透するようになりました。ご自身も兼業作家ということで、企業に勤めていらっしゃると思います。あらためてハラスメントについて考えていることがあればお聞きしたいです。

 

えーと、まず「ヘーゼンだったらこう考える」という視点で聞いてほしいです。ヘーゼンは、ですよ? 絶対誤解しないでほしいんですけど。ヘーゼンであれば、「パワハラで訴えられるのは、パワーがないからだ」と言う気がします。

※ヘーゼン=ハイムの見解です

 

 

――すいません、もうちょっと詳しくお願いします。パワーがあればパワハラにならないってことですか?(笑)。

 

ちょっと表現が過激で怖いんですけど、ヘーゼンの言いたいこととしては、力がありすぎる存在はある意味で神にも等しい存在になると思うんです。なので、パワハラで訴えられるということは、逆らえるぐらいの抵抗が可能な相手ってことなんですよ。いや、ちょっと待って。なんかすごくマズいこと言ってる気がする(笑)。これはヘーゼンですからね。ヘーゼンが考えるならこう考えるだろうっていう、代弁なんで!!!

※ヘーゼン=ハイムの見解です

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※その圧倒的な力は逆らうことさえも許さない……

 

 

――あくまで架空のキャラクターの意見として捉えましょう(笑)。実際、ハラスメントと言いやすい環境が整いつつあるのは、世の中としても良い方向に行ってる気はしますよね。

 

そうですよね。パワハラ、セクハラが当たり前に言われるようになって、良かったなって思います。中には何をやってもパワハラセクハラと言われてしまうことで息苦しさを感じている人もいるかもしれませんけど、自分としては過ごしやすくなったのかなと。パワハラやセクハラはなくなればいいなと思ってます。

 

 

――社会全体を見れば、ハラスメントは消えていく世界線にはなっていると思います。とはいえ、環境によるところは否めず、ヘーゼンほどの仕返しは過激だと思いますが、社会の荒波で生きていくためのマインドセットを、本作では笑いながら得られるんじゃないかなとも感じます。

 

おっしゃる通り、そういう面はあるかもしれません。個人的な話で恐縮なんですけど、アーティストの大黒摩季さんが好きで、楽曲の歌詞に「生きていかなくちゃしょうがないでしょう、たとえ社会が狂ってても」というフレーズがあるんです。僕は本当にその通りだと思ってるんですよ。環境を変えることは難しいけど、自分が変わって強くなって訴えていかなければ、誰も助けてはくれない。『うしおととら』の藤田和日郎先生も「赤ずきんを助ける人を描きたかった」と当初言われていたんですけど、次第に「赤ずきんがきちんと戦っていかなきゃいけない」と考えるようになったというお話をされていて。そういったところはヘーゼンから学べるんじゃないかなと思うんです。環境は変わってくれないから自分が変わるしかないという意識は常々持っています。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※どんなに過酷な環境でも生き抜く術をヘーゼン=ハイムから学ぶことができる!

 

 

――もうひとつお聞きしたいのが、「ホワイトハラスメント」という言葉も世の中に浸透しつつあるのかなと感じています。いわゆる優しすぎる環境、成長機会の損失に繋がるようなものを指して使われることが多いのですが。

 

そういうのは見ていて感じる部分はありますよね。若い子を見ていてもそこまで強制されることもなくなったと思います。一昔前であれば、部活動の自主練習なども半ば強制だったりしたわけじゃないですか。でも今は自主性をより重んじる。そういう意味でも、組織やマネジメントとしての難しさはあると思います。というよりも、組織レベルでのコントロールは難しいんじゃないかなと感じます。組織ではハラスメント抑止の力が強いので、どうしてもそうならざるを得ないというか。なので、もし物足りなさを感じている場合は、そういう関係性を作っていくしかないんじゃないですかね。ホワイトが不満なら、「不満です」と言えば解決する部分もあると思います。環境が変わってくれないなら、やっぱり自分が変わっていくしかない。自分としてはホワイトハラスメントだと思ったことはなくて、「ありがてえ、ありがてえ」って享受してます(笑)。

 

 

――ヘーゼンだったらホワイトハラスメントとはどう向き合うと思いますか。

 

ヘーゼンであれば、その人の能力にあわせてやるべきことをやらせるって感じになるような気がします。能力っていうのは、その人の性格や純粋なスペック、対人関係の構築の仕方、ストレス耐性も含めて能力なわけじゃないですか。ヘーゼンはそのあたりを機能的にコントロールできるところがあって、ある種すごく精密な装置でもあるんです。裏を返すと人を人として思ってなくて、「こういう性能のものだから、こう扱うんだよ」っていう(笑)。とはいえ現実的にそういう機能、装置は難しいので、人がコントロールしていくしかない。ヘーゼンはもとより鞭を入れるタイプのキャラではないんです。強制的に鞭を入れないと働かない人には鞭を打ちますし、壊れても代替が効くようなクズに対しては一切容赦しませんけど(笑)。ヘーゼンにもちゃんと倫理観はあって、善人や弱者に対してはそこまでやらない。クズにはとことんやるっていうマインドセットです。

 

 

――ありがとうございます。続いてはイラストについてお聞かせください。本作のイラストはくろぎり先生が担当されています。イラストを見た当初の印象や、お気に入りのイラストがあれば教えてください。

 

最初にイラストを見た時は痺れました。くろぎりさんは本当に絵がうまくて。毎回痺れています。常に自分のイメージを超えてくるので、これまで一度もリテイクのお願いをしたことはなかったんじゃないかなと。とにかく感謝しかありません。お気に入りは第2巻のカバーイラストです。ヤンに縋ろうとする手がたくさん伸びていて、太陽のようなヤンの背後にはヘーゼンの姿があって。バランスと構成が本当に最高です。全部が全部素晴らしすぎて、文句のつけようがありません。本当に助かっています。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※特にお気に入りだという第2巻のカバーイラスト

 

 

――あらためて本作の見どころや注目してほしい点を教えてください。

 

ヘーゼン=ハイムというキャラに注目して読んでほしいですね。無能な上官はどこにでもいると思うんですけど、その方々に重ねて読んでいただけたら、みなさんもスッキリするんじゃないかなと(笑)。やっぱり尊敬できる上司っていないじゃないですか。

 

 

――そんなことはないと思いますけど(笑)。

 

いやいや、みなさん心の奥底では、尊敬できる上司は一人もいないと思うんです(笑)。そういった方々に読んでいただけるとすごくいいのかなと思います!

 

 

――相槌が絶妙に打ちづらい(笑)。気を取り直して発売された第5巻の注目ポイントについても教えてください。

 

やっぱり自分はブュギョーナが好きで、彼の凋落具合に注目していただけたらと思います。そしてヘーゼンに差し出される生贄……もとい無能な上官が新たに登場してくるので、楽しみにしていてください。彼らもすごい面白キャラクターなので、笑えるポイントになると思います。

 

平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる

※第5巻でも登場する新キャラクターがヘーゼンとどう絡んでいくのか注目してもらいたい

 

 

――今後の目標や野望について教えてください。

 

まずは本作を完結させることですね。WEBでの投稿も少しサボり気味ですし、物語としてまだまだ収束する気配を感じてないので、このペースではマズいなとは思っています。更新の頻度を元に戻して、書き切りたいです。楽しみにしてくれている読者の方が一番の宝なので、そういった期待を裏切らないようにしたいなと思ってます。もちろんそれ以外にも野望はいっぱいあるんですよ。アニメ化してほしいとか、漫画も売れてほしいとか、100万部や1億部売れてほしいとか。でもやっぱり一番大事なのは読者の方であり、物語をきちんと収束させることだと思ってます。自分にとって一生ものになるかもしれないと感じている作品でもありますし、設定もかなり深いです。きちんと書き切って、キャラクターはもちろん世界観も一緒に楽しんでいただければと思います。

 

 

――最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

 

このあともいろいろな上官が登場しますので、ぜひみなさんに楽しんでいただければなと思います。ヘーゼン=ハイムを見ていただいて、スカッとしていただければと。よろしくお願いします。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

無能な上官を次から次にボコボコにしていく平民出身の官僚の物語を綴った花音小坂先生にお話をうかがいました。やられたらやり返す、だけではなく、やられる前に先にやり返すを信条に己の道を突き進むヘーゼン=ハイム。そんな彼を取り巻く仲間たち、そんな彼に差し出される生贄(無能な上官)たちから目が離せない、兎にも角にも笑って読める『平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる』は必読です!

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©花音小坂/KADOKAWA ファンタジア文庫刊 イラスト:くろぎり

kiji

[関連サイト]

『平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる』特設ページ

ファンタジア文庫公式サイト

 

※このページにはアフィリエイトリンクが使用されています
平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる5 (ファンタジア文庫)
平民出身の帝国将官、無能な貴族上官を蹂躙して成り上がる (ファンタジア文庫)

ランキング

ラノベユーザーレビュー

お知らせ