【レポート】「アニメで世界へ!小説大賞」授賞式の模様をお届け 式内では「大賞」受賞作のアニメ化プロジェクトも発表
2025年9月17日(水)、東京都内某所にて、「アニメで世界へ!小説大賞」の授賞式が開催された。本賞は株式会社ツインエンジンと株式会社ストレートエッジが、アニメ化を目指す公募の文芸賞として2024年下半期に開催。応募総数6,000作品以上の中から、3作品が受賞を果たした。
授賞式ではまず、ストレートエッジの代表取締役である三木一馬氏が登壇し、アニセカ大賞の起こりを振り返った。ツインエンジンの代表取締役である山本幸治氏との出会いや、意気投合した二人の共通項だったIPの育成について語り、小説が得意な三木一馬氏と、アニメが得意な山本幸治氏が手を取り合い本賞が実現したという。小説として面白いものを作り、アニメとして面白いものを作る。そしてパートナーとして参画した実業之日本社も含めた3社で、頑張っていきたいと意気込みを語った。
続いて壇上ではトロフィーの授与も実施された。世界に羽ばたくことができる作品を世に送り届けるという思いで選考され、受賞したのは3作品。最終選考にノミネートされた11作品の中から、アニメ適性、ライトノベルとしての市場性、物語としての面白さ、この3点に重きを置いて審査は行われた。まず壇上には「特別賞」を『ダンジョンすみっこぐらし~実力無自覚系配信者を世間は必死で探し出す。早くダンジョンから出てきて!?~』で受賞した夏目ナナセ氏が登壇。トロフィーを実業之日本社代表取締役社長の岩野裕一氏から受け取り、「本作はダンジョン配信ものにはまったことがきっかけで執筆しました。自分の好きなものを執筆していたら、読んでくださる方が増え、小説を書くことがどんどん楽しくなっていった。これから期待に答えられるよう頑張っていきたい」と意気込みを語った。同じく「特別賞」を『美貌の少年の家庭教師をしていたらイケオジ侯爵にプロポーズされたんですが?』にて受賞した宮前葵氏も「この作品は短く詰め込んで書いた作品なので、書籍化作業に苦労しています。改稿を頑張っていきたい」と続けた。
「特別賞」受賞者へのトロフィー授与が終わると、審査員講評として三木一馬氏が再び登壇。審査にはストレートエッジの編集者だけではなく、ツインエンジンのアニメプロデューサーをはじめ、本当にたくさんの方々が選考に参加したと解説。『ダンジョンすみっこぐらし』には「個人的にも主人公の無自覚無双と勘違いのずれが魅力的。いろんなところから出版のオファーがきてもおかしくないんじゃないかという作品だった」と評した。『美貌の少年の家庭教師をしていたらイケオジ侯爵にプロポーズされたんですが?』には「いわゆる悪女ヒロインではあるが、有能で家族思いな主人公が非常に魅力的。男性も読みたくなる作品」だと語った。
そして栄えある「大賞」を『【私のおふるで悪いんだけど】 とお母様(ヒロイン)に取り巻きを押し付けられ、嫁いだ辺境でも嫁扱いされませんが、おかげで自由に生きれます!』にて受賞したぷり氏が登壇すると、あわせて『美少女戦士セーラームーン』や『おジャ魔女どれみ』などで知られるアニメーション演出家の佐藤順一氏、そしてツインエンジンの山本幸治氏も一緒に登壇。第1回となるアニセカ大賞において、「大賞」を受賞した本作のアニメ化プロジェクトの始動が発表された。総監督は佐藤順一氏が務め、制作は2024年設立の新鋭スタジオ「NAGOMI」が担当することも明らかとなった。
ぷり氏は受賞の喜びを語ると共に「視聴者として楽しんできたアニメを手掛けられてこられた方とご一緒できることは、大変光栄であり、胸が熱くなりました。本作をより良い作品に育て、多くの方に楽しんでいただけるようにしていきたい」と今後の展望に触れた。アニメの総監督を務める佐藤順一氏も「この作品において主人公が一番魅力的」と語り、「逆境だけど、そのおかげで自由に生きられるという軸。ガツガツしていないけど、何かを諦めるわけではない姿勢が大きな魅力」だと語った。
ツインエンジンの山本幸治氏も総括として、「1回目からアニメ化が決まるといいなと思っていた」と、選考段階から多くのアニメ監督とコミュニケーションを図っていたことを明かした。また現在のアニメ業界を「コミック原作が全盛の時代」と評しつつ、「オリジナルの作品、小説原作の作品など、いろんな作品が世に出てきてほしい。アニメによって才能が世界へと知られることが実現される時代」と語り、「この取り組みは第2回も実現したいと思っている」と次回開催への意欲も覗かせ、挨拶を締め括った。
受賞した3作品については、2026年に実業之日本社より刊行が予定されている。
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