【GW特別企画】師走トオル×三河ごーすと×みかみてれん「ライトノベル作家のサバイバル鼎談」

――さて、お時間も迫ってまいりましたので、最後に総括をいただけますでしょうか。

みかみ:作家や作品はどうすれば生き残っていけるのか、そんな鼎談だったと思うんですけど、「生き残るって結局どういうことなの?」っていう話でもあると思うんですよね。わたしの考えでは、打ち切りが続いても新作を書き続けられる状態であれば生き残っていると言えます。商業、同人、ネットを問わず、読者がその作者の新作を読み続けることができる状態ですね。そして作家さんが消えてしまうのは、自信を失って書くのをやめてしまった場合だと思うんです。読者が作家を支えるという点において、もちろん売上は大切です。ただ、そこに至るまでにおいても、あの作家さんの物語は面白いよね、という声を発してくださることは本当にありがたい応援です。打ち切りを食らった作家は、現実的にも打ちひしがれて壁にぶつかって悲しい想いをして、自分の書くものはダメなんだってネガティブな思いを味わいます。そんな作家のリスタートを支えるのは、自分は面白いものを書けるんだ……絶対に書けるんだ……という自負なんです。読者が「面白かった」や「新作を出さないのかな」とか、そういった声が与えてくれる力は最強と言っても過言ではありません。手前味噌で申し訳ありませんが、今のわたしはその言葉に支えられて、作家を続けてくることができました! ですから、エネルギーの原動力でもあるファンの方は、いつまでも大事にしたいなと思います。大事にします!

師走:宣伝もありがたいですけど、この作家さんいいなって言葉も本当にありがたくて。それもまたファンの応援ですからね。三河さんのLINE@もそうですが、新しい繋がり方が生まれてきています。新しい応援の形も生まれてくることで、新しい生き残り方も生まれてくるんだろうと思います。

三河:読者の顔を、いろんな形で見るってことも大切ですよね。あ、それと! すべてのラノベ作家さんにひとつだけすごいツッコミをいれたくて。

みかみ:なにそれ怖い(笑)。

三河:みなさん、最近ラノベを何冊買いました?って。

師走:出た!(笑)。

三河:僕はもっと書く側もラノベを好きになる必要があると思うんですよね。自分もちゃんと読者になって、自分だったらこれは買うというものを挑戦しながら作っていきたい。仮に1冊も買ってないと、自分の作品が打ち切りにならないために買ってくださいって頼めないですし。作家も編集者も自分が愛していないものは、お客さんも愛してくれないと思うので。

みかみ:本当にそう思います。

師走: いつの時代も言われていることではあるんですが、耳が痛い(笑)。それこそプロになる前は山ほど読んでたんですが、お仕事が増えたり子供生まれたりするとなかなか時間とれないんですよね。

三河:たしかに様々な事情からどうしても読書の時間が取れない、という致し方ない事情がある場合もあるでしょうし、生活スタイルは人それぞれですから強くは言えませんけどね。僕としてはただただ自分たちが扱うジャンルに対してまっすぐ向き合ってほしい、という気持ちです。

――読者に作品を届けることはもちろん、ほかの作家さんや編集者さんに対しても、これは読まなくてはと思わせるような作品を作り続けていく必要があるということですね。

三河:みんなもっとラノベを楽しもうって思う。つらそうに書くのだけは辞めてほしい。お前はうまくいってるから、そら楽しかろうって思われる方もいるかもしれないですけど、僕の本も売れたのは最近ですからね。それまでは鳴かず飛ばずだったけど、楽しく書ける環境は整えながらの挑戦はできていたと思ってます。一方で生活に喘いでしまうような状況だと楽しく書けないのも実情。今は多くの編集者さんも、新しく作家になる方には仕事を辞めないでという話をしているのも、こういうところに起因しているんだと思う。ラノベの執筆については楽しく挑戦できるような環境作りも大切なんだと思いますね。

みかみ:もはや頷くことしかできないですね!

師走:実際そうなんですよね。私も別の仕事で収入を得ながら、それを元手に書いている節もなくはないですからね(笑)。

みかみ:そうでないとみんな冒険できないですからね。

三河:冒険というか、こういう作品が読みたい、面白いだろうと思ったものを書いてこその楽しい作家生活だと思うので。『自称Fランク』の後に刊行した作品も4作品中2作品が打ち切りになってるからね! 僕だってすべてが万事うまくいってるわけではない(笑)。

みかみ:でも安心しますよね。それでも楽しいことを貫いて成功しているわけですから。

三河:成功はたまたまだとは思いますけど、自分の考える「面白い」が読者にハマったこと。これこそが作家冥利に尽きると言わざるを得ないです。

――本日はありがとうございました。みなさんの活躍をこれからも楽しみにしています。

ファンとの向き合い方も「本」を通してだけではなくなっている現在、作家にも様々な選択肢が生まれてきているのかもしれません。作家という在り方や、作品との向き合い方は千差万別であるものの、同じ戦場で戦っている人達の言葉が、なにかしらのヒントになることも少なくないはずです。いち読者としても、いろいろな面白さが集まる場所こそが「ライトノベル」の魅力であってほしいと考えています。だからこそ、こう願わずにはいられません。「ライトノベルの未来よ、明るくなれ!」

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