独占インタビュー「ラノベの素」 心裡先生『魔王のJK冒険者育成計画!』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年3月30日にファミ通文庫より『魔王のJK冒険者育成計画! ~お前をトップ冒険者にしてやろう~』が発売された心裡先生です。装いを新たに開催された第1回ファミ通文庫大賞にて「優秀賞」を受賞し、満を持して書籍を刊行されます。現代世界へと転移した一人の魔王が、娯楽と称してとある底辺冒険者の女子高校生を一人前に育てあげる(?)コメディを描く本作。本作の内容はもちろん、プロデューサーとも言える魔王をはじめとしたキャラクターなど、様々にお話をお聞きしました。

 

 

魔王のJK冒険者育成計画! ~お前をトップ冒険者にしてやろう~

 

 

【あらすじ】

ダンジョンに潜り、動画を撮り、その閲覧回数で人気とお金を稼ぐ仕事――冒険者。女子高生で冒険者になった掛田志保は悩んでいた。急に魔王を名乗る男が自宅に押し掛け「吾輩がお前を一番上の冒険者にしてやる」と宣ったのだ。志保のレベルは1で、人気ランキングも下から数えたほうが早い。しかし魔王は「モンスターのことなど熟知しておるわ」と志保にある指示をするのだが――。魔王の知恵でランキングを駆け上がれ! 魔王×JKのサクセスコメディ!

 

 

――第1回ファミ通文庫大賞「優秀賞」受賞おめでとうございます。まずは自己紹介からお願いします。

 

はじめまして、心裡と申します。『心理』でも『真理』でもなく『心裡』です。好きというか得意なジャンルは歴史・軍事・法律です。今回の受賞作品や以前刊行しました書籍がコメディタッチなので、この話をしたときに編集の方が「全然違う」と驚いていました(笑)。ゲームも好きで、中高生の頃に周りが『モンスターハンター』をやっている中、『信長の野望』で天下統一をしていました。小説では半村良先生の『戦国自衛隊』、荒巻義雄先生の『紺碧の艦隊』なども好きですね。

 

 

――あらためて受賞時の感想をお聞かせください。

 

私は元々小説家を目指していたわけではなく、別の夢を追いつつ趣味で小説投稿サイトにて小説を投稿していました。そういった経緯もあり、過去に書籍化デビューしていたとはいえ、受賞の連絡を受けたときは本当にビックリしました。何せ忙しさのあまり、自分自身が応募したこと自体をすっかり忘れていましたから。応募締切が昨年5月で結果発表が9月でしたので、私の記憶を消すには十分な期間でしたね(笑)。なので、最初に電話がかかってきたときは敢えてとらず、電話番号をネットで調べたくらいです。しかもいただいた賞が「優秀賞」ということでしたから、更にビックリしたのを覚えています。

 

 

――心裡先生は作家として既にデビューされているわけですが、応募のきっかけはなんだったのでしょうか。

 

応募のきっかけは、もちろんカクヨムを利用していたため気軽にできた、ということもあります。しかしながら、それ以上にもう一度作品を世に出す喜びを味わいたかったというのが大きかったですね。残念ながら、過去の刊行以降から今回の受賞まで、私は作品を世に出す機会には恵まれませんでした。編集の方と議論をしながら原稿を作り、イラストレーターの方がイラストによって作品の世界を表現してくださる。そうした作品を世に出す過程というのがたまらなく楽しいんです。今回、こうして刊行の機会を再び得ることができて大変嬉しく思います。

 

 

――それでは受賞作『魔王のJK冒険者育成計画!』がどんな物語なのか教えてください。

 

本作の舞台はダンジョンと冒険者が存在している、ちょっとだけ私たちの住む世界とは違う日本です。そんな日本で、暇を持て余した異世界の魔王と鳴かず飛ばずの女子高生冒険者の掛田志保が力を合わせてダンジョンを攻略しながら、冒険者の人気ランキング1位を目指すという物語になっています。本作では異世界ものライトノベルでよくある「現代知識による無双」の逆、「異世界知識で無双」のような形になっている点も特徴だと思っています。とはいえ、それだけがメインというわけでもなく、魔王と女子高生という異色のコンビによるコントのような日常のドタバタコメディが全編通じてのメインですね。

 

魔王のJK冒険者育成計画!口絵01

※魔王と一緒に目指す冒険者人気ランキング第1位!

 

 

――本作の冒険者稼業は命のやり取りを生業とする殺伐とした冒険者像というより、動画制作や配信などをはじめとしたエンタメに特化した冒険者像である点も特徴的ですよね。

 

そうですね(笑)。発想としては異世界ものが流行っている中で「現代日本にだって十分面白い要素が転がっているんじゃないか?」というのがスタートにありました。そこからさらに「その『面白い要素』をできるだけ詰め込んでしまってカオスにすれば、コメディとの相性は悪くないんじゃないか?」という考えでした(笑)。現代日本ならRPGの下地があるのでステータス等々が存在してもおかしくないですし、大抵のことはスマホで解決できるという嬉しい副産物もありました。詰め込みが成功しているかどうかは読者の皆様の判断ではあるのですが……(笑)。

 

 

――コメディとの相性というお話の通り、魔王が異世界の知識で現代の女子高生冒険者をプロデュースするという、持ち込む知識の面白さ、情報のあべこべさも「笑い」という部分に拍車をかけていますよね。舞台が関西であり、関西弁もバリバリ飛び交う点など、「笑い」へのこだわりも感じます。

 

ありがとうございます(笑)。私個人としてもお笑い的な要素はできるだけ頑張ろうとは思っています。そこが関西人の自分の強みであり、評価されている点であるとも思っています。やっぱり話は笑える方がいいですから。

 

魔王のJK冒険者育成計画!口絵02

※魔王の異世界知識による女子高生冒険者のプロデュースが始まる!

 

 

――「お笑い」へのこだわりを含め、心裡先生にとってお笑いのバイブル的なものはあるんでしょうか。

 

自分のバイブル的な存在となっているのは、やはり吉本新喜劇ですね。例えばたこ焼き屋の兄ちゃんが花屋の姉ちゃんに片思いをしていて、それを知った商店街の人々がふたりをくっつけようと奮闘するメインの物語があったとします。新喜劇では、その物語を進めつつも、指名手配犯が商店街に逃げ込んできたり、花屋の親子喧嘩があったり、恋敵の金持ちが現れたり、突然ミュージカル仕立てのプチ芝居が入ったりと、合間合間に面白おかしいイベントが発生します。そして最後にはメインの物語に決着が付く。私の作品はまだまだそんな領域には達していませんが、コメディ作品のひとつの完成形なのかなと思って参考にしていますね。もちろん、なんばグランド花月に観劇に行ったこともありますよ!

 

 

――では続いて本作のメインキャラクターについて教えてください。

 

主人公である魔王ですが、一言で言えば残念イケメンです。外見も良くて、魔王としての知識と実力もある。しかしながら、現代日本とは常識も科学技術も違う世界から来たことで、どことなくズレていて女子高生の志保にツッコミを入れられる。コンビで言えばボケ担当みたいですね。その一方で年長者として志保のよきサポート役でもあり、ただの残念なボケ担当というわけでもありません。物語はそんな彼を中心に展開していくので、できるだけストレスのない魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。兎にも角にも彼に注目してもらいたいですね。

 

魔王

※魔王による余興と称した女子高生冒険者のプロデュース

 

もう一人の主人公である掛田志保の特徴は、関西弁のヒロインでもあります。突然現れた魔王を不審に思いつつも、なんだかんだと持ち前の人の良さで受け入れていきます。そんな彼女による関西弁での魔王へのツッコミというのが本作の魅力の1つかと思います。また、女性が読んでも違和感を持たない、できるだけリアルにいる感じの女子高生キャラを目指してはいます。

 

掛田志保

※関西弁が特徴の女子高生冒険者・掛田志保

 

サブキャラクターの中では志保の親友である佐竹美優がよく登場します。志保との対比として、美優は他の作品であればメインヒロインだろうな、というようなキャラ付けと外見をしています。何より、彼女の特徴としては志保のことが好きすぎるあまり、魔王すらも威圧するということですね。この3人が丁度じゃんけんのグーチョキパーのような関係でやり取りをするのが基本的なパターンです(笑)。

 

魔王のJK冒険者育成計画!挿絵02

※志保の親友・佐竹美優

 

あとは、トップ冒険者の曽根美咲も第1巻では注目して欲しいキャラクターですね。美咲は女性冒険者の中では最高位の冒険者であり、志保の憧れの人物でもあります。そんな彼女とあることがきっかけで志保は一緒にダンジョン攻略をするのですが、実は彼女も彼女で憧れの姿との間に本当はギャップがあって……という感じですのでぜひご注目ください。

 

 

――魔王や魔王軍の造型も面白いですよね。魔王側が様々な世界を転々できるという、逆転の発想もありながら、一方で巨悪の象徴である魔王が小手先の詐欺に翻弄される姿もギャップがありますよね。

 

これは端的に現代に来て笑いを産む魔王がいてもいいじゃないかという思い付きですね。ただ、全く元ネタがなかったわけではありません。私の好きな作品で、自殺したヒトラーが現代ドイツに蘇る『帰ってきたヒトラー』という小説があります。その作品はヒトラーの視点を通して1945年のドイツと2011年のドイツの違いを利用し笑いを生み出しています。魔王が現代へと転移すれば、そうした世界の違いを利用した面白さが出るのではないかと考えました。一方で魔王がただただ現代の科学技術等に驚くだけでは面白くないので、逆に魔王の知恵が生きる場面も作りたいと思ってモンスターやダンジョン要素を組み入れたという面もあります。

 

魔王のJK冒険者育成計画!挿絵01

※現代で活かせる知識を持つ魔王は、一方で現代の詐欺に引っかかりそうになるギャップも見どころ

 

 

――お気に入りのシーンやイラストについて教えてください。

 

鍋島テツヒロさんのイラストはどれも素晴らしいのでなかなか難しい質問ですね(笑)。ただ、このインタビューで答えたことを踏まえると、魔王と志保と美優がハンバーガー屋で談笑するシーンが気に入ってます。先ほど申し上げたグーチョキパーの関係が見事に表現されたイラストは最高です!

 

魔王のJK冒険者育成計画!挿絵

※魔王もたじろぐ佐竹美優の圧も笑いどころ

 

 

――著者として本作はどのような方が読むと、より面白いと感じてもらえると思いますか。

 

色々な要素が混ざっていますので、逆にどんな人でも楽しめるようにというのは目指しています。もちろん合う合わないはあると思いますが、筆者としては特定の層に向けた作品という想定はあまりしていません。しいて言えば、何かと使い勝手のよいキャラ付けに利用されたり、陽気なサブキャラになりがちな関西人がバリバリにメインを張っている作品が読みたいという方にはオススメなんじゃないでしょうか(笑)。ただ、本作の目指すポジションは考えています。ズバリ、「メインで追っている作品の合間にでも読むか」というポジションですね。Aという作品を追っている人も、Bという作品を追っている人も本作は共通して持っている。そんなポジションになれたらいいなと考えています。サクサク読めてクスッとしつつ、気づいたら読み進めてしまう。そんな内容を心掛けています。

 

 

――これからの目標や野望があれば教えてください。

 

個人的なことですが、作家になる以前に追っていました夢の方も叶いましたので、これからは二足の草鞋でなんとか頑張るというのが当面の目標でしょうか(笑)。そして、できることなら巻数を重ねた長期刊行というのも経験してみたいものですね。こちらは完全に願望ですが。

 

 

――それでは最後に発売に向けて意気込みをお願いします。

 

第1回ファミ通文庫大賞「優秀賞」受賞作『魔王のJK冒険者育成計画! ~お前をトップ冒険者にしてやろう~』は2020年3月30日に発売です。ぜひとも書店等で鍋島テツヒロさんのかわいい表紙を見て、手に取って読んでいただければと思います。また、本作はコミカライズ企画も進行しておりますので、そちらの方も楽しみにしていただければと思います。何かと暗いニュースの続く世の中で、皆様に少しでも楽しい時間を過ごしていただければ嬉しい限りです。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

異世界からやってきた魔王が女子高生冒険者をプロデュースして始まる冒険コメディを綴る心裡先生にお話をうかがいました。魔王の知識が現代のダンジョンを介して思わぬ形で活かされる、知識と情報のちぐはぐさも見どころの本作。関西弁と笑いが飛び交う『魔王のJK冒険者育成計画! ~お前をトップ冒険者にしてやろう~』は必読です!

 

 

©心裡/KADOKAWA ファミ通文庫刊 イラスト:鍋島テツヒロ

kiji

[関連サイト]

『魔王のJK冒険者育成計画!』特集サイト

ファミ通文庫公式サイト

 

魔王のJK冒険者育成計画! ~お前をトップ冒険者にしてやろう~ (ファミ通文庫)

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