『超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません』が発売 超能力を持つ一族が孤島の館で織り成すユーモア・ミステリー

宝島社文庫刊『超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません』が、2020年9月4日に発売された。本作は大富豪・蓮丸貴世彦の遺産相続をめぐって孤島に集められた一族が、屋敷で起きた事件にそれぞれの超能力を活かして挑むユーモア・ミステリー作品。主人公の蓮丸萌貴は、幼い頃に「指先から水を出す」という超能力に目覚めながらも、明るみにしないまま静かに暮らしてきた。そんなある日、平穏な日々を過ごしていた彼のもとへ一通の手紙が届く。それは曾祖父である大富豪・蓮丸貴世彦の遺産相続の話し合いの報せだった。

 

 

超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません

 

 

【あらすじ】

大富豪の遺産をめぐり、孤島に建つ屋敷に集められた相続人たち。しかし、遺産の分配を示した遺言状が忽然と消えてしまった! 大富豪が雇った弁護士も、血のついた服を残し行方不明に。孤島、謎の屋敷、遺産の因縁。さらに、事件を複雑にする鍵がもうひとつ。なんと、屋敷に集められた人々は全員、「しょうもない超能力者」だったのだ! 「パンの中身を当てられる」 「かかってきた電話が誰からかわかる」 「寝ていても午前2時が正確に認識できる」 「任意の範囲にある球体の数を当てられる」……まったく役に立たない(!?)能力を隠しつつ活かしつつ、事件の真相を突き止めるべく奔走する悲喜こもごものユーモアミステリー、開幕!!

 

 

遺産を巡って一族は「長男派」と「次男派」に割れていた。「次男派」に身を置いていた萌貴は、話し合いの会場となる孤島の館へと向かい、対立する「長男派」を含む一族の面々と顔を合わせることになる。館には一族だけではなく、遺産相続の公正を期すために雇われた弁護士・池澤立ち合いのもと、遺言が読み上げられるはずだった。ところが、公表されるはずだった遺言書は盗まれ、その遺言書を探す最中に池澤も姿をくらましてしまう。血の付いたナイフと池澤の衣服だけが見つかり、事件の様相を呈する現場を前に、萌貴は平穏な生活の中で燻り続けていた好奇心を目覚めさせ、池澤失踪の謎を追いかけはじめるのであった。

 

本作ではミステリー的な展開だけでなく、蓮丸家の人間が持つ「パンの中身を当てられる」「任意の範囲にある球体の数を当てられる」などの様々な特殊能力も必見だ。主人公の能力同様に「しょーもない」と思わずつぶやいてしまいそうな能力ではあるのだが、それらの力が物語の大きな鍵を握っている。誰がどんな超能力を持っているのか、その能力をどう活かして事件の真相に迫っていくのかは見どころといえるだろう。

 

また、物語の後半からは萌貴以外の視点からも事件の真相へと迫っていくことになる。様々な視点から事件のあらましを紐解くこの物語は、ミステリーに馴染みのない読者にこそ手に取ってもらいたい作品だ。一風変わったユーモア・ミステリーをぜひ読んでみよう。

 

 

©甲斐田紫乃/宝島社

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超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません (宝島社文庫)

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