【特集】『義妹生活』書籍化記念企画 三河ごーすと×中島由貴×天﨑滉平スペシャル鼎談 合言葉は「目指せアニメ化」!?
YouTubeにて「中島由貴×天﨑滉平」のボイスで贈る「心が温かくなる」をテーマにした兄妹の物語を展開している『義妹生活』の小説版が、MF文庫Jより2021年1月25日に発売された。一つ屋根の下で同級生から兄妹となった二人の日常を描く本作の書籍化を記念して、『義妹生活』の仕掛け人であり、YouTube版原作と小説版の執筆を手掛けるヒットメーカー・三河ごーすと先生、さらにYouTube版にて綾瀬沙季役を演じている中島由貴さんと浅村悠太役を演じている天﨑滉平さんの人気声優お二人を交え、書籍化の喜びから収録の裏話などお話をうかがった。YouTubeから小説へと飛び出した本作の目指す場所や、YouTube版と小説版との違い、そして声優陣お二人から見たそれぞれのキャラクターについてなど、『義妹生活』の秘話満載でお届けする。
【あらすじ】 高校生の浅村悠太は、親の再婚をきっかけに、学年で一番の美少女・綾瀬沙季と一つ屋根の下で兄妹として暮らすことになった。互いに両親の不仲を見てきたため男女関係に慎重な価値観を持つ二人は、歩み寄りすぎず、対立もせず、適度な距離感を保とうと約束する。家族の愛情に飢え孤独に努力を重ねてきたがゆえに他人に甘える術を知らない沙季と、彼女の兄としての関わり方に戸惑う悠太。どこか似た者同士だった二人は、次第に互いとの生活に居心地の良さを感じていき……。これはいつか恋に至るかもしれない物語。赤の他人だった男女の関係が、少しずつ、近づいていき、ゆっくりと、変わっていく日々を綴った、恋愛生活小説。 |
■鼎談参加者
三河ごーすと/天﨑滉平/中島由貴
――このたび小説版も発売された『義妹生活』のプロジェクトを担っている御三方にお話を伺います。よろしくお願いします。
三河&中島&天﨑:よろしくお願いします。
――それでは早速なのですが、YouTubeからスタートした『義妹生活』という作品の成り立ちから教えていただけますか。
三河:『義妹生活』の着想は「若い人たちが多く見てくれる場所で何かコンテンツを出したい」から始まりました。私はライトノベルを主戦場として執筆活動をしているのですが、個人としても業界としても若い読者層に新作ライトノベルを買ってもらうハードルの高さを感じています。アニメになってようやく若い人たちが流入してくる状況の中で、なんとか若い人にもできるだけ最初から作品に触れてもらいたいと思っていました。そこで「今の若い人たちってどこにいるんだろう?」と考えた時に、YouTubeにいるなと思いまして。コンテンツを中高生向けに提供する作家として、YouTubeで作品を発表していないのは長期的に考えたら良くないのではと思い、挑戦することにしました。いきなり高い再生数を稼いだり、うまくいったりしなかったとしても、YouTubeという場所での作品作りが良い影響を与えてくれるだろうと思って始めました。
※すべてはここから始まった! YouTube『義妹生活』
――まずはYouTubeで何かやりたい、からスタートしたコンテンツだったんですね。挑戦から始まったコンテンツとのことでしたが、中島由貴さんや天﨑滉平さんといった人気声優陣を起用したり、座組みとしても力の入った始まりでしたよね。
三河:そこは幸いにも、私自身がここ数年ヒット作に恵まれたわりにお金のかかる趣味がなかったため、自由に使える予算があり、ある程度自腹でやれちゃったことも大きかったですね(笑)。キャスティングについては、ビーフェクトさんとご縁があり、相談させていただいた結果、中島由貴さんと天﨑滉平さんのお二人をご提案いただいたんです。お二人とも絶賛活躍中でしたし、『義妹生活』に登場するキャラクターのイメージにも本当にぴったりで、受けていただけるのであればぜひとオファーさせていただき、ご快諾いただくことができました。正直、受けてもらえるとは思っていなかったので、逆にびっくりしましたね(笑)。今回のオファーってアニメなんかと違って珍しい形だったと思うんですけど、どうでしたか? 怪しい案件がきたぞ、みたいな感じだったのかなとも思っていて(笑)。
天﨑:(笑)。事務所から連絡をいただいた時に、新しく始めるプロジェクトで、制作に携わっている方々もすごく熱意を持っているというお話は聞いていました。それなら僕も何かお力添えできたらというか、一緒に頑張れたらという気持ちでお引き受けしました。
中島:私もオファーをいただいた際はそういう流れで、YouTubeから発信するという、私はあんまり聞かないタイプのコンテンツという印象だったんですけど、他のお仕事と変わらず精一杯やろうと思って「わかりました」とお返事しましたね(笑)。
三河:ありがたいお話です。お仕事の依頼としてはゲームの案件に近い感じだったのかもしれませんね。原作があるわけではなく、脚本のデータに基づいて、みたいな。
天﨑:そうですね。ちょうど思い出したんですけど、事務所とのやり取りの中で、アドベンチャーゲーム形式の動画というお話もありました。アドベンチャー形式の画面で、キャラクターが動いて文章が表示されて、声がつくんだなっていう、なんとなくではありましたけどイメージはできていましたね。
――そんな豪華メンバーでスタートした『義妹生活』ですが、YouTubeで公開された後の視聴者の反応はいかがですか。
三河:ユーザーさんからの反応はすごく温かいなと感じました。ユーザーのみなさんが作品に対して前向きに関わってくださっていて、前のめりなファンの方が多いなと。
天﨑:僕もそう思いますね。YouTubeのコメント欄を見ていてもそうですし、視聴者さんを含めた皆で一から作品を作り上げていくプロジェクトのような温かさを感じています。公式のTwitterでもユーザーさんと密にやり取りをされていて、一緒にコンテンツを作っている感覚が広がっているように思います。
中島:物語の内容とかでも、メタいことやみんなが気になっている内容、「もしも~」みたいな展開もあったりして、毎回視聴者さんもコメント欄で「面白い」や「飽きない」って言ってくださって、最新の動画だけではなくちゃんと前の話数から見ていただけているというのはすごく感じでいます。自分たちも収録していてクスッと笑っちゃうような台本にもなっていて、私たちが感じている楽しさや面白さが、視聴者さんにも受け入れていただけているというのは嬉しいですし、これからどんな展開になっていくのかっていうのはすごく楽しみでもあります。
天﨑:『義妹生活』は僕を応援してくださっている方や中島さんを応援してくださっている方も見ていただけていて、僕としては男性の方に見ていただける新しい機会というか、新規に応援してくださる方が増えたりしているのも嬉しいですよね。
三河:そうなんですね!天﨑さんや中島さんにとってもファンの新規開拓の場になっているというのは、すごく嬉しいです。それと先ほどTwitterのお話もありましたけど、スタッフは複数人でやっていまして、『義妹生活』の原作として自分はいるんですけど、台本は複数のライターが手掛けています。それぞれのライターの味が台本ごとに出ていて、自分としても敢えてミニマムコントロールをせず、そのまま収録に持っていくことも多いんです。結果としてお二人を戸惑わせるような台本もあったとは思うんですが、そういった点を含めて、『義妹生活』がユーザーさんに受け入れてもらえているというのは、非常に嬉しいですよね。もともと自由度を高くしてコンテンツ運営をしていきたいと思っていましたし、小説ではこういうことも難しいですからね(笑)。
中島:突然無人島に行ったりする台本とかもありましたもんね(笑)。
※YouTube:無人島で女子高生と二人きりになったらどんな生活になるのか?無人島サバイバル生活
天﨑:ありましたね。台本を読んだ時に、これはどういう……夢でいいのか? それとも現実なのか? みたいな(笑)。
三河:突然無人島に行くシリーズは、『義妹生活』チャンネルのファンからも「なんでいきなり無人島に行くの?」みたいな反応もありましたね(笑)。YouTubeのことをよく知っている方であれば、漫画動画界隈で結構な鉄板企画だということがわかってもらえるのかなと思います。YouTubeの中にも流行りがあって、せっかくだから『義妹生活』でもやってみようと自分が言い出しました。なので、お二人同様に戸惑われた方も多かったと思います。現代恋愛ものの作品で、どうしていきなり無人島に行かなくちゃいけないんだっていう(笑)。
天﨑:でも浅村悠太くんを演じていて、彼のキャラクターの範囲を超えた表現ができるのも嬉しいんですよね。無人島もそうでしたし、スパイの回もそうでしたね(笑)。いろんな人になったり、様々な面白さが詰め込まれているので演じていて楽しいです。
三河:楽しんで演じていただけているのであれば、原作者としても嬉しいです(笑)。
――そしてYouTubeから始まった本作は、ついに書籍としても発売されました。あらためて感想をお聞かせください。
三河:自分は小説家なので、『義妹生活』を小説にしたいという下心はずっとありました。とはいえ、YouTubeしか見ていないお客さんに小説を買ってもらうことも難しければ、そもそも出版社の方にYouTubeの小説を納得してもらうのも難しいという。前例のないことに対して納得してもらうことは大きなハードルだと思っていて、出版社さんに見つけてほしいなっていう思いをずっと抱いていましたね(笑)。知り合いの編集者さんにはちょくちょくと『義妹生活』のことはアピールし続けていて、晴れてMF文庫Jの担当編集さんからうちでやりたいですと言っていただくことができました。
※YouTubeを飛び出して書籍版『義妹生活』の物語がスタート
天﨑:僕も小説化するというお話を聞いた時はめちゃくちゃ嬉しかったです。『義妹生活』がいろんなメディアに広がっていくことは純粋に嬉しいですし、小説化したものにまた自分が声をあてられるような機会ができたら、なお嬉しいなって思います。
中島:YouTube版で『義妹生活』を知ってくださった方が、小説を読んだらきっと、今までと違うぞっていう雰囲気になるんじゃないかなって感じています。YouTubeと小説のどちらから入っても楽しめるコンテンツになったらいいなって思いますし、小説版の世界観とYouTube版の世界観の両方とも楽しめる感じになっていると思います。
――小説化したことで、YouTube版ではあまりはっきりとしていなかった時系列も生まれることになりましたよね。
三河:そうですね。『義妹生活』の時系列については、おそらくお二人ともすごい頭を悩ませていると思うんです。なぜかというと、YouTube版は時系列がバラバラなんですよ(笑)。小説版については、ストーリーを時系列に沿って丁寧に展開することを心掛けました。基本的には浅村くんの視点で物事が語られていて、彼の一人称で進んでいきます。そしてYouTube版は、言うなれば小説版のキャラクター達がユーチューバーをやっているイメージを描いて作っています。だから時系列がバラバラでも、特殊な展開や企画が行われてもOKみたいな。この『義妹生活』の世界観的な考え方は、小説の発売が決まってから中島さんと天﨑さんにお伝えしたので、それまではまったく伝えていなかったんですよ。ずっと時系列とかは気にせず、お願いします、みたいな感じで続けてきていましたね。
※小説版ではファミレスでの顔合わせから物語は丁寧に動き出していく
天﨑:とは言っても、収録には毎回立ち会ってくださっているので、僕らが調節できない部分を代わりにしていただいていますし、毎回オムニバス形式の構成で、僕らとしては「今回はこのお話に彼らが入っている」という感覚で演じさせていただいていました。ひょっとしたら三河先生が言う程難しさは感じていなかったかもしれないですね。
中島:私はそこまで、時系列があるからこその関係性の機微や変化は大きく意識しないようにしていました。ただ、沙季自身が季節の話をしたり、4人で集まってクリスマスをお祝いしたりした時は、「たまにはワイワイするのもいいな」みたいな感じで、少しずつですけど感情を表現したりですとか、成長の部分を意識するようにはしていました。
三河:思っていたよりも足枷になっていなかったようでよかったです。YouTube版はいろんなエピソードがあるけどストーリーは前にほとんど進まない『サザエさん』方式のような位置づけで、引き続き演じていただければありがたいです(笑)。
中島&天﨑:なるほど、わかりました(笑)。
――ここまでも細々と触れていただいていますが、YouTube版と小説版の具体的な違いはどんなところなのでしょうか。
三河:一番の違いは、一連のストーリーがあることですよね。YouTube版のファンの方からは「早くこの二人付き合えよ」とか「関係性をもっと進めろ」という声もあったんですけど、小説版では関係性ががっつりと変化していきますし、感情の変化も成長もYouTube版以上にあると思います。あとは、YouTube版に登場しないキャラクターがたくさん登場します。たとえば二人の両親。ほかにも浅村くんのバイト先の先輩とか。すごく可愛いので、知られざる沙季のライバル候補ですね(笑)。
※書籍版にて登場する新キャラクター・読売栞は沙季のライバル候補!?
中島:ええええええええええええ!!!(笑)。
一同:(笑)。
天﨑:小説版でキャラクターが増えることはめちゃくちゃ嬉しいです。もともとYouTube版も悠太くんと沙季ちゃんの二人から始まって、途中から奈良坂真綾や丸友和が入ってきて、キャストも増えました。二人の両親についてもYouTube版で話すことはあっても、キャラクターとして登場することはなかったですからね。悠太くんと沙季ちゃんの出会いから、ゆっくりと悠太くんが変化して、成長していく姿を小説で読めるのはすごくいいなって思います。そこからYouTubeを見ることで、さらに面白さが増すと思いますし、いい相互関係ですよね。
中島:YouTube版では語られていない部分が小説版で語られたり、小説になることでもっとお話が広がったり、心の変化や成長を見ることができるようになるのかなって期待もすごくしています。『義妹生活』を深く知りたい、気になっているけどYouTube版ではなく小説から読んでみたいという方はぜひ手に取っていただきたいですよね。YouTube版は三河先生もおっしゃられていましたけど、この子たちがYouTubeやったらという見せ方や、面白い方向に向けてシフトしていると考えていただければ、さらに楽しんでいただけるんじゃないかなって感じます。きっと小説では真面目な部分もたくさん出てくると思うので(笑)。
三河:小説はかなり真面目ですね(笑)。文体に関しても文芸よりというか、リアリティレベルをやや高めに意識して執筆しているので、私の他の作品を読み慣れている人から見ると、ちょっとかっちり目に映るかもしれません。それも含めて楽しんでいただけたらと思います。
――それではお二人が演じているご自身のキャラクターの印象について、あらためて教えていただけますでしょうか。
天﨑:浅村悠太くんはいい子ですね! もともと陰キャ男子というひとつのワードをいただいていたキャラクターではあって、そういった要素も端々に出てはいるんですけど、根がすごくいい子でなんですよ。いざクラスメイトの女の子と兄妹になって、共同生活を始めるってなった時に、ここまで相手のことを思いやれるのか、って。自身にとっても大きな変化のはずで、自分のことばかりに意識が向いてしまいがちなところを、悠太くんは沙季ちゃんの立場で思いやれるし物事を考えることができるんです。たまにそれがうまくいかなかった時はきちんと反省することもできる。見ていて、そして演じていてすごく気持ちのいい好青年だなって思いました。友達も大切にしているし、とてもいい子ですよ、本当に。
※いい子、好青年といった好印象しかないという本作の主人公・浅村悠太
三河:めちゃめちゃ客観的にも見られているんですね。
天﨑:実は毎回演じた後に、YouTube版を客観的に見るようにもしているんです。その時に悠太くんは本当にいい子だなっていう感想になることが多くて、Twitterで告知させていただく時もついついそういう感想が入っちゃったりもしてしまいます。もちろんいい子というだけでなく、格好いい面もたくさんあります。いざという時に、彼なりの「守る」を実行することができますし。
三河:そのぶん空回っちゃうことも多いですけどね(笑)。
天﨑:そうですね。でも空回った後に、きちんと自分の等身大で沙季ちゃんと接することができているので、本当に伸びしろだらけの子だと思います。考えれば考えるほど、いい子なんですよね(笑)。
――「いい子」というワードが連発されていますが、親が子供を見るような優しいイメージに聞こえますね(笑)。
天﨑:そういう意味では親の視点かもしれないですね(笑)。僕も悠太くんとは年齢的にかなり離れていますし、自分で演じているキャラクターはどの作品でも、実際に出来上がったものを見た時に、どうしても親目線というか、なんだったら親バカくらいに思っちゃうので、悠太君に対してもそういう気持ちはあると思います。
三河:親目線っていうのは面白いですね。では小説版では父親に感情移入していただいて(笑)。
天﨑:それは泣いちゃうかもしれないです(笑)。
――では続いて、中島さんから見る綾瀬沙季の印象はいかがですか。
中島:沙季ちゃんはドライな妹で、見た目はギャルなんですけど、ギャップのある女の子だと思っています。特に感じているのは、意外とお茶目だということ(笑)。浅村くんにドッキリを仕掛けたり、負けず嫌いで頑固な面もある。ドライとは言いつつも、感情が内側ではコロコロと転がっている女の子だなっていうのはすごく感じています。後はそう、浅村くんをめちゃくちゃ振り回すやんっていう(笑)。普通だったら怒ってもいいんじゃないかと思うこともあるんですけど、浅村くんはそれをちゃんと優しく受け止めてくれるんですよ。だから沙季も伸び伸びとやれているんだなっていうのは、台本を見て思いましたね。浅村くんは本当にいい子なんですよ!(笑)。
※外見と内面でのギャップが魅力になっているというヒロイン・綾瀬沙季
三河:なるほど。そういう意味だと、時系列に沿う小説版では、二人の距離感って結構あるんですよ。もしかしたら小説版を読んでからYouTube版を見ると、「浅村くんとの関係でだんだんと救われていってるんだな」って感じるかもしれないですね。かなり壁のあるキャラクターとして沙季は描いているので、YouTube版はある程度心を開いた後ってイメージになるかと思います。
中島:実際、私たちの悠太くんや沙季ちゃんに思っていたことって当たってました?(笑)。
天﨑:え、違うって言われたらどうしよう(笑)。
三河:いやいやいや! もうめちゃめちゃ本当にその通りだなって思いますよ!(笑)。本当におっしゃる通りだし、親目線になってくれたりとか、お茶目なところを感じていただけているところとか、キャラクターの深いところまで入り込んで好きになっていただけているのは原作者として嬉しいです。これは本当に「ありがとうございます」です。とは言っても、なんだかんだお二人とも『義妹生活』のキャラクターとは長い付き合いですから、当然と言えば当然なのかもしれませんが(笑)。
中島&天﨑:確かに!(笑)。
三河:僕はもう記憶があまり残ってないんですけど、1年くらいは経ちましたっけ?
中島:収録の開始から考えると、そのくらいの期間が経ってるかもしれないですね。
天﨑:これはどこまで話していいのかわかりませんけど、もともとずっと続くコンテンツだとはうかがっていなかったんですけど、皆様のおかげでありがたいことに長く演じさせていただいている感じで。収録のご連絡をいただいた時に、また『義妹生活』が録れるっていう、続けられることへの嬉しさをいつも感じていました(笑)。
三河:長く続けられているのもお二人のおかげなので、今後ともよろしくお願いします(笑)。
――収録として1年くらい続けられていると、演じやすかったシチュエーションや演じにくかったシチュエーションなどもあったと思うのですが、いかがですか。
三河:これは僕が裁かれる流れですね!(笑)。
天﨑:いやいや(笑)。でもそうですね、総じて演じやすい環境を作ってくださっているという印象は強いです。僕たちがやる突拍子のないアドリブやお芝居をすごく受け入れていただける現場だったので、いろいろやってみようという気持ちになりやすかったです。特にコミカルなシーンや沙季ちゃんとの掛け合いのシーンはやっていて楽しかったですね。演じにくかったシチュエーションは……。
三河:どうぞ、裁いてください(笑)。
天﨑:やっぱりいきなり無人島に行った時は混乱しましたね(笑)。ただ、僕も悠太くんも無人島に行って混乱していたので、混乱と混乱とでうまく入り込めていたかもしれません。本当に難しさという意味では、現場として難しかったという印象はほとんどなかったと思います。
三河:ありがたいお話です。先ほどアドリブについてのお話があったと思うんですけど、面白いアドリブを入れていただけると、ついつい嬉しくなって採用しちゃうんですよ(笑)。ライターごとの味のある台本もそうですし、チームでYouTubeを頑張ろうって時に、個々のエッセンスを残したいと思っちゃう。やっぱり声優さんもクリエイターじゃないですか。自分の表現のようなものは必ずあると思いますし、面白いと思ってアドリブやお芝居をやっていただけているわけで。それをお客さんにそのまま見せていきたいという欲求があるんです。自分としては著しくキャラクターが違うだとか、悪い意味で壊れちゃっているようなことがなければ、そのまま流していきたいと思っています。
天﨑:そう言っていただけるのは役者としては一番嬉しいことですし、あらためて幸せな現場だなと思いました。
中島:私は演じやすかったというか、沙季ちゃんのように自分の感情をあまり表に出さないキャラクターをやったことがなかったので、私的には挑戦という気持ちがすごくありました。天﨑さんも言ってくださったように、現場はすごく温かくて、やりやすい環境を作っていただけています。やりにくい部分はないと言えばないんですけど、しいてあげるなら、沙季がめちゃくちゃ憑依する時あるじゃないですか。パリピだったり、スパイだったり、突然ぶりっ子になったり(笑)。
※YouTube版では小説では見られないような二人の違った一面も!?
天﨑:(笑)。
中島:これは沙季としてぶりっ子をした方がいいのか、それとも忘れて演じた方がいいのか、すごく戸惑いました(笑)。
三河:人格が入れ替わったりしてましたからね。そこは素直に申し訳ないです(笑)。
天﨑:僕はパリピ大好きでしたけどね。めちゃくちゃ面白かったです(笑)。
三河:ハロウィン回だったかな。あれはぜひ聴いてほしいですよね(笑)。中島さんには苦労をおかけする形にはなっていますけど、沙季を保ったままいい意味で壊してくれていて、本当に感謝しかないです。
中島:沙季に関してはそこが唯一遊べる部分だと思っているので(笑)。普段はそのまま素で歩いているようなタイプの子なので、日常で遊びをいれようとしても難しいのかなと。なので、憑依ネタなんかはすごく楽しくやらせていただいています。こういうことを言っちゃうと憑依ネタが増えちゃうかもしれないけど(笑)。
三河:わかりました。今後も憑依ネタは定期的に入れていきますね!(笑)。
天﨑:やったー!(笑)。
中島:覚悟しておきます(笑)。
――ここまでご自身の演じるキャラクターについてお話をお聞きしましたが、相手のキャラクターについての印象も聞かせていただきたいです。
天﨑:綾瀬さんは強そうに見られてしまうし、実際に強く振る舞っているので、なかなか弱みを見せるのが得意なキャラクターではないのかなって思っています。そんな綾瀬さんに対して、悠太くんもなかなかツッコめなかったり、気づけないところもあって、年頃の男女二人の共同生活の大変さも垣間見えるなとも。結構衝撃的だったのは、二人が同じ部屋で共同生活していることで、人知れない苦労も多いんだろうなとか、お互い失敗もあったりしながら、少しずつ心を開いてすり合わせていく。二人が一緒に生活していける環境づくりの描写はすごく素敵だと思っています。YouTube版では沙季のモノローグで心の変化も描かれたりしていますけど、浅村くんに対してはっきりと伝えるシーンは難しかったりもするでしょうし、頑張っている強い子だなって思いますね。
三河:ちなみに今お話に出てきた同じ部屋での共同生活という設定は、小説版とYouTube版の大きな違いのひとつでもあります。小説版では同じ部屋ではないんですよ。詳しい理由は省きますが、相部屋はYoutube撮影用のセットということでお願いします(笑)。
中島:そんな裏設定が!(笑)。
三河:共同生活での部屋の在り方は小説版とYouTube版とで違いますけど、二人がそれぞれ感じている感情そのものは変わらないので、天﨑さんにおっしゃっていただいた通りです。中島さんはどうですか。
中島:浅村くんに対しては、さっきも少し触れましたけど、いい子だなって思います。本当に優しくて、少し天然というか、おっちょこちょいな部分もあって、反省もできる。もっと頑張らなくちゃって言っている姿が可愛らしいと思いながらいつも見ています。沙季に対して、なんとか強がっている彼女を和らいであげよう、リラックスしてもらおうといろんなことをするんですけど、空回っちゃうことも多い。でもたまにみせる格好いい部分というか、バシッと決めるところは決める男の子なので、そういうところはズルいなって思いますね。こんなに可愛らしい感じだったのに、いきなり格好よくなっちゃって、みたいな。これは女の子が絶対嬉しいやつだと思いながら見ています(笑)。
三河:浅村くんへの評価がお二人ともすごく高い(笑)。お互いのキャラクターへの理解度も高くて、本当に嬉しいですね。
――続いて原作者でもある三河ごーすと先生にあらためて聞いてみたいことや、YouTube版への要望などがあればぜひ。
天﨑:聞きたいことは前半でかなり聞けた気もするので、ちょっと要望をしてみたいです。小説版の浅村くんや沙季ちゃんが、よりリアルな彼らの姿なのだとしたら、YouTube版はそんな二人がYouTubeを撮ったらどうなるかって姿なわけじゃないですか。であれば、よりYouTubeっぽい動画をやってみたいですよね。今のショートストーリーのようなものではなく、二人の挨拶から始まるTHE・撮影って感じのもの。〇〇やってみたであったり、これまで以上にメタな発言も聴けるんじゃないかとか、すごく面白そうだなと思って。
三河:わかりました。やります!
中島:一瞬で決まっちゃった(笑)。
天﨑:言ってみるもんですね。楽しみにしています(笑)。
中島:私からは聞いてみたいことになるんですが、ファンの方もYouTubeのコメント欄に書いていたりするんですけど、真綾と丸はくっつくのかみたいな。4人の登場回はWデート回ってよく言われているんですけど、そういうファンの方の反応を見てどう思っているのか気になっているんですよね。
※小説にも登場する丸友和と奈良坂真綾の二人の関係にも変化が……!?
三河:それはもう、計画通りって感じです(笑)。
中島:(笑)。
三河:くっつくとは言わないですけど、そういう反応がきてくれると嬉しいなと思いながら作っています。僕はメインの二人を応援するサブキャラ二人同士の関係性がすごく好きなんですよ。
天﨑:なるほど。なんとなくわかりますそれ(笑)。
三河:なので、物語上絶対に必要だから登場させているというわけではなく、関係性が好きだから登場させている。それぞれの親友同士二人は応援し合っているだけだけど、「よくよく見るとお前ら相性いいんじゃない?」みたいに思ってもらいたい。でも『義妹生活』においては、浅村くんと綾瀬さんの物語になるので、深く書くことはないと思います。それっぽい描写はどこかで描かれるかもしれませんが(笑)。
中島:楽しみですね、テンションあがる~!(笑)。
三河:中島さんからは要望のようなものってありますか?
中島:天﨑さんも言われていたYouTube的な動画をみてみたいというのは個人的にも思っていた部分だったんですけど、浅村くんと沙季だけではなく、4人でワイワイしているシチュエーションももっと見たいなって思っていて。4人で遊園地に行くとかでも全然いいんですけど。
三河:それはWデートみたいな?(笑)。
中島:そうそう、そういうやつです(笑)。
天﨑:さっきの話とめっちゃ繋がってる(笑)。
中島:本当だ(笑)。この先、真綾と丸はどんな感じにくっつくんだろうっていう、妄想をかきたてられるお話があると、個人的にはすごく満たされます(笑)。
三河:了解しました。ちょっと考えますね(笑)。
――真綾と丸の関係性にも楽しみな部分はありつつ、悠太くんと沙季ちゃんに早くくっついてほしいというファンの声もあるというお話もありました。実際に二人の距離がぐっと近づいたシチュエーションの収録もしてみたいという思いはありますか。
天﨑:もちろんありますね。
中島:それは私もあります。
天﨑:YouTube版のモノローグで、沙季が悠太の取った行動に好意的な反応をしてくれていると、ちょっとお話が前に進むのだろうかといつもワクワクしています。二人の距離が近づいたシチュエーションで演じる機会があれば、もっともっと彼らのことを好きになれるんじゃないかって思います。
三河:わかりました、そちらも検討させていただきます(笑)。
――小説として異なるメディアでの展開もスタートした『義妹生活』。御三方それぞれの視点から、本作の今後の展望についてお聞かせください。
三河:自分は書籍とYouTubeを面白く連動させる方法を考えています。書籍で触れたコンテンツをYouTube版で実装するようなものであったり、勉強中とか仕事中とか、まとまった時間ではないところでも邪魔にならないようなコンテンツを『義妹生活』の中に置きたいと思っています。その試みのひとつとして、真綾の声で試し読み朗読動画も録っています。尺は1時間くらいなんですが、聞きながら眠れます、BGMとして最適です、みたいな動画ですね。あとは勉強中や睡眠導入に最適なBGM集を既に作っています。ほかにもコミックスだったり、アニメだったりのメディアミックスも実現できたらいいなと思います。とはいえ、そこは自分だけではどうにもできないところなので、お話お待ちしております(笑)。
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天﨑:とにかく野望でいうなら、やっぱりアニメ化はしてほしいですし、悠太くんを演じられる機会がもっともっと増えて、いろんな媒体で演じ続けられたらいいなって思います。そしてYouTubeから始まった企画でもあるので、それらの根底には必ずYouTubeの企画が走り続けているわけです。本当にいろんな方に『義妹生活』を知っていただいて、アニメ化できたら嬉しいですよね。
中島:私もアニメになったらいいなっていうのは思っていますし、小説版とYouTube版とで違いがあるように、展開するメディアによっての違いも見せていけたらさらに面白いんじゃないかなって思います。それと個人的にふと思ったことなんですが、真綾がVTuberになった姿をみてみたいです(笑)。ややメタ的なものになるかもしれませんが、浅村くんと沙季ちゃんの二人だけの動画を真綾が視聴したらどうなるのか、みたいな(笑)。
三河:それ面白いですね。予算次第ではありますけど、ガチでやってみたいなと思いました。予算次第ではありますけど!(笑)。
中島:後は、ファンの方からキャストに実写版の『義妹生活』をやってほしいという声もあったんですよね。別に私たちじゃなくていいんですけど、ドラマや映画(実写版)でも見てみたいかもって思います。
天﨑:実写版はやれたら面白そうですよね。
三河:シチュエーションとして実写版は合いそうですよね。ファンの方の要望なので、出演はご本人だと思うので、ちょっとここは中島さんには金髪にしていただいて(笑)。
中島:ちょっとそれは(笑)。
天﨑:実写の話でふと思い浮かんだんですけど、悠太くんと沙季ちゃんってよくゲームで対戦してるじゃないですか。たとえば二人でゲーム実況をやってみるとかどうですかね。なんとなくリアクションも似たりして、ファンの方も悠太くんと沙季ちゃんの二人が実況しているような感覚で見られるかもしれないですし。
三河:ゲーム実況も面白そうですね。
天﨑:逆に悠太くんはそんなこと全然言わないよみたいなリアクションが僕から出ても、それはそれで面白いんじゃないかなって。
三河:天﨑さんが実際にゲーム実況やってくださるってことですか? なるほど(笑)。
中島:私もやりますよ! でもそうなると、沙季ちゃんはゲームが強くなきゃいけないってことですよね(笑)。
天﨑:僕は負けて大丈夫ですね(笑)。
三河:いや、それも面白そうですよね。どうやったら実現できるのか、いろいろ調べてみたいと思います。ここまで自由な発想が飛び出してくるのも、やっぱりYouTubeっていう媒体の自由さに起因している気がしますね。今後も面白い企画を次々と展開していきたいです。
――それでは最後にファンのみなさんに向けて一言ずつお願いします。
天﨑:あらためまして、YouTube版からずっと応援いただいている皆様には、毎回たくさんの声やコメントをいただけてすごく励みになっています。僕自身も楽しんで『義妹生活』を見ることができているのは、皆さんのおかげだと思っています。そして小説版から読んでみようと思ってくださっている方へはですね、小説版で彼らの事を好きになっていただいて、YouTube版もぜひ見ていただきたいです。『義妹生活』というコンテンツをまるっと楽しんでいただけたらと思いますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。
中島:『義妹生活』はYouTube版で自由なことをたくさんさせていただいています。小説版で展開されるストーリーとのギャップの部分も楽しんでいただきながら、引き続き応援していただけたらと思います。先ほどみんなで話をしていた要望が通るかどうかはわかりませんが、今後の展開も楽しみにしていただけたらと思います!
三河:いつも温かいコメント、運営一同楽しく読ませていただいています。本当にありがとうございます。『義妹生活』は声優さんのファンも動画のファンも、小説のファンも、みんながハッピーになれるような形に展開できればと思っています。応援の結果がファンの利益に繋がればいいなと思っていますし、小説が売れたらそのぶんチャンネルも豪華になりますので、ぜひ手に取っていただけたら(笑)。応援はいつもありがたく受け取っておりますので、これからも一緒に二人の物語を見守っていただけたら嬉しいです。第2巻の刊行も決まっていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。
<了>
YouTubeから書籍化を果たした『義妹生活』について、三河ごーすと先生、中島由貴さん、天﨑滉平さんの御三方にお話をうかがった。小説版によって二人の時間が前に向かって動き出し、YouTube版では今後も様々な展開を行っていくという本作。ファンも広がり続ける『義妹生活』の世界を、作り手たちと一緒に楽しんで、そして盛り上げていってもらいたい。小説版『義妹生活』はMF文庫Jより発売中。第2巻も2021年3月発売予定。
<取材・構成・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>
©三河ごーすと/KADOKAWA MF文庫J刊 イラスト:Hiten
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