独占インタビュー「ラノベの素」 DREノベルス創刊記念vol.3 蝸牛くも先生&小原豪編集長スペシャルインタビュー

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2022年12月9日にDREノベルスより『ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い-』が発売された蝸牛くも先生と、DREノベルスの編集長で、本作の担当編集でもある小原豪編集長のお二人をお招きしました。小原編集長には蝸牛くも先生とso-bin先生のタッグ誕生の秘話などをお聞きしているほか、蝸牛くも先生には『ウィザードリィ』に連なる物語としての作品内容についてはもちろん、登場するキャラクターについてなど様々にお聞きしました。

※12月20日頃設置開始のフリーペーパー「ラノベNEWSオフラインvol.11」には本記事未掲載のインタビューも掲載されています

 

 

ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い-

 

 

【あらすじ】

誰も足を踏み入れたことのない《迷宮(ダンジョン)》の奥で発見された、あるはずのない冒険者の死体――蘇生されたものの記憶を失った男イアルマスは、単独(ソロ)で《迷宮》に潜っては冒険者の死体を回収する日々を送っていた。《蘇生》が成功しようが失敗して灰となろうが、頓着せず対価を求める姿を蔑みつつも一目置く冒険者たち。そんな彼の灰塗れの日常は、壊滅した徒党(パーティ)の唯一の生き残り「残飯(ガーベイジ)」と呼ばれる少女剣士との出会いを機に動き始める! 蝸牛くも×so-binが贈るダークファンタジー登場!!

 

 

――それでは蝸牛くも先生の自己紹介からお願いします。

 

蝸牛:蝸牛くもです。ネットで好き勝手に創作したり、映画を観たりアメコミを観たり、TRPGをやったりしているうちに、気が付いたら作家になっていました。未だに実感がないと言いますか、気が付いたら次の日にベッドの上で目が覚めるんじゃないかと思い続けている作家です(笑)。好きなものは古典のSFやファンタジー、オールドスクールタイプと呼ばれるようなものが好きでして、小学校の頃にゲームブック『ソーサリー』に出会って道を踏み外し、TRPGに傾倒するようになりました。最近は『トーキョーN◎VA』、『サイバーパンクRED』、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、『シャドウラン』、『ダブルクロス』のキャンペーンを並行でやっています。特に『トーキョーN◎VA』は数年ぶりに遊んでいるんですけど、とにかく楽しくて。今度は『異界戦記カオスフレア』という自分が一番影響を受けているTRPGのキャンペーンをやろうと思っているので、それも楽しみですね。

 

 

――蝸牛くも先生のTRPG好きは有名ですが、並行していくつもプレイされているのですね(笑)。

 

小原:ちなみにそれらは全部ゲームマスターで参加されているんですか?

蝸牛:GMを交代制でやっているものもあるので、プレイヤーとマスターの両方ですね。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は先日マスターを担当したので、今度はプレイヤーをやっていいよみたいな感じで、今はプレイヤーでやってます。

小原:すごいですね。TRPGはどなたと遊ぶのがメインなんですか?

蝸牛:ネットで知り合った仲間というか、グループが複数あるので、それぞれ別卓みたいな感じでやっていますね。なので、あまりリアルというか、オフラインでのセッションはほとんどやっていません。だいたいオンラインでのセッションがメインです。

 

 

――ありがとうございます。蝸牛くも先生はどうしてもTRPGのイメージが強いのですが、ライトノベルとの接点についても教えていただけますでしょうか。

 

蝸牛:明確にライトノベルをライトノベルと認識して買うようになったのは中学生の頃だと思うんですけど、それ以前は『ロードス島戦記』をファンタジー小説として読んでいました。ライトノベルの最初の記憶としては、集英社スーパーダッシュ文庫の『ブレイブ・ハイスクール!』などを買ったのを覚えていますね。その後にファンタジア文庫の『A君(17)の戦争』や『デビル17』シリーズも読んでいたと思います。榊一郎先生の『スクラップド・プリンセス』を読んだのもその頃だった気がします。そしてなんと言っても、古橋秀之先生の『ブラックロッド』がめちゃくちゃ格好良かった!『ブラッドジャケット』、『ブライトライツ・ホーリーランド』も格好良くて、自分も影響を受けています。

 

 

――話題としてかなりタイムリーですが、『ブラックロッド』は2023年2月に復刊の予定があります。

 

蝸牛:そうなんですよ。もう本当に楽しみですね。当時は周囲に『ブラックロッド』を読んでいる人がいなくて、話題が合わなかったんですよ。だからライトノベル作家になって、他の作家の方と話したら読んでいる人がいるだろうと、『ブラックロッド』について熱く語れるだろうと楽しみにしていたんですけど、同世代の作家さんで読んでいる人が誰もおらず(笑)。悲しいので早く復刊されて、みんな読んでくれって思ってます。子供の頃から祖父や父親の本棚で育ってきて、常に周りと話題が合わない経験をし続けてきていたこともあり、話題の合う人をずっと求め続けてます(笑)。

 

 

――となると、小説を書き始めたのも『ブラックロッド』の影響があったりされるんでしょうか。

 

蝸牛:もともと小さい頃からお話を作るのは好きだったんですよ。ただ、小説としてちゃんと書き上げたことはなくて。ライトノベル作家志望の方は経験があると思うんですけど、冒頭から十数ページ書いては放り投げ、次を書いたら放り投げを繰り返しながら、とにかく書き散らかしていました。その当時は、作家にはなりたいけどなれないんだろうなって漠然と思ってましたね。

 

 

――そして現在、DREノベルスの立ち上げに際しては、so-bin先生と共に注目タッグとして創刊メンバーに名前を連ねられました。率直な感想をお聞かせください。

 

蝸牛:いやもう、自分でいいのかって思ってますよ(笑)。新人賞も獲ってないし、WEB小説から書籍化したわけでもないし、未だにファンサイドにいるようなイメージなので、「本当にいいの?」って感覚は強いですよね。

小原:今回、蝸牛くも先生にご相談した際は、まず『ウィザードリィ』という名作RPGをテーマにした作品をドリコムから出せるという話が下地にありました。そこでどなたに書いてもらおうかと考えたんですけど、最初に脳裏に浮かんだのが蝸牛くも先生だったんですよね。面識もありましたし、各方面に仁義を切りつつお願いをさせていただいたって感じですね。

蝸牛:それを含めて本当に自分でいいのかって感じですよね(笑)。だって『ウィザードリィ』ですよ。それを自分が書いてもいいの?って(笑)。

小原:お詳しいのは《ダイ・カタナ》で十分知っていましたので(笑)。

蝸牛:未だに怒られやしないか戦々恐々なんですけどね(笑)。

 

 

――ドリコムが『ウィザードリィ』の権利を取得したのが2020年10月だったと思うのですが、蝸牛くも先生への相談はどのタイミングだったんでしょうか。

 

蝸牛:お話をいただいたのは2022年の初頭だったと思います。小原さんがドリコムに入社した後でしたよね。

小原:そうですね。私の入社が2022年1月なので。そもそも『ウィザードリィ』の権利は、ゲームを作るためにドリコムが取得していて、ドリコムメディアの立ち上げはその後です。なので我々からしても「『ウィザードリィ』の権利あるじゃん!」って感じでした。

蝸牛:自分も最初にお話をうかがった時は、ゲーム版も出すよっていうお話をちらっとうかがってはいたので、ノベライズかなと思ったんですよ。そしたらノベライズじゃなくて自由に書いていいよって。ただ、本音を言うとノベライズも書いてみたかったんですよね(笑)。過去にファミ通文庫からも結構ノベライズは出ていたじゃないですか。それを読んでいたので、一度でいいからノベライズもやってみたいなって。

小原:本作に関してはゲームとストーリー上の繋がりはなく、蝸牛くも先生のオリジナルストーリーを書いてほしかったんですよ。言うまでもありませんが、本当に面白い作品になったと思います。

蝸牛:無事に面白いと言っていただけて、そこは胸をなでおろしてます。

 

 

――それでは創刊第3弾ラインナップとして発売された『ブレイド&バスタード』について、どんな物語なのか教えてください。

 

蝸牛:世界には迷宮があり、そして迷宮に挑む冒険者がいます。その冒険者たちの中に、本来であればまだ誰も到達したことのない階層で死んでいた一人の冒険者がいたんです。死体から蘇生されたその冒険者はなぜ迷宮の一番底を目指そうとしているのかという物語を軸に、古参のベテラン冒険者が、初めて迷宮に挑もうとしているビギナーと出会い、関わりながら、迷宮の一番底を目指そうぜっていうお話ですね。

 

ブレイド&バスタード

※迷宮の奥で死んでいた一人の冒険者は、蘇生されてなお迷宮へと挑み続ける

 

 

――本作は『ウィザードリィ』の世界観をモチーフにした物語ではありますが、『ウィザードリィ』を知らなかったり、認知の薄い世代も多いと思います。実際に私も『ウィザードリィ』の知識はほぼないに等しい一人で、しかし物語はめちゃくちゃ面白く感じることができました。執筆ではどのようなことを心掛けたのでしょうか。

 

蝸牛:まず、面白いと言っていただけたのは大変嬉しいです。『ウィザードリィ』については、結局のところ自分もブームがあった次の世代で、後追いなんですよ。本当に『ウィザードリィ』が流行っていた時の熱狂であったり、派生作品が次々に登場していた時代に憧れていた立場です。だからこそ、追いかけていた作品に一歩でも近づけたらという気持ちで書きました。また、おっしゃる通り『ウィザードリィ』で最もメジャーな1、2、3のリメイク版が出てから20年が経っているわけで、知らない人が大半だろうなとも思っていました。主人公は記憶喪失のベテラン冒険者で、彼の視点では迷宮の攻略しか見えていません。なので、執筆時にはどうしたものかと思っていたんですけど、新米冒険者のララジャが仲間に加わることで、読者視点の目線が生まれることになりました。彼の目から見る街は、初めてこの世界に踏み入っている若い戸惑いや驚きがあります。ララジャには著者としてもすごく助けられましたし、『ウィザードリィ』を知らない人が読んでも面白く感じてもらえる大きなきっかけになったと思います。

 

 

――『ウィザードリィ』を知らなくても面白い世界を描くという前提がありながら、その一方で『ウィザードリィ』の世界観も踏襲できる環境が執筆時にはあったわけですよね。あらためて作品の着想についてもお聞かせいただけますでしょうか。

 

蝸牛:まず、『ウィザードリィ』の醍醐味とは何かを考えました。ダンジョンの1階をおっかなびっくり探索し、最初の玄室に入る。そして最初のモンスターと必死に戦い、アイテムを回収するんだろうと。また、過去の『ウィザードリィ』の関連小説を読み返してみた時に、主人公のポジションには意外とベテラン冒険者が多かったんです。新米冒険者の迷宮冒険譚は《ダイ・カタナ》でやっていることもあったので、そこは過去作品に倣ってみようと思いました。そしてある日ダンジョンが出現して、冒険者がそこへ挑む物語にしようと。また、『ウィザードリィ』におけるプレイヤーキャラクターの背景は、それぞれプレイヤーが考えるものなんです。村から出てきた若者、大魔法使い、英雄の末裔、自由に設定こそできますが、それを要因として生き残ることができるわけではありません。出自に関係はなく、それぞれのキャラクターの冒険の結果によって、ダンジョンが攻略されたり世界が救われたりするんです。ゆえに本作でも、出自はバラバラで平凡な奴も謎めいた奴もいるようにしようと考えましたね。

 

 

――さて、そんな本作も蝸牛くも先生の代名詞とも言えるダークファンタジー作品です。蝸牛くも先生の考えるダークファンタジーの魅力とは何なのでしょうか。

 

蝸牛:これは言ってもいいのかどうかわからないんだけど、大前提としてダークファンタジーを書いているつもりはないんですよ(笑)。

全員:――(笑)。

蝸牛:どちらかと言うと、オールドスクールなファンタジーを書いていたらダークファンタジーと言われるイメージなんですね。だから、ダークファンタジーを書こうと思って書いているつもりではないんですよ。そのうえで自分が書いているようなファンタジー世界の魅力について考えると、都合のいい世界ではないということなんです。都合がいいわけではない、でもすべてが都合悪く終わるのかと言えばそうでもない。英雄なり冒険者なり、世界に生きる人たちはそれぞれ必死にやっているし、その結果として、少しずつ状況は良くなっていく。世界がどんなに過酷であっても、みんな生きているし冒険している。一人の英雄が大暴れして、それだけで解決するようなものはその世界にはなくて、各々が協力や行動することで世の中が回っていく、そういうお話が好きなんです。群像劇ともまた違うんですけど、そういうのが魅力だなと思いますね。

 

 

――もう1点、過酷な世界で生きるキャラクター達は、ある意味で世界に運命を握られて翻弄されているという見え方もすると思うんです。蝸牛くも先生の描く物語では、運命は世界とキャラクターのどちらが握っているイメージなのでしょうか。

 

蝸牛:正直そこまで深く考えているわけではないのですが、執筆時の感覚としてはTRPGのゲームマスターの視点から書いているんですよ。物語側や世界観側から、こういう問題がある、こういう状況がある、こういうトラブルが発生したと提示をする。それらの問題提起に対して、キャラクターがどうレスポンスをするのか、どうトラブルを解決していくのかを考えながら書いています。その視点で言うと、提示する側としては問題解決の手段をあわせて考えているわけではないので、運命を切り拓くのはキャラクターなのかなって思います。

 

 

――それでは本作に登場するキャラクターについても教えてください。

 

蝸牛:イアルマスはダンジョンを攻略することしか考えていない男です。彼は死体から蘇生されて記憶はないし、持ち合わせているものはダンジョンを攻略したいという欲望だけ。彼は一人で他に仲間もいません。ゆえに迷宮の1階で燻り続けている。しかし今回の物語で様々な出会いがあり、大きく変わっていくことになる存在です。

 

イアルマス

※迷宮の奥で死体となっていた冒険者・イアルマス

 

蝸牛:ガーベイジは正体不明で出自不明、言葉もしゃべることができない子です。ややネタバレになるかもしれませんが、元ネタになっている歴史上の人物がいます。彼女はモンスターの食べ残しと言われ、一人だけ生き残る程強いけど、他に何かがあるわけでもありません。使い捨ての冒険者として、壁役の扱いをされている。そんな彼女がイアルマスやララジャと出会う。彼女なりの目的が見つかればいいなと思いながら書いています。

 

ガーベイジ

※言葉もしゃべれず出自も不明なガーベイジ

 

蝸牛:ララジャは新米の冒険者です。初めて『ウィザードリィ』に触れる人の目線であり、『ウィザードリィ』を知っている人たちから見ると、冒険者を大量に作る上での「あ」です(笑)。本来であれば酒場で身ぐるみをはがされ、登録抹消で叩き殺されて終わる子でした。彼にとって運がよかったのか、それとも偶然だったのか、盗賊役としてこき使われる中で、イアルマスやガーベイジと出会って運命は変わっていきます。本当にこの世界に初めて入っていく人の視点に立っているキャラクターで、書いていて本当に助けられましたし、気に入っているキャラクターの一人です。

 

ララジャ

※イアルマスやガーベイジに振り回されることになるララジャ

 

蝸牛:シスター・アイニッキは寺院で蘇生したりするシスターです。彼女には『ウィザードリィ』では欠かせない、死ぬことや灰になること、ロストすることとどう向き合う存在なのかを大切にして描いています。生きること、そして死ぬこと、そのどちらもよく考えてとても大事にしています。優しいとは違うんですけど、しっかりとした女性かなとは思います。

 

シスター・アイニッキ

※生と死に向き合う存在でもあるシスター・アイニッキ

 

蝸牛:あとはセズマールも紹介させてください。イアルマスとも関わるベテラン冒険者なんですが、一言で表すと秩序善のヒューマンファイターオトコです。タフで明るくてマッチョでいいやつで、個人的にもすごく好きです。

 

セズマール

※ベテラン冒険者の一人でもあるセズマール

 

 

――著者として、そして担当編集としてお気に入りのキャラクターがいれば教えてください。

 

蝸牛:みんなお気に入りですし、みんな書きやすいんですよね。ガーベイジやシスター・アイニッキは、自分がTRPGで動かしていたキャラクターの延長線上でもあるので非常に書きやすいです。イアルマスとララジャは完全にプレイヤー目線、読者目線で書けるので困ることはありません。セズマールはただそこにいるだけで楽しいです。強いていうなら、イアルマスとガーベイジの目線だけで描くと、文章がどんどん短くなってしまうんですよね。この2人は戦って生き残ることと、迷宮を踏破すること、街にある主要な施設である、寺院、酒場、武器屋、ダンジョンに行くくらいしか選択肢がない。だからこそララジャには頑張ってほしいです(笑)。

小原:自分は最初にプロットを拝見した際、「ヒロインの名前が残飯ってどういうことですか!?」ってやり取りをしたガーベイジがお気に入りです。最初からキャラクターとして非常に際立っているというのは感じていて、全然しゃべらないことも面白いです。台詞は吠え声で描かれているんですけど、自分の中でどういう喋り方をしているのかと想像しながら読んでいるので、とてもいいキャラだなと思います。

蝸牛:ありがとうございます。ガーベイジは助けられてすぐ懐くような子犬ではなくて、キャンキャンわめきながらついてくる野良犬をイメージしてたんですよね。結構図太いやつですよ、ガーベイジは(笑)。

 

ブレイド&バスタード

※小原編集長も気に入っているガーベイジの動向には注目しながら読んでほしい

 

 

――キャラクターについてもう1点お聞きしたいのですが、これまで書いてきた主人公と、イアルマスとで違いがあれば教えてください。

 

蝸牛:イアルマスは割と愉快なやつだと思って書いています。今川氏真は背負うものの多くを放り捨てたような人間で、常に飄々としています。ゴブリンスレイヤーさんは逆に背負い込んでいるものが重すぎるがゆえに、ハードボイルドな人です。対してイアルマスは、やりたいことに一直線で突き進んでいるし、状況を常に楽しんでいるイメージがあります。記憶こそ彼にはありませんが、深い事情があるわけではなく、かといって何も目標がないわけでもありません。一見するとよくわからない奴ですし、実際よくわからない奴ではあるんですけど、ダンジョンを攻略するにはどうすべきかを常に考えているエンジョイ勢です(笑)。

 

 

――ありがとうございます。紹介していただいたキャラクターには豪華声優陣がキャスティングされPVなども制作されています。イアルマス役を古川慎さん、ガーベイジ役を楠木ともりさん、ララジャ役を山下大輝さん、アイニッキ役を早見沙織さんが担当されました。

 

蝸牛:収録については自分もリモートで立ち会わせていただきました。執筆時はボイスがつくことをまったく想定していなかったので、とにかくありがたかったですね。シスター・アイニッキについては、なんとなく早見沙織さんのイメージで執筆していたところもあったので、実際にキャスティングされ本当に驚きましたし、ありがたかったです。あとは……ガーベイジですよね(笑)。これこそ声優さんには難しくなってしまって申し訳ないと思うばかりでした。楠木ともりさんの可愛い声でガーベイジがどうなるのかなと楽しみだったのですが、実際に演じてくださってバッチリでした。ガーベイジはうなったり吠えたり、キャンキャン喚いたりしているので、ぜひ視聴してみてください。

 

 

 

――そしてイラストはso-bin先生が担当されています。ご一緒に大きく打ち出されることになりましたがいかがでしたか。

 

蝸牛:そもそもso-bin先生に頼んで、お引き受けいただけたことが驚きでしたし、嬉しかったですよね。so-bin先生とは以前に海外のイベントでご一緒させていただいたことがあり、その際にサイン色紙をいただいたりしていたのでなおさらでした(笑)。どのキャラクターもイメージ通りでしたし、表紙の格好良さはすごくいいですよね。特にガーベイジはイメージ通りでしたし、挿絵でもすごく可愛く描いてくださいました。そして何と言ってもセズマールですよ!(笑)。自分の予想を遥かに超える爽やかイケメンマッチョに描いていただきましたし、書籍に収録はされていないのですが、素顔も最高です。今回このインタビューでセズマールの素顔をお披露目できるということで、ありがたいですね。

 

セズマール

※本編では描かれていないセズマールの素顔を初公開

 

 

――小原さんにはso-bin先生へのお声がけのきっかけについて教えていただきたいです。

 

小原:まず、蝸牛くも先生というビッグネームに執筆していただくことが決まりまして……。

蝸牛:自分はビッグネームなんだろうか(笑)。

小原:ビッグネームですよ!(笑)。なので、怪物には怪物をぶつけるではないのですが、名前のある方にお願いしたいとは考えていました。構想を蝸牛くも先生からお伺いした時に、骨太でハードなファンタジーになるであろうことは予想できましたので、そういった世界観を魅力的、かつノベルで表現できるイラストレーターさんを考えた際にso-bin先生が真っ先に思い浮かびました。私としても一緒にお仕事をしてみたかったイラストレーターさんのおひとりでもありましたので、お声がけをさせていただいた次第です。どのイラストも本当に素晴らしく、感謝しています。個人的にはララジャくんのイラストに、主人公っぽい雰囲気を感じ取れたのもよかったですね。

 

 

――著者の視点から本作の注目ポイントを教えてください。

 

蝸牛:自分が『ウィザードリィ』ブームの後の世代なので、昔の『ウィザードリィ』を知っている方が手に取ってくださったら、こういうの書いちゃったなって笑ってくれたらいいなと思います。逆に当時の自分と同じように『ウィザードリィ』をほぼ知らない方には、こんな作品があったのかと思っていただければ。『ウィザードリィ』をまったく知らない人が本作に触れ、そこから『ウィザードリィ』に入っていただけたらなとも思いますね。知っている方も知らない方も、どちらの方にも読んで面白い作品になるよう書きました。

 

 

――また、本作のコミカライズも決定しています。詳細はこれからだと思いますが、漫画版に期待したいことなどがあればぜひ。

 

蝸牛:自分も続報を楽しみにしている一人です! ガーベイジが動いている姿を早く見たいですよね。小説では吠えている台詞が目立ちがちなのですが、彼女はちょこちょこと動きまわっている子でもあります。小説よりも漫画の方がわかりやすいでしょうし、見ていて楽しいだろうなと思います。結局自分も当事者というよりもユーザー視点なので、漫画にしていただけるのは、ただただ楽しみです!

 

 

――今後の目標や野望について教えてください。

 

蝸牛:本当は気が付いたらベッドの上で目覚めたただのサラリーマン……みたいな展開が未だにありそうだと思い続けているんですけど、今後も頑張って『ブレイド&バスタード』を地下10階まで描けたらいいなと思ってます(笑)。個人としては復刊される『ブラックロッド』を早く読みたいですし、『英雄コナン全集』の愛蔵版も早くすべて出してほしいです。そして『ウィザードリィ』の1、2、3を今の世代でも遊べるようになるまで、ブームが広がったらいいなってところですかね。そうすれば『ウィザードリィ』のリメイクが出るかもしれない!(笑)。

 

 

――それでは最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

 

蝸牛:今作で初めて蝸牛くもなり、『ウィザードリィ』なりに触れていただく方も、ずっと追いかけてくださっている方も、精一杯書いておりますので、楽しんでいただけたらと思います。2巻、3巻と続いていきますので、精一杯書いてまいります。また、自分が『ウィザードリィ』の公式小説を書かせていただけるとは夢にも思っていませんでした。この実現は、応援してくださっているみなさんの力あってのものだと思うので、ありがとうございますと言わせてください。そして本作は英語翻訳版との同時刊行も行われます。自分が現在のようにファンタジー小説を書き始めたのはTRPGの存在あってこそですし、『ウィザードリィ』もTRPGから生まれ、英語圏で生まれたものでもあります。逆輸出のような形で、欧米圏の方々に本作を読んでいただけるということも、なかなか凄いことだなと思っています。これでまたちょっとでも、日本人にも俺たちと同じものを好きなやつがいるんだなって思ってもらえたら嬉しいです。日本の読者はもちろん、欧米の読者の方々にも楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

 

<了>

 

 

DREノベルス創刊ラインナップ第3弾として、さらには『ウィザードリィ』にも連なる物語を綴った蝸牛くも先生、そして小原豪編集長のお二人にお話をうかがいました。蝸牛くも×so-binのスペシャルタッグが送りだす生粋のダークファンタジー。優しくない世界で織り成す、迷宮と冒険者の物語を描いた『ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い-』は必読です!

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©Kumo Kagyu,so-bin 2022

©2022 Drecom Co., Ltd.

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ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い- (DREノベルス)

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