独占インタビュー「ラノベの素」 凪先生『人類すべて俺の敵』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2024年2月1日にスニーカー文庫より『人類すべて俺の敵』が発売された凪先生です。第28回スニーカー大賞にて「大賞」を受賞し、満を持してデビューされます。人類存亡の命運をかけた《聖戦》に巻き込まれ、大切な一人を守るために、すべてを敵にまわした青年と少女の逃避行を描く本作。正義とは何か、悪とは何か。明確な答えのない問いの中で、悩み葛藤しながら戦いに身を投じるキャラクター、さらに善と悪の本質にも迫る物語についてなど、様々にお話をお聞きしました。

 

 

人類すべて俺の敵

 

 

【あらすじ】

「人類は、《魔王》によって滅ぼされるだろう」 突如、全人類の前に降臨した神はそう告げた。1ヶ月ほど前から無差別に発生した不審死により、既に八億人もの命が失われていた。《魂魄剥離》と呼ばれるその現象が、あどけない少女にしか見えない《魔王》によるものと神は言う。厄災を阻止すべく、人類を代表する十人の天使が選出され、《人類》対《魔王》――《聖戦》の火蓋が切られる。震撼する世界で、ただ独り高坂憂人だけは少女を知っていた。彼女が世界の敵に仕立て上げられ、助けを求め手を伸ばすか弱き存在であると――。ひとりの少女が為、世界に仇なせ。

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

『人類すべて俺の敵』を書いております凪と申します。好きなものは自由なのんびりとした時間で、苦手なものは束縛される時間です。誰かといるのが嫌というわけではないですが、一人の方が気が楽ですね。周囲に自分の行動や人生を左右されるのが嫌なんです。たとえば格式ばった式典のような、進行がきっちりと決まっていて、入室も退室も自由にできないような環境に身を置くのはつらいです。とにかく自分の意思で気ままに行動したいという願望が強いのだと思います。小学生の頃、卒業式で証書を受け取った後に壇上から将来の夢や目標を発表するといった謎の企画があったのですが、同級生たちが「教師」とか「サッカー選手」とか素晴らしい未来像を語る中、私はたしか「悠々自適に暮らしたい」と公言したのを覚えています。

 

 

――あらためて、このたびは第28回スニーカー大賞「大賞」受賞おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。

 

素直に嬉しかったです。受賞したんだという冷静な部分と、「本当に?」という夢見心地な部分とが混在していました。ただ、初めに最終選考に通りましたという電話を受け、そこからしばらくして受賞が決まったという連絡をいただいたのですが、その期間はわりと浮足立っていたような気がします。そこから、実際に書籍化していくにあたって応募時の内容を読み返して、今後の展開などについて現実的に考えるようになり、そのあたりでようやく受賞の嬉しさが追い付いてきた感じです。

 

 

――凪先生も応募された第28回スニーカー大賞の応募受付期間中だったと思うのですが、12年ぶりにスニーカー大賞から「大賞」が生まれるなど、大きな盛り上がりをみせていました。ご自身として、刺激を受けた部分などはありましたか。

 

申し訳ないことに、それに関しては全然知らないまま意識せずに応募していました。それまでは他の公募を中心に応募をさせていただいていて、スニーカー大賞への応募は今回が初めてだったんです。

 

 

――なるほど(笑)。となると、スニーカー大賞への応募動機は何だったのでしょうか。

 

私はどちらかというと、子供の頃から小説やラノベよりも漫画を好んで読んでいて、いつか自分の考えたストーリーを漫画にできないものかと考えていました。そんな中、各公募を調べていた時に、「大賞」受賞時のコミカライズ確約という部分が目に留まりまして。それなら応募してみようという、結構単純な動機だったと思います。

 

 

――ありがとうございます。続いては小説の執筆歴についても教えていただけますでしょうか。

 

小説を書き始めたのは学生の頃からで、コツコツと執筆を続けてきた結果、今回拾っていただいたという流れです。一般小説を書いてみたこともありますが、出版物の売れ行きがなかなか厳しいという話は耳に入ってきていましたので、小説の書籍だけではなく、漫画化や映像化への広がりという点も踏まえて、書くならライトノベルにしようと決めた経緯があります。ただ、正直に言いますと、私は漫画やアニメが好きで、自分の作品を映像化させたいという思いを出発点に執筆を始めたので、文章を書くこと自体がものすごく好きというわけでも、ましてや得意なわけでもないんです。おそらく文才にはさほど恵まれていないでしょう。それこそ適した表現や一文をひねり出すのに数時間かかってしまうということも珍しくありません。それでも悩んだ末に納得のいく文章が書けた時は、やはり楽しいと思ったりもしますね。自分自身の適性を考慮し、見込みや実現可能性を検討したうえで、とりあえず挑戦するなら文章かな、という考えから最初はスタートしました。

 

 

――凪先生にとって、創作の原点や原動力になっている作品などはありますか。

 

ゲームの『ダンガンロンパ』という作品は強く印象に残っていますね。グループ内で殺し合いが起こるのですが、その絶望を乗り越えて、最後に小さな希望に辿り着くというストーリー構成が自分の嗜好に合っていたのだと思います。『進撃の巨人』や『コードギアス』のような、自分にとって大切なものを守るために、今の仲間や大事な人を敵に回してでも戦うという、そういった構図に惹かれます。

 

 

――そういう意味でも本作はご自身の嗜好とも密接に繋がっている作品と言えるかもしれませんね。では受賞作『人類すべて俺の敵』についてどんな物語なのか教えてください。

 

本作の舞台は現代日本で、世界中で人々が突然死んでしまう《魂魄剥離》現象と呼ばれる不審死が頻発しています。そして、主人公の高坂憂人という青年が、暴漢に襲われている少女を見つけ、恐怖に苛まれながらもその少女を助けたことで、物語は動き出していくことになります。少女を一時的に保護することになるのですが、同時に神様を名乗る存在が人類の前に出現します。さらに魂魄剥離現象を《魔王》という存在が引き起こしており、このままでは人類が滅ぶと告げるんですね。その時に魔王の姿を人類が知ることになるわけですが、その正体こそが、主人公の助けた少女でした。魔王の外見と存在が白日の下に晒され、そこから二人の逃避行が始まります。本作のテーマは、たった一人の大切な人を守るために、周りのすべてを敵に回すというものです。タイトルそのままですね。

 

人類すべて俺の敵

※一人の少女を助けたことから物語は怒涛の展開をみせていく

 

 

――続いて本作の着想についても教えてください。

 

私自身が子供の頃から、魔法や超能力、竜、精霊といったファンタジーなものが好きで、憧れを持っていたんです。ただ、大人になるにつれ、そんなものはこの世にない、あるいはない可能性が高いことに気づくわけじゃないですか。それを知って、絶望というとシリアスすぎるのですけど、すごくがっかりしたんです。それこそ、自分は生まれてくる世界を間違えたんじゃないかとまで、一時期は思っていましたから。

 

 

――悲しいことではありますけど、目の前にあるものが現実ですからね(笑)。

 

本当にその通りですね。そんな諦めの感情を持ちながら日常を生きつつ、学生時代は通学時だったり、お風呂に入っている時や夜眠る時などに、ぼんやりと空想の世界に浸っていました。もしこういう話が現実に起きたら面白いだろうなとか、現実にこんなことが起こったら自分はどうするだろうかとか。その中のひとつに、突然現れた女の子、または男の子と出会ったことで、周囲がすべて敵になってしまうという空想もあったんです。自分はその子のために戦えるだろうか、守るためにどうするべきなんだろうか。そんなことを小学生の頃からずっと考えていました。そして年齢を重ねていくにつれて、ご都合主義からの脱却というか、無双してすべてを解決できるわけではないという現実の厳しさも痛感していったわけです。そこからさらに、戦う敵にも事情があるに違いないといった、自分のことだけではなく周囲のことに対しても空想を膨らませていきました。それらを考え続けた結果、周囲から狙われる理由、主人公が助けようと思った理由、それらを矛盾なく整理し、本作の骨子が組みあがった感じです。

 

 

――ありがとうございます。それでは《聖戦》という大きなうねりに翻弄されていく主要なキャラクターたちについても教えてください。

 

主人公の高坂憂人は、普通の高校生といえば普通の高校生なのですが、過去に父親が殺人事件を起こしてしまい、それを理由に周囲から虐げられてきた過去を持っています。そのため、殺人という行為に対して人一倍嫌悪を感じる性格をしています。過去に憂人の父親が殺してしまったのが、天城朔夜の母親で、その母親を殺してもなお止まらなかった憂人の父親を止めるために、やむにやまれず射殺したのが、警察官だった竜童辰貴の父親でした。憂人たち3人は幼馴染で、事件後も関係が崩れないよう、二人が憂人を支え続けてきました。憂人も二人にだけは、何があっても誠実でありたいと思い続けています。彼は良くも悪くも他人の心に寄り添える人間なので、それだけにこの戦いの中では絶えず煩悶していくことになるでしょう。私が作品に登場させているキャラクターにはそれぞれテーマを持たせていて、憂人には「誠実」、そして《聖戦》によって混迷する状況下での苦悩や葛藤、その中で決意しながら進んでいく「意志」を描いていきたいと考えています。今後も正義の意味や命の重さ、《聖戦》に巻き込まれたことで揺らいでいく姿を書いていければと思います。

 

高坂憂人

※奇しくも《聖戦》に巻き込まれた憂人

 

憂人と逃避行を繰り広げるレーヴェは、ヒロインというよりも、もう一人の主人公として見ています。幼いながらも《魔王》として登場するわけですが、彼女には「無垢」や「純粋」といったテーマを持たせています。とにかく守りたいと思わせる存在として生まれたキャラクターです。彼女もつらい過去を持っており、感情を表に出すのが苦手で、表情も乏しい。でも憂人と触れ合うことで、少しずつ変化していく。今は見えない彼女の心の内も、後々機を見て描いていきたいですね。

 

レーヴェ

※《魔王》と称されているレーヴェ

 

天城朔夜は、本作におけるヒロインとして書き始めました。憂人とは幼馴染で、彼女のテーマは「献身」が表現としては一番近いでしょうか。1巻の作中においては、唯一正しく憂人の置かれている状況を把握している存在であり、主人公にとって心の支えにもなっています。基本的には人当たりがよく、物腰も柔らかなのですが、しっかりとした決断力も持っていて、一度決めたことはそれが正しいと思っているなら引かずに主張できる芯の強さもあります。

 

天城朔夜

※憂人を支える幼馴染の朔夜

 

竜童辰貴も憂人の幼馴染で、正義感が強く生真面目、そして融通が利かないという武士みたいな存在ですね。警察官である父親の影響を強く受けており、この《聖戦》がひとつの正義で動けるものではないということからも苦悩を抱えていくことになります。憂人と同じように徐々に生じ始める葛藤や揺れ動く心の機微を、特に丁寧に書いていきたいキャラクターのひとりです。

 

竜童辰貴

※憂人を心配する幼馴染の辰貴

 

他にも《魔王》に対抗するべく神が人類の中から選出した十名の《天使》たちがいるのですが、残念ながらこの場では話せないことが多いので、彼らについては本編を読み知っていただければと思います。天使たちも同様に、各々テーマとなる「生き方」を設定しています。主人公たちと遜色ないくらい、彼らの心理描写にも力を注いでいきたいです。

 

人類すべて俺の敵

 

人類すべて俺の敵

※神に選別された人類側の《天使》たちが憂人と《魔王》を狙う!

 

 

――3人の幼馴染ですが、極めて複雑な過去を持ちながらも、懸命にそれを乗り越え、絆を築き上げてきたと思います。しかし、人類の存亡を賭けた《聖戦》の勃発によって、あたかもその絆をもう一度試されるかのような、過酷な状況に身を置かれることになるんですよね……。

 

そうですね。まず前置きになるのですが、この作品は子供の頃から空想していた内容を色濃く出しているところがあって、私自身、作品を作っているというよりは自分のもうひとつの人生を表現している感覚に近いんです。現実でも彼らと同じように、ずっと仲良くしたい、このままでいたいと思っていても、周りが許してくれない状況はあると思うんですね。それが本作のような困難でなくても、進学や就職で離ればなれになるとか、仲の良い友達に恋人ができたことで拗れてしまうとか、そういったことが大なり小なりあると思っています。憂人の場合、魔王の従者として魔王側にいなければなりません。一方で辰貴は、彼の方だけは憂人の状況を知っているという中で対立的な立場に立たされることになります。そして朔夜は、憂人の状況は知っているものの、辰貴の置かれている状況は知りません。憂人、辰貴、朔夜の把握している情報はそれぞれ異なっていて、その中で、これまでと変わらない関係でいたいと3人ともが思っているわけです。おっしゃられる通り、彼らは苦境の只中にいます。そんな状況下で、自分たちが大切にしているものをどこまで守れるのか、あるいは壊れてしまった時にどう行動していくのか。物語だからこうした方がいいとかではなく、ちゃんと彼らの感情に焦点を当てながら書いていきたいと考えています。作りもののキャラクターではなく、各々を生きている人間として扱いたいという思いが私の中にあるからです。もちろん出版社さんから出させていただいている商品という面は踏まえつつ、そのうえでキャラクター達の想いや感情をどう取り合わせていくのか、そこが今後の課題になってくるかもしれません。

 

 

――そして本作は壮大なスケールのトロッコ問題でもありますよね。人類はこのまま滅亡に向かうのか、それとも《魔王》であるレーヴェが死んで滅亡を回避できるのか。本作を拝読した私自身、章タイトルにもあった「善悪がわからない」という感情に大きく揺さぶられることになりました。あらためて凪先生にも、善と悪をどのように考えていらっしゃるのかお聞きしてみたいなと思ったのですがいかがでしょう。

 

私自身この作品を書きながら、あらためて考えさせられています。たとえば、地球環境から見た時に人類は多すぎる、だから減らした方がいいというのは考え方のひとつとしてありますよね。他の様々な作品や書籍でも取り上げられているテーマかと思いますが、それが絶対に正しいのかというと賛否両論が巻き起こるわけです。これが善、これが悪と断じるのは本当に難しいことだと感じています。だからこそ、絶対にこれだと言うのではなく、正しいかどうかを常に問い続ける姿勢が必要なのではないかと。加えて、善悪の判断は当然大事だと思うのですが、人間は理性だけで生きられる生物ではないので、善悪を無視してでも貫きたい思いとか、誰かを裏切ってでも優先したい感情があった時に、周囲からどう思われても行動できるのかどうか、そして行動した結果その責任をどう取っていくのかも重要なのではないかと考えています。

 

 

――表面的な善悪の考え方や捉え方で言うと、昨今のSNSはすごく如実に表れているなとも感じますね。

 

SNSは特にそうですよね。それこそ私自身が発信することによって、誰かを傷つけてしまうかもしれない。そう思うと、私は怖くてなかなか発信できません。今のSNS時代は、あまり思いつめない方がうまく行動できるのかもしれませんね。私や本作の主人公である憂人は考えすぎてしまう性格なので、行動は随分と制限されてしまう気がします。もっとも、その良し悪しはわかりませんが……。

 

 

――物語のお話は全体的にネタバレが多くなってしまうので、最後にひとつ。これは読み手として聞かせてください。作中における神様は、《聖戦》のあらましを含め、様々なことを人々に語ります。その言葉をありのまま受け入れていいのか、それとも疑ってかかった方がいいのか、アドバイスをください(笑)。

 

読み手からの貴重なご意見ありがとうございます。端的に言いますと、それこそが作中も含めた人々の感想だと思うんです。現実における神様を信じるか否かも、本を読んでみて感じる疑念も、そこまでかけ離れたものではないと考えています。真実かどうかよりも、自分が信じられるかどうかということですね。これは持論ですが、仮に神様がこの世にいたとしても、それは人間の味方とは限らないと思っています。この世界は人間を中心に回っているわけではないからです。だから、たとえ手を差し伸べてくれるような場面でも、明確な答えではなく救いのヒントだけ与えてくるのではないかと。そのため作中の神様も、人々に疑心が生まれるくらいの心の隙間をわざと残している。あの神様が言っていることをすべて信じてもいいのかという問題については、憂人やレーヴェも、そして天使側に立つエレオノーラや他の使徒たちも皆迷っていることでしょう。そんな中でどう判断していくのかは、最終的には自分の意思になるわけです。「僕の発言は鵜呑みにしなくていい、自分たちの頭で考えて行動してほしい」、1巻に出てくる神様の台詞です。読者の方にも、この言葉を投げかけられた人々の一人として感じてもらいたい。そう思って書いた部分はありますね。

 

 

――それぞれの読み手が神様に抱いた感情によって、この作品の読み味は変わってくるのかもしれないですね。我々も作中70憶人のうちの1人だぞっていう。

 

そうですね。本作に出てくる神様の姿を、私は様々な生物を寄せ集めた姿で表現しています。ですが、人によって思い描く神様の姿は違うでしょうし、そもそもあの存在が本当に神様なのかどうかも疑問に思っていることでしょう。善悪のお話でも触れましたが、解釈や見解を読み手に委ね、想像の余地をあえて作っているところはあります。

 

人類すべて俺の敵

※本作の神様は果たして本当の神なのかどうかも読者には問いかけられている

 

 

――ありがとうございます。続いて書籍化に際してはイラストをめふぃすと先生が担当されました。あらためてビジュアルを見た時の感想や、お気に入りのイラストについて教えてください。

 

キャラクターデザインがあがってきた時、登場人物たちを視覚的に捉えられたこと自体にまず感動し、受賞の連絡時よりも明確にテンションが上がったことを覚えています。ビジュアル化は、私が目標にしている漫画化やアニメ化に近いところがあるので、本当に嬉しかったですね。めふぃすと先生の画風が好みという部分もあるのですけど、しばらくはイラストをスライド化しつつBGMを流してずっと眺めたりもしていました。口絵に天使たちが集まっているイラストがあるのですが、それが構図も含めて特に気に入っています。大変だったのは、私が執筆時にある程度キャラクターのビジュアルを思い描くタイプだったため、イメージと違うキャラデザがあがってきた際にどう伝えればうまく共有できるのか、そのあたりが調整していくうえで心を砕いた部分ではありました。ただ、オルファや鈴麗は自分の描いていたイメージと少し違うと感じたものの、キャラデザが良かったためそのまま採用させていただきました。自分の想像を超えたキャラクター達と出会えた瞬間の感覚は、一人で制作していた時には絶対に得られないものだったので、その点はとても新鮮な発見でした。

 

人類すべて俺の敵

※人類側の《天使》たちを描く渾身のイラストは必見

 

 

――そして本作は、凪先生の目標のひとつでもあった漫画化が受賞と同時に決定しています。少し先の話になるかとは思いますが、期待したいことや楽しみにしていることがあれば教えてください。

 

私の作風があまり明るいものではなく、どちらかというと重めのテーマを取り扱っています。漫画という小説よりもいっそう視覚的に訴えられる媒体の力で、登場人物の心情をより深く表現してもらえるのではと期待しています。バトル描写も迫力のあるものにしていただけたら嬉しいですね。単純にコミカライズされることが楽しみな部分も含めて、全力で担当していただけたらありがたいです。

 

 

――あらためて、著者として本作の見どころや注目してほしい点はどんなところでしょうか。

 

強いて挙げるならキャラクターでしょうか。先にも触れましたが、私は空想の中でこのキャラクター達と生きてきました。そのため私個人の信条として、作中のキャラクターはただの創作世界の登場人物ではなく、生きた人間として扱いたいという思いがあります。一人一人感情を持っている彼らが、その感情に基づいて行動できるよう仕上げていきたいです。人の感情は決して一定ではなく、揺れ動くものだと思います。憂人がレーヴェと出会い、《魔王》であることを知ってなお、彼女を守らないといけない。でも人類を敵に回したいわけでもない。極限の状況の中で、何に迷い、どう決断していくのか。彼らの苦悩や決意、そして覚悟に対して力を入れて書いていきたいと思っているので、ぜひキャラクター達に感情移入して読んでいただけたら幸いです。本作は主人公が絶対的に正しいわけではないと思いますし、逆に天使側が悪いというわけでもなく、正解という正解がある戦いではないと考えています。お互いに主義主張や守りたいものがあって、譲れない部分が衝突し合った末に、望む望まずにかかわらず戦わなければならない。なので、様々な思想や考え方に基づく哲学や倫理が好きな方、どちらが正しいかわからないような戦いが好きな方は、読んでみたら面白いと感じていただけるかもしれません。そして、ただ重くつらいだけの作品にはしたくないので、うまくバランスを取れるよう気を付けています。憂人とレーヴェの心の触れ合いも、大切に描いていきたいですね。

 

 

 

――今後の野望や目標があれば教えてください。

 

小説の執筆を始めた動機から、アニメ化は目指したいと思っています。また、出版社さんから出させていただいている以上、売れるように頑張りたいですし、人気も出るよう努めたいです。ただそれ以上に、「一番好きな作品は何か」と問われた時に、『人類すべて俺の敵』と言ってもらえるような、そんな物語を作っていきたいです。数多の創作物が生み出されている昨今、好きなものは上書きされ続けていくのが世の常ですが、そんな中でもこの作品の名前を出していただけるくらい印象や記憶に深く残るものを書けたなら、それは私にとって最上の成果であり、まさに作者冥利に尽きます。小説を書き始めた当初からずっと持ち続けている目標なので、そのことは今後も意識していきたいです。作中のキャラクター達と同様、私自身も悩み楽しみ書いていければと思います。子供の頃から思い描いてきた空想の顕在化という意味では、それこそ私からすれば人生を懸けた作品になるかもしれませんね。

 

 

――最後に本作へ興味を持った方へメッセージをお願いします。

 

では、一言だけ。ぜひ創作の世界を楽しんでください。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

たった一人を守るために、すべてを敵にまわすことになった青年と少女の逃避行を綴った凪先生にお話をうかがいました。人類の存亡を賭けた《聖戦》は、常に善と悪を問い続ける物語になることは間違いないでしょう。もし自分がそういう立場に立たされたのならどうするのか、今後の展開が楽しみすぎる『人類すべて俺の敵』は必読です!

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©凪/KADOKAWA スニーカー文庫刊 イラスト:めふぃすと

kiji

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