【特集】「カクヨムネクスト」が作家の在り方を変える!? 『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』の著者・月汰元先生に聞いたネクストがもたらす恩恵とは

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2025年8月5日にドラゴンノベルスより『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』第2巻が発売された月汰元先生です。本作はサブスクリプション読書サービス「カクヨムネクスト」でも連載されている武侠仙境ファンタジー作品となっており、ネクスト内でも絶大な人気を誇っています。今回は「カクヨムネクスト」で最も成功されている作家のお一人である月汰元先生に、「カクヨムネクスト」での執筆活動や分配収益、そこからもたらされる恩恵など様々にお話をお聞きしました。

 

 

不死を求める者、これを道士と呼ぶ2

 

 

【あらすじ】

内弟子になったコウは、さらに神仙修行に邁進できると期待した矢先に、今年入った新弟子の補助指導員の一人になってしまった。しかも担当は一名だけだと思ったら、なぜか面倒を見る弟子は増えていく一方で!? そんな中ファン王国から虚礼洞に依頼が舞い込む。最近王都では妖魔が人々を襲っているという。かくして討伐隊……ではなくモン長老の護衛でコウも妖気漂う王都に向かうことに――! 異世界×仙侠ファンタジー第2弾!

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

月汰元と申します。出身は鹿児島県で、現在は横浜で執筆活動をしています。最近ハマっているのはキャンプの動画を見ることです。自分自身は忙しくてキャンプに行けていないのですが、様々なキャンパーがテントを設営して焚き火や料理を楽しみ、過酷な自然の中で野営する映像を見るだけでも楽しくなります。

 

 

――このたび『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』第2巻が発売となりました。あらためて第1巻発売から現在までの読者の声や反響をどのように感じていらっしゃいますか。

 

反響のひとつとして、第1巻を購入された方から第2巻も購入しますというメッセージをいただいた時には、苦労した甲斐があったと感じました。ほかにも第1巻に載せた地図が好評でしたね。カクヨムネクストでも連載している本作ですが、書籍の読者とカクヨムネクストの読者とで、大きな反響の違いというのはあまり感じていません。また、本作を読みたいと思っている方が、カクヨムネクストに加入するか、書籍が出るのを待つかで迷っておられたりと、非常にありがたいなと感じています。

 

不死を求める者、これを道士と呼ぶ

※武侠仙境ファンタジーとして大きな注目を集めている『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』

 

 

――月汰元先生はもともと「カクヨム」ではなく「小説家になろう」を主な活動の場とされていましたよね。

 

そうですね。初めて作品を投稿したのも「小説家になろう」でした。当時は『案内人は異世界の樹海を彷徨う』や『復讐は天罰を呼び、魔術士はぽやぽやを楽しみたい』を1週間に1回、趣味として投稿していました。なので、ランキングに名前が掲載された時は、非常に嬉しかったのを覚えています。それから「カクヨム」に活動の場を移し、『生活魔法使いの下剋上(web版)』を1日1回という早いペースで投稿するようになりました。「小説家になろう」で投稿していた時代の読者も次第に読みに来てくださるようになって、人気にも火が付き、嬉しかったですね。

 

 

――執筆活動の場を「カクヨム」へ移したきっかけは何かあったのでしょうか。

 

五年くらい前になると思うのですが、カクヨムロイヤルティプログラムを知った事だったと思います。読者の方が読んでくださるだけで作者の収入になるというシステムを面白いと感じたのがきっかけでした。執筆活動を続けてらっしゃる方はご存知だと思いますが、執筆活動の継続には想像以上のエネルギーが必要になります。そのモチベーションを維持するためにも、作品を書く事そのものが収入に繋がるというのは、良い試みだと感じました。

 

 

――その後「カクヨムネクスト」にも活動の場を広げていかれるわけですが、ネクストでの活動に至る経緯であったり、カクヨム側から声をかけられた時の率直な気持ちを振り返っていただけますでしょうか。

 

カクヨムネクストへの参加は運営の方からお誘いを受けて、一度どうするかを考えました。その当時は『生活魔法使いの下剋上』の連載が終了する直前でもあり、次の投稿作品として『ファンタジー銀河』と『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』という二つの選択肢で迷っている最中でもあったんです。そんな時にカクヨムネクストで新しい試みを行うという話を聞き、日本では作品ジャンルとしてそこまで多くない、武侠仙境ファンタジーを書こうと決めました。

 

 

――そして『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』の連載が「カクヨムネクスト」でスタートし、月汰元先生はネクストで最も成功している作家のお一人となられました。あらためて心境はいかがですか。

 

すごくありがたいですし、嬉しく感じています。ネクストに投稿を始めた当初は、成功どころかランキング外だったと記憶しています(笑)。他の有名な作家の皆さんもいるので、「そんなものだろう」と納得すらしていました。ところが連載開始から少し経った頃、週間ランキングに『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』が登場するようになったんです。「やったぜー!」と喜ぶと同時に、武侠仙境ファンタジーに興味を持ってくれる読者も大勢いるのだと嬉しくなりましたね。

 

 

――更新頻度も作品人気を支える大きな要素だと思うのですが、「カクヨムネクスト」だけで月16本、ネクストではないカクヨムでの更新も含めると、ほぼ毎日更新されていらっしゃいますよね。

 

投稿頻度については、生活の中心を執筆活動にあてる事で実現しています。朝起きてから夜遅くまで、いつでも執筆できる生活になっていますので。ただし、年齢とともに集中力が減少中なので、時間はたくさんあっても執筆に集中できている時間は短いです(笑)。どうやって頭の中に創り上げた物語空間に集中するかの試行錯誤を常にしていますね。

 

 

――カクヨムネクストでの人気獲得の要因については、ご自身としてどのように感じていらっしゃいますか。

 

私が書く物語の主人公は、最初から強い存在というわけではなく、自分で考え工夫をしながらゆっくりと強くなっていくタイプの主人公です。そこに共感していただける読者の方が多いのだと思っています。

 

不死を求める者、これを道士と呼ぶ

※主人公のコウの魅力も人気を博す大きな要因のひとつ

 

 

――ありがとうございます。せっかくなのでやや生々しいお話もさせていただければと思うのですが、月汰元先生が毎月受け取られている「カクヨムネクスト」からの分配金は、年換算でサラリーマンの平均年収を超える額面だとうかがっています。作家業一本で食べていくには、生計の不安定さも取り沙汰されることが少なくない中、分配金に感じている「価値」についてどのように感じていらっしゃいますか。

 

まず、執筆活動を生活の中心とするためには、収入が重要なポイントになります。その意味において分配金は大変ありがたいものです。とはいえネクストを始めた頃、正直に言うと分配金にはほとんど期待していませんでした。小遣い程度になったらいいな、くらいに思っていたわけです(笑)。ところが、投稿を始めて一年以上が経過した現在、分配金が一番の収入源となりました。それこそ書籍版の印税よりも多くなっている点も驚きでした。結果、分配金による安定収入が得られ、執筆にかけられる時間が長くなりました。これが一番大きな良い影響で、「価値」のひとつだと感じています。ただし、それで書く分量が増えたかというと残念ながら(笑)。考える時間やアイデアを探す時間が増えたような気がしますね。

 

 

――貴重なお話ありがとうございます。また、書籍化作業についてもお聞きしたいのですが、加筆や改稿にかける量や時間は、有料コンテンツでの連載であるがゆえに違いはあったりするのでしょうか。

 

基本的に書籍化に向けた加筆や改稿は、一ヶ月くらいの時間をかけて行っています。説明が不足している箇所への追記や、細かな文章の修正も行っていて、表現が一部変わっている部分もあると思います。加えて20~30ページほど加筆した部分もあるので、新しいエピソードも楽しめるようになっています。やっぱりネクストに投稿をする際は、通常の投稿と違ってチェックの時間をたくさん取っているので、細かい文章の修正は減ってるんじゃないかなとは思います(笑)。

 

 

――書籍化作業は、カクヨムネクストでの連載による収益があっても、モチベーションとしては変わりませんか。

 

そうですね。書籍化というのは、金銭面を除いても魅力があるものだと思っています。「本を出している」という事はひとつのステータスであり、自分自身も誇りに思えます。加えて本屋に自分の本が並んでいるという、なんとも言えない喜びですよね(笑)。電子書籍も魅力のひとつではありますが、やはり自分の手に持てる本という形は、特別なものを感じます。

 

 

――そして本作のイラストは武田ほたる先生が担当されています。「カクヨムネクスト」での連載開始時にはキービジュアルが制作されるのも特徴ですよね。あらためてイラストの印象についてもお聞かせください。

 

この作品は武田ほたる先生にイラストを描いてもらっていますが、私自身のボヤッとしていたイメージが、きちんと形になっているので凄いなと感じています。私は絵の才能はないのですが、自分のイメージしたものを絵にできたら良いのに、と考える事も少なくないので、本当に素晴らしいなと思います。

 

不死を求める者、これを道士と呼ぶ

※月汰元先生のイメージをしっかりとビジュアル化されている武田ほたる先生のイラストも魅力

 

 

――あらためて『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』を読むにあたって、どんな点に注目してもらいたいですか。

 

道士、神仙、妖魔が生きている中華風の世界観を感じ、自分ならこうするのにと考えながら、主人公が一歩ずつ確実に成長していく様子に注目していただきながら読んでいただけると、面白いんじゃないかなと思います。

 

 

――発売となった『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』第2巻の見どころについても教えてください。

 

注目のポイントは二つあります。一つは主人公の弟子となったハオシュエンとセイランを、どういうように鍛えて育てるかという点。もう一つは遭遇する妖鬼や黒風虎との戦闘でしょうか。楽しんでいただけたらと思います。

 

不死を求める者、これを道士と呼ぶ

※コウの後輩であるハオシュエンとセイランにも注目の第2巻

 

 

――それでは最後にファンの方へメッセージをお願いします。

 

この作品では、主人公が神仙を目指して修行を始めてから、神仙になって活躍するまでを書こうと考えています。書籍版もWeb版も神仙への修行途中です。長い物語となりそうですので、作者である私と一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。また『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』に限らず、今後も面白い作品を書き続けるために、視野を広げて様々なものに興味を持ち、それらを吸収しながら自分自身を成長させるつもりですので、今後もよろしくお願いします。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

サブスクリプション読書サービス「カクヨムネクスト」で絶大な人気を誇る武侠仙境ファンタジーを綴る月汰元先生にお話をうかがいました。カクヨムネクストが作家にもたらす恩恵は、創作活動の在り方にも多大な影響を与え、モチベーションを維持する大きな役割を果たしていると言えそうです。「カクヨムネクスト」トップ層の現状は、多くの作家にとって良い刺激になっていくかもしれません。WEBでも書籍でも面白いからこそ読まれている『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』は必読です。

 

<取材・構成:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©月汰元/KADOKAWA ドラゴンノベルス刊 イラスト:武田ほたる

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[関連サイト]

サブスクリプション読書サービス「カクヨムネクスト」

Web小説サイト「カクヨム」

ドラゴンノベルス公式サイト

 

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