『青春サイバーアクション漫才ハードボイルドコメディな転校生』リタ・ジェイ先生インタビュー
【著】: リタ・ジェイ
【イラスト】: とばり
高校2年生の南田是也(みなみだ・これや)には「お笑い芸人になってテレビに出たい!」という夢がある。
しかし、クラスでの立ち位置は正直微妙で、コンビを組んでくれる相方はいない。
唯一の友達である引っ込み思案なお笑いオタク、木下に漫談を見せては酷評される日々を送っていた。
そこに、美少女鋼屋(はがねや)りんが転校してくる。一目で心を奪われた是也だったが、しょせん美少女なんて遠い存在……。
ところが、たまたま彼女と話す機会があり、「私の腕は鉄でできている」「胸を触って」などと大真面目な顔で言うりんに思わずツッコミを入れてしまった。
二人の掛け合いを面白がった木下は「コンビを組め」と提案するが、なんとネタだと思っていた彼女の話はすべて本当だった!
お笑い芸人・兼アーティストのリタ・ジェイ(ホリプロ)がつづる、爆笑サイバーパンク小説!
――本日はお忙しい中わざわざお時間を取っていただきありがとうございます。自己紹介をお願いします。
リタ・ジェイと申します。イラストレーター、お笑い芸人をしています。
一風変わってはいませんが、豆乳は好きで毎日のように飲んでいます。アイスクリームも好きで毎日のように食べています。
――小さい頃はどんな子供でしたか。
一番古い記憶は、港に停めた車のトランクからウナギ弁当が出てくるのを見たところです。何歳かは憶えていないのですが、ウナギ、というのを初めて教えてもらった記憶でもあります。実際に食べたかどうかは憶えていないのが残念です。
――確かに子供の頃の記憶って曖昧ですよね。中高生の頃はどんな感じでしたか?
「こち亀」を読んで警官に憧れ、「750ライダー」を読んで喫茶店のマスターに憧れて、映画「ブルースブラザーズ」を観て、黒いスーツを着て歌を歌いたいと思っていました。結局はウソのような世界に自分が存在したい・・・ということに気づき、上京して映画の専門学校に入り、そのままお笑い芸人になりました。
――影響を受けた作家、書籍があれば教えてください。
小説は、中高生の頃は、椎名誠先生のエッセイやSF小説が大好きで、ずっと読んでいました。私小説の「ハーケンと夏みかん」は宝物のようにして何度も読みました。椎名先生の書く「うっすらとしたさみしさ」というのは、景色はいいが天気は悪い。北海道という土地に住んでいた身にはことさらしみましたね。
その頃、背伸びしてJGバラードやウイリアム・バロウズなどの小説も読みましたが、まったく意味がわかりませんでした。それでも、翻訳文章特有のワンフィルターかけたような文章にハマって、グレッグ・ルッカ、ジョージ・P・ペレケーノス、ボストン・テランなど、海外作家の作品を今にいたるまで読んでいます。
文章を書く時の、小道具などの造語の感覚は、椎名先生の影響をかなり受けていると思います。
また、初めて長編小説を書く際に、お手本とおまじないを兼ねるように、常に手元に置いていたのは、ペレケーノスの「俺たちの日」です。友情・愛情など、あらゆる情を身に受けながら、それでも死に場所を探すことがやめられない男。自分が書いた小説のお話とは全く関係がないのですが、何かあるとあの傑作を開いてすがっていましたね(笑)。
――作家になったきっかけ
作家になろうと思ったきっかけというのはなく、自分がイラストレーターとして個展をする際に、絵に短い文章を付けているのですが、それを見た編集者の方と話が合い、お笑い芸人をしているという話にもつながり、お笑いをテーマにした長いお話を書いてみるのはどうか・・・という話が広がり、あらすじなどあれこれ進めながら執筆にいたる・・・という流れでしたね。イラストレーターになったきっかけというのはまた別のお話ということで(笑)。
――初めて送った賞を教えてください。
イラストの、ポストカードブックコンテストです。それに当時の個展内容だったタロットカードを送りました。
その賞のグランプリをいただき、賞金をもらいました。が、溜まっていたアパートの家賃を払って終わりました。
――読者に向けて一言お願いします。
お笑い芸人とイラストレーター、そして今回小説…と、軸が定まらないような存在ですが、やりたいことはひとつ「面白いこと」というものですので、今後とも色々なジャンルでよろしくお願いします!
■担当編集さんのひとこと
初長編となる作品。『青春サイバーアクション漫才ハードボイルドコメディな転校生』がPHP研究所「スマッシュ文庫」レーベルから発売中です。
お笑い芸人を目指す主人公が戦闘用サイボーグと漫才をする…という、タイトル通りの内容ですが、それらのジャンルがちゃんとまとまりました。
お笑い好きの方、タイトルの中に入っているいずれかのジャンルが気になった方はぜひ!
[関連サイト]スマッシュ文庫