『8番目のカフェテリアガール』 石原宙先生インタビュー

8番目のカフェテリアガール

著者/石原 宙 

イラスト/029

定価672円(税込)

お兄ちゃん、なごのの味噌かけちゃうよ?

2013年夏、壮大ななごやか計画始動!

味噌からはじまる名古屋系痛快学食バトルラブコメ、開店だよ!

極度の味噌アレルギーで東京に逃避行する高校2年の米田シロ。ある日妹のなごのがシロを連れ戻そうと上京してくるが、突如目の前でシロの働く学食「満天」が爆発する。日本最大を誇るその学食では8つの食堂が覇を競い、日夜デス・ゲームが繰り広げられているのだった。

愛する店長代理の天のため、過激なバトルを生き残ろうと必死なシロに感化されたなごのは店に協力することに。

ダメ食堂「満天」。その立て直しはなごのの手に託された。

しかしなごのは〝魔都〟名古屋の申し子で……?

石原宙先生プロフィール

魔都・名古屋が生んだ誠実作家。

第10回スーパーダッシュ小説新人賞で「くずばこに箒星」が大賞を受賞しデビュー。

バスケットをずっとやっていたので、狙ったところにエビフライを投げるのは得意です。

本日はお忙しいところお時間を作っていただきありがとうございます。よろしくお願いします。

「え? 無人島に一つだけ名古屋飯を持っていくとしたら何かですって?」

 

いえ、聞いてません。

「あ、そうですか……。こちらこそ呼んでいただいてありがとうございます。よろしくお願いしますみゃー!」

(ハイテンションに多少引きながら)先生の新シリーズ『8番目のカフェテリアガール』(以降8カフェ)が発売となりましたがどんな作品か紹介をお願いします。

「そうですね、詳しくは特設サイトがあるのでそちらを見ていただくとわかりやすいですが、魔都・名古屋からやってきた味噌大好きな闇属性の女の子なごのと、その兄である味噌&妹アレルギーのシロを中心にした名古屋系痛快学食バトルラブコメです。何言ってるかわかんないと思うんですが、本当なので許してください」

なんだかすごいですね。

「もう少し言うと、舞台は東京にあるフードコート型の巨大学食です。そこにはタイプの違う8つのお店があって、日夜デス・ゲームを繰り広げています。はい、デス・ゲームです。主人公たちの店は〝満天〟という喫茶スタイルの店で、これが万年最下位のダメダメ食堂。ある時ついに学食撤退のピンチが迫り、それを救うために魔都・名古屋の申し子なごのが立ち上がる……という熱い下剋上ものです。一方で、シロは味噌原理主義者の妹が心底怖ろしくて東京へ逃げてきたのに、店を守るため、彼女のお兄ちゃん好き好き味噌アタックを命からがらかわし続けるスリルでショックでサスペンスなラブコメでもあります」

この作品を書いたたきっかけを教えてください。

「まず学食ものをやろうと思いました。というのも、ライトノベルでも漫画でも、キャッチーな題材なのに学食をメインに扱った作品がないなと思ったことと、以前勤務していた会社で学食や社食の運営の仕事をしていて実態がわかっていたというのが理由ですね。それにもう一つ味付けして名古屋要素を入れました。若干味付けが濃すぎた感はあります……名古屋だけに」

『8カフェ』の見所やセールスポイントなど教えてください。

「いっぱいあるんですが、やっぱり〝名古屋〟と〝超次元クッキング〟の二つですね。まず一つ目の〝名古屋〟ですけど、名古屋って魔の者どもが蠢く闇の異界じゃないですか」

 

じゃないですかって言われてもコメントに困るんですが。行ったことないんです実は。

「だって、何にでも味噌をかけて闇に染めようとするんですよ。市民レベルで。それに、パスタにあろうことか抹茶を練り込んで、溺れるほどの油で炒めて、それを山盛りにするだけでは飽き足らず上に小倉と生クリームとフルーツをトッピングして甘くする残虐なメニューがまかり通ってるんですよ。どう考えても魔界です」

 

確かに怖ろしいですね……。

「だからこのお話はそこからやってきた女の子の異世界転生ものとも言えます。今流行りのファンタジーですよね。名古屋ってエンテ・イスラみたいなとこありますもんね」

 

(困惑気味に)ええと、そういうの言っていいんですか?

「エソテ・イスラにしといてください」

 

わかりました。

「二期はまだですか」

 

私に言われても……。

「次に〝超次元クッキング〟ですが、学食ものというのは企画の時から決まっていたんですが、学食でただお料理対決をしてもつまらないな……と思っていたらいつのまにか異能バトルしていました。ちなみにタイトルを考える時に、『イナズマクッキング』とか『学食の王女様』って案が実はあったんですけど、絶対怒られると思って編集さんには言えませんでした」

タイトルはすぐに決まったんですか?

「すぐには決まりませんでしたね。最初はなんだっけ……『学食ロワイヤル』とか『学食はじめました』みたいな感じでした。で、わたしと編集さんでアイデア出しあって結局『8番目のカフェテリアガール』に。8というのは主人公たちの店の順位でもあるし、名古屋の市章の数字でもあります。あと実はもう一つ意味があってトリプルミーニングなんですが、それは一巻の最後をご確認ください……。カフェテリアも本来『食堂(セルフの)』という意味ですが、喫茶店ぽいので、このタイトルお気に入りです。わたしの案なんです(自慢)」

なんだかおしゃれなタイトルだと思います。内容とは良い意味で結構落差があると思いますけど。私は結構声を出して笑わせていただきました。

「本当ですか! あくまでコメディに徹しているので、そう言っていただけると心が潤います! やっぱり作り手としては読んで楽しかったって言ってもらえると、くらくらするほど嬉しいんです。あれ、何でしょうこの胸のドキドキ……。まさか……これが……恋……? すいません続けてください」

はい、続けますね。では主人公やヒロインについて教えてください。

「主人公は米田シロくんと言います。深刻な味噌アレルギーで、だから食材に味噌をかけることに命をかけてる妹も超絶怖いです。触れられるとじんましんが出て、泡を吹いて卒倒します。なので死の危機を感じて味噌の国を逃れ、東京で天ノ川天ちゃんという天使に出逢ってパラダイス気分だったんですが、妹のなごのが追いかけてきて現在地獄に真っ逆さまなところです。かわいそうな子です」

ヒロインについて

「シロの妹でなごのと言います。当然美少女です。そして『パンがなければ味噌をなめればいいじゃない』がモットーの、理屈の通じない味噌好きです。かわいそうな子です。そしてそれ以上に好きなのがお兄ちゃんなので、シロとしてはたまったものじゃありません。ちなみにすべてのキャラは実在する喫茶店が名前の元ネタになっているので、気が向いたら調べてみてください!」

今回イラストが現在大人気のイラストレーター029さんですが、そうなった経緯は?

「今回のお話に合うイラストレーターさんを家の近所の某アニメイト名古屋店さんで探していて、そこで一目ぼれしたのがきっかけです。それで編集さんに交渉してもらいました。えっと……その時見ていた本は……えっとなんだっけ……たしか魔王さまみたいな人が出てきて……現代のハンバーガー屋さんで働くとか……いやそんな斬新なラノベないかな……」

いや石原先生絶対知ってますよね。さっき二期まだとかおっしゃってましたよね。

「そうでした。大好きなんでした。ちなみに探していた時は、もう大真面目な顔で棚の端から端までイラストを見て回っていたので、傍から見たらよほど名のあるラノベ研究家か、ある種の中毒者に見えたと思います」

基本2ページで1話という超短編を続け、かつ一つの長編小説になるという変わった構成にした理由は?

「読みやすさを追求して、ですね。もともとわたし自身が長い小説を読むことが得意じゃなくて、そういう人でも気軽に読めることを考えて書きました。だらだら書かず、見開きで毎回オチをつけていけば読みやすいかな……と。4コマみたいともよく言われて、結果的にそういう使い方もしてますが、最初からそれは想定していなかったです」

確かに読みやすいですね。これなら小説初心者の人でも読みやすいと思います。なにしろ面白いですし。

「本当ですか! そんな、何度もわたしの胸の奥の柔らかい部分をノックしないでください。口説いてるんですか?」

これそのまま記事にしますね。

「Oh……」

さて、石原先生の前作『くずばこに箒星』とは作風が結構変わったと思うのですが、『8カフェ』の執筆期間はどれくらいですか?

「8カフェはわたしとしては書きやすくて、初稿は一カ月くらいだったかな……そんなものだと思います。書きやすいと言ってもそんなに筆が早い方ではないので笑。初稿のあとも何度か直しているので、完成するまでにはもう少しかかってますね」

ところで本作に書いてある名古屋事情は全部真実なんでしょうか?

「あ、それ聞いちゃう感じですか?」

あ、やめといた方がいいですか? 

「真実はみなさんの目で名古屋を訪れて確かめてください……(観光促進活動)」

では石原先生おすすめの観光スポットなどひとつだけ教えていただけますか。

「えーとですね……名古屋という街は本当に慎ましくて、観光スポットと言える観光スポットがあんまりないんですよね……。奥ゆかしいですよね。だから強いてあげるとすると……そうですね、夜の9時、10時になると軒並みシャッターを下ろし始める名古屋駅前の飲食店群ですかね。一応三大都市の一番大きな駅前なんですけどね。10時過ぎるとやってるお店ほとんどなくなるんですよね。そういう健康優良児ぶりをぜひ見てください」

 

(笑)。実は私は名古屋初心者でして、名古屋に行ったこともなければ生粋の名古屋人(?)の友人もいないのですが、こう、何というか名古屋人の特徴みたいなものはありますか?

「だいたいみんなエビフライをポケットに入れてますね。投げる用に」

(笑)。名残惜しいですがそろそろお時間が……、ということで最後に読者の皆さんに一言お願いします。

「このお話は名古屋人のために書いたと思われがちですが、むしろ逆で、実は名古屋以外の人に読んでもらうために書きました。名古屋をある種の〝異世界〟として楽しんでもらえたらいいなと思っています。当然名古屋の人にも楽しんで欲しいですが、このお話は地元受けで終わってはいけないのです。なぜなら名古屋以外の人に名古屋を知ってもらって、一度行ってみたいな、名物を食べてみたいな、そう洗脳……失礼しました、思ってもらう、それが東京さらには全日本〝なごやか計画〟なのですから……」

本日はお忙しい中ありがとうございました。

「ありがとうございました!」

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石原宙先生の新シリーズ『8番目のカフェテリアガール』はスーパーダッシュ文庫から絶賛発売中です!

8カフェ絶対面白いから読もう!

 (C)集英社 石原宙/029

[関連サイト]

集英社スーパーダッシュ文庫
「8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト」
著者:石原宙氏のTwitter

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