『偽神戦記』三国陣先生インタビュー

オリジナルインタビュー「ラノベの素」。今回は4月25日に集英社スーパーダッシュ文庫より新刊『偽神戦記』を発売される三国陣先生です。

著:三国陣

イラスト:なかばやし黎明

護るは宝瞳の姫。若き勇者は、抗い、戦い、決断する!!

五つの神と五つの魔法が花咲く大地――五弁花の大陸(ブルーメンブラット)。寒村に生まれた少年クライヴは、優秀でありながら環境に恵まれずその能力を生かせずにいた。そんな彼の前に“竜鋼”の首輪をした謎の少女が現れる。“生贄”として敵に追われる彼女は、何か途方もない事情と覚悟を抱えているようで……? やがて二人を中心に、大陸を揺るがす激しい叛逆の焔が巻き起こる! 本格派戦記ファンタジー、開幕!!

――本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

よろしくお願いします。三国陣と申します。趣味はゲームと料理です。

――どういった経緯でデビューを?

はい、過去の経歴は秘密です。

――あ、はい……。それでは、得意料理とかは?

普段作るのは、和食が多いですね。煮魚とか。

――なんでも後書きの料理も自分で作ってみたとか。

作りました! 家族には好評でした。

――この話を書いたきっかけをお聞きしてもいいですか?

ひねりも何もないのですが、担当編集様から「戦記ファンタジーを書いてみない?」と話を振っていただいたのがきっかけになります。

これまで学園モノや軽いタッチのラブコメの流れが強くて、そういうのじゃないと企画が通らないのかなーとぼんやり考えていたのですが、世間の流行の変化なのか、重ためのファンタジーものを書くチャンスが巡ってきまして。で、元々ライトノベルのファンタジーが好きだったこともあり、「是非やらせてください!」と。

――世界観が特徴的だと思うんですよね。各国にそれぞれ神様がいて、神様ごとに異なる魔法体系があって、使う魔法によって生贄が必要だったり、記憶が飛んだりとか。魔法なのに科学っぽかったりとか。その辺の発想のモト、伺ってもいいですか?

くどくて長い話と、そんなには長くない話がありますけど、どちらがいいでしょう(笑)。

――あまり長くない話で(笑)。

まず、テーマが根底にある世界を作りたいと思っていたんです。

『犠牲を伴う魔法』というのを根底において、多様な魔法がある世界を作ろうと思っていて。

当初から「『ファンタジーと思わせて、蓋を開けたらSF』みたいなのじゃなく、どこまでいっても全部、骨の髄までハイ・ファンタジーにしたい」という話を担当様にしてました。

完全に異世界的な法則というのを組み込んで、その中で話を作っていきたいな、と。私としては、それが「異世界ファンタジー」だと思ったんです。

神々が実在し、それによって成り立つ世界……というか、神々が秩序や法則の根源となっているような、そういう世界ですね。

そもそもの最初に、両面性を備えた五つの神々があり、その神々から託された魔法という技術があって、それによって文明が作られた。だから神様の種類によって土地の様子も、産業も、国の様相も変わってくるはずである、と。

そのあたりが発想の根幹になってます。

――苦労した点やこだわった点は?

いっぱいあるんですけど、どれを話せばいいんでしょうか?(笑)

――(本が)結構、分厚いですよね。なんでも最初はもっと長くて、長すぎるんで詰めろと言われたとか?

いや、当然でしょうね(笑)。これでも頑張って削った……んですよ……?

あと作品を書く上でこだわったのは、料理を旨そうに書くことですかね! 「もっとシズル感!」とか悩みながら書いてました。

――そういえばビール工場を見学に行ったとか。

「発酵前の麦汁を飲ませてくれ」と頼んで断られました(法律上ムリだそうで)。残念です。ビールは美味しゅうございました。

――ズバリ、今作の注目点は?

……攻城戦、です!

――いいですね、ファンタジーで攻城戦。ファンタジーで攻城戦というと、映画版の『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』などを思い出すんですけど……。

いいですねー。大好きです。担当編集様に「ああいうワーッとした感じの書いて下さいよ! あんたならできる!」と煽られて、「ヨッシャ!」とばかりに書いてしまった部分はあります(笑)。

機会があればもっと大規模な会戦を書きたいですね。数万人単位とかの。

――それは、イラストレーターさんが大変そうですね。

あっ……(考えてなかったという顔)。

――やっぱりライトノベルはキャラクターが大事だと思います。魅力的な女性キャラが色々登場するわけですが、キャラクターについては何かこだわりありますか?

うーん……? 正直、地味かなと……。インパクト重視という作り方をしてないんですよね。

担当様が「君は今回、萌えとか色気とかあんまり考えなくていいから(笑)」って、バッサリと仰るので、じゃあドラマを重視していいのかなって……。

これは自分の欠点の一つだと思ってるんですが、背景情報やエピソードが分かってきて、はじめて魅力的になってくるぐらいの書き方になってしまっているんですよね。押し出しの強さという意味で、ライトノベル的にはちょっと……と、自分でも反省しています。

もっと見るからに、「面白そう!」って感じにしないと、ですね。精進します。

――そのわりにヒロインのソニアには首輪とかついてるんですけど?

キャラクターの魅力として意外性というところがあると思うので(真顔)。

変な味覚とか、見た目よりも強引な性格だったりとか、気を遣っているようでいて結果的に周囲を振り回してるところとか……「ああ、お姫様だなあ」という感じがしています。

――「同い年の幼馴染なのに見た目ロリ」なシリクについては?

話を転がす上で、やっぱり明るいキャラクターがいたほうがいいなと思ったんですよ。こう、純粋なというか、堅苦しくない会話をもたらす存在として……それだけです、ええ、それだけ(やはり真顔)。

――主人公のクライヴを『誘惑』してくる女騎士のターニャはお姉さん枠ですね。

そうですね。あ、誘惑と言っても、変な意味ではないですよ? 本当です(真顔)。

――忘れてましたが主人公はどんな人ですか?

すごく優秀なんですけど、田舎で育ったがために出世の目がない少年です。頭がよすぎて周囲に理解者がいないという、とてもかわいそうな境遇です。「嚢中の錐(のうちゅうのきり)」という言葉があるんですけど、そういうイメージ。

――さて、敵方の男性キャラクターも魅力的だと思うんですが……。

ヴァレリーですか。勢い余って強くしすぎました(笑)。

――詳しくいうとネタバレですけど、バケモノですよね?(笑)

単純な力だけじゃなく、別方向で戦わなきゃいけないような強力な障害が欲しくて、出してみたんですけど。

まあ、このぐらいはっちゃけた方がいいのかなと。

――敵キャラには、もう一人キリルというのもいますけど。

地味ですね。私は結構好きです。いろいろ苦労してそうで。

――なんか、女性キャラよりも男性キャラのほうが思い入れ深そうですね?

そうですね。敵キャラと端的にいっても、単純に善悪で分けられるような世界ではないというか。

「戦記ものって、お互い信念を持った人物たちがガチでぶつかり合うのがいいよね!」と担当編集様とも話していましたので、敵といっても単純に悪い奴という感じではないんですよ。

戦記ファンタジーにも色々な方向性があると思うんですけど、ヒロイックいうよりはエピック(叙事詩的)なファンタジーに近いものをやろうと。

友だったけどお互いの信念のために戦いになってしまったりとか、敵同士なんだけど信じ合っていたりとか、「そんなドラマを作れたらいいよね」という話をしていました。

――今後の目標などは。

ジジイになっても懲りずにライトノベルを書いている、というのが目標です。

そのためには、とりあえず次の一冊、でしょうか。

――最後に、読者の方に一言お願いします。

戦記ファンタジーの流れに遅れて入ってきた感がありますが、これはこれで工夫を凝らしておりますので、ぜひ一度お試しのほど、よろしくお願いいたします。

TRPGとかシミュレーションRPGがお好きな方には、特にお奨めです!

――本日はどうもありがとうございました!

ありがとうございました!

三国先生の経歴は謎として残りましたがインタビューありがとうございました!

三国陣先生のデビュー作『偽神戦記』は集英社スーパーダッシュ文庫より4月25日発売です!

王道過ぎる王道ファンタジー! 是非読むべし!

[関連サイト] 集英社スーパーダッシュ文庫

(C)三国陣/集英社 イラスト/なかばやし黎明

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