【このライトノベルが売れて欲しい!】第3回『テルミー』

もっと沢山……面白いラノベを読みたくはないか、少年?

ということで始まりました。続きが読みたい、メディアミックス展開して欲しい! 単純に沢山の人に手に取ってもらいたい! という願望を織りまぜてオススメラノベを紹介する『このライトノベルが売れて欲しい!』第回でございます。

今回もハイテンション&COOLにライトノベルを紹介していきますよ!

第3回は

『テルミー』シリーズをご紹介!

あらすじ

修学旅行での事故で失われたひとつのクラス。

当日欠席したことで事故をまぬがれた少年・清隆は、ただひとりだけ生き残った少女・輝美が、亡くした恋人の遺品を持ち出したことに困惑する。問いかける清隆に輝美は、自分の中に亡くなったクラスメイトたちの最期の願いが残されていることを伝える。少女はその想いをかなえようとしていたのだ。

清隆は自分にも手伝わせてほしいと申し出るが…。

悲劇から始まるやさしさの物語、開幕します。

● プロローグでに心奪われ、私はレジに向かっていた。

なんとなく表紙に惹かれ、一巻である『テルミー きみがやろうとしている事は』を手に取り、そのプロローグを読んだのが私とテルミーとの出会いだった。

プロローグ

この物語には、二十六人の高校生の男女が登場する。

当然この物語は二十六人の死と青春を描くものになる。

そして、この物語は必ずハッピーエンドを迎える。

なぜなら、この物語は始まりの時点が最も悲惨で、もっとも間違った状況だからだ。

彼らのうち二十四人は、物語の始まりと同時に死亡している。

という出だしから始まる本作。

この始まりで一気に「おおう……これはヤバイ」と思ったのを覚えている。私はふらふらとレジへと向かっていたのだ。これは買うしかないと心が叫んでいた!

このテルミーシリーズの内容を簡単に紹介すると――

物語は修学旅行中にバスが事故に遭い、クラス26人のうち生き残った2人の男女が(男は病欠していた)亡くなった友人たちの未練を昇華していく、といったもの。

表紙の少女、鬼塚輝美(テルミー)はバス事故に巻き込まれながらも運良く生き残り

『二十四人分の魂、その未練、願い』をその身に宿してしまう。

もちろん、呪いのようなものではなく純粋な願いのようなものだ

輝美は二十四人分の魂をその身に宿し、清隆(病欠した男子)と共にそれぞれの未練を解消していく、といった展開となっていく

清隆には彼女がおり、その彼女もまた事故で亡くなっている。

輝美には彼女の願いも残されていた。彼女の死を、彼はどう乗り越えていくのだろうか?

一巻にあるこのバンド話が非常に印象的。

テルミーがなぜ歌を歌っているのかは、ぜひ本編を読んで確認してみて欲しい。

テルミーの良いところは、死者の最後の願いを叶えることで

今生きている者たちの心が救われるということだ。

このテルミーという物語は『いなくなった者たちの話』であり、『今生きている者たちの話』でもある。

物語の始まりで、24人もの生徒が亡くなっている状態で、それぞれの未練を章毎に叶えていく。それぞれの願いは『エロ本を隠して欲しい』『最後に喧嘩で決着を付けたい相手がいる』など様々あり、くだらないように思えて切実な願いを描いている。

それを一つ一つ解決していく中で死者だけではなく、その家族や友人たちが前へ進むという『救い』に繋がっていくのだ。

●    『悲劇』から『しあわせ』を描く、透明感のある文章が魅力的

ラブコメとかギャグとかは殆ど無い。

作品のスタートラインが『大事な人の死』という非常につらいものになっているので、重い展開にならざるを得ないからだ。そこに無理に笑いを取り入れると、作品のバランスが崩れてしまう……。

だが、この物語は『しあわせ』を描く物語だと声を大きくして言おう!

その物語を彩るのが、滝川廉治先生の繊細な文章だ!! 滝川先生によって詩的に綴られる物語は、透明感のある優しさを持っている!(ニュアンスだけ伝わればヨシ!

印象的なセリフが沢山あり、たった一文を読むだけで体に震えが走ることが何度もあった。

一言一言が本当に素晴らしいと思えるライトノベルは珍しいと思う。

もしかしたら、悲しい物語を読むのが辛い、という人も多いかもしれない。でも、そんな人にこそ是非読んでもらいたい!!大事なものを欠落させてしまった人たちが、前へと進んで行く様を描くため、とても後味のいい作品になっている。

というより、買って欲しい!!

一気に私的なものを吐露すると、続きが読めない可能性が見え隠れしているのが怖いのだ!

まずこのテルミーシリーズ、あまり売上がよろしくない現状がある。一巻発売後、1年以上経ってから『重版』がかかるというレアケースとなったが、やはり売上が一定ラインを超えないと続編へと繋がらない……。

こんなにも切なくて、あたたかい物語を最後まで読めないなんて……そんなに勿体無いことはない! そう思うだろ!? アンタも!!

また、2巻の発売から音沙汰がない!2巻発売も1巻発売から1年かかった作品ではあるのだが……作者のブログを読んでいるが、結構煮詰まっているというか、売上的にあんまりよろしくない空気が!!

このままじゃ、続きがでない……?

2巻現在であと十数人のクラスメイトの願いを叶えておらず、まだまだ話は続いていく余地がある。主人公であるテルミーと清隆の心の歪みや成長の余地も残し、さらに感動な物語へと広がっていく予兆を感じているのに……っ

本当に大好きな作品なので、もっと続きが読みたいんだ……!

少し内容は重いけれども、決して悲しいだけの物語じゃない。

「ハーレム見飽きたなぁ……」

「ラブコメはもうお腹いっぱいかも……」

「ちょっと泣ける話読みたいかなぁ……」

という人は、是非手にとってみて欲しい。きっと心に響く物語なっているはずだ。

作者の滝川廉治先生、応援しております。ゆっくり頑張ってください、続編楽しみに待ってます!

スーパーダッシュ編集部様、打ち切りだけは……なにとぞ……なにとぞ……

ということで、第3回【このライトノベルが売れて欲しい!】は以上になります。いかがだったでしょうか?

ラノベニュースオンラインという場を超私的な布教場所にしていて申し訳ないのですが、頂いたチャンスは有効に使わせてもらいますよぉ!

ということで、また私情入り交じるカオスな記事でお会いしましょう!!

【記事:ゆきとも】

(C)集英社 滝川 廉治/七草

[関連サイト]集英社スーパーダッシュ文庫

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