独占インタビュー「ラノベの素」 槻影先生『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年8月31日にGCノベルズより『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~』第5巻が発売される槻影先生です。トレジャーハンター黄金時代を舞台に、やることなすことすべてが自身の引退とは真逆の結果にしかならない、これまでにはなかった勘違い系ファンタジーを描く本作。インタビューにも3年ぶりの登場となる槻影先生に、この3年間における変化をはじめ、作品に登場するキャラクター達はもちろん、ボタンのかけ違いの連鎖が止まらない勘違い系作品の魅力など、様々にお聞きしました。
【あらすじ】 ゼブルディア皇帝主催のパーティーに出たくない一心で逃亡(バカンス)を続けるクライは、探索者協会からの激しい追撃を振り切ってついに目的地(温泉)へと到着する。颯爽と入浴を開始したクライであったが、そんな彼の前に一匹のドラゴンが現れて――? 世界の存亡をかけた戦いが、今始まる……!! |
――大変ご無沙汰しております。2017年のご登場以来、約3年ぶりとなる槻影先生です。
こちらこそご無沙汰しています。『誰にでもできる影から助ける魔王討伐』のインタビューからもう3年ですか。本当にあっという間でしたね。
――あらためてこの3年間、ご自身を取り巻く環境など、何か変化はありましたか。
取り巻く環境の変化という意味では、それほどなかったですね。ただ、前回インタビューを受けた時はコミカライズの書籍なども刊行されていなかったので、その辺りを含めるとだいぶ忙しくなったように思います。小説もコミカライズも数本が動いていますし、小説を書く時間も増えましたし、コミカライズのチェックの時間も増えました。今年に入ってからはYouTubeチャンネルを宣伝用として開設したりもしていますね(疲れた人の槻影チャンネル)。
――あまり変化を感じてはおられないということですけど、それでも活動の幅は広がりましたよね。YouTubeはなぜ始められたんですか。
YouTubeは今年4月にチャンネルを開設して、6月頃に初めて動画を投稿しました。始めたきっかけは、特にYouTuberを目指して始めたとかではなく、忙しさもあって読者さんへの感想の返信などもできなくなってしまっていたので、少し違った形で読者さんと交流してみようかなと思ったんです。最初はゲーム実況とか生放送とかまったりやろうと思っていたのですが、時間の関係もあって結局小説の話ばかりしている気がします。とは言っても現在は月1~2本程度しかアップできていないんですけども(笑)。投稿本数はもう少し増やせたらいいなとは思いつつ、手が出せていません。小説の話ばかりではなく、よろずチャンネルとして動かしていけるよう頑張りたいですね。
――ここまではご自身のお話をお聞きしましたが、WEBでの執筆歴が長い槻影先生の目から見て、この3年間のWEB小説界隈の変化は感じられていますか。
特にそのあたりはあまり感じていないです。ただ、最近は読む方が全然できていないので、流行りや廃りは少し追いかけ切れてはいないというのもあるかもしれません。ランキングなどをみれば、何かしらの変化はあると思うんですが……。どちらかというと、本当に個人的な印象ですけど、変化というより停滞のイメージが少し強いかもしれません。「小説家になろう」の一強はまだ続いていますしね。
――ありがとうございます。それではあらためて『嘆きの亡霊は引退したい』の第4巻までを振り返りつつ、本作がどんな物語なのか教えてください。
『嘆きの亡霊は引退したい』は、俗に言う勘違いものに区分されるコメディ作品です。正真正銘最弱で、それを自覚して引退したがっている主人公のクライが、周囲から強者だと勘違いされ続け、様々な事件に巻き込まれる、というお話が物語の主軸になっています。それに加えて、友情などのテーマにも触れつつ、読者さんに笑っていただける作品になるよう目指して執筆しています。僕自身は、読者さんを笑わせたら勝ちみたいな感じでいつも書いていますね。
※すべてのキャラクターがクライのことを勘違いしているコメディ作品
――あらためて本作の着想は何だったのでしょうか。
まず、僕がコメディ好きだからというのもあるのですが、読者さんも笑いを求めているのではないかとずっと思っていました。特に僕はコメディの中でも勘違いモノというジャンルが好きで、いつか書いてみたいと思っていたんです。勘違いモノの中にも、弱いのに強いと勘違いされるものや、実際は強くて周りからもそう認識されているのに自分自身は弱いと勘違いしているものなど、いくつか種類があるんですけど、そういった勘違いモノの王道を踏襲しつつこれまでにはなかったような作品を生み出したいなと考えました。実際に生み出せているかは別として、嘆きの亡霊はWEB版では毎話笑えるポイントを作ったり、書籍版では毎巻テーマを決めたりとなるべく飽きさせないように工夫しています。読者さんの反応を振り返ってみると、あらためてコメディというジャンルの魅力や強さを感じていますね。
――勘違いモノを書きたいと思うきっかけになった作品はあったんでしょうか。
これまで商業・WEB問わず勘違いモノはたくさん読んできたのですが、正直きっかけというのはあんまり覚えていないです(笑)。有名な勘違いモノで言うと『オーバーロード』もその一種ですよね。『オーバーロード』の勘違いは嘆きの亡霊とは違うタイプなのですが、昔から大好きなのでそのあたりから多少の影響は受けているかもしれません。商業での勘違いモノの作品も決して多いわけではないので、盛り上げていきたいですね。
――勘違いを加速させる本作の魅力のひとつに、主人公のクライと周囲の、ことごとくボタンを掛け違う会話劇があると思っています。この会話劇における過程から結果へと繋がる整合性は、どのように取られているのか非常に興味があります。
まず、最初に考えるのがそのエピソードにおけるオチをどうするのかです。基本的にはそこから逆算していく形で毎回考えていますね。クライがどのように勘違いをするのか、その結果周囲がどんな認識を得ることになるのか、それぞれの巻のテーマによって趣向を変えながら、パズルを組み上げていくようなイメージです。
――クライは自分のことを弱いと思っているわけですが、周囲の認識はまったく異なるという展開がずっと続いているわけですけど、実際問題としてクライは本当に弱いという認識でいいんでしょうか。
その点については間違いないですね。完全に弱いです。なにせ彼からはすべての強さを取り上げたので(笑)。どこまでいっても主人公が弱いという点も、この物語の主軸のひとつだと思っています。
――つまり、第3巻で登場した肉の仮面に適正がなかったのも……。
適性は普通にダメでしたね(笑)。クライは才能の不足で肉の仮面を使えなかったわけですけど、一方で周囲は違った解釈をしていくわけですよね。クライのやることなすことはほぼほぼすべて間違っているんですけど、周りが全部正解にしてしまう。傍から見ているとどれだけ鈍感で怖い者知らずだよって思うかもしれませんが、クライは前を見ておらず、危険に気付いていないから平然としているだけなんですね。
※周囲が畏怖する肉の仮面の適性がなかったクライの真実は……圧倒的才能不足!
――そんなクライが周囲の勘違いを加速させている要因として、「うんうん、そうだね」という魔法の相槌がありますよね。これさえ言っておけば、物語は自然と前に進んでしまうという(笑)。
勘違いのパズルを考える上で、クライの相槌は大きなピースのひとつになっています。「うんうん、そうだね」はとても便利ですよね。この相槌、クライが真面目に話を聞いていない証左でもあるんですよ(笑)。クライの悪いところは人の話をまったく聞かない、聞いてないところなんですよね。彼は面倒になるとすべてその相槌で話を流そうとするので、それがただただ事態をややこしくしている(笑)。第5巻にはルークというキャラクターが登場するんですが、クライは彼に「斬る前にちゃんと会話をしろ」と説教をしています。なのに、そう言っている本人が一番のコミュニケーション不全だよねっていう。話を聞いていても聞いていなくても「うんうん、そうだね」で流そうとするので、それがあらゆる事件の発端になったりならなかったり(笑)。
――クライは思考を放棄している疑惑も結構あるんじゃないかなと(笑)。
そうですね(笑)。彼は楽天家じゃないですけど、あんまり深く考えないうえに、何か困ったことがあったら周囲に頼ろうとする気質もあって、思考を放棄しがちなんですよね。面倒くさくなるとすぐに投げ出すし、ヤバい状況になると多少なりとも真面目に対応しようとするんですけど、クライは能力がないので対応ができない(笑)。そういうところはギャグのような要素もありますね。物語全体として、クライのやることなすこと裏目に出て、それを周囲が頑張って解決しようという流れが多いです。
――それでは勘違い満載の本作に登場するキャラクターについて教えてください。
クライは本作の主人公です。ボンクラで話を聞かなくて、でも悪い奴ではないという点が主軸になっています。考えないのが悪いと言ったらそこまでなんですけど(笑)。肉体的な強さは普通の人間と一緒で、思考の放棄はいろいろ危険な冒険を繰り返してきたがゆえの影響でもあります。
※ハンターレベル8の認定を受けているクライ
リィズは結構苛烈なところも多いですけど、作中では意外と常識がある側のキャラクターとして活躍しています。登場した当時は苛烈な面が多かったですけど、最近は少しおとなしい姿を見られているんじゃないでしょうか(笑)。弱点は短気なところくらいで、頭も良いし回転も速い。僕は弱点が大きければ大きいほど人間味が出ると思っていて、そういう意味でも弱点が短気に極振りされているキャラクターです。
※短気と苛烈さが目立つリィズ
シトリーは基本的には優しいキャラなんですけど、苛烈な冒険を繰り返す中で、どんどん手段を択ばなくなっていったキャラクターですね。結構読者さんから指摘されることが多いんですけど、ヤンデレではないですよ?(笑)。シトリーも頭が良いので割と常識人ポジションではあるんです。常識を知りながらも外れた行動をする女の子ですね。彼女の弱点をあげるとすれば、たまに少し抜けているところでしょうか。シトリーはクライとの会話で、クライが何を考えているのか予測しようとするじゃないですか。でもそれがことごとく間違えている(笑)。クライの視点からシトリーを見ると、非常に優秀な女の子に見えているんですけれど、別にそんなことはないです。クライが言う程彼女は完璧ではありません。
※ヤンデレではないというシトリー
ティノは……可哀想な娘ですね。もうそれだけで(笑)。
※常に何かに怯えている子犬のような存在・ティノ
――全体的にクライの周囲には苛烈なキャラクターが多い中、ティノは読者に寄り添うような、普通の感性を持っているように感じます。
他のキャラクターと相対的に考えると、そうですね。周囲が強すぎること以外、ほとんど欠点のない常識人だと思います。彼女の場合は、周囲が強すぎることが欠点になってしまっているので、彼女自身には欠点がほぼないんですよ。とにかく最初から最後まで振り回され続けている可哀相な女の子です。
――ティノは第1巻からずっと虐げられているイメージが強いので、ハッピーになってもらいたいと思っている読者も多いはず……!(笑)。
ううううん……ハッピーにはならない、んじゃないですかね(笑)。こう言っちゃなんですけど、彼女は虐げられていることそのものも結構楽しんでいる、喜んでいると思うんですよ。なので、案外幸せなんじゃないかなって思いながらいつも書いてます(笑)。
――少し常識という言葉の定義がグラついてきているのですが、間違いなく作中で常識人枠であろう、クライが色々と利用……もとい頼りにしているアークについても教えてください。
ロダン家のハンター・アークはまさに完璧なキャラクターですね。彼はクライとは正反対のキャラクターとして設計しています。でもガチガチのライバル的なキャラクターというわけでもなかったり……クライとは過去にいろいろあったので、そのあたりのエピソードもどこかでお披露目したいですね。
※レベル7のハンター・アークとクライの過去が明かされる日は来るのか
――アークはクライが頼るだけあって、かなり無茶振りをされている印象もあるのですが、アークはクライにいいように使われている、という感覚はあるんでしょうか。
いえ、あまりそういう意識はもってないです。アーク自身が善人ということもあるんですけど、アークから見たクライの存在は、何かと掴みどころのない人間、という評価なんですよ。そういった点も含めて、使われているという感じではないかと思います。ほら、二人は友達なんで(笑)。
――クライとアークって友達だったんですね(笑)。クライの交友関係も気になります。
とりあえず、クライとアークは友達で大丈夫だと思います。たぶん(笑)。クライの友達で言うと、第2巻から登場している同じクランのスヴェンもそうでしょうか。クライは自分のクランメンバーの顔をほとんど覚えていないので、名前と顔が一致したメンバーは友達という認識ですね(笑)。
――それ、逆の立場からしたらどうなんですかね(笑)。
友達ではないでしょうね(笑)。
――もう一人、第3巻から登場しているアーノルドについてもお聞きしたいです。彼は地方から中央へ鳴り物入りのレベル7のハンターとして登場しました。
アーノルドはハンターとしては極めて優秀なキャラクターです。あまり敵という感じでもありませんが、クライに相対するキャラクターとして登場し、要所要所でクライとぶつかります。これは物語の構成的なお話にもなるんですけど、第1巻や第2巻はどちらかというとクライは巻き込まれる側だったんですが、第3巻以降はクライが巻き込んでいる、もとい巻き散らしている側になっており、アーノルドはその被害者ですね(笑)。
※クライとの因縁(?)が次々に量産されていくレベル7のハンター・アーノルド
――先程のアークもアーノルド同様にレベル7のハンターですが、実力的にはアークの方が上という認識なのでしょうか。
そうですね。アークの方が上のイメージです。レベルについてはかなり主観的な要素が入っていて、強さのバロメーターとして見られてはいますけど、必ずしも強さとイコールではないんです。能力値を明確に示すバロメーターではなく、いわゆる資格の1級、2級みたいな意味合いで用いられています。まあ、アーノルドは中央でもレベル7はあるんじゃないかとは思っていますが、そのあたりはなかなか難しいです(笑)。
――登場するキャラクターの中で、考えているキャラクターとそうでないキャラクターを分類していただくとどのような感じになるんでしょうか。
誤解されている方が多いかもしれませんが、基本的に常識を持っているキャラが多く、考えていないキャラクターの方が少ないです。とりあえず何も考えていないのは千剣のルーク。彼は本当に何も考えてません(笑)。クライは……一応考えてはいる方ですね。リィズは常識はあるんですけど、その常識をほっぽり出して殴り掛かるところがあるので……考えていないほうなのかな(笑)。TPOをわきまえているという意味では、ルークとリィズ以外はだいたい考えているんじゃないでしょうか。
※第5巻から登場するルークは、新たなトラブルを巻き起こす未来しか見えない
――クライも一応考えている側のキャラクターになるんですね(笑)。
クライも考えています。ただ、クライの場合は考えた結果、すべてダメな方向に転がる特性があるので。現在連載しているコミカライズの第15話の扉絵にも「この男、引きが強い!」っていう煽り文句が描かれているんですけど、まさしくその通りなんですね。思考放棄する事もありますし、深く考えているのかというのもありますが、それでも彼なりに考えてはいます。ただ、彼の考えが実ることは、やってこないんじゃないですかね(笑)。
――槻影先生のお気に入りのキャラクターを教えてください。
基本的には全員がお気に入りなんですけど、特に気に入っているのがクライとティノですかね。可哀相なキャラクターが好きなので(笑)。書きやすいという意味では、シトリーは何でもできる万能キャラクターなので、物語には絡めやすかったり、ルークは場をかき乱すキャラクターで使いやすい。ルシアはデザインも好みですし、まあみんな好きです。
――第5巻からはいよいよ《嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)》のメンバーが勢揃いすることになります。本格的に登場するメンバーについても教えてください。
まず、ルークは熱血主人公的なキャラクターです。前にグイグイいくタイプのキャラクターで、クライのことをとても信頼しています。その二つの要素が合わさってダメな方向に転がるわけですが。基本的には考えずに動くタイプです。ただ、クライよりルークの方が勉強はできるんですよ(笑)。アンセムはパーティで一番の常識ポジです。外見は一番隔絶してますけど、穏やかな気性で帝都でも認められているハンターです。唯一の弱点が妹に甘いこと。そのせいで今後、問題を起こしたりすると思います。常識ポジとは……。ルシアはしっかり者の妹というイメージのキャラクターです。彼女にも様々なエピソードがあるんですけど、現時点では触れづらいので、先々にご期待ください。
※第5巻ではいよいよ《嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)》のメンバーが勢揃い!
――考えていないルークよりもまだ何か考えているはずのクライの方が勉強できないという驚愕の事実が発覚したわけなんですが、クライは結局何ができるんでしょうか(笑)。
何かの特典で触れたのですが、クライが自慢できることは「字が綺麗」なことですね(笑)。
――でも彼、クランマスターとして書類仕事やってましたっけ……。
全然やってないので、活かされている場もほとんどないです(笑)。字は事実として本当に綺麗です。書く機会がないのであまり役には立っていません。あとは宝具の扱いはクライの強みですね。好きこその物の上手なれではないですけど、興味があるものは得意ですね。
――あらためてストグリ全員が揃ったことによって生まれる魅力を教えてください。
ストグリの幼なじみ5人はそれぞれシナジーのようなものがあって、たとえばシトリーは冷静だけど、リィズが絡むと喧嘩ばかりしているだとか、全員揃った事でそういった少し変わった面が見えてくるかと思います。たとえばルシアが登場することでクライをことあるごとに止めるシーンなどもあるかもしれません。各々のキャラクターの新たな一面を表現していこうと考えているので、ぜひご期待いただければと思います。テーマのひとつに友情というお話もしたと思うんですけど、全員が揃ったこれからが本番みたいなところがありますからね!
※メンバー間のシナジーからどんなトンデモ展開に発展していくのか楽しみだ
――本作のイラストを担当されているチーコ先生についてもお聞かせください。本作はキャラクターの数も多いですし、魔獣やら地底人やらをはじめとした非常に幅広いイラストに対応されていて、何でも描けるというイメージが強いです。
チーコ先生は本当に何でも描ける方なので、いつも次は何を描いていただけるんだろうと思いながら、テキストを書いています(笑)。毎回違うマッチョの登場、動物や魔獣、料理、地底人とクオリティが凄まじいです。特に第5巻に新たに登場する地底人は、自分の中にはまったくイメージがなかったんですが、チーコ先生が素晴らしいイラストに仕上げてくださいました。イラスト面についてはだいたい全部をお任せしてしまうので、その分ご苦労をおかけしているかもしれません。チーコ先生には全幅の信頼を置いているので、これからも多種多様な変なものを描いていただきたいです。よろしくお願いします(笑)。
――ここまでで印象的なイラストなどがあれば教えてください。
第3巻の酒場のシーンを描いたカラー口絵が一番印象的です。特にチーコ先生のイラストは、色使いがすごく自分の琴線に触れていて、そのシーンではいつもひどい目にあっている姿がイラスト化されてしまうティノも笑ってますし……まあ汗をかいた苦笑いなんですけど、新鮮さもありますよね。
※槻影先生が強く印象に残っているカラーイラスト
あとは……いつも表紙のイメージと物語の中身があんまり連動していないところも見どころだと思っています。チーコ先生のイラストはどれも必見です。
※ジャケットのイメージも独特な本作
――あらためて今後の目標や野望について教えてください。
できるだけ長く、飽きずに楽しんでいただけるものを書いていこうというのが目標です。とりあえず『嘆きの亡霊は引退したい』は10巻の刊行を目指します。ネタが尽きない限りは書き続けたいですね。長く書いていると、キャラクターが勝手に動き出して、思わぬ展開に繋がることもあるので、楽しみながら書いたものを楽しく読んでいただけたらなと思います。
――それでは最後にファンのみなさんに向けて一言お願いします。
第5巻からは幼なじみのストグリメンバーも登場し、かなりわちゃわちゃと楽しく物語が進んでいくと思います。勘違いモノとしての面白さと合わせて、より楽しんで読んでいただけるのではないでしょうか。全員が揃ったこの第5巻からが本番です(笑)。むしろ今までがプロローグなので。これからも楽しんで頂けるよう頑張りますので、お付き合いください。また、コミカライズ版についても、クライのボンクラっぷりもマシマシ、ティノの可哀想さもマシマシなので、原作とあわせて楽しんでいただけたらなと思います。漫画と小説は媒体の違いもあり、合わせて読むと別の面白さがあると思っていますので、是非双方とも楽しんでいただけたらなと思います。
――本日はありがとうございました。
<了>
さっさとハンターを引退したいのに一向に辞められる気配のないクライの活躍(?)を綴る槻影先生にお話をうかがいました。主人公の魔法の相槌「うんうん、そうだね」から広がっていくトラブルと勘違いの応酬が魅力の本作。第5巻では遂に《嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)》のメンバーも勢揃いし、更なるトラブルと笑いの予感しかしない『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~』は必読です!
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