独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!
※原作小説第15巻までのネタバレが多分に含まれますのでご注意ください。
※フリーペーパー「ラノベNEWSオフライン10月号」には本記事未掲載のインタビューも掲載されています。
【あらすじ】 ベルさんへ。今度の女神祭、デートしてください』「「「「こっ、恋文だぁぁぁ!!」」」」「ええええええええええええええっ!?」 街娘からの一通の手紙が波乱を呼ぶ! 挽歌祭とともに『二大祭』に数えられる『女神祭』で、ベルはなし崩し的にシルとの逢瀬に臨むことに。だが、何も起こらない筈もなく! 豊穣の女主人、剣姫、更には【フレイヤ・ファミリア】を巻き込んだ大騒動に発展してしまう!「全ては女神のために。――死ね、娘」 そして訪れる凶兆。一人の少女を巡り、都市にかつてない暗雲が立ち込める。これは少年が歩み、女神が記す、──【眷族の物語】── |
■シリーズ累計1,200万部を突破する『ダンまち』の現在
――2013年の刊行開始から約7年。漫画やアニメ、ゲームなど様々なメディア展開を続ける『ダンまち』シリーズ。本当に大きなコンテンツになりましたよね。
刊行当時と比べると作品を取り巻く状況は本当に大きく変わったと思います。それこそ第1巻発売時はがむしゃらに走って、がむしゃらに書いて、ただ前を見ていればよかったんです。アニメ第1期がスタートする第7巻くらいまでは、ずっとそういう姿勢で執筆をしていました。ただ、今は本当にいろんなことを考えながら書いています。漫画やアニメ、ゲームを含めた様々なメディアミックスを俯瞰して見ていると言えばいいんでしょうか。前だけを見るのではなくて、作品を上から見下ろしているイメージがすごくあります。小説の1冊ずつのことだけを考えていればよかった過去とは違い、今は作品全体のことを考えながら執筆……いや、創作活動をしていると言えばいいんでしょうか。あらゆる方面に広がっている『ダンまち』を俯瞰しながら、多角的に物事を進めているという印象が強くなっています。なんて、ちょっと格好をつけすぎですが(笑)。
――原作小説だけではなく、大森先生が関わらなければならないお仕事の量も幅も大きく広がったと思います。
そうですね。ここまで作品をファンのみなさんに盛り上げていただいた特権じゃないですけど、作品としてなかなか面白い立ち位置にいるんじゃないかなと思います。担当編集さんやスタッフさんとも漫画やアニメ、ゲームをどうやって展開していくのか、どの時期にどんなことを仕掛けるのか、関わりや考えることも増えて、作品に対する視野を広げなくちゃいけなくなったということはすごく実感しています。小説のベルたちだけを見下ろすのではなく、顔を上げて先に広がっている景色を見ながら日々を過ごしている感じですね。
――前だけを見ていた以前と、作品を俯瞰するようになってからの現在。執筆における変化はありましたか。
漁夫の利というわけではないですけど、漫画やアニメ、ゲームで展開された要素を取り入れるという選択肢は増えました。『ダンまち』の世界が自分の世界だけじゃなくなって、ダンまちファミリアの『ダンまち』に変化しているのかなと思います。その代償として執筆速度は落ちているかもしれませんが、一ヶ月前の自分より良い作品を作れているという手応えは常に感じています。そのぶん、やりたいことや取り入れたいものが増えて、少しばかり欲張りになったような気もします。これで生産速度が上げられていれば完璧なんですけど(笑)。
――具体的に他のコンテンツから取り入れた要素にはどんなものがありましたか。
かなりタイムリーなお話ですけど、ゲーム『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』の3周年イベント「アストレア・レコード」にはかなり関わらせていただきました。そのシナリオを執筆しているうちに、これは本編でも使いたいなとというネタが次から次へと。発売された第16巻はもちろん、次の第17巻にも強く影響していて、『ダンまち』読者の方にはすごく貴重な読書体験を提供できるんじゃないかなという自信に繋がっています。もちろん、ゲームをやっていない方でも楽しんで頂ける作りは心がけているので、そこは安心して頂けると。
――7年をかけて本編は第16巻まで刊行されることになりましたが、『ダンまち』の物語の到達度合としては、現在どのくらいの位置まできているのでしょうか。
この第16巻で『ダンまち』という物語の7割に届くか届かないかくらいには差し掛かっているんじゃないかなと思います。ストーリープロットはWEB投稿時代からあり、最終話もその当時に既に決まっていて。なので、現在もそこに向かってベルの物語は走り続けています。第16巻はまだ本編の第4部のつもりなんですが、こちらもWEB投稿時代の構想から存在していた「とてつもない大きな爆弾」のエピソードになっています。この爆弾を書き終えてしまえば、少しばかりは肩の荷が下りるんじゃないかなという思いもあります。
――WEB時代からのストーリープロットを『ダンまち』は踏襲しているとのことですが、コンテンツの広がりと共に様々な選択肢が増えている現状、物語が脇道に逸れたりすることはないですか。
WEB時代の結末に向けて動いているとは言いましたけど、プロット通りに書いている段階はもう終わっていて、たとえば商業誌になったからこそ異端児(ゼノス)編は生まれましたし、全体的に書きたいことは増えていますね。そういう意味でも第12巻は完全にイレギュラーなエピソードでした。強化種のモス・ヒュージが登場し、ベルが「いかにも」な必殺技を初めて放ったお話です。第12巻の構想は本当になくて、第13巻と第14巻に相当するリュー編のエピソードにそのまま突入する予定でした。ただ、異端児(ゼノス)編でのベルが自分の想像を超えて成長してくれて。ストーリーとしては前に一歩も進まないかもしれない。でもベルの成長を示すエピソードは、絶対に書かなくちゃいけないという使命感と、あとは期待感のようなものがありました。こういった考え方ができるようになったのは、自分自身の成長なのかもしれません。そのぶん、巻数が増えたりページ数が増えたり、あとがきで謝ることは増え続けていますけど(笑)。
――第14巻はGA文庫史上最長となる640ページでした(笑)。
あれは本当に無理やり出した感がすごかったですよね。最初は編集部にも分割してくれと怒られていたんですけど、分割してしまったら一方の巻にはベルがほとんど登場しないことになったと思います。それはちょっと嫌だなというのはありましたし、実際に中身を読んでいただいたら、「これはもう1冊で出すしかない」と言われました。それで640ページで無理やり出させていただいたという経緯がありましたね。ごめんなさい(笑)。
――やはりベル・クラネルの登場は、1冊を執筆する上でかなり重要視されているんですね。
読者さんが読みたいのはやっぱりベルの冒険だと思うんです。自分も何か作品を見たり読んだりする際は、主人公に登場していてほしい派で、ベルが登場しないとつまらなくなっちゃうんじゃないかなって弱気になってしまいますね。『ダンまち』には『ソード・オラトリア』という外伝もありますし、ベルにこだわらないのであれば外伝でもいいわけで。本編は主人公であるベルの物語と決めているので、そこはブレないように気を付けています。なので、『ソード・オラトリア』の方が『ダンまち』という物語の根底には迫っていると思いますし、『ダンまち』という世界からしてみれば、本編の方が実は外伝なんじゃないかって思いますね(笑)。本編の本質は、あくまでベルとベルの周囲の成長譚だと自分では思っています。
■大森藤ノ「ベル・クラネルは自分の手さえ離れているのかもしれない」
――ベル・クラネルがオラリオにやってきて約半年。彼は周囲も神様たちも驚くスピードで成長を続けていますが、現在のベルの姿は大森先生にとって予定通りに成長しているという感じなのでしょうか。
実際問題として、ベルの成長速度はちょっと早すぎるかなとは感じています。その片鱗は第12巻頃からあったんですけど、もはや何か言い訳をしなければベルの成長を止めることはできないと感じています。一方で成長を止める言い訳をしてしまうと、それは作家や作品の都合でその世界に生きるキャラクターを操ってしまうことになってしまうような気がして。なるようにしかならないとは思っていますけど、結構難しい問題で悩みの種ではありますね。
※ベル・クラネルがオラリオにやってきてから約半年が経過した(第15巻時点)
――ベル・クラネルがオラリオにやってきてからの期間。そして現在の『ダンまち』の物語の進行具合。これらを重ねると、『ダンまち』の本編はベル・クラネルの1年の物語なんじゃないかなって感じてしまいます。
実際その通りになるかは置いておくとして、想定ではおっしゃる通り、ベル・クラネルの1年のお話にしようと思っています。その理由のひとつには、ベルの年齢を作中で変化させたくないという思いがあります。ベルが14歳の時に、オラリオでどんなことが起こって何があったのか、そんなお話にしようと初期の頃から感覚的にですけど考えていました。一方で外伝やファミリア・クロニクルを執筆するにあたって、ベルのスケジュール調整にすごく苦労しています。『とあるシリーズ』の上条当麻さんの地獄のようなスケジュール感も、外伝をやればやるほどキャラクターのスケジュール管理が難しくなるという葛藤があって、鎌池和馬先生もこんな感じで苦労されているのかなって思ってしまいました(笑)。いずれにしても、ベルはいろんな場所でたくさん頑張って、様々な経験をするんだろうと思っています。
――そう考えると、残りは約半年なわけですよね。
そうですね。これは「あと半年しかない」と考えるのか、それとも「まだ半年残っている」と考えていいのか悩んでいます。全体の進行度を見ると猶予はまだまだあるのかもしれないですけど、きっちり1年にはならないと思うので、やっぱりそこまで時間があるわけでもないのかもしれません。筆の速度もギアを入れて頑張らないと(笑)。
――あらためて大森先生から見たベル・クラネルはどんなキャラクターなのか教えてください。
最近、自分の好きだった漫画がリブートされたりして一層感じるようになったのですが、いろんな主人公のハイブリットだと思うようになってきています。自分自身がベル・クラネルになりたいと思ったことは一度もありませんけど、自分にとっての憧れではあるんだと思います。格好いいと思うことや、決めたことを貫き通す強い意志、ベルには尊敬している要素がたくさん詰まってます。ベルは執筆において、本当に書き甲斐のあるキャラクターで、持っている弱さですら誰かを惹きつける要素になっているんじゃないかなって。自分はベルという主人公にとても助けられていますし、それにとても大好きです。
――特に書き甲斐を感じているのはどんなところなのでしょうか。
これまでたしか、一人称はベルでしか書いてなかったと思います。ベルの視点で寄り添って立つと、すごく当たり前のことを悩んでいるんです。当たり前のことを悩んでいるから、自分も想像しやすいし、共感も生みやすいんだと思っています。アイズへの憧憬にしても、言わば学校の高嶺の花に追いつきたい、並びたいということと同じなのかなって。いろんな騒動に巻き込まれて、いろんなことに悩みますが、目の前のことを不器用にひとつひとつ解決していく主人公なので、書き甲斐と書きやすさが同居しているように感じます。
――逆にベル・クラネルを描く上で悩むことはないのでしょうか。これまでも彼は様々な行動やいろんな選択をしてきましたよね。
ベルが葛藤の岐路に立った時、高確率で祖父が出てくるんですよね。場合によってはそれがヘスティアであったり、アイズだったりもしますけど。あるいはミノ〇〇〇ス(笑)。とにかく、ベルが大きな岐路や選択の前に立たされた時、これは作品の中でも明文化していますが、ベルは選択肢を選ぶのではなく、選択肢を掴み取ろうと決断しています。特に異端児(ゼノス)編以降、その傾向が強くなっていて、ひとつの成長の証なのかなとも。ベルはまったく見えないところから第三の選択肢を掴みにいったり、天秤を壊したりしてくれるので、執筆する上で悩むことはほぼありません。ベルは悩んではいるけど、やらなきゃいけないことや貫かなきゃいけないものをきちんとわかっているので。これはアニメ第2期や原作第7巻でも描いた春姫編でもそうだったと思います。様々なしがらみがあって、本来なら選べない選択肢もあると思うんですけど、それを承知で貫いてくれる気持ちのいい悩み方をしてくれているのかなって。それは祖父の影響でもあり、ヘスティアの影響でもあるんですけど、ベルがそういう選択を自分からできるようになったのは、異端児(ゼノス)編で親離れ……もとい神様に庇護されるだけの存在ではなくなったことの証左だとも思っています。なんだったら、もうベルは自分の手さえ離れているのかもしれないですね。
※様々な選択肢を掴み取ろうと決断してきたからこそ彼の成長は著しい
■異端児(ゼノス)編は大森藤ノとベル・クラネルに大きな成長をもたらした
――第12巻でベル・クラネルはLv.4にランクアップしました。ランクアップそのものだけでなく、彼の顔つきや雰囲気の変化に対する描写も多く非常に印象的でした。
ランクアップについては、第4巻のLv.2へのランクアップをよく思い出します。第4巻ではかなりページを割いて触れていました。それに対して第12巻のLv.4へのランクアップは、最低限のことしか書いていないつもりです。神会なんかは遊びましたが、この巻におけるベルへの言及は、大森藤ノが感じたことを多くのキャラクターが代弁してくれた結果だと思っています。ここに至るまでのベルの成長には、自分自身さえうろたえてしまうくらいに大きな驚きがあって。だからこそ、キャラクター達も口にして言わざるを得なかった。それだけ、異端児(ゼノス)編がベルにもたらしたものは大きかったんです。それこそ当時、異端児(ゼノス)編は本当に苦労して執筆したエピソードで、自分が作家としてレベルアップした以上に、ベルが肉体的にも精神的にもレベルアップしたと思うんです。それが第12巻の様々なキャラクター達の評価に繋がっているんじゃないかなと。個人的には少し格好いいベルになり過ぎちゃっているなと思いつつ、第16巻ではわちゃわちゃとしたベルが帰ってくるので、そのあたりも楽しみにしていただけたらと思います。
※ウィーネたち異端児(ゼノス)との出会いがベル・クラネルにもたらしたものはとても大きかった
――ベル・クラネルはLv.4になって、今まで以上に見据えるべきものがはっきりと明確化されたのかなと感じました。
それも大きかったと思います。異端児(ゼノス)編までのベルは、リリや春姫編は少し趣が違いますけど、アイズに追いつくという目標に向かって、自分のためにしか戦っていなかったんです。それがウィーネという異端児(ゼノス)の象徴と出会ったことで、本当に大きな目標ができました。ベルには政治的なお話は難しいんですけど、そういったものを抜きに、また新しい目標へ向けて走り出したのかなって。第11巻のエピローグの章タイトルは「だから僕はまた、走り出す」。これは第1巻第2章のタイトルを改良していて、すぐさまその章タイトルが思い浮かぶくらい、ベルがこれまで以上に強く走り出したことを意識した瞬間でした。作者としては異端児(ゼノス)編はかなりリスキーではあったんですけど、ベルにとって、そして自分や『ダンまち』という世界において、大きな衝撃と意味を与えてくれたと思っています。
■ベル・クラネルという台風に巻き込まれたキャラクターたち
――ここまでベル・クラネルについてお聞きしたのですが、ヘスティア・ファミリアの面々についても、成長の在り方や、大森先生から見えているそれぞれのキャラクター像を教えていただきたいです。まずはリリルカ・アーデからお願いします。
リリはベルの影響を強く受けた一人だなと思っていて、『ソード・オラトリア』の第10巻でも書いたんですが、「ベル・クラネルという台風に巻き込まれた被害者」なのかなと。言い方は少し悪いですが(笑)。ベルのパーティに一番早く加わって、きっと一番ベルの影響を受けているのも彼女です。本編はベルの成長譚というお話をしましたけど、同時に裏主人公が沢山いて、リリもその一人だと思っています。ベルの件と重複しますが、リリがここまで成長するとは自分自身思っていませんでした。精神面でも大きく成長しましたし、第15巻のクエストリザルトで彼女はLv.2にランクアップしています。自分はリリをLv.1のまま、才能のない代表として描き切るつもりだったんですけど、さすがにランクアップせざるを得ませんでした。
※才能のない代表のリリもランクアップせざるを得ないほど過酷な冒険を成し遂げた
――第15巻のあとがきでも、リリのランクアップに悩んだことを語られていましたよね。
そうなんです。本当にすごく悩んだんですよ。編集長からもランクアップしなくちゃと言われてはいて、別にその圧力に屈したわけではないんですけど、第12巻から第14巻までを描いて、これでランクアップしなきゃ、もう他の誰もランクアップできないと思ってしまうくらい、リリの頑張りは凝縮されていました。序盤でリリをいじめていた冒険者達を、今のリリは素手で倒せるようになったんです。その絵面、衝撃的ですごくないですか?(笑)。そういう意味でも、リリもまた自分の手から離れた感はありましたね。
――リリの成長は本当に想定外だったんですね。
地べたを這いつくばっていた女の子が、本当に頑張ったんだと思います。それと個人的に想定外、かつ嬉しかったのが、ダフネと結びついたことでした。名実共に成長したベルをみて、このままじゃいけないと思ったリリはパーティの指揮官という目標を見据えました。指揮官としてフィンの後姿を追うリリの姿は、自分でもかなり腑には落ちていて、遅かれ早かれ目標にするだろうとは思っていたんです。それがダフネとの出会いで早まった。ダフネがいなければ、こんなに早く指揮官という目標に対してリリが明確にアプローチすることはなかっただろうなと今でも思います。思わぬキャラクターとの化学反応は、作家としてもすごく嬉しいですね。
※ダフネ……(元アポロン・ファミリアで現在はミアハ・ファミリアのメンバー)
――続いて、ベル・クラネルの兄貴分でもあるヴェルフについて教えてください。
第14巻の活躍を含め、ヴェルフはやりたかったことをすべてぶつけた感覚があります。ダンジョンの中で鍛冶をするというアレです。鍛冶師をどう表現して、どうすごく見せるのかは本当に苦労したところでもあって、見えない能力値や技術を表現する難しさがありました。だからこそあの極限状態は、ヴェルフの内面や成長のすべてをさらけ出せると思ったんです。その結果として、クロッゾの魔剣ではなく、ヴェルフの魔剣を生み出せるはずだと。キャラクターの中では一番やりたいことをぶつけて、ここまでやってきてくれたという印象が強いですね。
※第14巻には大森先生のヴェルフへの想いが凝縮されている
――タケミカヅチ・ファミリアから改宗(コンバージョン)した命は、リリやヴェルフとはまた違った関係値の築き方でヘスティア・ファミリアに合流しています。
命は春姫編と繋がる役割を持ったキャラクターだったんですが、想像以上にヘスティア・ファミリアに馴染んだという印象があります。タケミカヅチ・ファミリアへの未練をもっと引きずるのかなと思ったんですけど、そんなことはありませんでした。それは春姫のヘスティア・ファミリアへの加入も大きかったと思います。また、第15巻でオールラウンダーと称しましたが、それくらい彼女は便利なキャラクターでもあって、本当に何でもできてしまう。今あらためて思うことは、もし命がタケミカヅチに恋していなかったら、ヒロインレースはとんでもないことになっていたんじゃないかということ(笑)。戦闘以外、誰もこのヒロインには勝てないんじゃないかっていう万能感と安定感は命の大きな魅力になっています。
※パーフェクトヒロインと言っても過言ではないヤマト・命
春姫はリリと並んですごく頑張っている女の子ですね。最初は助けられるだけだった女の子が、ウィーネと出会い、触発されてどんどん成長しました。特に春姫は作品の都合として登場させた面も少なくなかったんです。なぜかというと、「アストレア・レコード」を読んでいただいた方はなんとなく感じたと思うのですが、敵があまりにも強すぎて、作中の設定じゃ絶対に追いつけないし、黒竜も倒せないんじゃないかという(笑)。いくら少年漫画風のノリと勢いが強い『ダンまち』でも、このままではさすがに無理だろうということで登場させたキャラクターでもあったんです。ですけど春姫も第14巻を経て、リリと同様に実質Lv.2の位置にいるわけで。春姫然り、リリ然り、ヒロインとしてではなく、ひとりの女性として強くなっています。それこそベルに助けられてばかりじゃないぞっていう姿が、個人的にはかなり嬉しいです。
――特に助けられる前と助けられた後の春姫は、表情ひとつ取ってみてもすごく変化したなと思います。
春姫はヒーローに助けてもらうお姫様ヒロイン……というわけではないんですけど、『ダンまち』で初めてライトノベルらしいヒロインを書けたという手応えがあったんです。一方で、助けられた後の物語はもちろん続いていて、これから彼女がどんな表情をしていくんだろうという思いも強かったんです。歓楽街の過酷な環境の中で追い詰められていた頃と比べて、今の春姫は本当の顔を覗かせてくれているし、これからももっといろんな顔を見せてくれるんじゃないかなと。
※ヘスティア・ファミリアに合流してから春姫は本来の顔を覗かせるようになっていく
――ヤスダスズヒト先生が描く春姫の表情、ゲームで覗かせるコミカルな表情、やや天然な側面も相まって非常に微笑ましいキャラクターだと実感しています。
春姫はアイズとは違う方向性の天然でもあって。世間知らずで歓楽街の娼婦たちの影響で知識ばっかりついちゃって、ときたま天然の猥談で周囲をかき乱してしまうみたいな。これはゲームの話にもなりますけど、春姫の表情は漫画みたいにデフォルメにしちゃってもいいですよとか、顔芸じゃないですけど、実装の段階から幅を本当に広く持たせてあげています。振り回すこともできるし、振り回されることもできる貴重なヒロインなので、愛着はありますね。
――あらためてお話をうかがっていると、ベル・クラネルが周囲にもたらしている影響は非常に大きなものがありますね。
正直、うろたえちゃいますね(笑)。ストーリーラインのプロットから起こる事実は常に把握しているんですけど、実際にキャラクターがどう躍動するかは執筆のライブ感やどうしても書いてみないとわからないことが多くなってきていて、個人的にも未知の領域に突入していると思ってます。作家として、キャラクターを自分の操り人形にしないよう心がけているんですけど、そんな意識とは別にキャラクター達が生きている感じがします。それが書き手である自分にも伝わってくるのはすごいことだと思うし、本当にいい経験をさせてもらっていると思います。
■第14巻は物語としても、ヒロインレースとしてもターニングポイントだった?
――ベル・クラネルの成長、そしてヘスティア・ファミリア全体の底上げも含め、第14巻は大きなターニングポイントだったと思うのですがいかがでしょうか。
そうですね。第14巻を執筆する前は、ターニングポイントになるとはまったく考えていませんでした。それこそ、リュー編というひとつのエピソードという認識でしたね。リューを過去から解き放つつもりで書いていたんですけど、蓋を開けたら地獄が待っていたという(笑)。『ダンまち』において自分自身のやりたいことは確実に増えていて、第14巻で言えばヴェルフ、カサンドラ、ダフネ、あとは合流した異端児(ゼノス)たち。それぞれのキャラクターの人生を描き切りたいという欲が出てきてしまって。そして第1巻から登場していたリューをどうやって解放するのかを考えに考えたエピソードだったんですが、結局攻略しきれませんでしたね(笑)。
そしてもうひとつ、第14巻は深層を描くことによってダンジョンの恐ろしさを読者のみなさんにも再認識してほしかったという側面もありました。ベルたちのダンジョン攻略は第5巻で一度途切れていて、第12巻から再開しています。『ソード・オラトリア』ではアイズたちがどんどんダンジョンを攻略しているので、「ダンジョンって大して怖くないよね」という感覚が読者のみなさんの中にも少なからずあったと思うんです。
――確かにダンジョン攻略が物語において二の次、とまでは言いませんが、読者の目がダンジョンそのものから離れていたという点はあるかもしれません。
ダンジョンがどれくらい不気味で、どれだけ怖いか。あらためて読者のみなさんに突き付けなくちゃいけないという思いがありました。結局、やりたいことをやった結果、『ダンまち』という物語においてターニングポイントのような位置付けのエピソードになってしまいました。そのおかげでリューはこれまで以上に魅力的になったのかなって感じますし、いただく感想でもリューの人気がすごすぎて、他のヒロインは勝てるのだろうかとさえ思ってしまいます(笑)。『ダンまち』のエンディングは一切明言していませんけど、ヒロインレースの観点からも第14巻はターニングポイントになったのかなって思いますね。
――ヒロインレースの観点では、第11巻のラストにはエイナもベルへの気持ちをはっきりと自覚しましたよね。いちエイナファンとして、あれはターニングポイントではなかったのですか!?
エイナの不幸は、自分の気持ちに気付いたと同時にベルが遠征に行ってしまうという(笑)。もし一緒に冒険する立場であったなら仲が深まっただろうに……と、書いていて可哀相だなって思いましたね。もちろん今後エイナも大切に描くつもりですが。あ、でも第16巻でも泣く泣くエイナのシーンをカットしてしまったところもあって、そのカット分は特典短編に書きましたので、全国のエイナファンはぜひ見てあげてください(笑)。
――全国のエイナファンは特典ゲットしましょうね。大森先生の目から見て、現時点におけるヒロインの人気は誰に集まっていると感じていますか。
やっぱりエイナ推しは多いですし、リューも多いです。全体の傾向としてエルフ勢の反響が大きいのかなと思います。ポジション的な観点からお話をするなら、エイナのポジションはズルいと思うし、一方でリリのポジションも関係性がなかなか発展しづらいけれど相当に強い。あざとさの面で言ったら春姫もおいしいポジションだと思うので、一進一退ということにしておいてください(笑)。
――そして第14巻で結局リューを落とせなかったというお話ではあったのですが、そろそろ多くのファンも聴きたいと思うんです。ぶっちゃけ、リューはいつベルたちに合流するのでしょうか!?
これに関しては第10巻でミアに言わせた台詞がすべてです。リュー自身も第14巻で彼女の中で答えを出しました。立ち止まっているリューがずっと続いていましたけど、間違いなくベルがそれを壊してくれた。7年前の「アストレア・レコード」でもリューが出せなかった答えは、絶対の正しい答えじゃないかもしれないけど、その答えをもう得ているので、彼女は大丈夫だと思います。あとは、本当にリアル事情の大森藤ノの生産力に寄っちゃうかもしれませんが、やきもきする時間はあんまりないんじゃないかなと。こう言った挙句、自分の首を絞めることになるかもしれないですが、期待して待っていていただければと思います。
■作者も恐れる、女神フレイヤの存在
――ベルやリリが大森先生の手を離れているというお話もありましたが、それ以外にも手を離れている、あるいは勝手に動いているというキャラクターはいるのでしょうか。
手を離れたという意味で印象的なキャラクターはフィンですね。『ソード・オラトリア』第10巻がなければ、フィンの内面描写をする機会はきっとなかったと思います。それこそ勇者(ブレイバー)としての機能に特化した人間味の薄いキャラクターのままだったかもしれません。フィンが内面を吐露したおかげで、一層の深みが出ましたし、自分の手を離れて独り立ちしてくれたと感じました。もとが優秀なキャラクターでもあっただけに、感慨は大きかったですね。あとはカサンドラもそうですね。自分で書きながら、カサンドラってこういう子なんだと理解していく部分もあって、彼女は今後もフォーカスするたびに、自分を困らせてくれるんじゃないかなって気がします(笑)。
※カサンドラ(左)……(元アポロン・ファミリアで現在はミアハ・ファミリアのメンバー)
――本作に登場する「神様」は大森先生にとってどんな位置付けなのでしょうか。
『ダンまち』の神様っていうキャラクターは、自分の中で完成されている存在という位置づけなんですよね。神様はストーリーテラーの要素があって、成長や変化どうこうよりも、場をかき回す狂言回しのようなところがあります。そういう意味では神様の中でもヘスティアはすごく活き活きしているのかなって思います。
――なるほど。位置づけを問わず、大森先生の中で未だ底の見えていないキャラクターっているんでしょうか。
フレイヤですよね。
――即答でしたね(笑)。
シルは自分の中で底が見えたんですけど、フレイヤがまったく見えないです(笑)。
※キャラクターとしての底が見えないというフレイヤ
――キャラクターとして完成されており、ストーリーテラーとしての位置付けである神様という存在でありながら、フレイヤだけは立ち位置が異なるということなんでしょうか。
神様は原則として、自分が脚本を書く必要がないと思っているんです。でも、そろそろフレイヤは表舞台というか、物語に対して本格的に合流しなくちゃいけない時期が迫ってきていて……もう全然読めない。底が見えていなかったり、未だ形になっていないキャラクターって、実は結構たくさんいるんです。ヘラという女神だってその一人。でもその底の見えなさ具合に、これは恐怖や畏怖だと思うんですけど、自分自身が一番怖がっているのはやっぱりフレイヤなんですよ。フェルズやウラノスもそこまで怖くないですし、『ソード・オラトリア』第12巻を書くまではエニュオも怖かったけど、今となっては過去形です。怖いのはフレイヤを筆頭に、あとは黒竜とダンジョンでしょうか。『ダンまち』におけるラスボス御三家と言っても過言ではないですから。
■『ダンメモ』のエピソードに登場したベル・クラネル出生の物語
――そして今回、『ダンまち』を振り返っていただくにあたって『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』のお話もしなくちゃいけないと思っていました。ここまでも何度か触れていただいている、本編7年前の暗黒期を描いた「アストレア・レコード」は壮絶な物語でした。こちらのエピソードは大森先生が直接執筆されたのですか。
はい。執筆にはほぼほぼ携わらせていただきました。というのも、本編の過去話でもあるので、監修だけでライターさんにお任せするのはさすがに不義理というか、無茶振りも大概でしたので、介入せざるを得なかったというのもありました。『ダンまち』エピソード0なのかエピソード1なのかわからないですが、それぐらいの感覚で挑ませていただきました。
※全三部で2020年6月から9月にかけて『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』で展開された
――原作小説第14巻では「アストレア・レコード」の続きの物語でもある「アストレア・ファミリア」も描かれていましたが、執筆はどちらが先だったのでしょうか。
暗黒期に何が起きたのかという「アストレア・レコード」の設定自体は以前からありましたけど、物語としては第14巻を先に手掛けました。むしろ第14巻でアリーゼや輝夜、ライラたちアストレア・ファミリアを描いたからこそ、満を持して「アストレア・レコード」を世に送りだすことができたと思っています。ゲームにおいて原作の読者さんに認めてもらえるオリジナルキャラクターを登場させることの難しさは常々感じていて、本編や外伝でアリーゼたちをしっかりと描かないまま「アストレア・レコード」を世に出すのは非常にリスキーだと思っていたんです。漫画の書き下ろし短編で登場こそしていましたけど、第14巻の刊行が、自分の中にあった躊躇を断ち切ってくれたというのもありますし、今なら読者さんにも「アストレア・レコード」を楽しんでもらえるんじゃないかって考えたんですよ。
※アリーゼ…(アストレア・ファミリア団長)
※輝夜…(アストレア・ファミリア副団長)
※ライラ…(アストレア・ファミリア所属)
――「アストレア・レコード」をプレイしてから、第14巻を読みなおすとアストレア・ファミリアのメンバーが口にする言葉や想いなど、受ける印象は少し変化しそうですね。
確かに印象が変わる部分はあるかもしれません。仮に「アストレア・レコード」を書いた後に第14巻を執筆したなら、自分自身何かが少し変わっていたかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。矛盾がないように書いてはいますが、第14巻をもう一度読み返すことで様々な発見があるんじゃないかなと思います。
――そして、私自身も大きな驚きを持って目にすることになったのですが、ベル・クラネルの出生について、ゲーム側で触れられることになるとは思っていませんでした。
ベルの出生については、ダンメモが初公開になりましたね。設定自体はもとからあったんですけど、アルフィアというヘラ・ファミリアのキャラクターは初期構想にはいませんでした。またこんなことを言ったら怒られるのかもしれないですけど、あのエピソードについては自分自身、たいしたことを書いている意識が全然なかったんです。
――エレボス、アルフィア、ザルドの3人の物語の中で綴られたベルの父親は、醜聞の強いゼウス・ファミリアのサポーターであり、母親はヘラ・ファミリアのアルフィアの妹だということが明らかとなりました。
そうですね。個人的にはこれくらい全然問題ないだろうって思っていたんですけど、こういうエピソードを書きますって編集部とWFSのスタッフさんにお送りしたら、まず編集部から怒られました(笑)。WFSさんからも「本当にこっちで書いていいんですか?」って入念に確認されて、「なんでこの人達はこんなにもドタバタしているんだろう」って思っていたんですけど、結局自分の方がおかしかったという(笑)。もう本当におまけくらいのつもりだったんですけど、みなさんが大慌てしているから「え?」と思って。これはなんというか、終わった今だからこそ笑い話ですけど、大混乱を招いてしまって申し訳なかったです……。
※エレボス…(原初の幽冥を司る地下世界の神にして『絶対悪』)
※アルフィア…(静寂を愛するLv.7の魔導士。ヘラ・ファミリア所属。エレボスと共にオラリオへと侵攻した)
※ザルド…(『悪食』を極めたLv.7の武人。ゼウス・ファミリア所属。エレボスと共にオラリオへと侵攻した)
■異端児(ゼノス)編を描くアニメ第3期、シルに迫る第16巻
――アニメ第3期となる『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII』の放送もスタートしました。注目のポイントをあらためて教えてください。
異端児(ゼノス)という存在と、ベルたちがどう向き合っていくのか。そして悩みや葛藤を含めたベルの心の動き。そういうところを注目していただきたいです。アニメ第1期や第2期では欠片も登場していなかった異端児(ゼノス)という存在が、何を巻き起こすのか見ていただけたらと思います。キーワードは牛で!(笑)。
――発売された第16巻の見どころについても教えてください。
ハードルを上げるつもりはないんですけど、『ダンまち』史上最高に頑張って作ったラブコメが待っています!そして全国のシルファンのみなさま、お待たせいたしました。むしろ第1巻からずっとお待たせしてしまいました。ようやくシルのエピソードのお披露目です。シルの秘密にも迫ったお話にもなっていて、ラブコメでわちゃわちゃしつつ、シルってどういう人物なんだろうという観点からもドキドキワクワク、あとはハラハラするのではないかと。読者のみなさんも、シルの腹の内というか、ベルのことをどれくらい好いているんだろうとか、何か狙いがあるんじゃないかとか、掴みどころのないキャラクターだったと思うんですけど、個人的には丸裸にしたと思っています。あとは、新刊を書くたびに意識していることですが、これまでしたことのないことをやろうという自分自身の冒険も詰まった巻になっているので、楽しんでいただけたらと思います。
――私自身もシルはどういう視点で見たらいいキャラクターなのか、困惑し続けた部分もありました。読者はついにシルというキャラクターを知ることになるんですね。
全貌とまでの責任は取れないですけど、少なくともいろんなものが氷解するんじゃないかなとは思っています。丸裸にしたと言いましたが、その結果シルを好きだった人が嫌いになってしまうのか、あるいはもっと好きになってしまうのか、自分自身まったくわかりません。自分がやりたかったことと、シルの想いをぶつけた巻なので、脅すようなことを言っちゃいましたけど、あまり構えず読んでいただけるのが嬉しいですね(笑)。
――もうひとつ、『ダンまち』という巨大なシリーズを抱えられていますが、ご自身として新作を書きたい欲求はありますか。
勿論あります! 新作も書きたいですね。日々の生活や仕事をこなす中で、「こんなことをやってみたい」「こんなことを書いてみたい」と思うことは本当に多々あります。でもそれを『ダンまち』でやろうとすると、きっと違和感が生まれてしまうと思うんです。なので、新しくやりたいことは新作でやるべきだと思っていますし、次回作の構想も既にあります。編集部には「いつでも新作走れます!」ってお伝えしているんですけど、「『ダンまち』をコンスタントに出せるのであればやってもいいよ」って。「あ、無理です」みたいな(笑)。なので、『ダンまち』でやれないことを無理やり『ダンまち』の中でやるつもりは一切ありません。『ダンまち』でやれないことは新作のラノベで!
――それでは『ダンまち』ファンのみなさんへ向けて一言お願いします。
第1巻の発売から7年を迎え、コンテンツがすごく横に広がったと感じています。ファンのみなさんもコンテンツが広がったことで選択肢が増えていると思うんですけど、個人的には本編、ベルの成長譚を軸にしていることは間違いないので、本編を楽しんでいただいて、それで『ダンまち』の世界を好きになっていただけたなら、『ソード・オラトリア』や『クロニクル・シリーズ』、『ダンメモ』にも手を出してもらえたらとても嬉しく思います。今後も本編を起点にしながら進んでいけたらと思っているので、楽しみにしてもらえると幸いです。
――最後にとっておきの情報をひとつください!
そうですね。ひょっとしたらヘラ・ファミリアや女神ヘラはベルの物語である本編には出てこないかもしれません。それでもヘラの活躍にはご期待をいただければ、とだけ。ぼやかした言い方ではありますが、引き続き『ダンまち』にご期待ください! あと16巻はとてもエッチです! 多分!
――本日はありがとうございました。
<了>
『ダンまち』のここまでの7年をキャラクターと共に、振り返っていただきながら大森藤ノ先生にお話をうかがいました。コンテンツの幅の広がりと共に、『ダンまち』という世界も広がっており、その世界で生きるキャラクター達も成長を続けています。本編におけるベル・クラネルは、これからもいろんな出来事に巻き込まれたり、巻き起こしたりするのだと思います。アニメ第3期がスタートした今だからこそ、あらためて『ダンまち』の原作小説を読んでもらいたいです。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』は必読です!
©WFS
©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3 製作委員会
©大森藤ノ/ SB Creative Corp. イラスト:ヤスダスズヒト
[関連サイト]
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』原作特設ページ