独占インタビュー「ラノベの素」 天城ケイ先生『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2021年4月15日にGA文庫より『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』が発売された天城ケイ先生です。GA15周年プロジェクトの大型新作としてタイトルを連ねている作品でもあり、天城ケイ先生の最新シリーズとなっています。少女二人が”楽園”を目指す物語にはアクションシーンも満載。新作執筆にあたっての気持ちや、幻想的かつ壮大な世界観についてなど、様々にお聞きしました。

 

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)

 

 

【あらすじ】

ほとんどの陸地が水に沈んでしまった蒼の世界。海上にたたずむ巨大人工島《駅》で暮らしていたイスカは、一人の少女と出会う――。「わたしを《楽園》まで連れていってくれませんか?」 まるで人形と見まがう少女、アメリは自らを「魔女」だと名乗った……。かつては高度な文明を築き、人類を繁栄に導いた魔女。だが、魔女は姿を消し、頂点を極めた文明は滅び、その遺産だけが残された。そしてイスカ自身、魔女がこの世界に遺した吸血人形だったのだ。消えたはずの魔女と、魔女が遺した人形。二人は旅立つ。この世界のどこかにあるという魔女が住む《楽園》を目指して。

 

 

――それでは自己紹介をお願いします。

 

はじめまして、天城ケイと申します。以前に『アサシンズプライド』という作品で小説新人賞をいただき、ライトノベル作家として活動させてもらっています。そちらのシリーズが佳境を迎え、新たに次回作の企画を立てていたところ、GA文庫さんとの良いご縁があって、今回新作の『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』を出させていただけることになりました。よろしくお願いします。

 

 

――あらためて天城先生の新シリーズとして動き出した本作ですが、『アサシンズプライド』に次ぐ2作目にあたる作品かと思います。執筆にあたって考えたことを教えてください。

 

はい。まず、「女の子が主人公の作品にしよう」というのが、初めにありました。何年か前までは……それこそ私が新人賞をいただいた頃は、「男性向けライトノベルにおいては、女性主人公は難しいので避けた方が無難」と言われていました。これは漫画やアニメとの媒体の違いを踏まえるとすごく納得のいくセオリーなんですけど、一方で私個人としては、「そんなに避けるべきことかな?」という考えがずっとあったんです。仮に主人公との性別が違っても、人間として共感ができれば、そのキャラクターと自分を重ねることはできるんじゃないかなあ……という。拙作の話になるんですが、『アサシンズプライド』もシリーズの後半になるとヒロインがもう一人の主人公として立ち回ることが増えてきて、その上で、その展開が概ね好意的に受け入れてもらえているように思えたので、これはいけるんじゃなかろうかと……。今回こうして、女の子がメイン主人公の物語にトライさせていただけることになりました。

 

 

――それでは『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』はどんな物語なのか教えてください。

 

世の中から爪弾きにされる二人の女の子が、自分たちが一緒に生きられる場所を求めて旅をする物語です。私は作品を作る時に、よく音楽(歌)を聞いてインスピレーションを求めたりするんですが、この『蒼と壊羽の楽園少女』にも、強く影響を受けた一曲があります。女性ボーカルによるデュエットなんですけど……「完璧とは程遠いとある二人が出会い、お互いの欠けている部分を補い合う。きっと私の半分はあなただったんだ」といった内容の歌詞が、すごく印象的なんです。私がこの歌を聞いて感じたことが、本作の主人公であるイスカとアメリの関係にも落とし込まれています。タイトルの『羽』という言葉もその一環で名付けました。

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_口絵02

※二人の少女が目指すのは魔女の棲む”楽園”

 

 

――本作も前作に続きアクションシーンが豊富で、見どころのひとつになっていると思います。アクションを積極的に取り入れていくことは最初から考えていたのでしょうか。

 

私は次回作を考えるという試み自体が未知数のことだったのですが、やはり前作から得ている経験はとても大きなものでした。今作では新しくチャレンジしてみた要素もありますし、前作から積み重ねた要素もあります。アクション要素を前作から引き続き盛り込んでいくことは、企画の初期段階から意識していたように思います。

 

 

――『蒼と壊羽の楽園少女』は世界観も印象的だと感じました。どうしてこのような世界観になったのでしょうか。

 

世界観を考える際に、「今回は青い空が見える世界にしよう」と決めていました。私は何かしら世界設定を極端に捻るのが好みなんです。たとえば前作であれば、「太陽のない、ずっと夜が続く世界」といった感じですね。しかしそうなると原稿での言葉選びにも気をつける必要がありますし、当然、その作中では使えないシチュエーションとかも出てきます。たとえば「日の出を見る~」とか、「夕暮れに染まる街で~」とか。なので今回は前作とは好対照の、思いっきり青い空が映える世界にしようと思いました。その上で、またしても世界観を極端にする形で、今作の「大地のない、蒼一面の世界」ができあがりました。毎度毎度、アイデアを思いつくまでは良いものの、その突飛な世界を設定的に成り立たせるのが大変なんですけど……。

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_口絵03

※水に沈んだ世界では人工島や飛空艇が飛び交い、王殻竜の背には都市国家も築かれている

 

 

――本作の中心人物であるイスカとアメリについて教えてください。

 

私はキャラクター個々人を尖らせる以上に、キャラクターとキャラクターの関係性を凝るのが好きなんです。今回も主人公の二人を生み出すにおいて、「作品の中心に立つ看板キャラクター」というより、「この物語で、この世界設定で、どんなキャラクター《たち》がいたら際立つだろう?」というところを意識して考えました。イスカとアメリを結ぶ関係性については、二人の出会いのシーンに象徴として添えてあります。この関係性が何を意味して、どんな展開に繋がって、どのような結論に辿り着くのかは……ぜひぜひ、実際に本を読んで見届けていただけたらなと思っています。

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_挿絵02

※イスカのアクションシーンは本作の大きな見どころのひとつ

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_挿絵03

※アメリの抱える秘密が、二人の運命を大きく変えていく

 

 

――本作のタイトルにもなっている魔女の遺物「アンティーク」とはなんでしょうか。

 

機械人形に「アンティーク」という呼び名を付けたのは、個人的にお気に入りです。このアンティークというネーミングには「かつて栄華を誇ったもの」という意味合いが含まれているんですが、これは当の機械人形であるイスカはもとより、現在では滅びたとされている魔女のアメリのことであるとも、暗に示しています。つまり作品タイトルにある『羽』も、『楽園少女(アンティーク)』も、イスカとアメリ両方のことを表しているんです。

 

 

――本作のイラストは白井鋭利先生が担当されています。率直な感想やお気に入りのイラストなどがあれば教えてください。

 

イラストを拝見した時に「まぶしい~っ」という感想を抱いたのが印象に残っています。たとえば一枚目のカラー口絵なんですけど……まるで本当に陽の光が射しているように思えて、この光景から何かが始まるんじゃないか、みたいな予感がして……作者なのに思わずワクワクしてしまいました。もちろんカバーイラストも好きです。空を見るキャラクターの目線、キャラクター同士の距離感、《蒼》の世界観、そしてストーリー性といった作品のすべてが詰まっていると思います。王殻竜を描いた口絵も壮大さに圧倒されますし、三枚目の口絵はあまりのスタイリッシュさに痺れてしまいます。文中の挿絵も一枚一枚見入ってしまいますし……あっ、全部ですね! 全部のイラストがお気に入りです。

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_口絵01

※イスカとアメリの二人が”楽園”を目指す旅がここから始まる!

 

キャラクターで言えば主役の二人はもちろんなんですけど、サブキャラクターにリズという子がいましてですね……。本来は一巻のエピソードだけのチョイ役のつもりだったんですが、白井先生から頂いたデザイン画がとても可愛かったので……これはチョイ役ではもったいない! ということで、今後も何かしら出番をあげようと企んでいるところです。

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)_挿絵01

※中立地帯を根城にしているリズも二人の旅に巻き込まれて……!?

 

 

――著者として本作はどんな方が読むとより面白いと感じられると思いますか。

 

この作品に限らず私が心がけているのは、本を読む方に、主人公の目線と重なってワクワクドキドキしてもらうことです。なので変な言い方になるかもなんですが、「読書が好きな方へ」というか……。もちろん、私の前作の『アサシンズプライド』を読んでくださっている方にも、きっと気に入っていただけると思います。

 

 

――ご自身の中で本作に期待していることを教えてください。

 

女の子が主人公の物語は私がずっと挑戦したかったテーマなので、この作品が私にどんな経験をもたらしてくれるのか楽しみでもあります。同時に、はたして読者さんに受け入れてもらえるだろうかという……期待感と不安で半々な感じです。

 

 

――最後に新作刊行にあたり、前作を含めてご自身のファンに向けてメッセージをお願いします。

 

いつもであれば「どうぞお楽しみください」といった風に締めくくるところなんですが……今回はせっかくの場なので、いつもとは違ったことを言おうと思います。私はまだデビューしてから経験の浅い未熟者ではありますが、それでも読者のみなさまの存在がどれほどありがたいかを身に染みて知っています。たくさんの方が私の物語を「面白い」と褒めてくださったこと。続刊を手に取り、時に言葉にして声援を送ってくださったこと。そうして背中を押していただけなければ、私はこうして華々しくインタビューを受けてなどいられなかったでしょう。ですので、あらためて読者のみなさまにお願いがあります。もし今作の『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』を気に入っていただけましたら、周囲のお友達や、ネットでの仲間に教えてあげていただけると嬉しいです。「よさげな本を見つけたよ」と。そうして応援してくださる方がいる限り、私はその期待に応え続けることができます。まあ、要するに、分かりやすく言うと……。「応援よろしくお願いします!!」というやつです。普段こうした自己主張の機会をいただくことも中々ないので、色々とお話しできて楽しかったです。ありがとうございました。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

二人の少女が”楽園”を目指して臨む壮大かつ幻想的なファンタジーアクションを綴る天城ケイ先生にお話をうかがいました。「女の子を主人公にしよう」という発想から生まれ、前作より必見のアクション要素も満載な『蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク)』は必読です!

 

 

©天城ケイ/ SB Creative Corp. イラスト:白井鋭利

kiji

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『蒼と壊羽の楽園少女』特設サイト

GA文庫公式サイト

 

蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク) (GA文庫)

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