高校生の抱える問題に教師が名作文学を通して向き合う学園青春ミステリー 『辰巳センセイの文学教室』が発売中

第8回ネット小説大賞の受賞作、宝島社文庫刊『辰巳センセイの文学教室』が上下巻で発売となっている。本作は、高校の国語科の教師である辰巳祐司が、教え子たちのトラブルや心の問題に、名作文学を通して向き合っていく学園青春ミステリー。作中では『舞姫』『羅生門』『竹取物語』『山月記』、そして『こころ』と中学校や高校の授業でも取り扱われている文学作品が並び、章ごとにスポットライトのあたる作品とヒロインが変わっていく連作短編となっている。上巻の中でも大きな意味を持つ『羅生門』の章では、本作のメインヒロイン・円城咲耶との関係性の変化が生まれる物語が描かれており、自らを犠牲にして嫌がらせを受けていた友人を助けたものの、自分が傷ついてしまった咲耶に、辰巳が急接近していくことになる。

 

辰巳センセイの文学教室上

 

 

【上巻あらすじ】

辰巳祐司は国語科のセンセイ。ゆえに言葉で、こじれた心と謎を解く。彼は校内の階段で負傷した女生徒を見つける。彼女はなんらかのトラブルに巻き込まれて階段から落ちてしまったようだが……。事情を調べていくうちに見えてくる、複雑な恋愛模様や家庭事情。それはどこか、森鴎外の『舞姫』のストーリーと重なっていく。上巻には他に、ネットを使った嫌がらせと戦う「羅生門」編、美貌の教員シャーロットをめぐる騒動を描く「竹取物語」編を収録。教科書に載っている日本の名作文学と高校生活がリンクする青春恋愛ミステリー。

 

 

本作は物語と、文学作品を取り上げた授業のシーンが並行して進んでいく構成となっており、文学の知識や様々な解釈にも触れながら物語を楽しむことができる。文学作品の面白さや奥深さを教えてくれる辰巳ならではの解釈は、本作の魅力の1つだ。

 

作中では、恋愛や家族関係をはじめ、抱えた問題を相談できず悩む生徒が数多く登場する。辰巳はそんな生徒たちに、一見ハッピーエンドには解釈できない文学作品を別の角度から示すことで、生徒たちに問題解決のヒントを与えていく。思春期で思い悩む子どもたちに立ち直るきっかけを与える辰巳の作品解釈は、この本を読んだあなたにも新たな発見をもたらすことになるかもしれない。

 

そして、辰巳と大きな接点を持った咲耶との関係性は本作を追いかけていくうえで見どころと言える。終章の『こころ』では主人公である辰巳祐司の秘められた過去に、咲耶が迫っていく。辰巳と咲耶は2人の関係にどのように決着をつけるのか、ドラマチックな展開からは目が離せない。物語の持つ、人のこころを動かす力を読者にも再確認させてくれる本作、ぜひ読んでみてほしい。

 

 

©瀬川雅峰/宝島社

kiji

[関連サイト]

『辰巳センセイの文学教室』特設サイト

宝島社公式サイト

 

辰巳センセイの文学教室 上 「羅生門」と炎上姫 (宝島社文庫)
辰巳センセイの文学教室 下 「こころ」を縛る鎖 (宝島社文庫)

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