【特集】「次にくるライトノベル大賞」スペシャルコラボ企画:人気作家・神坂一先生の読書体験インタビュー

2021年11月16日(火)よりノミネート作品への投票が開始となった「次にくるライトノベル大賞2021」。次にブレイクしそうなライトノベルを読者と共に発掘する新たな賞へ熱い視線が注がれています。そんな本賞を一層盛り上げるべく、スペシャルコラボ企画を実施。その名も「人気作家の読書体験を聞く!」。今回は原作30周年を迎えている『スレイヤーズ』の神坂一先生にお話をお聞きしました。ライトノベルに限らない「読書」という幅広い視点から、オススメの作品をはじめ、本や文章と出会うきっかけなど貴重なお話が満載です。神坂一先生が今の10代に読んでもらいたい本とは……?

 

 

スレイヤーズ17

 

 

――神坂一先生が本を読むということに強く興味を持ったきっかけ、または作品があれば教えてください。

 

物心つく前から、絵本やマンガを読むのが好きで、きっかけというのはもはや忘却の彼方です。子供の頃の身の回り品から、保育園児の頃から妖怪大好きという業の深い生き物だったことが判明しており、そんなシュミのせいか、小学校高学年の頃には横溝正史シリーズのおどろおどろしい作風にハマっていたことは覚えています。

 

 

――漫画やアニメ、ゲームなど様々なエンタメが賑わう中、あらためて小説という媒体の持つ魅力はなんだと思いますか。

 

読者自身の想像力が最大の味方になること、でしょうか。文字表現だけを手がかりに、自分にとってベストのビジュアル・音声・タイミングなどを想定できるわけですから、読者一人一人にとって理想のものができあがるわけです。……まあそれゆえに、アニメ化ドラマ化された際に「イメージと違う!」ということもあったりはするのですが……。

 

 

――神坂先生が読み手から、ご自身で小説を書こうと考えるに至ったきっかけや理由についても教えてください。

 

子供の頃からいろんなお話に触れるうちに、「もし~だったら」という夢想をしていたようで、そのあたりがお話作りの動機になっていると思われます。実際、小学生の頃のノートには、「ぼくのかんがえたおはなし」が書かれていました。……それが怪談っぽいモノだったとゆーのがなんとも業が深いわけですけど……。

 

 

――読み手だった頃から書き手に転身したことで、読書に対する意識の変化はありましたか。

 

基本的に楽しんで読むという点では変わっていないのですが、今は時々、「自分ならこういう文章にするな」と考えながら読んでいることがあります。ただ、「もし~だったら」という夢想をしながら読んでいる、と解釈するなら、本質的にはあまり変わっていないのかもしれません。

 

 

――小説や読書の魅力については、私たちも広げていきたいと考えています。神坂一先生は読書習慣のない方が読書に繋がるきっかけにはどんなルートがあるとお考えでしょうか。

 

自分に合った一冊、あるいは文章に出会うこと、でしょうね。どんな名作であろうとも、読んだ当人にとってピンと来なければ意味はありません。逆に、自分のツボにハマる面白い読み物(仮にそれが本であろうがアプリゲームのテキストストーリーであろうがどこかでたまたま出会った短い一文であろうが)に巡り会うことができたなら、そこから「文章を読む」ということへの興味が湧いて来るかもしれません。

 

 

――神坂一先生のオススメの作品を教えてください。

 

朝里樹氏の『世界現代怪異事典』。いやオススメが怪異事典て。おま。――と思われるでしょうが、形なき未知なる超常に対する原初の恐怖に、それぞれの国の人たちがどのような形や性質を与えたのか、国や地域によっていろいろ差がにじみ出るのが興味深いところです。また、作り手にとっては、ネーミングのネタとしても、アイデアのモトネタとしても活用できる応用範囲の広さが魅力。なお「世界」とありますが、取り上げているのは外国のみ。日本は別作で詳細フォローしているため、本作では触れられていません。念のため。

 

 

 

――若い世代にも本を読んでもらいたいという観点での質問になるのですが、今の10代にぜひ読んでほしいという作品があれば教えてください。

 

星新一氏のショートショートシリーズ。あまりにも有名で、本読みの人には今さらもいいところなのですが、一編一編が短く読みやすく、展開もはっきりしているので面白くとっつきやすい。ただ冊数を読み重ねると、どの話を読んでどの話を読んでいないのかわからなくなってくることが難点かも。

 

 

 

――「次にくるライトノベル大賞」といった賞が発表されるほど、ライトノベルという言葉は大きな広がりを見せています。代表作でもある『スレイヤーズ』シリーズの発売当時などは、現在程ライトノベルという言葉も広まってはいませんでした。あらためて神坂一先生が考えるライトノベルの魅力を教えてください。

 

ジャンルというのは、自分に合ったものを捜す時に、好みのものと出会う確率を上げるための絞り込み要素の一つなわけですが、その前提で言うならば、ライトノベルというのは読みやすさ、とっつきやすさが魅力の一つだと思います。読書慣れしていない人にもとっつきやすく。読書慣れしている人には肩の力を抜いて気楽に読める。そういった意味だと、このジャンルの中でいろいろ読んで、さらに自分の好きなジャンルに絞って行くのにいいかもです。

 

 

――それでは最後にライトノベルという一大ジャンルを築き上げたひとりとして、ライトノベルのファンに向けてメッセージをお願いします。

 

……違うんです刑事さん……俺……そんなつもり無くて……ただなんて言うか……小説っていうジャンルに、当時市民権を得つつあったマンガとかゲームとかのノリや演出を、つい出来心で引っ張ってきただけで……お、俺だけじゃなく他のみんなもやりはじめてたことじゃあないですか!

――というわけで。今後もきっと、いろんなものの文法を取り入れたいろいろ面白いものが出現してくると思います。今は目立っていないそういったものを捜してみるのもまた一興。面白いものを発見なさったら、ぜひともこっそり教えてください。いっしょにいろいろ見つけていきましょー。

 

 

<了>

 

 

「次にくるライトノベル大賞」は、新しい作品との出会いの場のひとつでもあります。より幅広い層へライトノベルを手に取ってもらうには、文章と触れ合うためのきっかけも重要です。神坂一先生の「読書」の話題はいかがでしたでしょうか。いつも本を読んでいる方もそうでない方も、人気作家オススメの作品から、ぜひ本を手に取ってみてください。

 

 

©神坂一・あらいずみるい

kiji

[関連サイト]

「次にくるライトノベル大賞」特設サイト

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