独占インタビュー「ラノベの素」 南野海風先生『魔術師クノンは見えている』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2022年7月8日にカドカワBOOKSより『魔術師クノンは見えている』第2巻が発売された南野海風先生です。生まれつき目の見えない主人公クノンが、とある言葉をきっかけに「魔術で目を作る」という生きる理由を見つけて成長していく本作。主人公・クノンの独特な「紳士観」や、個性的なキャラクターについてなど様々なお話をお聞きしました。

 

 

魔術師クノンは見えている2

 

 

【あらすじ】

魔道具「鏡眼」を開発し、視界を獲得した盲目の天才・クノンは、さらなる水魔術の研鑽のため魔術学校へと旅立つ。最先端の研究環境と最高の魔術師が揃ったそこは、彼にとって絶好の遊び場。聖教国の聖女や、雷光の異名を取る魔術師だって研究対象。教師や先輩、偉大なる不死の魔女までもが、そんな魔術一筋なクノンの言動に振り回されつつも注目する中、クノンは早速聖女に共同研究を持ちかけ……?クノンの才能が世界にバレる、発明ファンタジー第二弾!

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

はじめまして、南野海風です。日本の南側の出身で、2013年から「小説家になろう」や「アルファポリス」で小説投稿を続けています。好きなものは多すぎて逆にパッと出てこないんですけど……肉ですかね。逆に嫌いなものは脂肪、ぜい肉、セルライトです。早くお別れしたいんですけど、いつまでも付きまとってくるので困っています(笑)。趣味はゲームで、特に『アークナイツ』にドハマりしています。救いのないメインストーリーと、その中で必死に生きるキャラクターたちの絶妙なバランスが気に入っています。

 

 

――WEBでの投稿を約10年近く続けてこられているわけですが、小説の執筆を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

 

執筆を始めた一番の理由は、ライトノベルが好きだったからですね。あとは、よくある動機だとは思うのですが、あまり人に会わずに高収入が得られるとか、自分のペースで仕事をできるという打算で始めた部分もあります。実は、執筆を始めた頃はWEBではなく新人賞への投稿をメインにしていたんですけど、当時はいつも「感想がもらえない」という問題に頭を悩まされていました。公募は孤独な戦いなので、一人でコツコツ書き続けていると「果たしてこの話は本当に面白いのか?」という気持ちになってくるんです。実際に読んで客観的な感想をくれる人が身近にいればいいのですが、あいにく原稿を見せられるような相手がいなくて。そんなこともあり、感想や反応が返ってくる、小説投稿サイトを活用しようと思ったんです。

 

 

――なるほど。読者からの反応を確認できる環境が南野先生にはマッチしていたんですね。本作の第1巻発売時も読者から多くの反応があったかと思いますが、どのようにご覧になられていましたか。

 

感想については語りだすとキリがないんですけど、本当に嬉しかったですね。作者としてはどんな感想もありがたいです。ナポリタンを奢りたいぐらいに(笑)。

 

 

――それではあらためて『魔術師クノンは見えている』がどんな物語なのか教えてください。

 

生まれつき目の見えない主人公・クノンがとあるきっかけで魔術の道を歩み出し……といった物語です。生きる目的のなかった少年が、独特の発想と従来にない魔術の使い方で魔術師として成長しながら、主に侍女のせいでちょっと変わった紳士観を育んでいくことになります。「目が見えない主人公」と聞いて重そうな話だと感じる方もいるかもしれませんが、結構明るいお話に仕上がっています。娯楽小説なので軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいですね。

 

魔術師クノンは見えている

※とある言葉がきっかけでクノンは魔術の道を歩み始めることに

 

 

――本作の着想についても教えてください。

 

本作の元となるアイデアを考え付いたのは夏でした。毎年夏になると怪談や心霊現象といった話を耳にするようになるんですけど、そんな時ふと「霊が見えるキャラクターを主人公にしたら面白いんじゃないか?」と思いついたんです。そのアイデアにひねりを加えて書き始めたのが本作になります。

 

 

――本作の『魔術師クノンは見えている』というタイトルも特徴的ですよね。タイトルを付ける際はどのようなことを考えられていたんでしょうか。

 

本作を書き始めようとした当時、「小説家になろう」では数十文字を超える長文スタイルが主流で人気もありました。今現在もその流行はほとんど変わっていないと思います。だからこそ、絶対に短いタイトルにしてやろうと思いました。せっかく自分で物語を書いているのだから、他の作品にタイトルが似ているとか言われたくなかったんですよね。『魔術師クノンは見えている』というタイトル自体は、物語の内容に合わせて素直に名付けたつもりです。

 

 

――ありがとうございます。では続いて本作に登場するキャラクターたちについても教えてください。

 

まずは主人公のクノンですね。彼は紛うことなき紳士です。彼の紳士ぶりは他の紳士の追随を許さないんじゃないでしょうか。本作を読む際には彼の「紳士観」に注目してほしいですね。

 

魔術師クノンは見えている

※主人公・クノンの紳士っぷりは本作の見どころのひとつ

 

ジェニエは、クノンに最初に魔術を教えた第一の師匠です。教育者として苦悩する彼女の姿は、教師としてあるべき姿なのかもしれません。

 

魔術師クノンは見えている

※魔術教師・ジェニエとの出会いがクノンの人生を大きく変えることに

 

イコはクノンの侍女です。性格が明るいと評判のキャラクターです。クノンの独特の紳士観は彼女が植え付けたといっても過言ではないですね。全部彼女が悪いんです。

 

魔術師クノンは見えている

※クノンの性格は侍女のイコの影響が大きいという

 

ミリカはお姫様でありクノンの許嫁です。彼女の人気でこの小説は成り立っている部分もあります。

 

魔術師クノンは見えている

※ミリカとクノンの掛け合いも注目ポイントのひとつ

 

クノンの二人目の師匠となるゼオンリーは、美貌の魔術師の異名を持つ王宮魔術師です。大層な肩書がついていますが、偉そうな男です。

 

魔術師クノンは見えている

※ゼオンリーとの出会いでクノンの魔術はさらなる進化を遂げる

 

つらつらと紹介してきましたが、ぜひ小説やコミカライズを読んで彼らをその目で見てほしいですね。

 

 

――紹介していただいたキャラクターを含め、本作のキャラクターはみな前向きで「悪意」のあるキャラクターはあまり登場しないですよね。

 

確かにこのお話では悪意をむき出しにしたキャラクターは登場しません。だけど、真っ当な善人もほとんどいないのかなって思っています。自分勝手で、わがままな人が多いでしょう? クノンもその中の一人です。真っ当な善人なら城内を魔術で滑りまくったりしないですから(笑)。

 

 

――そういったクノンの独特の行動や軽口、コメディ部分は本作の面白さを形づくる大きなポイントだと思っています。彼の独特なキャラクター性はどのように生まれたのでしょうか

 

クノンの性格を考える際に考えたのは「彼を素直ないい子に書いて面白いのか」という事でした。普通に「素直ないい子の主人公」にしていたらきっとどこかで見たようなキャラクターに落ち着いていたと思います。やっぱり主人公ですから、読者の記憶に強く残ってほしいという思いがありました。そんな中浮かび上がったのが「ユーモアのある紳士」というアイデアです。執筆する際もコメディタッチで紳士的発言をするという点を意識していました。ただ、書いているうちにどんどん軽薄な感じになっていったのは誤算でした。「あれ? こいつなんか軽薄だな?」と思った瞬間、すでにキャラが独り歩きしているんだな、と自覚しましたね。

 

魔術師クノンは見えている

※クノンの「紳士ムーブ」が生み出すコメディは必見

 

 

――ちなみに、クノンの掛け合いでお気に入りのシーンはありますか。

 

書いていて楽しかったのはクノンとイコの掛け合いです。特に第1巻の「王子様のモデル」のくだりは気に入っているシーンでもあるので、ぜひチェックしてほしいです。

 

 

――誤算もありながら、ユーモアに富んだキャラクターとなったクノンですが、彼には非常に高い魔術の才能もありますよね。ただ、才能があるといっても「知識量の多いタイプ」や「魔力量のような数値化できる能力の高いタイプ」といったわかりやすい天才ではないと思います。本作では彼の才能をどのように表現しようと考えられていたのでしょうか。

 

そうですね。まず前提としてクノンを天才として書こうとは思っていませんでした。あくまでも彼は独自の考え方を持っていると言いますか、人とは違った発想ができる人間として書きました。でも才能がある人って、図らずも天才のオーラがにじみ出てしまうものだと思います。クノンについては「天才を書くぞ」と意図して書いたというより、自然と天才のオーラがにじみ出てしまうキャラクターなのかなと考えています。

 

 

――ありがとうございます。本作のイラストはLaruha先生が担当されています。お気に入りのイラストについて教えてください。

 

どれも良いイラストだと思いますが、格別に気に入っているのは第1巻表紙のクノンです。ラフを見せていただいた段階から、もう何も言うことはないという感じでしたね。Laruha先生に描き起こしていただいたクノンは、私が想像していたクノンを超えていました。小物や服装なども丁寧に描いていただいていて、私には勿体ないぐらいです。これは個人的にもお金を払うべきなんじゃないか、と思っています(笑)。

 

魔術師クノンは見えている

※南野先生お気に入りの一枚だという第1巻表紙イラスト

 

 

――さて、第2巻ではいよいよ魔術学校に進学することになるクノンですが見どころや注目のポイントはどんなところでしょうか。

 

第2巻は魔術学校が中心のお話ですが、授業もほとんどなく学校特有のイベントもない、一風変わった学校風景になっています。「事件! バトル! 解決!」みたいなノリでもないですし、のんびり楽しんでいただければと思います。見どころについては、担当編集さんが改稿の際に「2巻のテーマは、魔術学校の洗礼。魔術学校における最初の試練に対して、クノンがどう答えを出すのかがキモ」と言っていました。試練の内容は、ぜひ本編をご覧ください。あとは、やはりLaruha先生によって描かれる新キャラたちでしょうか。サーフ先生はかっこいいですよ。あとはクノンの同級生になる聖女も登場します。彼らがどうイラスト化されているのかも楽しみにしてほしいですね。

 

魔術師クノンは見えている

※魔術学校でクノンを待ち受ける試練とは……

 

 

――著者として本作はどんな方が読むと、より一層面白いと感じてもらえると思いますか。

 

本作はあまり派手な動きが無い物語です。「主人公が大活躍して爽快!」みたいなシーンもほとんど登場しないです。どちらかと言えば日常系としての性質が強い作品になっているので、のんびりとした作品が好きな方は楽しめるんじゃないかと思います。あとは、クノンが創意工夫を凝らして実験や開発などを進めていくというのも特徴です。学園祭の準備やら理科実験など、試行錯誤が必要な作業を楽しめていた方は好みに合うかもしれませんね。

 

 

 

――それでは最後にメッセージをお願いします。

 

これは娯楽小説です。難しいことなんて一つもないので、気軽に手に取ってください。あなたのお気に入りの一冊に加えていただけると、作者は泣いて喜びます。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

どこかズレた部分がある紳士キャラであり、高い才能を持つ魔術師であるクノンの出会いと成長、実験と開発の日々を綴る南野海風先生にお話をうかがいました。キャラクター同士のユーモアに富んだ掛け合いや、工夫を凝らした魔術の発明も魅力の『魔術師クノンは見えている』は必読です!

 

<取材・構成:ラノベニュースオンライン編集部・宮嵜/鈴木>

 

©南野海風/KADOKAWA カドカワBOOKS刊 イラスト:Laruha

kiji

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『魔術師クノンは見えている』シリーズページ

カドカワBOOKS公式サイト

 

魔術師クノンは見えている 2 (カドカワBOOKS)
魔術師クノンは見えている (カドカワBOOKS)

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