独占インタビュー「ラノベの素」 エリーゼ先生『ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2024年5月15日にアース・スターノベルより『ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~』が発売されたエリーゼ先生です。小説投稿サイト「小説家になろう」にて、VRゲーム[SF]ジャンルにて年間1位にも輝いている本作。オンラインゲームにおいて、廃人はいかにして生まれ落ちるのか。もともとは自分で読むためのものとして執筆を始めた本作についてはもちろん、個性あふれるキャラクターについてなど、様々にお話をお聞きしました。
【あらすじ】 『――天使をぶっ倒したイカれた女って、あなたね~?』 ガイド役の天使を殴り倒したリンネは、隠しイベント【魔神バビロン降臨】を引き当てる。魔神より授かったのは、ユニークジョブ『死霊術師』。固有スキルでレアモンスターを仲間にし、サクサクと強化&進化。気づいたら世界を脅かすほどの最強パーティに!? 裏イベントを次々に発見し、敵は圧倒的チームプレイで蹂躙する! 無自覚に最前線を切り拓く災害級新人、爆誕!! |
――それでは自己紹介からお願いします。
エリーゼと言います。小説の投稿歴は本作、『ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました』が初めてです。もともとは小説を読む側だったのですが、いつの間にか書く側になっていましたね。最初の頃の文章と今の文章を見比べると書き方が変わっていたりもして、あらためて見返すと勢いで書きすぎだろ……と、自分で自分にドン引きしたりすることもあります。好きなものは鶏の唐揚げ、嫌いなものは……内緒です。最近ハマっていることは『ブルーアーカイブ』ですね。残念ながらPCのオンラインゲームは時間が取れなくてなかなか出来なくなってしまいました。
――あとがきでも書かれていましたが、エリーゼ先生は本作の題材でもあるオンラインゲームをかなりプレイされていたそうで。
最初にオンラインゲームに触ったのは20年程前ですね。一般的なゲームとまったく異なるゲーム性に惹かれ、様々なオンラインゲームをプレイしました。主にプレイしたのは『ラグナロクオンライン』、『アラド戦記』、『ラテール』、『ファンタシースターオンライン2』、『FF14』、他にも10タイトルぐらいプレイしていました。
――見る人が見ればわかる素晴らしいオンラインゲームの履歴書ですね(笑)。ちなみにどのようなプレイスタイルで遊ばれていたんですか。
大体どのゲームでも最盛期のエンドコンテンツに挑んでいました。特に『ファンタシースターオンライン2』に関しては、プレイ時間が合計で3万時間を超えていたかなと思います。課金要素であるキャラクターに特定モーションを取らせるロビーアクションなどは、当時実装されていたものはコンプリートしていましたし、やりこみ要素であるタイムアタックなども、動画にしてアップロードしたりもしていました。
――廃人と言っても差し支えないプレイスタイルだったわけですね(笑)。そんなエリーゼ先生が小説の執筆に至った経緯として、自身の読みたい小説がなくなり、「ないものは作るしかない」という、自分のためのものとして執筆を始められたと聞いています。執筆を続ける中で、自分以外の読み手から感想も寄せられたりするようになっていったわけですが、その前後で執筆の動機は変化されたりしましたか。
感想をもらうようになってからは、思い描いていたストーリーの進行を感想で予測されると、それ以上の展開にしたくなり、変更することも多々ありました。それこそ感想のおかげで、自分の構想にはなかった面白い展開に辿り着いたこともあります。掲示板回の感想では毎度毎度変な奴を出現させたり、迷言を作り出したり、それに好反応があった時は嬉しくなって一日に数話連続で更新した日もありました。いつも励みになっています。
――なるほど。また、エリーゼ先生はDiscordで読者と交流もされているんですよね。なぜコミュニティを持とうと思ったのですか。
使っていたX(旧Twitter)のアカウントの凍結になりまして……。その当時、小説の更新時に同じURLを何度も投稿したことが原因になったのではないかと思っているのですが、それがきっかけでDiscordへ移動しました。
――Discordというより直接的な読者との交流は、作品にも影響を与えていますか。
そうですね。Discordはリアルタイムでのやり取りができることもあり、更新してすぐに反応が返ってきたりするのでとても面白いです。特に影響を受けていることとして、自分や読者の誤変換や打ち間違いなど、あまりにも面白い間違いは掲示板回に導入されていたりしますね。
――それではこのたび書籍化となった『ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~』がどんな物語なのか教えてください。
本作のテーマはズバリ、廃プレイヤーはどのようにして生まれるか、です。今まで数多くのオンラインゲームをプレイしてきましたが、色々なタイプの廃プレイヤーがいました。なるべくしてなった人、これまで普通にプレイしていた人が、特定の人物に会った日を境に強くなったり、特定の職業やキャラクターが好きで、すべてを注ぎ込み誰も辿り着けない次元にまで行ってしまったり。そんなトップ層がどのようにして生まれるのかを書きたかったというのがあります。主人公であるリンネちゃんには攻略サイトなんて無いに等しいこの世界で、トライアンドエラーを繰り返してモリモリと突き進んでもらいたいので、これからも様々な壁に挑ませる予定です。
※アバタークリエイトで案内役の天使を殴り飛ばし……物語は思わぬ方向へ!
――主要な登場キャラクターも教えていただけますでしょうか。
リンネちゃんは記憶喪失で暗い女の子。記憶がなくなっても「努力しても結果に繋がらない」というネガティブ思考が無意識に出てしまい、自己肯定感も非常に低い主人公でした。しかし、努力すればする程結果の出るゲーム「メルティスオンライン」との出会いをきっかけに、挑戦することへの楽しさに目覚めます。誰も彼女の挑戦を止められる人がいないので、何にでも果敢に挑戦し続ける怪物プレイヤーが誕生してしいました。
※魔神に惚れこみあれよあれよと職業・死霊術師を選択したリンネ
そんな怪物をこの世界に連れ込んでしまったのが親友のペルセウスちゃんです。どんな分野でも自分が中心、一番でないと気がすまない高飛車で我儘なお嬢様でしたが、一歩引いて周囲の助けを借りることを覚えてから、能力を飛躍的に向上させることとなります。一歩引くことの大切さ、他者を頼ることの大切さ、それらを気付かせてくれたリンネのことを溺愛していると同時に、リンネが記憶喪失になった原因でもあるので負い目を感じており、どう接すれば良いのか答えが出ない日々に葛藤しています。
※リンネの良き相棒であり、同じくらいぶっ飛んでいるペルセウス
どん太君はリンネが初めて従者にするメルティスオンライン内でのペットですね。大きいわんちゃんです。実は飼い犬のシベリアンハスキーがモデルになっています。作中では巨大魔狼種、狼の王となる種族なのですが……。いえ、人語をある程度理解し、時には勇敢で時には逞しい子なのです。なの、ですが……。いささか、脳内の大半が「ご飯食べたいなー」で支配されている残念な子でして。そんなこんなでどん太君は可愛くて強い、本作の癒やし要素になっています。
※本作の癒しキャラクター筆頭でもあるどん太
そしてバビロン様。お茶目でキュートで魅力たっぷりの女神様に仕上げたかったので、どのような子にするか非常に悩みました。その結果、好きな要素を全部詰め込んじゃえばいいじゃんってことで、誕生したのがこちらのゴスロリ魔神バビロン様です。毎日最低でも朝昼晩崇めたいですよね。崇めましょうね。
※リンネやペルセウスをあらぬ方向へ導くことになる魔神バビロン
――非常に個性豊かで楽しいキャラクターの多い本作ですが、特に思い入れの強いキャラクターは誰ですか。
やはり主人公であるリンネちゃんですね。まず主人公を好きになってもらえないと読者も読むのが苦痛だと思ったので、何が好きで何が嫌いか、何がしたいキャラなのか、それらをハッキリと書くように意識しています。特に彼女の心の強さに惹かれるようにと、根性のある子に仕上げました。その結果、自分が考えていた展開に持ち込んでリンネちゃんを動かそうとしたところ、リンネちゃんならこんなことはせずに真っ直ぐ行くな~と思っている内に、彼女が物語内で勝手に動いて殴りかかったり敵を倒したりするようになって。実際に生きている子なんじゃないかと錯覚してしまうほどです。
※思うがままに真っ直ぐ突き進んでいくことになるリンネ
――なるほど。気付けば作中で勝手に動き回るキャラクターになっていたんですね。
作中ではどん太にもっと厳しく接するように書こうとしていたのですが、いつの間にか可愛がるようになったのもそういった経緯があってですね。リンネちゃんなら可愛がってくれそうだな~と。物語が進行するに従って段々と優しく接してくれるようになって、その辺りのストーリーはニコニコしながら書いていた記憶があります。
――また、本作は物語全体を通してコメディ色も強く、ワイワイ楽しめることも魅力のひとつだと感じています。ご自身としてはコメディがお好きだったりされるのでしょうか。
思いっきりシリアスな展開を貫き通すのも、そのシリアスな空気をギャグ展開の一撃でぶち壊すのも、どちらも大好きです。ダークファンタジーな世界で勘違いコメディとか、そういうのがあったら面白いな~と。もし次回作を書くならそんなストーリーになるかもしれないですね。
――ありがとうございます。本作は書籍化に際してイラストをがわこ先生が担当されています。お気に入りのイラストなどがあれば教えてください。
まず儚く繊細な色使い、透き通る描写、美麗という言葉で表現し尽くせない世界、それでいて力強さも感じられるがわこ先生がイラストを担当してくださると聞いた時、大変に興奮したのを記憶しています。特にリンネちゃんのデザイン案、真っ赤なエナメルハイサイソックスとゴシックロリィタの驚異的なバランスを見た時にはハートを射抜かれました。思わずリンネちゃんのスカートの中に住民票を移すかと考えたほどです。本作の表紙でリンネちゃんとバビロン様が手を取り合っている一枚は崇拝する程に好きな一枚ですが、星座がモチーフとなっているTheZodiacSignシリーズも大変に美麗で素敵で、そちらのシリーズの本も出ると聞いているので楽しみにしています!
※エリーゼ先生も大絶賛するジャケットイラスト
――書籍の発売とあわせて豪華PVも公開されました。見どころはどんなところでしょうか。
大久保瑠美さん演じるキュートで扇状的なバビロンちゃんと、阿保まりあさん演じるバビロンちゃんにメロメロなリンネちゃんの、衝撃的な出会いのきっかけとなった瞬間! こちらのPVにて貴方も立ち会うことが出来ます! 見て!聞いて!心揺さぶられること間違いなし!貴方もバビロン様を崇めましょう!バビロン様サイコー!!
――著者として、本作はどんな方が読むと一層面白いと思ってもらえると考えますか。
書籍版ではWEB版に比べて世界の考察がしやすいよう設定を加筆するつもりで、さらに百合要素に関しても増量する予定でおります。軽めに百合要素を楽しみたい方、世界情勢に関してあれこれ深く考察がしたい方、冒険モノが好きな方にはぜひ手にとっていただきたいと思っております。
――今後の野望や目標があれば教えてください。
一日を三十時間ぐらいにしたいです。冗談はさておき、一日を四十時間ぐらいにしたいです。
――最後に本作へ興味を持った方へメッセージをお願いします。
こちらこそありがとうございました。それでは皆様、ご起立して構えてください。バビロンちゃん、サイコー!!
――本日はありがとうございました。
<了>
天使を殴り飛ばして魔神に惚れ込みスタートするVRMMOの世界を綴ったエリーゼ先生にお話をうかがいました。個性的なキャラクター達が、自分の進む道をひたすら真っ直ぐ、そして楽しく歩き続けていく魅力の詰まった本作。彼女たちが「メルティスオンライン」の世界でどんな活躍をしていくのか、さらに楽しみです。『ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~』は必読です!
<取材・構成:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>
©エリーゼ/アース・スターエンターテイメント刊 イラスト:がわこ
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